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アテナちゃんの神界物語  作者: れんP


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3/13

第二柱 「オリュンポス会議・開始前」



 


「遅刻遅刻~~~!!!」


 


神界の空に、焦った声が響き渡る。


白銀の翼を大きく広げ、アテナは勢いよく飛び立った。

風を切り裂きながら一直線に向かう先は、神界の中心都市――ユグドラシル。


その中央にそびえ立つ、荘厳なる建造物。

オリュンポス神殿。


 


「はぁ、はぁ、はぁ……や、やっと着いた……」


 


神殿の大階段に降り立ったアテナは、肩で息をしながら膝に手をつく。

いつもの威厳はどこへやら、完全に息切れ状態である。


 


「あ、今日は速いね」


 


不意にかけられた、落ち着いた声。


 


「ですね」


 


続いて、どこかクールな声が重なる。


 


「……あ!」


 


顔を上げたアテナの視界に入ったのは、二人の神の姿だった。


 


「あ! アルテミス! ヘスティア! おはよー!」


 


ぱっと表情を明るくし、手を振る。


 


「あぁ、おはよう。今日もいい天気だ」


 


柔らかな笑みを浮かべるのは、炉と家庭の神――ヘスティア。

神聖な炎の守り人であり、争いを好まない穏やかな神。

しかしその実態は、重度の引きこもりである。


オリュンポス十二神、第十二席。


 


「えぇ、おはようございます」


 


静かに会釈をするのは、狩猟の神――アルテミス。

弓の腕は神界でも随一。天使たちから最も尊敬されている存在でもある。


オリュンポス十二神、第八席。


 


「もう来てたんだね!」


 


「ええ。時間通りに来ただけです」


 


アルテミスは淡々と答える。


その横で、ヘスティアは小さくあくびを噛み殺していた。


 


「会議が始まってしまいます。行きましょうか」


 


「うん!」


 


アテナは元気よく頷き、二人の隣に並ぶ。


 


巨大な扉の向こう。

そこには、神々が集う会議室が待っている。


 


「はぁ……さっさと帰って暖炉を眺めたい……」


 


ぽつり、とヘスティアが本音を漏らした。


 


「始まる前からそれ言う?」


 


アテナが苦笑する。


 


「だって、会議って長いし……争いの話ばっかりだし……」


 


「それも大事な役目です」


 


アルテミスが静かに言う。


その声音には、わずかな厳しさが含まれていた。


 


「神界とヴァルハラの関係、そして人間界への影響……すべて、私たちが関わることですから」


 


「うぅ……わかってるけど……」


 


ヘスティアは肩を落とす。


 


そんな二人のやり取りを見ながら、アテナはふっと表情を引き締めた。


 


(……そうだよね。これはただの“会議”じゃない)


 


知恵と戦略の神として、

この場で求められるのは“答え”だ。


 


(ちゃんとしないと……!)


 


――数分前まで漫画を読んでいた神とは思えないほど、真剣な眼差し。


 


「よしっ、行こう!」


 


アテナは気合いを入れ、重厚な扉に手をかける。


 


ギィィ……と音を立てて開かれる扉の先。


 


そこには、すでに集まり始めている神々の姿があった。


 


オリュンポス十二神。

その全員が揃う、神界最高位の会議。


 


――その幕が、今まさに上がろうとしていた。


ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

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