第六話 コスモスカンパニー
ノアの方舟号とギャングスター団の船は金星へと着陸しようとした。その瞬間、ギャングスター団の船は高温高圧腐食によって壊れてしまった。
「あーっ!俺様達の船がーっ!……まあ旧式の船だったから過酷な惑星に対応できるものではなかったのだろう……。まっ、過ぎたことを後悔しても仕方ないか。それに子分達が全員ノアの方舟号にいて良かったぜ」
「切り替え早いんやなディザスターさん」
フォーチュン一行はノアの方舟号から車を出して進んでいく。禁じられるべき兵器を作ろうとしているコスモスカンパニーを阻止する為に。フォーチュンは耳を澄ましていた。
「風の音が聞こえる……」
「黄色の空もこれはこれで風情があるんやなあ」
すると突然、大きな音がした。
「こっ、これは……火山噴火やっ!凄い勢いで火砕流が来るでっ!」
「ほい来たっ!あたしの運転スキルの出番ね!」
レイはテッセラ地形という複雑な尾根を軽々と進んで行く。今回もフォーチュンはこの運転にワクワクしていた。
「ヒュー!やりますやなあ」
「いつも僕は助かっているよ。君の運転技術に」
「最高だぜ!レイ。俺様感激だ!」
やがて、車はドームコロニーへと着いた。ここにコスモスカンパニーがある。
「それじゃあ俺様と子分は武器工場へ爆弾を仕掛けに行く。お前らはコスモスカンパニー本社へ行って、CEOであるマスターをぶちのめしに行くんだ」
「分かったで!」
「僕達は必ずマスターを止めて見せる」
「あたし達に任せなさい!」
ディザスター一味は武器工場へと向かい、フォーチュン一行はコスモスカンパニー本社へと入った。
「うわあ、広いし豪華やなあ。これがコスモスカンパニー本社」
フォーチュンは受付の人に話しかけた。
「CEOに会わせてくれ」
「あなた達はいったいどういうお方でしょうか?」
するとレイが受付の前に立つ。
「あたしは大帝国の王女、レイよ。是非今後の大帝国とコスモスカンパニーの取り引きについてCEOと会議がしたくてここまで来たの。アポ無しだけどいいかしら?」
「少々お待ちください」
受付は電話でCEOと何やら話をしている。電話が終わると受付の人は。
「……残念ですが。レイ王女、あなたには現在S級の指名手配がされています」
「そ……そんな。世間では表向きにはあたしはフォーチュンに誘拐された事になっているはずよ!」
「どうやら僕達と行動をしている内に宇宙警察はフォーチュンの仲間だと思ってしまったようだ……」
警備員がゾロゾロと集まり始める。
「レイ……すまない。僕のせいで君にまで指名手配が……」
「……いいのよ。元々あたしは自分の意思であんたらと行動しているわけだし。こうなる事は元々覚悟していたわ。恨んでないよ」
「なあ受付さん。うちにもSレート級の指名手配付いてるん?うちもついでに大物になってたら嬉しいなあ」
「何呑気な事言ってんのよ。逃げるわよ」
フォーチュン一行はエレベーターに乗ろうとした。だが肝心のエレベーターは故障中だったようだ。仕方なく階段を利用する事に。
「ハアッ……ハアッ……この階段だけで最上階まで行けるんかいな?」
「分からない……でもこれで行くしかないわ」
「走れ走れ!」
十階まで上がった所でナゴミンが息切れした。
「ハアッ……ハアッ……ま……まだかいな……もう大分疲れきったで……」
「何言っているのかしら……まだ十階だよ?体力ないわね……」
「警備員がすぐそこまで来ているぞ……死にたくなかったら走れナゴミン」
五十階まで上がった所でナゴミンはついに限界が来た。
「もう嫌やーっ!」
「ちょ、ナゴミン嘘でしょ?止まらないで!」
「……仕方ない。僕が担いで行くよ」
「ななっ……流石第三位さんやっ。ありがたくお姫様抱っこさせて貰うでーっ」
七十五階まで上がった所でレイもついに力尽き果てた。
「……ごっ……ごめんフォーチュン……あたしもおんぶさせて……」
「マジか……分かったよ」
「第三位さんは凄いやなあ!」
そしてとうとう最上階まで来た。フォーチュンはドアを開けて閉じると、ドアを殴って湾曲させて開かないようにした。これで何とか警備員を足止めできた。
最上階の部屋はCEOの部屋へと繫っていた。中へ入るとマスターがいた。
「見つけたぞマスター。お前の核兵器開発の野望は僕達が止めて見せる」
マスターはワインを飲んで背を向けていた。すると、こちらに向き直る。
「何故核兵器開発を止めなければならないのだ?」
「僕は広島の向日葵というノンフィクション作品を読んだ。そこには核兵器によって起きた悲劇について鮮明に描かれていた……。そんな事を繰り返すわけにはいかないのだ」
「……お前達は分かっていないな。核兵器っていうのはいつだって需要があるのだ。日本という国がどれだけ核の被害を訴えようと、非核三原則を掲げようと、世界は核兵器を求め続けて来た。これが現実だ。核の強さの恩恵を世界中が欲しがっているのだよ。俺はただ需要と供給を満たそうとしているだけだ」
「なんだと……それでも僕達は必ず止めて見せる」
フォーチュン一行は一斉にマスターに向かって飛びかかる。すると、マスターは三人を一斉に蹴散らした。
「何だこの動きは……僕達三人がかりの攻撃をこうもあっさり」
「どうだ……これが新兵器のバトルキングだ……あらゆる攻撃に対して一瞬でAIが予測し、体を電気で勝手に動かして防御、攻撃まで行ってくれる……銃の攻撃すら避けられる反応速度だ……便利な物だろう?俺自身はそこまで強くはないがそれでもこれによってプロ並みの戦闘ができる。いつかは大量生産も考えているのだ」
「何て奴や……。あのフォーチュンさんの攻撃すら軽くいなせるなんて……。でも何だろう……うちが飛びついたときだけなんか違和感があったような……そや!」
ナゴミンはフォーチュンとレイに向けてヒソヒソ話をした。そして。
「ハアッ!」
「おらあっ!」
フォーチュンとレイは再びマスターへ飛びかかった。
「ほい」
だが案の定またいなされる。すると。
「ウオオオッ!」
ナゴミンがその隙に裏から思いっきりタックルをしてマスターを転ばせた。
「やっぱりそうや……うちは弱過ぎてAIから脅威と見なされていない。だからこそこの隙を作れたんや!今やで!フォーチュンさん!レイさん!」
「よくやった!」
「やるわね!」
フォーチュンとレイは二人掛かりでマスターに向けて電気玉を放つ。
「ぐわあああ!」
バトルキングは電気を流された事によりショートさせられた。そしてマスターも倒れた。フォーチュンはマスターに向けて言う。
「終わりだマスター」
一方、武器工場の方から大爆発の音が聞こえた。ディザスター一味も上手く行ったようだ。




