第五話 ギャングスター団
ノアの方舟号は金星へと向かっていた。そんな中、フォーチュン一行はソファに寝転がりながらスマホでウーチューブのショート動画を見ていた。
レイは可愛い動物の動画で癒されていた。
「キャー!可愛いー!」
ナゴミンは雑学系動画を見ていた。
「おお、そうなんやなあ」
フォーチュンはお笑い系の動画を見ていた。
「ハッハッハッハッハ!」
一行は和やかな雰囲気を保っていたがそれも突如終わる。ドン!と大きな音がした。
「ななっ、いったい何なんや?」
窓を見てみると、外には見知らぬ宇宙船があった。
「あれはいったい何なのかしら?」
「あれは……ギャングスター団だ……大帝国から脱走した666号ことディザスターが団長をしている宇宙海賊だよ。主に金持ちの船をカモにしている。奴にはSS級の指名手配がされている」
「なな……ギャングスター団って……じゃあうちらはまさにそいつに狙われているん?」
ノアの方舟号は外敵の侵入にブーッ!ブーッ!と大きな警告音を鳴らす。そしてフォーチュンの前にある大男と子分達が現れた。
「この豪華船は俺様が乗っ取った。さあ食糧とお金を寄越しな」
「ちょっ、ちょっと。あたし達が渡すわけないでしょ。とっとと帰りなさい。あたし達にはクローン兵器ランキング第三位のフォーチュンがいるのよ。戦いを挑んで恥かいても知らないから」
「ほう第三位か……。面白い。ちなみに俺様のランキングは第四位だ。下剋上が似合う良い対決になりそうだな。自分より強いかもしれない奴と戦えると思うとワクワクするぜ!」
ディザスターは一瞬で距離を詰めてきた。フォーチュンも素早く反応し、電気玉を撃つ。しかし次の瞬間ディザスターは消えて、いつの間に背後にいた。ディザスターは二丁光線銃を撃った。それをギリギリでフォーチュンは避ける。
「うわー、まさに接戦やん。うちがあの間に入ったらあっという間に失神KOやで」
「ど……どっちが勝つか分からないわね」
すると次の瞬間、フォーチュンは思い切り回し蹴りをして、ディザスターを失神KOさせた。まさにギリギリの勝負だった。
「はあ、はあ、中々手強い敵だったな……」
フォーチュン一行は残りの子分含めて全員拘束した。フォーチュンはディザスターが使っていた光線銃を見る。
「どうやら非殺傷の威力の光線銃だな……。宇宙海賊といえど命までは奪わない主義か」
「いやいや、それでも悪は悪やで。フォーチュンさんこいつら全員宇宙警察に引き渡した方がええんとちゃいます?懸賞金でガッポガッポやで」
「そうだよフォーチュン。こいつらにこれ以上悪事をさせない為にもね。それで助かる善良な市民もいるだろうし」
「……いや。僕はこいつらを仲間にしたい」
「え?」
「は?」
「勿論こいつらに悪さはもうさせないよ、それに罪自体はいつかは償わせる」
突然の提案だった。なぜ宇宙海賊を仲間に?
「今後僕達の冒険は危険を伴うだろう。過酷な惑星を巡る上に、僕自身がSSS級の犯罪者だから宇宙警察にも追われる。そんな時にディザスターのような強い仲間がいたら心強い。……そして何より……僕は兄弟を見捨てたくない。ディザスターは血の繫った兄弟なんだ。家族とは仲良くしたいんだよ」
「お人好しやなあ」
「そっか……。まあ確かに考えてみれば、あたしにとってもディザスターは弟みたいなものではあるわね……。そう思うと何だか放っておけなくなったわ」
「分かったやで、フォーチュンさんに従いますわ。でも肝心のディザスターが大人しくうちらに従ってくれますかねえ」
すると、ディザスターは起き上がり。
「俺様に命令できるのは俺様より強い奴だけだ。だから仲間になってやるよ」
ディザスターにも彼なりの流儀があったのか、難なく仲間になってくれた。ディザスターと子分達の縄が解かれる。
「そういや、この子分達はどういう人達なんや?」
「……こいつらは大帝国の侵略によって家族を奪われた奴らだ。行き場が無くなった所を俺様が拾ってやったんだ。……こいつらは俺様より心が強え。大切な人を失おうとそれでも生きようとしているからな」
「……お父さんはやっぱり悪い事をしていたんだわ。きっと家族を奪われた人は山のようにいる……」
「大帝国の奴はムカつくだろう?だから俺様はこれからある事をしようとしていんたんだ」
「ある事……?」
ディザスターは窓を見て金星を指した。
「金星に存在するコスモスカンパニー。それを潰そうという計画だ」
「ななっ、何でそないな事をするんや?」
「コスモスカンパニーは大帝国に武器を輸出している悪徳企業だ。それにヤバイものを作ろうとしているんだとか」
「ヤバイもの?それは何や?」
「核爆弾だよ」
核爆弾……?
「核爆弾……ってなんや……ちょっとうちAI検索してみますわ……おっ出ました。核爆弾っちゅうのは、原子核が分裂するときに発生する莫大なエネルギーを利用した兵器なんやで。普通の爆弾とは比べものにならんほどの破壊力を持っとるんや。爆発した瞬間の熱と爆風で街を破壊するだけやなく、放射線によって人間の身体にも深刻な被害を与えるんや。さらに、放射性物質による汚染が長く残ることもあるんやで。こんな恐ろしいものが広島と長崎に落とされた事があるんや……。でも街に落とされたのはこれが最初で最後なのは……いやでも最初からこないなもん街に落とすべきじゃないわ」
「コスモスカンパニーを止めなければまた街に核爆弾が落とされる悲劇に遭う。だから俺様はこれからコスモスカンパニーを襲撃する」
フォーチュンはディザスターの前に出た。フォーチュンはすっかり決意を固めたようだ。
「僕も同じ意見だ。大帝国によって引き起こされる悲劇を放っておくわけにはいかない。協力するよディザスター」
「……いいのか?協力してくれるのか?……感謝するぜフォーチュン。それと是非お前達に読んでもらいたいものがある」
ディザスターはフォーチュン達にスマホの画面を見せた。そこに書かれていたタイトルは広島の向日葵。作者は日向葵という者だった。
「核の悲劇をもっとお前達に知って欲しいんだぜ俺様は。これを見ればますますコスモスカンパニーを止めなければってなるだろう」
フォーチュン達は冒頭の部分を読む。
「僕がまずあらすじを読み上げるね。僕は差別、戦争、原爆、事件と色んなものを見てきた。だからこそ伝えられる事があるんだと思う。結論から言おう。もう二度と核爆弾の悲劇のない世界を君達が作って欲しい。核爆弾によって多くの尊き命が奪われ、僕の友達は原爆症で長期に渡って苦しんでいた。こんな事はもう二度と繰り返してはならないのだ」
フォーチュン達はその後も夢中になりあっという間に読み終えた。
「葵さん……分かったよ。僕達が必ずこの悲しみを繰り返さないよう努力する」




