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俺は人生を捧げない、私は全てを取り戻す!  作者: ふりがな
第4章 陽の光が地に堕ちる刻
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第50話 シークレット

「貴女をプロジェクトの参加者から外すことが決定されました。」


そんな突然の宣告から始まった天明さんの話。


「ええっ、私はクビですか!?」


驚きとともに、私の口から思わずそんな言葉が漏れる。


もともと、私は彼女達の所属する企業のプロジェクトの参加者として、

今の立ち位置に収まっていた。


そのプロジェクトから外される。


それは、企業が私は必要ないから、解雇すると言っているようなものだ。


「はい、そうですね。

 このプロジェクトの参加者としては、クビ扱いです。」


そう、はっきり告げる彼女だったが、それには続きがあった。


「ただし、七果さんは既に我が社の正式な社員なので、

 仕事が変わるということになります。」


「ちなみに、私達は皆同じチームとして、

 これからも一緒です。」


いつもと雰囲気の違う天明さん。

どこか、白天明さんに近い雰囲気である。


「はあ、また無職になったわけじゃないんですね?」


と私が改めて聞くと、


「ええ、そこは大丈夫ですよ。」


と天明さんが答える。


そこにアテナさんが口を挟む。


「ふむ、どうやら私達の方に運が巡ってきたみたいだな。」


「そうですね、彼らの思惑通りにはいかなかった。

 彼らも万能ではないみたいですね。」


天明さんとアテナさんの会話に、引っかかりを感じる私。


「どういうことですか?」


私は引っかかった事に対し、質問する。


すると、真面目な顔をした天明さんが口を開く。


「七果さん、

 いえ、ここは敢えて七福さんとお呼びすることにします。」


「貴方が、このプロジェクトに参加することは決められていました。」


「貴方がどんな答えをしたとしても、

 貴方がどんな行動をしたとしても、

 貴方がこのプロジェクトに参加することは決定されていました。」


「貴方の意思は関係なかったんです。」


「このプロジェクトを依頼してきたクライアントが、

 そう決めていました。」


「彼らの目的について、正確なことは分かりません。

 今回のプロジェクトが、なぜ一般人を対象にしているのか?」


「七福さん、貴方も以前は会社に勤めていましたね。

 その観点から、分かることがあるはずです。

 その考えに私達も辿り着いています。」


「彼らは、このプロジェクトをアートの品質を見る為、

 と、語っていたそうです。」


「これに合格すれば、この星の人間を仲間に加える用意があるとも。」


うん?

どういうことだ?


私はその言葉の意味をよく理解できなかった。


しかし、その後の天明さんの言葉に、絶句する。


「この依頼をした彼らは、この星自体をアートとして捉えています。

 人々の人生すら、芸術品の一部だと。」


「その考えは常軌を逸していますが、

 そう考えれば、このプロジェクトに一般人が選ばれる理由は、

 一応の答えが出ます。」


「この星で、一番多く波乱万丈で、感情の起伏が大きい生物、

 そして、その生物の一番多い生活の形。」


「それが、人間の一般人なんです。

 英雄のようなごく一部の人の輝きより、一般人の人生。」


「彼らの思考では、この星の価値を測る基準となる意思持つ存在、

 その中で最も多い人の生をサンプリングして評価する。

 その評価の値を、アートの品質として彼らが認識するということ。」


「アート、人が芸術作品に対して求めるものは、

 誰よりも一際輝く心打つ何かがあるかどうかです。」


「例え、何かの欠点があったとしても、

 ある一点において他を超える部分があれば、

 人はそれを評価します。」


「しかし、彼らは全体的な平均値を評価するようです。

 それはまるで工業製品を評価するように。」


言葉が出ない。

アートというより、量産品を見る目だ。

そして、それは今まで私の人生を見ていた目なのだ。


あまりに不可解な考え、

余りに相いれない。


私は、そのクライアントについて聞いて見た。

彼らは、今まで私の行動を、私に対する理不尽を、

私を襲う苦難を見ながら、品質チェックをしていたのだ。


何者なんだ!


「私達が知ることは、限定的です。」


天明さんが答えるが、アテナさんが補足を入れてくれた。


「私が、神扱いされているのは知っているだろう。

 私の一族は、この地球から他の異郷へと渡った。

 時期的に数万年前くらいだ。

 その後、一族はある程度の成果を得て、この星に帰ってきた。

 だが、この星の人間は、出て行った時とは様変わりしていた。」


「私達の一族は、正確には神ではない。

 霊的な成長と文明の成熟を経て、個人の持つ力も飛躍的に上がった。

 一族と言ってはいるが、当初この星に残った者たちも、

 同じくらいのレベルに合ったのだ。」


「私達は死も克服していたし、寿命などなかった。

 それはこの地に残った誰もが同じだった。

 しかし、私達にとって僅かな時間で、

 この星の状況は、ほぼ文明の最初期まで戻っていた。

 私達が離れる時、この星は、様々な世界からの旅人が訪れていた。

 しかし、その交流自体が途絶していた。」


「そして、私達が本来、神と呼ぶ存在は、

 星のあらゆる生物の統合意識体なのだ。

 人間だけではなく他の動植物なども集合したその存在は、

 とても荒々しい形態を持っている。

 本来的に話し合いなど不可能だ。」


アテナさんがそう説明すると、


「管理権限という名の自然に干渉する力は、

 知恵ある存在、所謂、知的生命の霊的エネルギーを

 収束することで使えます。

 これには、一定以上のその土地の生命からの信頼が

 不可欠ですが。

 管理権限とは、所謂、人社会の警察や消防などの公的役職が

 持つ権限みたいなものです。」


と、今度は天明さんが補足を入れる。


「なぜこうなったのか?

 この星に戻った私達は、状況をしばらく調べたが、

 分からず、一旦この地から引き揚げた。

 しかし、最後に私達は、この星を変えた存在に合うことが出来た。」


「それが、このプロジェクトのクライアントだ。

 その姿は、今の聖書にある天使と悪魔のようだが、

 本質的に全く違うものだ。」


「当時の私達は、既に存在を忘れられ、

 この星での代表者の権限を失っていた。

 なおかつ、神というレッテルにより、

 一族はこの星で十全な力を発揮できなくなっていた。

 神という呼び名は、超越的な存在として使われているが、

 本質的には、私達を仲間と認めないという拒絶の意思が、

 入っている。

 人は異質なものに拒否反応を起こす。」


「私達が、またこの星に戻ってきたのは、

 この地で再び信頼を取り戻す方法が確立したからだ。

 そうこの情報化社会が、私達のチャンスとなった。」


「まだ、彼らは甘く見ているようだがな。」


とアテナさんは不敵にほほ笑む。


そして、天明さんは、


「七福さんが、七果さんになって、

 彼らは、無意識か、意識的にか、

 拒否反応を起こしているんですよ。


「彼らは、品質の均一化を重視しているようですし、

 そもそもから、英雄などのダイヤモンドのような

 特別な価値を否定しています。」


「今、彼らにとって、不都合な七果さんの存在は、

 我が社にとって、私達にとって、

 この星に生きる人間にとって希望と言えるのです。

 彼らが自ら認めたイレギュラー。

 彼らをもってして、英雄と認められた七果さんは、

 私達に必要不可欠です。」


「じゃなければ、彼らはこの星を彼らの主に献上するでしょう。」


アテナさんもまたそれに同意する。


「あの者たちが与える調和の世界とは、

 製品のように高品質で標準化された世界だ。

 私達の可能性という言葉とは、意味が真逆なのだ。」


かなり、話が大きくなってきた。

星一つを何千何万年と掛けて制作する存在。

一体何者なんだ?


「彼らの自己紹介で分かった事は、

 彼らが誰かに仕えていること。

 そして、彼ら二人以外には、仕える者がいない事。」


「彼らの名は、創生万世の主とその召使い だそうです。」



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