表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/13

第5話 いつか誰かが

深夜、アパートに帰ってきた私は、食事もせずに眠りについた。

正直、何か食べる気力が起きなかった。


ドンドンドンっ


何か派手な音がする。

眠りから、意識が浮上を開始する。

数秒後、デカい音が、玄関の扉をノックする音だと気づいた私は


「うっさいな!

 ドアを叩くな、チャイムを鳴らせ!」


と怒鳴り、完全なる覚醒を果たす。


しかし、訪問者には聞こえなかったのか、今だドアへの乱打は止まらない。


はあ、朝っぱらから何事だ。


まだ、寝起きながら服装を整えた私は、玄関へと移動。


「新聞と宗教の勧誘はお断りだ!」と相手に宣告してやる。


「いえいえ、違いますよぉ。

 わたしです。

 天明ですよ。」


と、聞き覚えのある女性の声が、外から聞こえてくる。


扉を開ければ、いつもより慌てた様子の天明さんがそこにいた。


「昨日、七福さんがとんでもない事件に遭遇したらしいって聞いて

 飛んできたんですよ!」


と続ける彼女、確かに慌てているようだが、いつものリクルートスーツに乱れはない。

特に走ってきたとか、そんな感じには見えない。


「はあ、なんでもう知っているんですか?

 昨日というか、今朝未明の出来事ですよ。

 まだ、朝でしょう?」


と答えた私に対して


「はあぁ、七福さん、もう夕方の4時ですよ!

 やっぱり、何か、お怪我でもされたんじゃないですか?

 病院には、行きましたか?」


「今日、社でお昼ごはん食べてたら、わたしのところに上から連絡が入って

 今朝の事件に関連して、警察から連絡が入ったと聞きました。

 それから、今さっきまで警察で身元確認とか、事情の説明をしていたんですよぉ」


と早口で語る天明さん。


”はあ、たいへんでした、、”


「でも、七福さんが大丈夫なようで良かったです。

 心配したんですよぉ」


ちょっと、ほっとした様子の天明さんは、疲れた顔に笑みを浮かべた。


「いや、それは本当に申し訳ない。

 ご心配いただき有難うございます。

 

 そうか、もう4時でしたか。

 なるほど、ふらふらするのは、昨日から飯抜きだったからか、、」


と、頭を下げながら、謝罪すると同時に現状を認識する私


「本当に大丈夫なんですか?」


と聞き直してくる天明さんは、

「とにかく身体が、大丈夫なら何か食べに行きましょう!」と食事のお誘いをしてくる。


「何が良いですか?

 今回は会社側の要件なので、食事代は必要経費でおちますよ。」


先程までの慌て振りが、嘘のように目を輝かせる天明さんに気圧された私は、

近くのファミレスへと向かうことにした。


「もっと高いところでも、良かったんですよぉ。

 割と謙虚なんですねぇ」


と語る彼女は、なぜか和風ハンバーグを食べていた。ケーキやらなんやらも一緒に注文している。


私はファミレスなのにラーメンだ。


うん、場違いだが、それほど食欲もないし、ファミレスのラーメンは専門店とはまた違った味がある。

そう、同じラーメンなんだが、どこか作り方が違う気がするのだ。


ばくばく、食べていく天明さんとラーメンを啜る私。


「そう言えば、今回のコンビニの件なんですが、防犯カメラとか壊れていたそうですよ。

 映像記録とかが残っていないので、虱潰しに関係者の事情聴取をしているそうです。

 

 強盗犯の方たちは、外傷はなかったんですが、記憶の混濁があるそうで、

 病院で検査中だと言うことです。

 

 コンビニの店員さんも無事でしたが、やはり事件前後の記憶が曖昧だそうで。

 ただ、コンビニの店内は重機を使ってなぎ倒したようになってて。

 重大事件として捜査中だそうです。」


”これは会社の上司から聞いた話なんです、内緒ですよ”

とこっそり伝えてくる天明さん。


食事を終え、支払いと会社向けの領収書を受け取った彼女は、私の自宅までついてくる。


勝手知ったる我が家、古き良きアパートの前で別れ際に、


「ご馳走様でした。

 本当に食事代の会計、お任せして良かったのでしょうか?

 今からでもお支払いしますけど?」


頭を下げながら、提案する私に天明さんが


「いえ、大丈夫ですから」

 

「それから、今回の件を受け、七福さんには最低限の警護が必要だと言う意見が社で出ているそうです。

 わたしもそれには賛成でして、近日中に対応がなされるでしょう。

 それまでは、あまり危険のところには行かないよう気を付けてください。」


と天明さんが言い出した。


ただ近くのコンビニに行っただけなんだが

どこら辺に、危険な要素があったのだろうか?


疑問に答えを見出せずに無言でいると


「それでは、わたしは会社の方へ帰ります。

 退社時間の間際に、経理のほうに領収書を紛れ込ませればイケる、

 そうわたしはデキる女だから!」



一人食べ過ぎた天明さん。

ファミレスではレシートが領収書代わりだったそうで

食べた品目がつらづらと印字されていた。


それから、体調も完全に回復した数日後、


アパートの前が騒がしくなる。


そして、我が家のチャイムが鳴り響く。


うん?また天明さんか?


「はーい」


返事をしながら、玄関の扉を開くと


そこには、予想を裏切り、身目麗しい外国人の女性が立っていた。

身長は私と同じくらい(170後半の男性の身長と同等か)、

なんか異様に光ってるように感じる肩にかかるくらいの金髪、その顔立ちも非常に整っている。

高そうな女性用のスーツを着込み、男装の麗人のよう。


(女性のスタイルに関する記述は、差し控えたいところだが)


他に敢えて付け加えるなら、非常にメリハリのある体形だと思う。もちろん男性目線でだが。


最近知り合った美人さんである天明さんだが、

彼女が、あまり記憶に残りがたい印象であるのとは逆に


目の前の外国人と思われる女性は、誰もが忘れないような美女であろう、

そう断言できるほどに、彼女は脳裏に焼き付けられるような強烈な個性を放っている。


かなりの驚愕で無言になった私に向かい、言葉を切り出したのは金髪女性の方だった。


「初めまして、七福源治丸様のお宅でしょうか?」


「初めまして、私が七福ですが、何か御用でしょうか?」

お辞儀をして、挨拶を返す私。


「私は(株)ガイア神話連盟で警備部門の主任を務めているものだ。

 担当監査官殿から何かお聞きになっていないだろうか?」


ええと、なんだこれ。

警備部門の主任?

どうみても、某国のシークレットサービスみたいだが、どうしたんだ一体?


大分思考を置き去りにしながら、私は答えた。


「あのすみませんが、それって貴社が付けてくれている担当の天明かぐらさんのことでしょうか?」


その魂がまるで入っていない呆けた返事を聞いて


「うむ、合っているようだな。

 失礼した。

 私の名は アテナ・クランベリー。

 今日から貴方の護衛任務を任された者だ。

 これからよろしく頼む。 」


安アパートの一室である我が家の隣が騒がしい。

荷物の搬入のようだ。

つまり、


「それと、これは引っ越してきた手土産だ。

 日本では、こういうシキタリがあるのだろう。」


などと澄んだ声で宣うクランベリーさん。 


中身を察するに、どうやら蕎麦のようだった。包装に食品会社の印が入っている。



ーーーーー


とある廃ビルの一室、窓ガラスは割られ、壁一面に落書きが散見する。


威圧感のある大男が、タバコを吸っている。


「ふん、遅かったな。」


落ち着いた声で語りかける先に現れた神秘的な雰囲気の女性。


「はあっ勝手なことをしないで貰いたいですね。

 こんな大事な時期に、事件を起こされては困ります。」


鈴の音のように澄んだ声が辺りに響く。


「くくくっ、俺たちはさほど困らんぞ!

 お前たちと違って、俺たちの名は、この国でも結構知られている。」


低く威圧感のある重々しい声の割に、軽い口調の大男。


「皆、お揃いでしたか。」


何処から現れたのか、この荒れた部屋中央に声の主を発見する。

今までは、確かにいなかったはずの誰かは、身目麗しい青年だった。


「はあ、今回は貴方のミスですよ、サマエルさん。

 しかし、この国で名を売ることで力を取り戻すとはね。

 古き神々が信仰を取り戻すのに、エンターテイメントを使うとは。

 おかげで我らは、立場を逆転されることになってしまいました。」


饒舌に話す青年に目を向け、サマエルと呼ばれた大男は答える。


「何を言っているんだ、お前たちの望みでもあるだろう?

 我らの大いなる主の帰還だぞ。」


” 忘れたのか? ”


「こんなことなら、盛大に名乗っておくべきでした。

 真名を知れば、人間たちの願いの声が多く届くようになる。

 いささか騒がしいと隠していたのが、裏目に出るとは!」


青年が顔を顰める。


大男サマエルは暗い表情で嗤いながら、


「ふはははっ、此度、主は帰還せり。

 古の盟約により、大いなる神々の宴が始まった!!!」


” さあ、歓喜に震えることだな!この星の覇権を握るのは我たちだ! ”


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ