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狐と言えば・・・巫女!  作者: フィノ


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閑話 18 勉強する稀人

 ゲーム内で死ぬことに特にコレと言った感情はない。強いて言えば自分が選択ミスをしたと感じるくらいだろうか?結局夜道でゴブリン達に襲われスライムにタックルされ、逃げようと足掻いたものの死んでしまった。


 善戦はしたぞ?一応ゴブリン1体にスライム2匹は倒したし。ただ、それが今の限界でレベルは上がったものの所持品から雑草が1つ消えてゴールドも少し減っている。戻された徒然は相変わらず夜だが・・・、一旦落ちるか?それとも、もう少し粘るか?


「ぼーっとしてどうしたんだ稀人さん。」


「いや・・・、死に戻りしてどうしたもんかとな。なにかこう・・・、強くなる秘訣みたいなものはないのか?」


「強くなる秘訣?う〜ん・・・、オラ達はこの街で過ごしてるからなぁ〜。死んだら死んだっきり、後は娘がどうにかしてくれる。でも、強くなりたいなら勉強したらどうだべ?」


「勉強?体を鍛えろとかではなく?」


「死んでも帰ってくる稀人さんがなにをどう鍛えるんだべ?それなら、先に勉強して、どうやったら強くなれるかを知ってから鍛えた方がいいんでないか?」


「ふむ・・・。」


 確かに一理ある。ゲームをしてプロのスポーツ選手になる人もいるが、そこにたどり着くまでには先に頭で覚えてから、ゲーム内で体に覚えさせて、そこから更に現実との整合性を取ったと言う話が多い。


 俺の場合ツキと言うプレーヤーを追うと言う任務はあるが、少なくとも今の俺よりはレベルも上ならゲーム内での経験も上だろう。それなら先ずは地固めか。しかし、攻略サイトはあまり見るなと言われているし・・・。


「その勉強ができるところは?」


「図書館だべ。あそこはアレイスターの直轄で司書さんが24時間いつでもいるから、気にせずに入れるべ。」


「分かった、なら図書館に行ってみる。」


 現実では帰り支度をしつつ、ゲーム内では図書館にマーカーをセットして歩かせる。便利になれば時間はできて、自由に使える時間が増える。それは幻想で自由な時間でさえ何かしらの自分のためになることを探す。それこそ、車に乗り込み自動運転で帰る時でさえ半分は現実を見て半分は虚構で過ごすように。


 ハンドルから手は離さない。他の奴は知らないが、俺からすればそれまでしてしまえば最後のセーフティである、自分の意思まで投げ売って安全性を他人に依存することになる。それこそ数ヶ月前に停電で大きな事故もあったから気は引き締めておく。だから、アバターが図書館前に到着して操作はしない。


「スーパーでなにか晩飯は買うか。」


 駐車場に止まるように指示を出し、車は正常に止まり適当に晩飯を買いつつアバターを操作して図書館の中へ入ろうとするが、ここはいいが他の場所では入館料がいると言われた。まぁ、ただで知識はくれないのだろう。


「おや?夜更けにどうされました?」


「ここで色々と調べられると聞いてな」


「知識を求める者は平等ですな。どのようなモノを欲しますか?歴史に地理にモンスター図鑑にアイテム図鑑と様々な物がありますぞ?」


「図鑑を見てなにか分かる?それによって見るかも決まるが・・・、スキルやアーツ、魔法なんかは?流石に宣言されてもその中身が分からないんじゃ対処のしようもない。できればこう・・・、みんなが使ってるモノを表すような・・・。」


「あぁ!大衆向け雑誌ですか。それならコレ!月刊稀人がいいでしょう。最新の稀人さん達の情報が盛りだくさん!手軽に読めて最新の情報が欲しい貴方にうってつけですな。」


「おぉ〜、そんな物まであるのか。なら、読むから貸してくれ。」


「右の棚にあるのでご自由どうぞ。貸し出しを望むのなら期間は3日となります。その後は魔法による自動返却なので延滞料に焦らずともよいでしょう。」


 その言葉をもらい適当な椅子に座り中身を見る。割としっかり作り込まれていて、最近のプレーヤー達がなにをしているのか?や、使用率の高い武器やアーツのランキングなんてものがある。


 しかし、武器使用率のトップが鉄シリーズなんてのはいいのか?バフにしても俺が覚えたパンプアップは使用率が高いし、他にもさっき泥棒が使っていたフットスタンプにダントツ1位の魔法はヒール・・・。


 ゲームを進めれば他のいい武器を使うものなんじゃないのか?いや、逆に覚えやすいから使用率が高い?読み進めると何歳くらいが使っていると言う統計もあるが、武器な関しては初心者が使いつつもカンストしているプレーヤーも使っている。魔法もそうだ、ヒールはいいとしてファイアバレットなんかの初期魔法の使用率は高い。


 そんな中で嬉しいのは使用率Top10はどんなものか映像で見せてくれる事だ。しかし喜び勇んで映像見ようとしたが、どれもこれも修得難易度としては低とある。と、言うか何々修練で修得!と記されている。


「これは・・・、思った以上に時間がかかるのか?一時的にガチャ限定の武器の文字も並ぶが、ずっと出続けるものはないみたいだし、割と出る名前は貢献度ガチャのもの・・・。プレー時間の担保対策か?」


 ペラペラとページをめくると雑誌らしく、性格判断によるおすすめ武器やら、今熱いモンスター出現ポイントなんかも書かれている。まぁ、直接的ではなく本当にいるか分からない記者が、稀人は今ここによく向かっているなんて言う風な表記だが・・・。


「なんにしてもバフにアーツに魔法か・・・。寝るまでには時間もあるし、もう少しこの街を・・・。」


「君・・・、そこにいる君・・・。」


「?・・・、俺か?」


「そうなんだけど・・・、よかったらパーティーを組んでくれないか?」


 家に帰り着き適当に食事をしつつ、シャワーを浴びたりしながらゲーム内で雑誌や本を読んでいると話しかけられた。声のする方を見ると単眼箱頭の・・・、確か供物族か?体のパーツはどこか特撮合体ロボ風に作られていて、肩幅がやたらと広く見える。しかし、こんな時間になんだろうか?パーティーと言うからには街から出るという話だと思うが・・・。


「夜は危ない。さっき俺はそれで死に戻って図書館で雑誌を読んでるんだが?」


「それはまた。1人で夜の街道にでたのか?ものは試しと言うけど、かなり厳しかっただろう。」


「厳しいもなにも無謀だから死んだんだ。ここにいるってことは初心者仲間だろ?1人が2人になったところで流石に・・・。」


「それは分かる。あっ!俺はニコン。数字は長いから割愛するけど供物族のニコン。レベルは4だ。」


「人族の秋吉台だ。レベルは2のペーペーだよ。流石に倍もレベルが違うなら弱さも分かるだろ?」


「いや〜・・・、分かる。なにを選んだか知らないけど、バフやらアーツは1つ・・・。」


「そこ!図書館ではお静かに。むっ!貴方はニコンですね?今の注意は4回目ですよ?次はつまみ出しますが?」


 眼光鋭くマッチョな司書が俺達を睨んでくる。流石にここで食ってかかるわけにもいかないだろう。他のプレーヤーは静かに本を読んだりしてるんだしな。


「・・・、秋吉台さん。奢るから外で話さないか?」


「・・・、分かった。流石に睨まれたままじゃ居心地も悪い。」


 本を直しそそくさと図書館を出ると、NPCの姿はまばらなもののプレーヤーの数は増えている。まぁ、21時を過ぎれば家でゆっくりとする時間か。そして、そんな暇な時間にゲームの広告に興味惹かれて開始する、と。


 ニコンに連れられて行ったのは食堂兼酒場のような店だった。流石に扉を開けてガラの悪い連中から睨まれると言うことはない。その代わり、騎士のマントを付けたNPCが飯を食っている。これで治安維持していると見せているのだろう。なにせ、猫三郎に勝てない初心者が高レベルの騎士に勝てるとは思えない。


「好きなものを食ってくれ。」


「それはいいが・・・、飯は一律1ゴールドか。で、なんなんだ?」


「奢りの駄賃だと思って俺の状況を聞いてくれ。」


 適当に注文して料理が来るまでの間、ニコンは自分の置かれている状況を話しだした。あると言えばある話だが・・・。これは渡りに船なんじゃないか?要約すると夜に突発で出発するキャラバンの護衛募集依頼を受けたが、キャラバン隊の隊長から『その歳だと流石に心伴い。もう1人くらい連れてきてくれ。』と、言われて誰かよさそうな人を探していたら、たまたま雑誌を読んでいた俺を見つけたらしい。


「先に聞くがなんで図書館で人探しを?他にもいいところはあるだろう?」


「それはもう経験則だな。昼間プレー出来ずに次の街へ中々行けない。そりゃぁ、夕方くらいのモンスターがまだ弱い時間帯なら、1体2体と囲まれてもどうにかできる。でも、夕方を過ぎて夜になればモンスターのレベルは上がる。だが、それでもどうにかして先に進みたい。そんな事を考える上昇思考な人ほど図書館で本を読む。秋吉台さんは次に街を目指してるんじゃないか?」


「そりゃぁ目指してるが・・・、はっきり言ってレベル2の素人だぞ?リアルの経験で格闘技やらはやってたが、数字の壁に阻まれてゴブリンにボコされた。」


「ぷっ!はっはっはっ・・・!秋吉台さんもしかして夜のゴブリンに殴りかかったのか?」


「なんだよニコンさん。悪いのかよ?モンスター殴りかかって。」


 なんだか知らんがニコンが腹を抱えて笑っている。そんなにおかしいか?相手はゴブリンだぞ?ゲームでモンスターがでたなら攻撃して倒すだろう?いや、流石にそれはないと思うが・・・。


「もしかしてゴブリンに耐性がある・・・。」


「いや・・・、なんで銃があるのに殴りかかるんだよ。武器セットに銃があっただろ?確かに夜のゴブリンは強いし弓も使うしスライムも出てくる。それなのに、なんでわざわざ相手の手の届くところで戦うんだよ。亜人ならまぁ銃が下手だから仕方ないけど、それでも戦えるだけのスペックがある。種族値を見たか?人族の有利は平均的で防御力が育ちやすいことだぞ?」


「それでもゴブリン1体にスライム2体は倒したぞ?」


「おっ!それスゲー!スライムは物理耐性あるからゴブリンよりも打撃やらだと倒しづらいんだよ。それでも倒せるなら・・・、もしかしてなにかの有段者とか?」


「一応、段は持ってるが・・・。それでも負けは負けだ。囲まれてボコされて、追われても逃げ切れずだな。」


「あ〜・・・、最初の秘伝書で飛び蹴り選んだ口?」


「いや、パンプアップだが?まぁ、緊急回避使ってバフが切れたりMPが枯渇したりしたが・・・。」


「供物族にMPの話はご法度だ。初期設定として1番少ないんだからな?でも、パンプアップなら牛歩戦法でどうにかなりそうなんだが・・・。もしかして、正面切って殴り合ったのか?」


「それ以外にないだろ?」


「いやいや、モンスターにも索敵範囲やら行動範囲があるんだから見た瞬間に1体ずつ釣って倒すだろ?えっ!?もしかしてMMOやらない人?」


「どちらかと言えば格ゲー方面だな、やるのは。」


「それはまた。なんで始めたか知らないけど、礼に始まり礼に終わるモンスターなんかいないぞ?う〜ん・・・、こりゃ声かける相手を間違えたか?流石にこのままだと次のまで・・・。」


「おっと、話したのも縁だ。ニコンさんの話は受けるからな?」


「うぉ!断る前に受けられた!まぁ、ゲームだしいいか。先に言っとくが俺は接近戦無理だから遠距離攻撃で、秋吉台さんが前衛と言うか、銃と剣とか拳とかで戦う事になるがいいか?」


「まぁ、近づいて殴る方が性分には合ってるからいいが・・・、俺も銃を?」


「そりゃぁ、戦う前にダメージ与えて少しでも楽しないとな。後は、フレンドリーファイア対策でプレーヤーから5回殺されるとか?」


「それは聞いた。本来はPK対策なんだろ?まぁ、殺してくれるフレもプレーヤーもいないから未対策だが・・・。お前やる?」


「そりゃやる、そしてやってもらう。言っとくが供物族は1番命中率が育つけど、外すときは外すからな?後ろから頭撃たれても怒るなよ?」


「お化け屋敷で頭に鞭打ちされて感覚は分かるぞ?」


「そっか。ならまぁ、改めて頼むよ秋吉台さん。」


 互いにキルし合いフレンドリーファイア対策も行って、ついでにニコンとフレンド交換も行いパーティーを組む。そして、キャラバン隊のいるところへ向かうが・・・。


「キャラバン隊だよな?」


「馬車が1台でもキャラバン隊。そして、積み荷は人だ。まぁ、次の街へ呼ばれた医者なんだけどな。」


 そう言いながら馬車の上で待つ男にニコンが話しかける。これでダメなら更にプレーヤーを探すらしいが、馬車の上の男が俺の方を見た後にニコンに向かって頷いたから、多分OKなのだろう。そうして戻ってきたニコンなのだが・・・。


「あっ!大切なことをいい忘れた!秋吉台さん、俺達が目指す街はエヌランド。他の街に待たせてるフレとかはいないよな?オーランドとかアイランドとか。」


「いや、いないから大丈夫だ。強いて言えば人探しはしてるがな。」


「人探し?なんだ?有名プレーヤーか?」


「いや、所用でツキも言うプレーヤーを探してるんだ。」


「ツキ・・・、ナンバーとかは?」


「ない。ただのツキだ。」


「・・・、えっ?お前って追っかけなの?結構硬そうな話し方だけど、配信者追っかけて本人見たいタイプ?先に言うが、追っかけて追いかけ回したらストーカーだからな?」


「追っかけじゃないが・・・、ツキって配信者なのか?」


「いや、それを知らずに探してるのかよ・・・。今トラブルオンラインの掲示板やらで結構話題に上がるのが、狐巫女のツキだぞ?」

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