第37話 私は、只のおっさん。
昨日、天明さんを京都駅へ送って、
我が家である安アパートへと帰ってきた。
いつもとは違って、クランベリーさんに、
食事の誘いを受け、ファミレスでの食事となった。
うむ、クランベリーさんは、高級レストランに、
行き慣れていたようだが、
ファミレスは初体験だったらしい。
お子様ランチとかに、何故か興味をそそられていた。
私は、普通にカレーライスを食べた。
うむ、色々あって疲れていたのだ。
食欲がなくても、辛いものは割合い美味しく食べられる。
クランベリーさん?
ビーフステーキを頼んでいた。
そして、持ってこられたステーキに、目を白黒させていた。
田舎のファミレスで本格的なステーキを思い浮かべては、
いけない。
都会とは、一味違う一品が出てくることがよくある。
そう、ステーキだが、それは何?
と言う逸品だ。
本格的なチェーン店なら違うのだが。
さて、昨日のことは、もういいだろう。
その後は、帰って寝ただけだ。
今日は、朝から食パンと水という例の朝食をとり、
もう一連の動きとなった身嗜みを整えた。
最近は、若い美人さんが、同行することも増えた。
人を魅了する同僚たちが一緒だと身が引き締まる。
いい意味なのか?
身嗜みを整えるのは、社会人の基本ではある。
分かっている。
しかし、必要以上に見られることが多い今。
そう、同僚を見つめ、私の顔を睨む。
または、同僚を見つめ、私の顔を見て不思議そうにする。
ふむ、皆、その気持ちは伝わっているし、
最近は慣れもした。
だが、少し失礼だと思うのは、私の心が狭いのか?
さて、朝のニュースを見ると、京都市で大規模な停電があったようだ。
私達の件が、関係するのかは分からん。
月のない夜に、赤い光が明滅していたそうで、
UAPか?とか騒いでいる。
新月と言えば、おとといだな。
あの狼は、寺の中だけだったし、関係ないだろう。
それより、今日は、やることがある。
ここ一連の事件について、色々と鬱屈した思いを整理するのだ。
今回、2回ほど死にかけた。
というか、この仕事に就いて気が休まらない。
あの竜は、こちらを狙ってはいなかったが、
例の狼は、明確に殺意モリモリだった。
我が二人の同僚も、かなりの危険に晒された。
日本支部本社で、アップグレードされた機能も、
この事件において、あまりに無力だった。
前回のクマの件でも、ヘルハウンドとかいう獣に襲われた。
しかし、前の件は、そもそもから戦闘行為などを、
予定していなかった。
しかし、今回は、あの竜の事件が起こった後の、
再びの介入だった。
そう、リンドヴルムとかいうドラゴンが出現しており、
決戦時には、かなりの脅威が想定されていた。
当時、通りがかったのも不思議な縁として、
最後まで見届けるため、決戦の地へ赴いた。
しかし、よく考えれば、あのドラゴン級のモンスターが、
また出てくることくらい予想できたはずだ。
私も金剛を得て、気が大きくなっていたが、
よくよく考えても、3人であの狼に立ち向かうのは、
無謀だった。
皆が今回無事だったのは、ただただ運が良かったとしか、
言えない。
クランベリーさんは、強かった。
天明さんも、頑張った。
しかし、私は、何か役に立っただろうか?
ガルムとかいう狼に対して、金剛では抗しきれなかった。
あの狼が、私を狙っていれば、
無理をした二人が、ちゃんと戦えたかどうか分からない。
ヘッドバンドの結界や防護能力は、ほぼ通用しなかった。
治癒能力は便利だが、私が行動不能になれば行使できない。
あのクラスの化け物が、これからも出現するなら、
今ちゃんと考えなければいけない。
私は、何のためにこのプロジェクトに参加しているのか?
もう借金がどうとかではなく、自分の意思をはっきりさせなければ。
そんな思いが、湧き上がるのだ。
龍の息吹が、街を薙ぎ払った時、天明さんは身を晒して術を行使した。
あの後、竜はこちらに狙いをつけていた。
クランベリーさんは、私や天明さんに攻撃が及ばないよう、
一人あの狼に立ち向かった。
そして、狼の炎が、彼女を襲った。
彼女たちは、何らかの信念をもって、
このプロジェクトに参加している。
そう、このプロジェクトは、彼女たちにとって、
そこまでするほど、重要なものなのだろう。
そうでないなら、無理に一般人の私を引き連れて行くより、
よほどいい結果が出せるはずだ。
このプロジェクトに接してみて、
重要視されているのが、一般人、所謂、普通の人の考え。
それは、そんなに重要なのだろうか?
もっと専門的な知識を持つ人の方が良いのではないか?
人間には、向き不向きがあるし、
一般人である私は、特に善人というわけでもない。
私は、只のおっさんなのだ。
正直、昨日は、主人公、この会社辞めるかなと思ってました。
かなり普通じゃないことが、起こってしまったので。
考えましたが、答えが出ず。
お話を通して、どうして行くのか?を登場人物に決めてもらおうと思います。




