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俺は人生を捧げない、私は全てを取り戻す!  作者: ふりがな
第3章 その献身は、誰が為
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第38話 給与

昼頃、クランベリーさんが訪ねてきた。


今日は朝早くに、会社の方に、

この前の事件を報告に行っていた。


昨日のファミレスで、聞いたことだが

会社から詳細な報告が欲しいと連絡が入ったそうだ。


このプロジェクトでは、

天明さんが、リーダーとして先任されている。


しかし、今回のことで警備体制について考え直す必要があると

判断されたそうだ。


実際、先の事件では、私や天明さんを庇って、

一人で、怪物の目を引きつけていた。


クランベリーさんの強さは、人間離れしている。


当初は、彼女一人で十分という判断だったが、

あの異様な人影や数々の怪物騒ぎに、会社の方も体制転換を

余儀なくされそうだ。


「こんにちは、七福殿。

 ジョギングは続けているか?」


うん、痛いところをいきなり突いてくるな!


確かに、約束では毎朝3kmのジョギングをすることに

なっていた。


しかし、考えてほしい。

昨日の夕方、この地元に戻ってきたのだ。


今日の早朝は、クランベリーさんは会社へ行っていた。

昨日の疲れが残る私は、しっかりと寝過ごしたのだ。


朝5時から走るなんて、無理だろう?


そして、今まで朝のニュースと考え事に時間を費やしていた。

今回、ジョギングより優先すべき重要な選択があるはずだ。


「ふむ、その顔はやっていないな!

 運動は、習慣にしないと続かないぞ。

 一回休むと次の日が億劫になる。

 そして、だんだんと休む回数が多くなり、

 最後には開き直るのだ。」


”明日は、私も同行するぞ。

日々の運動が、健康にもいいのだぞ。”


と付け加えた。


「はあぁ、それでクランベリーさん。

 今日は何かあるんですか?」


と溜息をしながら、問いかける私。


すると、


「ああ、今日、監査官殿が夕方4時頃、訪ねてくるそうだ。」


と言う彼女。


「また何かあるんですか?」


まだ気持ちの整理も付いていないのに、

早くも次の案件を持ってきたのか?


少し、緊張とストレスを感じた私。


しかし、クランベリーさんの言葉は、意外なものだった。


「うん?

 聞いていないのか?

 今日は、我が社の給料日だぞ。」


えええ___


そう言えば、最初のクマの件から2か月くらいになる。


もはや、通帳の残金に余裕はなく、

毎日の食事が、菓子パンか、カップ麺に変わっていた私。


途中で3万ほどの報酬があったが、

そんなものは、部屋代に変わった。


そう、このアパート、安いというが6万くらいはする。

8万に届いていないだけ、安いのだ。


大都市部に比べれば、かなり安いのは分かっているが、

今の私にとってはキツイ出費だ。


だが、やっとこの日が来た。

色々あったが、遂にこの日を迎えることが出来た。


「ははっ、やった!

 クランベリーさん、今日は焼肉に行きませんか?

 奢りますよ!」


浮かれる私に、


「うん?ヤキニクか?」と答えるクランベリーさん。


あれ?

何か引かれる事いったかな、、、


心配になった私に、


「いや、何でもないぞ!」と答える彼女。


???


「はあっ、実は、本社で監査官殿の噂があってな。

 あまり、人に聞かせることではないんだが、、」


と声を潜めながら続けるクランベリーさん。


「監査官殿は、暇な時にグルメ旅をしているらしく、

 色々なところに足を運んでいるそうだ。

 その中で、もっとも有名なのが、ヤキニクの店の逸話でな」


「なんでも、お酒に酔った監査官殿が、

 ヤキニクの食べ放題の店でやらかしたんだ。」


「実はそのヤキニクの店は、昼と夜で別メニューでな。

 昼は、お得な食べ放題サービスをしているらしいのだが、

 夜は、高級なA5ランクのビーフに変わるらしく。

 監査官殿は、酔っていてな、その、勘違いしたんだ。」


”まあ、その、彼女はとても良く食べる。”


「それで、次の日の朝から経理部に、その、

 まあ経費の領収書だと言ってな、、」


”その逸話は、警備部門まで届いているんだ”


「うん、分かりました。

 今日は辞めておきましょう。」


ーーーーー


そして、夕方、天明さんが我が家を訪れた。


もはや、扉の乱打は彼女の訪問を告げる合図になっていた。


「はあぁぁぁ、今日はお給料が入りましたよぉ。

 これで、七福さんも、お菓子生活から抜け出せますねぇ。」


とても喜ばしいことのように、天明さんが切り出してきた。


彼女が渡してくる給与明細を見る。


「一応、七福さんは、我が社の社員扱いになっています。

 色々ありましたからねぇ。

 気を利かしてくれましたぁ。」


”税金とか、我が社の経理が処理してくれましたよぉ”

と彼女が言ってくる。


それでは、と古き良き給与明細の封筒を手に、

中身を開いてみる。


うむ、多い!

私が地方企業に勤めている頃より多い。


大体70万くらいだ!

手取りでだ!


危険???


確かに危なかった!


しかし、今まだ生きているし、金は幾らあっても困らない。

人間、生活するには、やはり金がいる。


はあああっ、やっと金欠状態から抜け出した。


クランベリーさんも、隣から顔を出しに来た。


明日からは、何処かに外食に行っても大丈夫だ。


「ふむ、これで少しは健康的な食生活ができるな。

 七福殿。」


と我が事のように喜んでくれる同僚たち。


ああ、素晴らしい!


「それでですねぇ。

 この間はステーキを食べに行ったそうですねぇ。

 アテナ、地方では高級ステーキとかは、

 当たり外れが大きいんですよぉ。」


訳知り顔な天明さんは、


「そこで、焼肉店です。

 なんと、この近くに美味しい焼肉店があるんですよぉ。

 今日はお給料も入りましたし、行きましょう!」


エッッッ___


「大丈夫ですよぉ、割り勘ですぅ。」


と続ける彼女。


ううむ、この辺りで美味しい焼肉店?

何処だ、そこは。

地方だから、そこまで高い店はないはずだが?


「さあ、行きましょう!」


と私やクランベリーさんを押して、車に詰め込む。


くっ、何という怪力だ!


クランベリーさんは、抵抗できるだろうが、

もう諦めたようだ。


車で1時間ほど走ったところにあった焼肉専門店に入ったのだが、、


ーーーーー


「すみません、お金貸していただいてぇ。」


泣きべそをかく天明さんと呆れ気味のクランベリーさん。


私は近くのコンビニでお金を下ろしてきていた。


早速入った給料、貯蓄は尽き始めていたが今回大幅に回復している。

しかし、今入金額の一番左の桁を全て失った私は呆然としていた。


くっ、さすがに、これはキツイ。


メニューに料金の表示がなかったので、おかしくはあった。


それに何故か予約制だったし。


なにがどうなったんだ!


天明さんは、酔えば酔うほど、食べる量が増えるらしい。


今の彼女はかなり酔っていた。




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