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第28話 アップデート

昨日は、会社が、用意してくれた、そこそこ高いであろうホテルに泊まった。

クランベリーさんも、護衛役として同じホテルにいる。


ただ、天明さんは、結局あの後、会社から戻ってきた様子はない。

朝、身嗜みを整えていると、クランベリーさんが訪ねてきた。


「おはよう、七福殿。

 今日は、10時頃に本社のほうに来てほしいそうだ。

 先程の連絡では、前の事件を受けて色々な対策を施したらしい。

 後、監査官殿は、会社の方に泊まったようだ。」


と、今日の予定を伝えてくる。


「おはようございます、クランベリーさん。

 天明さん、昨日から仕事ですか?」


と返す私に、


「そのようだな、

 監査官殿は、このプロジェクトの現場責任者だからな。

 色々やるべき事があるのだろう。」


そんなやり取りをしながら、

ホテルの朝食を食べにラウンジへと向かう。


そこそこ高いホテルと言ったが、いつものビジネスホテルなどとは

格が違う感じではある。


普段、食パン(生)と水だけの朝食な私にとって、

本当に有り難い。


その後、各々部屋に戻り、支度を整えた私達は、本社へと向かう。


今回は、クランベリーさんが、受付に話を通してくれた。


第3研究室とかいう場所に、向かうことになった私達。


迷わなかったか?って、


この本社ビル、社員用のスマホみたいな端末があり、

クランベリーさんも、所持している。


機能は、各種あるらしいが、

その一つに、社内での移動をサポートするナビがある。


クランベリーさんと私は、ナビに従い目的地に到着することが出来た。


時刻は9時30分。


予定より早いが、昨日のこともある。

色々と学んだ私達は、会社からの印象を良くするため、

早めの行動を選んだのだ。


ちなみに、各セクションを移動するには、

社員用端末に登録されているアクセス権限の提示が必要なようだ。


今回訪れる研究開発部は、結構機密性の高い区画で、

クランベリーさんも、来たことがないそう。


今回は、一時的な許可が出ているため、入れるが。


さて、第3研究室とやらには、スムーズに到着できた。

端末を提示して、要件をインターホン越しに告げる。


研究室とやらに、受付スタッフなど存在しない。

ただ扉と、ビデオ通話用のインターホンがあるだけだ。


ここまで、警備員などは見なかった。


セキュリティ面で大丈夫なのか?とも思うが、

各セクションを分ける未来的だが、ゴツイ扉は、

SFの宇宙船に採用されそうな厚さのあるものだった。


宇宙船の制御室を守る最後の盾的な防護ドアみたいだ。

そもそも監視カメラもあるだろうし、この未来的な仕様だ、

不穏分子を鎮圧するロボとか出てきそうだ


さて、第3研究室に入ると、

リクルートスーツな天明さんともう一人白衣の女性がいた。


ふむ、そう言えば天明さんの私服姿を見たことがない。

まあ京都での宿泊時には、一時的に浴衣だったこともあるが。


というか、このリクルートスーツ、いつも同じものに見えるのだが。

ちなみにクランベリーさんは、私服姿の場合もよくある。


ファッションモデルか!と思うようなおっさんの感覚でも分かる

一流のコーディネートで、彼女らしい華やかさが見えるものだ。


それは置いておくとして、


「おはようございます、天明さん。

 昨日あれから見なかったですが、今まで仕事ですか?」


と、声を掛ける。


一応、天明さん(通常バージョン)とは、最近は距離が縮まって、

挨拶もフランクなものになっている。


しかし、今は会社の中だ。


親しき仲にも、礼儀あり、だ。


クランベリーさんとも、良く話すようになったが、

挨拶自体はまだ堅苦しいものである。


まあ、クランベリーさんとは、お隣さんという間柄なので、

交流自体は、天明さんより多い


ただ、何というか、彼女への挨拶はこれじゃないと、

というイメージ的なものを感じるのだ。


脱線した。


「いえ、昨日遅くまで絞られましたが、

 仕事自体は、今日の朝からですよぉ。」


大変でしたぁ、裏切り者は後で天註を下しますよぉ!

と、天明さんがこちらを睨む。


しかし、

「はぁ、貴女のせいですよ、それは。」

と、白衣の女性に突っ込みを入れられた。


「話が進まないので、私から説明いたします。

 まず自己紹介からですね。」


「私は、永村 みれい。

 この第3研究室の専任教授です。」


「本来は大学に勤めているんですが、

 今は、この会社に出向中なんです。」


と続ける彼女。


私とクランベリーさんは、自己紹介を返しながら、

お辞儀する。


どういう人なんだ?と天明さんを見る私たちに、


「彼女は、脳科学専攻で、

 脳と電子端末のやり取りを、身に着けるだけで

 行える装置を研究しているんですよぉ。」


と、簡単な紹介を付け加える。


「貴方たちが、使ってるデバイスの開発については、

 あまり関わってはいませんが、メンテナンス等で

 私も触ることがあります。」


永村さんは、こう話し、


「今回は、脳波情報通信端末に掛けられている制限を、

 一部解除することになりました。」


例のヘッドバンドを保管用のケースから取り出してみせた。


「まあ、この会社の開発するものは、かなり特殊ですので、

 学ぶことが多いです。」


”もう、調整は終わっていますので、

後の説明は天明主任にお任せします。”


そう言って、ヘッドバンドを天明さんに渡す。


それを受け取り、例の持ち運び用簡易バッグを手に、

天明さんは、隣の部屋へと私達を連れ出した。


「そうですねぇ、今プロジェクトは社内でも極秘です。

 関わっている人にも、一部しか内容は知らされていません。

 上層部はそうでもないですが、

 全体像を知る人は、少ないんです。」


「今回のアップデートは、機能の制限を一部解除するものなので、

 メンテナンス担当の永村さんに、協力していただきました。」


うん?

永村さんが、あのヘッドバンドの開発者じゃないのか?

そんな疑問をぶつけるが、


「いえ、このデバイスは、日本支部ではなく、

 ヨーロッパにある本部から送られてきたものです。

 詳細は極秘ですよぅ。」


と、話す天明さん。


「何が変わったのだ、監査官殿。

 そもそも、まだ制限自体が掛けられているのか?」


クランベリーさんが問いかけると、


「ええ、まだちょっと準備不足で、

 今回、急いで計画の前倒しを図りました。」


「制限が解除された部分の説明って、いりますかぁ?」


と、答える天明さんに、


いや、要るだろ、そもそも、ここに呼ばれたのはその説明にだろ!

と突っ込む私。


「そうですかぁ。

 うーん、説明するより、現場で使ってみるのが一番だと思うんですが。」


と渋る天明さんを、急かす私達。

何も知らず、この間のようなことに巻き込まれたら大変だ。


うーん、口で説明するのは、大変なんですよぉ、とぼやきながら

天明さんは、説明を始める。


「機能の制限が解除された部分は、5つです。」


「今までオフライン機能しか使っていませんでしたが、

 今回オンラインでの起動が、一部解除されました。」


「これにより、より詳細なデータ解析ができるようになりました。

 本部にあるデータにも、アクセスできるようになったので、

 より詳細なことが、分かるはずです。」


もちろん、特定情報についての閲覧制限はありますが、

と続ける彼女。


「さらに、特定条件下で目視できる存在と会話できるようになりました。

 声に出すことは必要なく、

 目で確認できる存在と明瞭な意思疎通ができます。」


「あとは、、

 そうですねぇ、危機事態における結界の展開可能になりました。

 京都の件で、人がいなかったりしましたよねぇ。

 あれは、あの一団が、

 他の存在の介入を阻止するために張った結界の一種ですねぇ。」


「この機能により、結界展開時には、

 対象エリアから、人を強制的に避難させることができます。」


「人払いという、技術は昔からあったのですが、

 それを応用したようです。」


「また、結界内の建物等の耐久力を底上げして、

 破壊活動を難しくすることもできます。」


うん?なんか凄い機能が、追加されているな。

目視できれば、意思疎通できるとは、テレパシーか何かか?

結界?よく創作物にでてくるご都合主義な空間か?


「でも、万能じゃないですから、注意が必要ですねぇ。

 前回出てきた竜なんかの脅威には、ほとんど通用しません。

 人払いの効果があったので、人的被害はなかったんですが、

 建物とかは、壊されました。

 あの大鬼とかの破壊活動でも、ある程度のダメージはあると思います。」


「4つ目ですが、ヘッドギアの着用者と任意の同行者を霊的な力で、

 防護する機能が解除されました。

 強力な攻撃に対しての防護効果があります。

 ただ、攻撃の規模によりますが。」


「最後に、ヘッドギア着用者には、

 任意の対象を治癒する能力が、付与されます。」


「霊的な基礎能力の底上げによる効果で、

 即時に回復することはできませんが、ある程度の時間があれば、

 骨折などでも治すことができます。」


”骨折などの治療には、大体1日くらい必要ですけど。”


ばかな!

最後の治癒能力は破格だぞ!

あのヘッドバンドがあれば、医者などいらなくなるぞ!


いや、病気とか色々あるから、医者は必要か、


しかし、胡散臭いとしても、

なにかの宗教でも開いて、癒しの力を見せれば、

多額の献金がありそうだ。


いや、普通にそんな事が出来たら、

他国に誘拐されたり、何かの組織に監禁されたり、

碌なことにならないか。


上手い話には、それ相応の危険が付き纏う。


今の私が、そうなのだから!


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