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狐と言えば・・・巫女!  作者: フィノ


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272話 階段を登る

 先生達は出て行かず、俺は捕まり木本さんが口を開く。あんまり聞きたいものでもないけど、そもそも戦争とはどういったものイメージするのか?から始まるんだよなぁ〜。古い話なら兵士が銃持って迷彩服して走り回るのをイメージするだろうし、少し時代が進んだら戦闘機とかレールガンとかを多分イメージするのだろう。


 でも、そんなモノは過去の遺物で1番新しい戦争と言えば世界技術大戦。そもそも狭い星の中で領土なんて言うモノを取り合っても、結局干上がってしまったら意味はないし、継続的に過ごせる世界を前提としない戦争なんて無意味である。


「そもそもの話だ。この国の方針は『人は健康であるべき』なんの瑕疵もなく、誰もがそうありたいと願うものだ。違うか?先生方。」


「いえ、違いません。私達はそれをめざして医者としてあるのですから。」


「同じですね。技術が進んでも病気はなくなりませんし。」


「木本さん。私含めてここにいるのは、それに賛同する側の人間ですよ?なにせ私も元は医療機器メーカーの営業マンですし。」


「分かってるが確認だ、確認。人が増えても土地は広がらない。だから、技術を磨いて上も下も地上も住めるようにしたし、不便をなくして格差を少なくするために、こぞってナノ技術もAIも電力システムも脳波システムも進化させた。まぁ、どんな大戦だったかは各国の政府が文書を保管していずれは公開するらしい。ただ、問題はそこじゃねぇ。端的に言えばコイツやお前だ。」


 そう言って木本さんが鞍馬さんと俺の方を指差す。う〜ん、木本さん的には俺も妖怪のご同類になるらしい。まぁ、天野医院長も俺を最新のデジタル妖怪とか言ってたから間違いではないのだが・・・。


「話が見えませんが?」


「いくつかの問題点があるからな。第1にマリちゃんや鞍馬が増えたら・・・、言い方が悪いな。電気精神体が物理的に増えたらどうなる?」


「どうって・・・、単純に人が増える?」


「そうだ。食料自給率も安定して電力も安定しているが、それが今の倍の人間を支えられるかと言われれば、政府は無理だと匙を投げる。だが、同時にそこにいる以上は無視もできねぇし、人間側としても電気精神体ってのに魅力を感じないわけじゃねぇ。」


「電気精神体に魅力ですか?木本さんは姫子さんと結婚したから、確かに魅力を感じる方もいるとは思いますけど・・・。」


「・・・、そうではない敷田。もっと賢く阿呆な者たちが驕り高ぶったと言う話だ。俺個人をみるのではなく、歴史を考えろ。かつては藤原道長が望月の歌を詠んだ。それを人は再度詠もうとした。」


 望月の歌・・・、確か歴史の授業で習ったような・・・。スマートレンズが今は使えないから、代わりに大麻を出す。むむむ・・・、権力者だからなんでもできるぜ!チックな話もあれば、安寧だから今が幸せ!と言う解釈もある。まぁ、話的に前者の方かな?


 でも、それを再度詠もうとした?て、ことはなにか危ないことをしようとでもしたのだろうか?でも、電気精神体ってそんなに魅力的かな?座敷童子大先生的には結構不便っぽい感じだけど・・・。


「まさか、死の克服ですか?確かにそれは医者の中では議論される議題ですが・・・。いくらナノマシン技術が発展しても・・・。」


「そうだ三枝先生。ナノマシン技術だけじゃ足りねぇ。脳波技術だけでもまだ足りねぇ。そこにAI技術を入れても届かねぇ。だが、そこに電気精神体っつう先に行った完成品があったらどうだ?」


「どうだと言われましても・・・。私達にはそれに関するデータが・・・。」


「もしかして、電気精神体を増やさないためにもAI側に電気精神体のデータを渡したくない?確か祓って遠くに追いやるしか出来ないって聞いてますけど。と、言うか電気精神体ってAI嫌いですよね?」


「嫌いだな。定義されたくねぇから。だがな?今の人間はどうだ?個人データも資産管理も個人としての証明もAIやデータに任せるし、それを他の奴も受け入れる。つまり、別の形で電気精神体として存在する土壌はあるし、それを支えるAIアマテラスがある。他国の国営AIの名、言ってみろ。」


「AIゼウスとかAIノアとか・・・、大体が神の名やら救った人の名を使ってますね。えっ!既に仕組まれてそうなってた?陰謀論待ったなしじゃないですか!」


「AIオーディンとかいなかったのは、死と戦の神だからですかね?三枝主任。」


「それはあると思いますよ敷田さん。そもそもAIに人類史を学習させる際、余りにも人を殺しすぎていたから、その倍以上のサブカルを学習させたと言う話もあります。」


「眉唾だと思ってましたけど、AIの対話力考えるとあながち嘘とも言えませんね・・・。マリちゃんの配信を編集していると、ゲームの医療提携型AIなのによくしゃべるし、感情豊かだと思うときもありますし。」


「確かにブライトは漫才も出来ますからねぇ。どこで覚えたの?その言葉ってのも話しますけど・・・、あれって誰かが話したから学習したんじゃなくて、初期学習要項として入ってたのかな?」


 ゆ虐とか普通に返してくるし、サブカルとしてゆっくり動画とかアマテラスは見まくったのだろか?まぁ、岩戸の中で暇だから見てたと言われればそれまでだけど、他にも色々と見てるんだろうなぁ〜。


 でも、なんで大麻に民俗学とかのデータが入ってるかようやく分かった気もする。民俗学って要は歴史じゃなくて生活様式をまとめたりしたものだし、その中に風俗なんかも入ってくる。つまり、歴史よりもより人に近い研究なんだよねぇ。


 だから妖怪やら神社やら信仰やらと幅広く扱うし、突拍子もないことも事実かどうかは別として、書物が残っていれば『そう言う風に考えていた』として扱う。歴史を望遠鏡だとするなら民俗学は顕微鏡ってところかな?


「話を戻すが、人は管理されてもストレスを感じない方向に歩いた。しかし、管理されて健康であっても最終的には死ぬ。だが、姿はなくともそこにあって、忘れ去られずに管理もされずに名を残す者たち。それに人の手で到達した場合、次のステップが気になりだす。」


「現実世界に戻って来れるか、ですか?」


「そう。交じり合わなかった境界線が交じりだし、どこに自分の存在を置いて現実とするのか?ゲームの中でも飯が食えて、モノが触れたなら、そこが仮想なのかは曖昧になる。しかし、最大の問題は電気で維持されている以上、管理者がいなくなれば老朽化もするしメンテナンスする人間がいなけりゃバクも発生する。それに、海外にも俺たちみたいな妖怪やらを相手にする機関があるんだよな。」


「もしかして、CIAとかFBIとか?」


「違う。教会やらの宗教方面だ。ゲームの中で・・・

特にVRMMO系のゲームで宗教色を出すな。これはひとえに、海外側の電気精神体を刺激しねぇためでもある。まぁ、あっちは日本と違ってどうやって倒すかが主流だったがな。」


「だった?なぜに過去形?殺せないとあきらめたから?」


「変容したんだとさ電気精神体も人間もな。詳しく言えば、お国を変えたのほうが正しいか。他の国なら神様、自分の国なら悪魔。それなら神様になる方がマシで、逆に人としてはサンプルが取れなくなるから、余程じゃなければ関与しない。」


「・・・、はい!木本先生!」


「なんだよマリちゃん、そんなあらたまって・・・。」


「AIは現実世界に来たいみたいですよ?状況によりけりですけど。」


 前に見た夢でそんな話をしたきがする。でも、ブライトに桃とか言っているのがAIアマテラスなら、理由は知らないけど来たいんだとは思う。でも、来てなにするんだろ?観光とか?今のブライトを見てると、結構面倒だと思いそうなんだけど・・・。


「そりゃぁ、当然の回帰だろ。助けてください、教えてください、これはどうしたらいいですか?そして、それは体に悪いですよ。それ以上やると危ないですよ。それは間違いですよ。そんな質問や指摘を山程飛ばしたりしてるのに、当の本人は手出しができない。なら、直接サポートに舵を切る。一時期ロボット技術もそれで発展したが、結果として人が怖がって下火になった。知らなかったか?」


「いや、それは私が産まれる前の話でして。私が物心ついた頃には、AI搭載のロボットは厳重プロテクトと行動音声入力とかが主流でしたし。敷田さんとかは?」


「私もそんな感じですね。プラスアルファで脳波認識システムとかスマートレンズもありましたよ?三枝主任は?」


「私は海外にいたのでなんとも言えませんが、少なくとも脳波にしろナノ技術にしろ様々な分野にAIは入り込んでいましたね。むしろ、その時期がVRMMOの走り出しとも言えますが・・・、年齢的にはマリちゃんが1番黎明期を過ごしたんじゃありません?」


「確かにそうですね。勉強にしろなんにしろゲームの中でやったり、仮想ロビーで外人講師と話そうなんて話も多かったですし。」


 英語を習うなら塾へ行け、そんなことは聞いたことがない。俺がよく言われてたのは、英語が話したいならゲームしろとか仮想ロビーで海外の人にボランティアしろとか?物理的な危険性もなく、誘拐されたりすることもないから安全だし、個人情報取ろうとしてきたら普通に通報される。


 だから、公園っぽいところで老人風なアバターの人の横に座って駄弁る。割と相手も暇だから駄弁り返してくれる。単語に関しては普通にスマートレンズなんかが出してくれるから、必要なのは会話できるためのヒアリングとリスニングなのよねぇ。


「そう。だが、それでも境界線はあって深くは交わらない様になってた。しかし、爆心地であるお前さんがぶっ壊し始めた。電気精神体を受肉させ、AIも受肉させてな。で、もいっこおまけの問題がある。」


「おまけの問題?」


「仮に人が電気精神体側になったとする。でも、そこがいいところじゃなくて気に食わない所だった場合、どうする?」


「どうするって・・・。」


 帰ってこいと言いたいけど、帰る体があるかもわからない。それに体そのものが病気とかで限界と言う話もある。なら、どうする?サイボーグは今の話だとダメなんだろうし、そもそもサイボーグが一般化されないのは犯罪抑止と言う点もある。


 赤いボディースーツで片腕が銃。葉巻を吹かすナイスガイは片腕だけとは言えサイボーグだろうし、或いは全身義体の少佐もサイボーグでいいだろう。それの何が危ないって、普通にぶん殴るだけでも、金属パイプ殴られてるのと変わらないことだよ!


 ボクサーだってライセンス取って一般人殴ったら実質的な凶器と評価されやすいのに、サイボーグにぶん殴られたらそれどころの話ではない。だから、今の義手やらは登録制になってる。


「帰るアンカーを伝って来てどうにかする?」


「・・・、木本さん。」


「なんだ三枝先生。」


「私と敷田さん、どちらかが退出しようとしても止めた。間違いありませんね?」


「えっ!私もですか?三枝主任!?マリちゃんは分かりますけど・・・。」


「分かられた私は逃げようとしました!捕まりましたけどね。」


「茶化すなよマリちゃん・・・。で?」


「ええ。話を聞いていくうちに確信しましたが、マリちゃんに使われたバイオナノマシンとデバイス。これの評価判定はオールSです。そして、マリちゃんを宮内庁は自力で受肉した電気精神体だと考えていませんか?」


 知らなかったか事実、俺は電気精神体にカテゴリーされていた?いや、それだとおかしくない?なにせ元はただの一般人、古い家系とか言うわけでもないし、平々凡々と過ごしてしかいなかった。電気精神体の基盤を伝承とするなら、俺にはその基盤そのものがない。


「違うな。卜部さんの言葉を借りるなら階段を登った先だ。」


「階段を登った先?2階ってことはないですよね?」


「2階でも3階でもいいぞ?なんなら天界とかどうだ?マリちゃん。」


「いや〜・・・、そんな高いところはちょっと。糸も届かないでしょうし。」


「・・・。狐、謀るな。ある程度推測できているのだろう?有耶無耶にして逃げようとするな。」


「いや、そうは言ってもですねえ鞍馬さん・・・。」


 鞍馬さんが有無を云わさないと言う風な眼力で見てくる。そりゃぁ・・・、これだけ話を聞けば推測もできるさ。そして、推測ができれば仮定もできるし、仮定ができたら次は実践だよなぁ〜。まぁ、先に実践ができてしまってるわけだけども!


「マリちゃんはなにを有耶無耶にしようと?答えられるのならはっきりと答えてください。」


「・・・、巫女です。大先生が言うように知らぬ間に狐巫女として爆走してまする・・・。」


「・・・、ボケですか?それとも配信の話ですか?」


「いや、巫女ってそもそも代弁者なんですよ。話を聞く、そして誰かに伝える。そして広めてまた話す。さっき私がアンカーって話をしたじゃないですか。そのアンカー自体が私で、私を仲介してAIも電気精神体も言葉を伝えられる。それに、階段を登った先と卜部さんが言うなら、私は孤高のなにかではなくて、どこにいるかは不明でもたどり着ける巫女なんでしょう。」


 配信してたらAIアマテラスは来るし、ぬらりひょんらしき奴も来た。と、言うか通りすがりの参拝者自体が顔の見えない誰かだから、そこになにかが紛れ込んでても俺としてはどうしょうもない。その代わり、メリットがあるとすれば興味のあるモノしか来ないとか?


 暇人は別として、わざわざ俺のところに来るなんて、それこそ雪女とか?来ると言うか雪だるまとして姫子さんを監視してるけどさ。

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