281話 疑似餌として
マシか否か?分類的に言えば非常によろしくない。水龍・・・、青龍よりは格下。でも、上級を冠している以上、楽な敵でもまたない。救いがあるとすればレベルだけど、それもまた気休めな部類だなぁ・・・。
そもそもね、龍と一口に言っても雑魚い竜もいればガチで戦いたくない龍もいる。一応西洋風なモノは竜と表記されて概ね中級まで。逆に龍と表記されるものは東洋龍で基礎スペックが・・・、AIの精度がべらぼうにいい。更に言えばフロア全体が浸水して水中戦待ったなし!
「呼吸ゲージには気をつけろよ!30分なんて構うな、吸える時に吸っとけ!じゃないと分が悪くなる。」
「分かっとるよイヴァさん!もちっと楽なボスをよこしてほしかったのぉ・・・。後でゴールド渡すから、みんなナイトメアキャッチャーはONで頼むぞ!」
「来いロボ!俺の砲撃型でカスタムしてるから沈めとくぞ!海底からなら撃てるだろ!」
「陸亀さんそのカスタムちゃんと実弾?下手にビーム系だと減衰するよ!」
「言われなくてもそうしてきたさ!ちっ!俺も双剣で行くが・・・、初見だからな、俺。なんか指示あれば頼む!」
「なら絶対真正面はNG!後、目が光ったらなにが何でも距離取って!」
「あいよ、ツキさん!」
『・・・、私を起こしたな?この私を起こしたなぁぁぁ!!!』
「やっば!いきなりバーサークしてる!?」
流石にフロアにみっちり詰まるほど水龍は大きくない。と、言うかレベルが上がったら普通に上級モンスターは同じ名前でもデカくなったり小さくなったり、或いはなんか持ってきたりとなにが仕込まれてるやら・・・。今の救いはフロアに入る程度だからのレベルと大きさなんだろうが、それでも割と逃げ場は少ない。それこそもう、とぐろを巻いてた体を動かすだけでこっちが水流が生まれて流されるくらいに・・・。
「うおっ!引きずられる!慣性強すぎだろ!」
「陸亀さん逆らうな!そのまま潮に乗れ!」
「あっ!左端に酸素補給ポイント発見!一応覚えといて!流石にアレまで潰しには来ないとか思うけど、悪い文明の運営ならフィールドが狭いからって、一定時間でランダム配置までやらかすかも!」
「フレンドリーファイア付きで水龍か・・・、弓で行くが当たったらすまん!ピンポイントシューター!精密射撃!神弓の極意!今更ながらに供物族が羨ましくなる。スコーピオンショット!」
「マッスルアップ!体幹強化!多少マシか?浮いてるから踏ん張りが利かねぇ・・・。」
水中戦が嫌われるのがソレ!このゲームに武器の重さに関する項目はない。だから、俺がクソデカいハンマー振り回そうが、身長の倍ありそうなビームライフル撃とうが関係はない。その代わり、両手持ち指定武器は両手じゃないと扱えないぐらい重いとされている。そんな武器は大概打撃属性系が多いんだけど、水中だと重りになるし身構えないと上手く振れない。
だから両手持ち武器を避ける。避けるけど、魚って鱗があるのよねぇ・・・。誠に嫌がらせが好きな運営はそんな水中モンスターの大半に打撃系を弱点とすると盛り込みやがった!他の武器や魔法もアーツも通用はするんだけどさぁ!
「波乗りからの流星突き!!陸亀さん!隙間に差し込んで鱗を剥がせ!じゃが、絶対逆鱗には当てるなよ!」
「知ってるよ!更にバーサーク時間が伸びるし、厄介さが増す!十字切り!ちっ!とりあえず適当に鱗にダメージ与えていくぞ!」
「そうしろ、そうしろ。狙って剥がせりゃ御の字、それが無理ならガンガン攻撃して適当に鱗剥がせ!ぐぬっ!小癪な!連続突き!サンダーエンチャント!あんまり今のワシに近づくなよ!雷が飛び火する!」
「酸素ポイント発見!次は天井か!流れに乗って見たけど概ね四隅!」
『羽虫どもが!エリアルサイクロン!』
「渦潮!渦潮だろコレ!引きずりこまれ・・・!」
「ワシは先に沈むぞ〜。装備変更:大剣。」
「少し相殺するから耳塞いで!ハウリングキャノン!『お゛っ!』発射!」
「ツキさんのオホ声・・・。」
「イヴァさん黙って。下手に『わっ!』とかだと広がってか大変なことになるでしょ!陸亀さん、フロムさん泳いで!ダメなら地面に降りて武器刺して持ちこたえて!」
難しんだよハウリングキャノン!ただ叫ぶだけなら煩いし範囲も狭い。それをプレーヤー側の出す声で調整しないといけないんだよ!概ね濁る音を出すと広がると言うよりはコンパクトに固まる感じかな・・・。
先にしずんだフロムさんは、渦潮に逆らう様に地面に大剣を突き立てる。それでも渦で舞い上がった石なんかがボコボコ当たってダメージが出るから、ヒール使って回復をするし陸亀さんも地面に向かって泳ぎどうにか沈めたロボに捕まった。
「わりぃわりぃ、漢なもんで今のは言うべき発言だと思った。だが、2人が離れたからちょうどいい!貫通強化!ヴァーミリオンシュート!スコーピオンショット!剛弓剛射!」
「私も行くぜ!我、魔導の極みに至る!よく滑る舌!滑舌の極意!メテオ!メテオ!メテオ!メテオ・・・、メテオ!ほら、高低差作ったから飛び回る!」
室内で隕石は降らない?そりゃぁ降らない。代わりに石が落っこちるんだよ!連発したメテオはトータル6個。流石にフル詠唱じゃないから消えるのは消える。その代わり、数カウントは残る!
「無茶言うなよツキさん!今弓の嵐と水龍の高速移動で飛び出たら擦りつぶされる!」
「なんじゃ陸亀、行かんのか?」
「は?フロムさんマジ・・・、その格好マジ?裸マントだぞ?」
「亡国の騎士マントは飛来物を反らす。まぁ、カウントはあるがそれでもこの程度なら泳ぐわい!」
「飛来物避けの加護か。なんだろうなぁ・・・、ベテランやら古参と遊んでるとカンストとかレベルどうでも良くなって、更にこのゲームを色々調べたくなるし、装備も見直したくなる。」
「いくらでもせい。やろうと思えばすればええ、出来ないと思うなら納得するまで試してみればええ、それでもダメと感じたら・・・。」
「感じたら?」
「デスって、挑んで、覚えて、デスって、面倒なら投げ出して、出来るようになって挑めばいい。ワシらは攻略本片手にゲームしとるんじゃないぞ?攻略サイトは見るにしても、攻略サイト自体に乗っとる攻略法自体、それが自分に出来るかから始まるしの!」
フロムさんが泳ぎだし、潮に乗ってぐんぐん加速してる。イヴァさんは酸素補給に行ったし、後から出てきた陸亀さんはメテオを蹴って進んでるけど、バーサークは多少収まったか?相変わらずウネウネ動いてるからなんとも言えないし、俺も酸素補給にローテで行きたいなぁ〜。でも、援護ないときっついしなぁ〜。
『目が覚めてきた・・・。やはり羽虫が!そこか!』
「陸亀さん逃げて!今メテオの影にいるけど真正面!」
「っ!緊急回避!」
安定と信頼の緊急回避。トラブルオンラインやってるなら、1番使うモーションで、回避と言われたらまずそれを思い浮かべ行動する。そんな緊急回避は側転か前転がそのモーションだけど、水中でやればその場で風車みたいに回るか、ダルマ浮き状態・・・。つまり、無敵時間はあっても一切移動がない!
そして水龍の真正面にいると言うことは、捕食対象とみなされたと言うこと!メガマウスかってくらいのデカく口を開き、真正面のものを喰らいつきに行くんじゃなくて、水ごと吸い込む!
「間に合え!サンダーマイン!サンダーマイン!サンダーマイン!スタンマイン!スタンマイン!」
「す、吸われる!ロボ!砲撃!ミサイル発射!」
「うぉ!吸い込みか!次はエラから水が出て撹拌されるぞ!どうにか止めろ!アトミックシュート!」
「取り付いたがここからじゃ目が狙えん!どうにか鱗を剥がしてみるぞ!繋ぎ目はここしゃろ!貫通強化!パンプアップ!アストラルフット!コレで固定もできるじゃろ!我、この一撃に捧ぐ、神槍一牙!」
そもそも水龍は湖に配置されたボスだった。水中戦やれと言われて、それに乗るプレーヤーもいれば、湖をどうにかして壊そうと言うプレーヤーもいた。割と笑えるのが、治水工事したら湖の水は一時的に抜けたよ?後からモンスターにぶっ壊されたし、打ち上げられた魚になると思った水龍は余計に倒せなくなったけど・・・。
一応ね、フレンドリーファイア上等なら毒をばらまいてスリップダメージを重ねつつ削るのが早いけど、俺達はそのフレンドリーファイア対策ができてない。水中で毒系の魔法使うと広がるのよね・・・。だからイヴァさんは毒付与できるスコーピオンショットを撃ったりしてるけど、なんかないか、なんかこう・・・。
「アレがあった!年末イベントでフロムさんから貰ったアレが!」
「ぎゃーーー!!食われた!!!!ヒール!ヒール!ポーション!装備変更:防御特化水中セット!ヒール!」
「装備変えるな陸亀さん!そこでナイトメアキャッチャー使ったら、口の中で復活だぞ!口を閉じるまではヒールで踏ん張れ!そしたらエラから出る!無理ならヒールしながら前に泳げ!」
「ちょっと私も食われてくる!頭装備変更:レベリオンヘッド!オラ!活きのいい疑似餌だよ、食ってみろ!陸亀さん・・・、一人ぼっちは寂しいもんな・・・。」
「ツキさんがレベリオンに頭食われとる・・・。でも、それなら強制的に毒付与できるか?」




