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第4話 事件発生

ふうっ、研修という名のミッションを終えた私は、

今日の晩飯を求めて、近くのコンビニに出かけることにした。

時刻は20時を回ったところだ。


天明さん?

彼女はもう帰った。

例のヘッドバンドの機能を終了すると、

いつものリクルートスーツな彼女に戻る。


「いやぁ、今回は早かったですね。

 プロジェクトの開始には手間取りましたが、

 今回の第一回研修は無事終了。

 大分、スケジュールに余裕ができました。

 

 初めてのことだったので、

 初回ミッションは解決にかなり掛かると思い

 時間を多めにとってあったのですが。

 これも七福さんの協力あってのものですよ、あははは」


と能天気に笑う天明さん。


「それはどうも」


嫌味なく返す私だったが、

服装が違うと印象が全然違うなと内心苦笑いしていた。


「それでは、今日は遅くなりましたので、

 わたしは会社のほうへ戻らせていただきますね。

 本日は本当にご協力ありがとうございました。

 次の予定は後日、ご連絡いたしますね。」


「さあ、会社に早く戻って、家に帰るぞぉ

 今日は残業無しだぁ」


アパートの玄関、外への扉を開けながら、

テンション高く天明さんは歩き去る。


若いっていいな。


そして、腹が空いたことに気づいた私は、

夕食を求めて出かけたのだ。



ーーー自宅近くのコンビニ


ふむ、予想以上に疲れたな。

今日くらいビールを飲んでもいいだろう。


正直、酒はあまり好きではなく、ほとんど飲まない。

だが、今回ばかりは息抜きがしたい。

現実逃避というなかれ、大変だったんだ、ここ数日は!


缶ビールを1缶と弁当を買い物カゴに入れた私は、

現金を下ろすために、店内のATMに向かう。


うん?デカい男がいるな。

黒ずくめで、明らかに周りより

身長が高い男性に目が留まった。


体格もいい。

どこかのアクションスター並みに鍛えられた身体だ。


なんでそんな細かいこと分かるんだ?って

身長もあるが、肩幅や手の大きさ、身体のゴツさが他の人と全然違うんだよ。


外国人か?

まあ、ここは地方とはいえ、最近は旅行客が結構いる、

そんなこともあるだろう。


さて、金を下ろすか、、

正直、訳の分からん装置がある時代だ、

現金を財布に入れとかんとな。


さすがに、データじゃない現物を消すことはできんだろう。


あの天明さんとの邂逅以降、

スマホのキャッシュレスとか信頼できなくなった私がいた。


カード入れて、暗証番号入力っと、


「助けてくれぇぇぇ、強盗だぁぁぁ」


客の少ない静かなコンビニの自動ドアが開くと同時に入ってきた男性。

店内に入ると同時に大きな声を張り上げる。


慌てる中年の店員だが、


「待てぇ、お前のそのバックを寄こせばいいんだよ! 

 くそ、逃げるな!」


ドタバタとヘルメット被ったライダースーツの男たちが、

コンビニへと雪崩れ込んでくる。


店内の奥にいた私は、そっと騒ぎの起きているレジカウンターを覗う。


どうも、助けを求めてきたのは中年のサラリーマン風の男性のようだ。

カウンターにいる店員に、警察を呼んでほしいと叫んでいる。


一方、完全に身元不明、性別不明のライダースーツに

フルフェイスのヘルメット付きの5人組。


手にはバールやらレンチ、防火用の斧なんかを携えている。


「なんだこれは、素人にしちゃ完全武装だな」


小声で感想を呟く私。


手荒く、強盗?の一人が、被害者と思われるサラリーマンを殴りつける。


「やっと、捕まえたぜ!」


やはり、連中の一人は男性のようだ。

予想以上に若い声だ。


しかし、そこに闖入者が現れる。


混沌とした店内で、

菓子バンとビールを持ったさっきのゴツイ大男が割って入ったのだ。


まだいたんだな、あいつ。


「おい、会計を頼む」


店員に持ってきた商品を差し出す大男。

緊迫した店内に似合わないセリフを吐くと


「おい、お前はどけ!

 怪我したくねえだろ」


「どこの木偶の坊だ!

 こんな時に会計って、頭いかれてるのか!」


というヤジが飛び


強盗の内、3人が大男に向かい凶器を構える。


「てめえはすっこんでろ、このデカブツが!」


と威嚇し、残った2人の内、ひとりが被害者のサラリーマンに


「そのバッグを寄こせ!

 てめえのもんじゃねえだろうが!!」


とその身体に手を掛ける。


その時、じっと見ていた大男の雰囲気が一転した。


「下らん、こんな下等生物に

 私の時間を奪われるなど、あってはならんことだ」


強烈な何かが、店内を駆け抜け、電灯の全てが消えてしまう。


” なんだ ”


あまりに異様な光景が目に入る。


店内の電灯が消える中、

ガラス張りのウィンドウから赤い光が差し込む。


コンビニの外は真っ赤な光が溢れ、店内の一部を照らし出す。


そして、事件の渦中にあるカウンターに目を戻すと、

異様な影を身に纏う大男の姿が!


「か、怪物だぁぁぁ!!!」


今、強盗犯に入られたばかりのコンビニに、狂気の嵐が吹き荒れる。


「ち、ちくしょう!お前、なんなんだよぉぉ」


強盗の一人が、破れかぶれの叫びをあげ、

異形の男にバールを叩きつける。


それを機に一斉に凶器を振り上げ、襲い掛かる強盗たち。


ガタイが良いとはいえ人間、凶器の前に倒れ伏すはずだった、、、


しかし、強盗達の凶器は、異形の男に何の傷も与えられなかった。

全て、男を覆う影たちによって防がれたようだ。


            「 邪魔だ。」


        ” ふるおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ ”


恐ろしい気配で一瞬立ち眩みを起こした私は、その場に倒れ込む。

凄まじい何かが、店内を駆け巡り荒れ狂っている。


気配は唐突に過ぎ去った。


目を開けると店内の明かりは戻っており、

外の赤い光は消滅、夜の闇を取り戻していた。


辺りを見渡す私の目に映るのは、

熊でも暴れたようにめちゃくちゃになった店内だった。


あの大男はいなかった。

恐る恐る、騒ぎの中心であったカウンターのほうに歩み寄る。

警戒は怠らない。


しかし、最悪の状況は避けられたみたいだ。


店員や被害者のサラリーマン、

そしてフル装備の強盗たちは、特に外傷はないようだった。


店内を見れば、現場であるこの付近は、

血で染まっていてもおかしくない感じはあったのだが。


レジカウンターには、

メロンパンとビール缶がぽつんと置かれていた。


その後、警官が駆け付け、コンビニを封鎖。

強盗達は逮捕された。


また現場にいた私や店員、

そして今回の一連の騒ぎの中心であるサラリーマンは

事情を深く問い詰められた。


何の関連もなかった私は、日付を超えた頃に解放された。


あまりにも不可思議なこの事件は、

しばらくの間、テレビのニュース番組で取り上げられ

ネットでは、都市伝説のような噂が広がった。



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