第26話 東京
あれから2日後、私達は日本支部本社のある、
東京に向けて出発した。
今回は、クランベリーさんも同行している。
彼女は、このプロジェクトに警護役として参加している。
天明さんは、プロジェクトの責任者であるし、私は参加者だ。
しかし、億の金が動くプロジェクトにしては、人員は僅か3名。
確かに、命の危険を伴う事も多々あったが、
そんな事を最初から予測しているとは思えない。
クランベリーさんが、警護担当になったのは、
まさにそういう事があってからだ。
つまり、本来のプロジェクトでは、
今までのような危険は、想定されていなかったのだろう。
後から人員が、もっと追加されるのか、
またはこのプロジェクト自体が、また他の案件に繋がっているのか?
それは分からない。
いや、今回の緊急の呼び出しで、何か判明するかもしれないか。
何はともあれ、我が家である安アパートを出た私たちは、
電車で、京都に向かった。
今回は、新幹線で京都から東京まで、一気に移動するつもりだ。
もはや、高速道をひた走るのは辞めだ。
前回で懲りた。
また、どこぞの名店やお菓子屋さんで道草して、
一日を棒に振りたくはない。
さて、天明さんとは、京都で合流する。
彼女は、私のいる安アパートより、京都に近い街で暮らしているらしい。
元から電車通勤なので、その方が都合がいい。
午前9時、京都を出発した。
それから、9時間後、
私達は(株)ガイア神話連盟 日本支部の前にいた。
東京港区の一角に聳え立つというか、横幅が広い建物だ。
なんで、こんな地価の高い場所で、
面積を取る幅広い建物になったのか?
普通、縦に高く伸ばすだろう。
10階建てだというが、横とか奥行きとか、
大きなビルが3つほど建つ面積を取っている。
それなら50階建てにするとか、
そもそも、もっと郊外に建てろと言いたい。
地面の無駄だ!
ふう、ふう、ちょっとフラストレーションが溜まっていた。
落ち着かなくては!
思い起こせば、そもそも京都を出て
2時間ちょっとで、東京に着くはずだった。
いや、着きはした、
その後、ずっと天明さんに引きずられ、
東京観光をさせられたのだ。
まあ確かに最初は、大都市の雰囲気に呑まれていた。
さすがは、日本の首都である。
クランベリーさんは慣れていたが、
私の緊張を解すためなのか、その行動を止めなかった。
そして、始まったのは名店巡りだった。
あと何か、流行りの可愛いものの店にも行った。
うむ、おかしいと思った。
東京に来て行く先といえば、ある程度決まっているだろう。
決して、スイーツやら、何かのグッズの販売店ではないはすだ。
もはや気づいたときには、クランベリーさんも味方ではなかった。
それでも、抗ったが私は東京に慣れていない。
そもそも、その日本支部とやらに行っても
彼女らが、いなければ話にならない。
そんなこんなで、本来の目的地に着いたのは今さっきだった。
そう、もう夕方の6時だ。
まだ会社としては、残っている社員が多数いるだろう。
しかし、本来の約束した時間は、とっくに過ぎている。
もはやアポなしで、受付に特攻するしかないのだ。
どうしたものか!!!
さて、第一の容疑者?に受付に行ってもらうとしよう。
私達3人は、広いエントランスにある受付に向かう。
そして、黙って天明さんを前に押しやる。
そう彼女が首謀者だ。
何とかするべきだろう。
「何するんですか、
なんでわたしを押すんです?
アテナまでなぜ?
わたし、何かしましたかぁ!」
したんだ!あんたは盛大に。
クランベリーさんも、自ら火の粉を被るまいと、
天明さんを受付へと送り出す。
ぶつぶつ言いながら、天明さんは受付スタッフに
エンターテイメント投資促進部 部長 鳴神 英雄と
名前を出し、面会を求めた。
受付で、要件と約束した時間の提示を求められ、
ごにょごにょと答えている彼女。
その後、色々言われているのを、見ながらどうしようもないと
思ってしまった。
約束があるんですよぉ、と泣き言を言いだす天明さん。
その後、スタッフが何とか連絡を取り付け、
やっと面会が叶ったのが40分後のことだった。
エンターテイメント投資促進部 部長 鳴神 英雄
このプロジェクトに関わる最も上位の責任者。
リーダーである天明さんの上司の上司らしい。
今更ながら、約束の時間というものは、守ろうと思う。
そう日本人の美徳である10分前行動は基本なのだ。
礼を尽くすという意味で。
強面の50代男性を前に、そう誓う私がいた。




