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狐と言えば・・・巫女!  作者: フィノ


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279話 神代でも前フリは大事

「相手を縛る・・・、封印とかですか?」


「似て非なるもの物だ。そもそも封印とは何だと考える?」


「封印がなにか?そりゃあ・・・、閉じ込めることとか?」


 怖いから封印する。言ってしまえば牢屋にぶち込んで出てこれないようにすれば封印だよな?トラブルオンラインにも一応封印っぽい状態異常はある。名称としては呪印で、装備品のない肌に当たれば部位によって数カウント麻痺状態になると言うもの。


 あまり使われないのは大体のプレーヤーが防具を装備しないと言う状態がないからで、逆を言えば成立するのが難しい分、カウントはそこそこ長めかな。割と面倒で首筋当たると振り向けなくなったり俯瞰視点だとカメラが固定されたりする。


「概ねそうだが、最大の封印は動けなくすることではなく言葉を奪うことだ。このカボチャは言葉までは奪わん。しかし、これに姿を固定される。電気精神体としてはかなり嫌な部類だろう。」


「それってずっと封印が続くものなんですか?」


「違う。割れば解放される。だが、なにもされなければ消えるまではそのままだ。ただ、煩い。」


「あ〜・・・、確かにぬらりひょんは騒がしかったなぁ〜。」


「鬼一、それを・・・。」


「木本、お前たちでは使えん。これはあくまでその狐が作った物だ。それに、これに命じられるのも狐だけだろう。」


「まぁ、他人の召喚獣奪うとか聞いたことないしなぁ〜。・・・、鞍馬さん。仮にこれがカボチャじゃなかったら入りたいと思います?」


「固定されることそのものが好かん。姿を変えあり方をかえたとしても、他人からの指図は受けたくもない。それが妖怪であり電気精神体と言うものだ。このカボチャを本人の望む形としたいと思ったところで、その本人が姿も形も忘れていては意味もまた、ない。」


「う〜ん・・・、なんとなく理解しました。」


 話を聞いてなんとなくは分かった。一応このカボチャに俺は指示を出せるらしい。まぁ、騒ぎの元だからそんなに出したいものではないけど、仮にこのカボチャに囚われ続けたらどうなるのだろう?


 それこそ俺はさっき自分の過去の写真を見た。でも、こんな感じだったかと疑問も抱いた。なら、このカボチャに閉じ込めて眼の前に鏡でも置いておけば、これが自分だと言う認識も産まれる?なにせ鏡って神具にも使われるくらいだし。


「それ、俺が貰ってもいいか?」


「木本さんがですか?私はいらないから構わないと言えば構いませんけど、食べたりしないでくださいね?それってナノマシンの塊ですから。」


「分かってるよ。ちょっと卜部さんにも見せておこうと思ってな。で、内見はどうだ?俺が言うのもおかしいが、悪い部屋じゃねぇと思う。」


「それは確かですね。広さも十分で日当たりもいいし、備え付けの家具やらもそのまま使えそうです。後は・・・、車を買うかどうかですねぇ。」


 免許は持ってるけど車は持ってない。だって普通に公共交通機関使えば不自由はなかったし、いつ乗るかも分からない車は維持費やリスクを考えると、危なくて使わないからしまい込んでるおもちゃって感覚が強い。


 旅先ならレンタカーと言う選択肢もあったけど、それは過去の話で今だと通院に公共交通機関を使うにしても、下手に尻尾や耳に触られるリスクがある。それに何より背中に羽やら尻尾があるから、普通に座れって言うのが結構難しい。


 こういう時、エルフとかのアバターならニット帽被るだけで済んだんだろうなぁ〜。確かに美人とか綺麗とかで注目は集めるんだろうけど、人間として不可解な行動は取らなくて住む。逆に人にないものがあると、オーダーメイド路線になるしかない。


「免許はあるから・・・、お前の免許使えるのか?」


「使えますよ?資格一覧情報も使えるから、警察に止められてもバッチリですね。」


 昔は証明証代わりにされていたらしい免許証。今でも現物を持つ人はいるにはいるけど、大体の人は電子で持ち歩いてる。照合するにしても本人が目の前にいるし、登録が合致すれば大丈夫。


 そもそも時間の経った写真の信憑性も薄いし、写真自体も結構遊んで撮れるらしかった。ちょんまげでもOKとか、確かに顔はイジってないんだろうけど証明としてよかったのだろうか?まぁ、名前も風変わりな名前の人もいるし、おおらかな時代だったんだろう。


「ならいいが、なにかあれば俺か柊に連絡を取れ。」


「あっ!私の方にもお願いしますマリちゃん。病院側からの証明もあれば、より強力な証明とできますからね。後はブライトさんの問題ですが・・・。」


「当分は室内で過ごしてもらうしかないですねぇ。そのあたりはもう、私じゃなくて木本さん達の話になるでしょうし。と、やっぱりブライトはトラブルオンラインの方にはこれない?」


「来れないと言うよりも、我だけでトラブルオンライン内を動き回るのはおかしな事だろう?ツキがいるからこそ、アチラでは我がいてもおかしくない。こちらではマリがいるから、弟である我がいてもおかしくない。」


「それはまぁ、確かに。えっ?もしかしてあっちでブライトを呼んだら来るとか?」


「あ〜・・・、そのことなら俺から1ついいか?」


「木本さんから?」


「おう。座敷の奴に電気コード持たせてたって話は聞いただろ?」


「ええ。大先生本人から聞きましたよ?でも、それがなくても来ましたけど。」


「それは別にいいんだよ。座敷童子は座敷童子として多くがいる。そして、どこかの家にいる子供だからこそ、ぬらりひょんなんかよりもよっぽど自由に入り込めるし、子供だからこそアレもダメこれもダメを繰り返せば、好き勝手に動き出す。柊、座敷の奴にはちゃんとおやつと遊び道具渡しとけよ?俺はその代わりに電気コードもたせてたが・・・。」


「それでヤバい事にはならなかったんですか?前に株価のチャート眺めて恐慌起こしそうになってましたけど・・・。」


「そりゃ俺と会うよりもずっと前の話だ。話を戻すが、特定の経路から入ったなら特定の経路から出る。絶対じゃないにしても、その電気コードを引き抜けば一瞬だとしても経路が途切れる。昔はそれを探すのが難しかったが、今ならアマテラスもあるからかなり見つけやすい。まぁ、偽装するなんてことも電気精神体は覚えやがったがな。」


「つまり、なんらかの形でブライトに経路を与えればいいと?」


「そうなんだが、それがまた難しい。普通にネットの海に行くんじゃなくて特定の場所に特定の時間にいかなきゃならんからな。」


 確かに段階を踏まないと結構難しそうだなぁ〜。座敷童子大先生の場合、人形に入ってるから出入りはある程度自由なんだろう。逆にブライトの場合は肉体があるから・・・。いや、そもそも肉体と言ってもバイオナノマシンの塊だよな?なら、勝手に通信とかできる?


 人だってスマートレンズとスマホを使って電子ロビーとかに行ってるし・・・。う〜ん・・・、そもそもブライトの場合アカウントがあるわけじゃなくて、トラブルオンラインにあるもう1つの肉体を動かすとも言える。


 それが現実世界にいるブライトと、どれくらい齟齬が出るかは分からない。だけど今の俺と同じ理論が適応されるなら、トラブルオンラインのブライトと現実世界のブライトは同一体で、最後のピースはやはり俺か?


 ブライトの話としてもNPCが故に、プレーヤーがいないと勝手には動けないと言う風に認識してるっぽいし、俺としても俺がいない間にブライトだけが歩き回っていたらなにがあったと思う。だって、それをされたらログインした時に勝手に死んで、領地で寝てるなんてこともあるはずだし・・・。


「やっぱり一旦保留かなぁ。前に桃の種がパッケージ化されたデータかもって話もあったけど、流石にそれを取り出したら死ぬよね?」


「どうなのだろう?我としてはそれを取られた事がないから分からん。ただ、これによってマリと繋がっている感じはする。」


「う〜ん・・・。いっその事、なにかケーブル持ってからやってみる?ブライトのデータ量と言うか人が使うデータ量がどれくらいかは分からないけど・・・。ん?ケーブルじゃなくて大麻の方がいいのかな?」


「毎度思うが、その大麻は普通の木の大麻じゃねぇんだよな?先生方からは焦げが集まったとか聞いてっけどよ。」


「木本。あの大麻はそんな生易しいものではない。」


「なんだよ鬼一。分かるのか?」


「逆にお前は分からないのか?アレは極小の黄泉平坂だぞ?イザナミ様とイザナギ様は黄泉平坂で生死を分けた。しかし、狐はそれさえも分けずに現実と仮想を行き来する。その姿を狐へと変えて、ツキと名乗り夜を歩むように日向を歩く。故に、アレはただの神具を模したものではない。どうした?木本。」


「・・・、胃が痛てぇだけだ。確かに俺は狐の窓でマリちゃんを見た。そして、見ちゃいけねぇモノをチラリと見た。だがなぁ・・・。」


(黄泉平坂って死の国でしたよね?)


(そうですよ敷田さん。奥さんが死んだから生き返らせようと歩いた道ですね。ただイザナミが現実世界に戻るまでこっち見んなと言ったのに、イザナギが振り返ったらゾンビイザナミがいて逃げ出したって話です。)


(純愛じゃなくて面食いの旦那ェ・・・。)


(逆にゾンビ連れてこられても困りません?まぁ、振り向かなかったら、綺麗なイザナミ復活だったぽいですけど・・・。)


 見るなよ?絶対に見るなよ!?神代からも前フリは変わらないのかぁ〜。まぁ、そこまで念を押されたら誰だって見たくなる。と、言うか見るなと言うならどうなるか言えよ!知ってる人からすればやらかしだけど、知らない本人からすれば『これ、本物?』と思うだろうしさ・・・。


(ゾンビ・・・、状況次第なら復活させられる?現代医療なら・・・。まだダメですね。流石に脳をやられるとどうしようも・・・。あら?でも話せるなら頭ははっきりしてる?)


(それはそれで生き地獄のような。)


「それを見てまだ目が無事だからこそ、卜部もお前に目をかける。」


「それよりも、マリは今日からここに住むのか?」


「いや、流石に来てそのまま移り住むわけにもいかないよ。最短でも2日後かなぁ〜。」

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