275話 内見へ行こう! 挿絵あり
ブライト達を見送った後は部屋に戻り就寝。そして起きたのは10時過ぎで、自堕落ここに極まれり!まぁ、寝たのも遅かったし仕方ない。朝食は自室にあるものを食べると先生に伝えていたので、特に冷めた朝食があるわけでもなければ、木本さんから連絡が来ているようなこともない。
その代わり木本さんから俺がOKしたのを聞いたのか、華澄から『カーテンの色どうする?』とか『冷蔵庫の容量どうする?』なんてメッセージが多数・・・。華澄と一緒の部屋に住むわけじゃないんだけど大丈夫だろうか?
流石にそこを伝え忘れてるとは思わないけど、万が一木本さんが伝え忘れていたら、昼から血の雨が降るかも・・・。一応電話しとくか。
「もしもし華澄?」
「もしもし、おはよう真利。どうかしたの?必要な家電とかが決まった?」
「いや。確認なんだけど、私が住むのは華澄の横の部屋でいいんだよね?」
「そうよ?同じアパートの横の部屋。大きな見方をすれば1つ屋根の下で隣の部屋。つまり、同居よね?」
「その理論で行くと、同じアパートの人は全員同居してると言えるような・・・。そう言えば、木本さん達が先に部屋で休んでるはずだけど、それは知ってるよね?」
「知ってるわよ?まだ家具も何もない伽藍の洞に師匠含めた野郎が3人で寝てるはずよ。」
「ならいいけど・・・、家具やらは一旦保留でいい?内見してから決めようと思ってるし、なによりブライトもいるから一応は話してから決めないと・・・。」
「鳥野郎ならとまり木で十分なんじゃない?働いて稼ぐわけでもないし。」
「とまり木て・・・。天井が3mくらい必要になるじゃんか・・・。そう言えば、トランクルームにある荷物だけ先に運び込みたいんだけど大丈夫そう?」
「それは大丈夫よ?中もクリーニング済みだし、変に大物とかがなければだけど。」
「なら大丈夫だよ。前の部屋を引き払う時に殆ど売ったり捨てたりしたから。」
昔は引っ越しと言えば大量の段ボールが必要だったらしいし、家族で住んでるなら今も必要になる。でも、一人暮らしだと殆ど手ぶらで引っ越しもできる。まぁ、その人の生活スタイルがあるからみんな一緒とは言えないし、仮に華澄が引っ越すなら縫いぐるみとか、小物を入れる段ボールは必要だろう。
と、言うか華澄が横の部屋にいるなら、そのうち俺の部屋に入り浸・・・。いや、まさか、流石にそれはしてないと思うけど・・・。
「華澄、スレッジハンマーとか家にある?」
「昨日注文したわよ?昔のドラマを見てちょっと憧れるところも・・・。」
「先に言うけど『壁なんて作ってっからいけねえんだよ』はドラマの中だけだからね?」
「知ってるわよ。だから、扉を作ったの。」
「おい!それでなぜ許されると思った!言え!」
「なにかあった際に外から扉を壊したら不審がられるじゃない。卜部さんからも、なにが起こるかわからないから、侵入経路として作っていいって言われたし。」
「それって普通はベランダやらバルコニーからなんじゃ・・・。」
「そうよ?だからバルコニーに扉を作って、スレッジハンマーはその先の最悪を想定した備えよ?流石に耐震強度の問題で室内の壁をぶち抜くのは憚られたわ。むしろ、ブライトをうちに住ませて、私と真利が一緒に住む方がいいんじゃないかしら?」
「それだと本末転倒のような、隣の部屋だから問題ないとも言えるような・・・。」
誰か!誰かオーディエンスはおらぬか!一緒の部屋で壁を隔てた自室があるのと、隣の部屋と言う空間で侵入できる扉がある状況は、なにが違うかと説明できるオーディエンスはおらぬか!部屋の鍵が違う?多分、華澄が合鍵持つことになるから、それは考慮外かなぁ〜・・・。
「まぁ、なにか料理したくなって作ったら持っていくよ。」
「・・・、肉じゃがかしら?作りすぎた。」
「さぁ?凝ったものが作りたくなったら、ポトフとかミネストローネとか、カレーとかカレーとか・・・、後カレーとか?はっ!これは料理してみた!動画を撮影しろという啓示!?」
「やめなされ真利。壊滅的ではないにしろ、私達の料理風景は心臓に悪いらしいから。」
「まぁ、大丈夫でしょ?画面越しに見る事後なんだし。」
なに作ろうかなぁ〜♪料理は面倒だけど、その面倒なのは後片付け。作ること自体は割と楽しいよ?どうせ家庭料理なんてこれって言う名前のない料理ばかりだし、野菜炒め作ったからと言ってどこの家庭でも同じ野菜が入るわけでもない。
むしろ食える野菜を炒めてるんだから、食えないものが出来上がるわけがない!そりゃぁね、塩っぱいとか酸っぱいとか甘いはあるかもしれないけど、ちゃんと加熱して・・・。野菜なら生の方が栄養あるから半生位で火を通して・・・。
「事後はいいとして、何時ぐらいに迎えに行ったらいいかしら?」
「どうしようか?すぐに病院を出てそこに住むわけでもないし・・・、13時か14時頃でどう?もっと遅くても大丈夫と言えば大丈夫だけど、そのあたりが1番人の少ない時間帯かなぁ。」
エルフとは違うんですよ!耳は尖ってるけど、尻尾が十尾あるんですよ!まぁ、外配信もしたからどういう感じかは分かる。分かるけど、それは1例で毎回上手くいくとは限らない。通販で白いドーランとか他の色のドーランとか買っとこうかなぁ〜。
それでメイクすれば狐ピエロと言い張れないこともないし、両目に黒い星とかのメイクをすれば、ヘビィメタルバンドの人とかにも・・・。俺が来てた普段着はありきたりなものだったけど、ヴィジュアル系バンドの衣装とかも買う?
パニエで広げたスカートなら、その中に尻尾を忍ばせていてもバレなさそうだし、前に敷田さんたちともそんな話をしたなぁ〜。まぁ、その時はバンドマンなんて話はなかったけど。
「分かったわ、その頃に迎えに行く。あと、間取りだけは先に送っておくわ。」
「うん、お願い。」
電話を切って部屋の中を見回す。うん、荷物と言えるものは服くらいか?そこそこ長くいたけど、いつかは出ると荷物は最低限しか増やさなかった。だから、歯ブラシとかは捨てて行くし、櫛なんかは持っていく。
華澄から届いた間取りを見つつベッドなんかを吟味・・・。ブライトもベッドで寝るんだろうか?同じうつ伏せ寝族としては、ベッドよりも大きなクッションとか?まぁ、それは本人に決めてもらおう。鞍馬さんのところで寝てたなら、多分床に布団敷いてたんだろうし。
「マリちゃんいいですか〜?」
「いいですよ〜。あら?敷田さん、今日は私服なんですね。今から帰りとかですか?」
「いや、今日はOFFですよ。」
「OFF・・・、ならなんでまた私のことろへ?帰って寝たほうがいいですよ。」
「仮眠は取りましたよ。そして、なぜ私が現れたかと言えば・・・。」
「言えば?」
「マリちゃんの引っ越し先を確認するためですね。通院してもらうのはしてもらうんですけど、逆に病院にこれない事態というのも考えられます。なので、OFFの私が突撃新居確認と言う運びになりました。」
「それってOFFじゃないような・・・。」
「そうですね・・・。医院長が卜部さんからふんだくっ・・・、もとい!医療機器の弁償として振り込まれたお金から一部を私のお食事代としてくれたので、マリちゃんの新居の近くにいいものを食べに行くと言う名目です。」
「あ〜・・・、あの周りだと寿司がいいですよ。回らないやつ。後はイタリアンもいいところがあったなぁ〜。」
「おっ!柊さんとのデートで?」
「そんなところです。遊ぶなら夜まで外で遊んでましたからね!必然的にそのまま外食コースでしたし。」
「引っ越し先が広かったら柊さんと同居してました?柊さん的にはそっちの方が嬉しそうな感じですけど。」
「う〜ん・・・、どうなんでしょう?お互いに仕事で家を開けることもそこそこ多かったですからねぇ。営業マンと一口に言っても、会社の周りだけじゃなくて他の県に出張して、機器の確認やら仕様の打ち合わせをすることもありましたし、華澄も華澄で忙しい時は家にいなかった。だからVRで会う事もあれば、ちょうど同じ県にいるからとどこかにご飯食べに行ったりしてましたね。」
お互いに仕事人間と言うわけではないけど、一人暮らしでお金にも不自由してなかったら、後は自分の時間をどう使うかだよなぁ〜。別に一緒にいて息が詰まることはない、でも1人の時間が欲しいときもある。
と、言うか今どきの子どものいない夫婦は一緒に暮らしてはいるけど、割と口で話さないことも多いらしい。まぁ、スマートレンズでメッセージ送ればメモ代わりにもなるし、同じゲームしてればわざわざ口で話すまでもないとか?
知ってるところだとNo民の人たちとかは、夫婦でパーティー組んでやってるぽかったしなぁ〜。まぁ、農業してる以上は色々と話すことはあるんだろうけど、逆に会社員とかだと本当にないような・・・。
「出先で出会うとか運命的ですね〜。私も誰か探してみようかな?」
「敷田さんならすぐに見つかるんじゃありません?医者でも看護師でも男性でも女性でもいっぱいいますし。」
「いや〜、同業者はパスですね。普通の会話のつもりがいつの間にか議論になりそうですし・・・。そう言えば内見は何時からですか?今朝の話だと昼ぐらいって話でしたけど。」
「一応13時から14時頃に華澄が迎えに来る予定ですよ。私は軽くブランチ食べて足りなかったら、行きがけにとも考えてましたけど、敷田さんは大丈夫ですか?」
「あ〜・・・、なら私もちょっとブランチ食べてきます。柊さんのことだから昼イチに来るんだと思ってましたよ。」
「う〜ん・・・、早く来て待ってる可能性はありますねぇ。トランクルームに預けた荷物の話もしましたし。」
「トランクルームになに預けたんですか?殆どは処分したみたいなことを前に言ってましたけど。」
「小物ですよ。印刷した写真とか、どこかで買ったキーホルダーとか。あんまり物に執着はない方ですけど、お金で買えない価値のある小物ですね。」
思い出はプライスレス!まぁ、その思い出が色あせて思い出せなくなったら、その時初めて減価償却できたんじゃないかな?そんな事を話し、敷田さんは食堂でなにか腹に入れてくると出ていき、俺は身の回り整頓しているうちに13時を過ぎた頃に華澄がきた。相変わらず黒いスーツでビシッと決めてるぜ。
「これから内見に行くけど、どこか寄りたいところとかある?」
「いや?強いて言うならコンビニとかかな?適当に無人レジのところでいいよ。あと、敷田さんがついてくるんだって。」
「目の下にくまを作った木本さんから聞いたわ。病院側にも所在を明らかにしないといけないんでしょ?」
「まぁ、行方不明になる方が問題だからね。でも、なんでまた木本さんはくまを?確かに夜は遅かったと言うか、明け方までいたけど・・・。」
「真利が渡したカボチャがうるさかったそうよ?」
「煩い?確かにカタカタ動くらしいけど・・・。」
まぁ、行ってから話を聞いてみるか。そのためにカボチャをだして預けたんだし。敷田さんも部屋に来て、いざ新しい新居へ!部屋を出る、廊下を歩く、エレベーターに乗り込み、そしてロビーを経て車へ。昼間からよく人に見られる。でも、今の俺はこれだから何一つ恥じることはない。なにせ、助けられてのこの姿だしね!




