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狐と言えば・・・巫女!  作者: フィノ


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270話 経験値とは?

「よいお味でした。フロム、シェフを呼んでくださいますこと?」


「ツキお嬢様、そこのイヴァール・ハラルドソンめがシェフでございます。」


「ははっ!なんでございましょか?」


「褒美に黄金ギャランドゥを許可します。」


「では早速・・・。前にナインテールを装備してのアブドミナル・アンド・サイ!」


「よっ!キレてるキレてる!って、なにごっこなんだよこれ・・・。やめろイヴァさん!本気でブーメランパンツ出すな!笑いが!キャンプしてるから、リアルじゃお酒飲んでるから!」


「いや、なんだかんだで全員水着のままだしねぇ。なに?陸亀さん笑上戸?」


 キャンプしつつ料理人だと言うイヴァさんの料理を食べて、ハイソなお嬢様ごっこ。いや〜、腹は膨れないけど味は分かる。なにせ、トラブルオンライン内で料理すると言うのは、本人の美味いと言う数値を再現して送ることだしねぇ。


 普通に料理するよりもべらぼうに難しいらしい。そして、NPCから料理を買うわけじゃないからバフもつかない。完全に趣味と言えば趣味だけど、データを元に同じ数値の料理を作れば、理論的には同じ味らしい。


「さてと、俺はそろそろ・・・。」


「む?陸亀さん落ちるのか?」


「仕事もあるしシャワーも浴びないとな。あと、別府とハヤトさんからなにしてるコールが飛んできてるから逃げる。」


「あ〜・・・、次に会ったら決闘的な?」


「あの2人は大体そう。ハヤトさんは大会があるからPvPだし、別府は・・・、推しのツキさんとパーティー組んで遊んでるってバレたらガチで危なくない?」


「5回ぐらい首をくれてやれ。それでPK対策できるだろ?その後のダル絡みは、自力でどうにかしろよな?」


「配信するまでには、まだ猶予がありますよ?目算で明日くらいまでですけど。」


「そんなにシャカシャカ投稿しなくても!っと、本当にそろそろ落ちますよ。では、また明日。」


 陸亀さんのアバターが座り込み焚き火を眺める。ログアウトした後の姿勢は、これからテントの中に入ると言うものがある。テント内だと吹き出しが浮かんで『zzz』と書かれたり『スーゥ、スーゥ』と音が漏れる。


 パーティーメンバーにもよるけど、視覚障害やら聴覚障害の人にも分かりやすくしているらしい。まぁ、最悪名前呼んで反応なかったらいないと分かるよねぇ。そんなこんなで俺も含めて全員ログアウト!


「さてと、夜食でも食べてブライトを待つか。」


 ビーフジャーキーを食べつつ考えるけど、羽隠しの方はなにも進展してないんだよなぁ〜。まぁ、そんなに簡単に見つかるなら、誰でもなにかを隠したりしてるだろうし、それを前提としたクエストなんかもあるわけで・・・。


「せめて手がかりは欲しかったけど、なんもないんだよなぁ〜。攻略サイトを見てもこれって言うものもないし。」


 本気の禁じ手を打つなら、岩戸さんにそれっぽいアイテムなんかの実装をお願いしてみる?・・・、無理だよなぁ〜。長期的に隠せるってことは存在してないって話になるかもしれないし、下手に現実でそれを使うとか装備すると最悪、羽が溶けて消えたなんてことも・・・。


「やっぱりコスプレ路線はいいとして・・・、ゲームへの接続をどう考えるべきか・・・。」


 困る話としては、こちらで定着したからアチラのブライトは抜け殻として別のAIが動かすとか?そうされるとブライトへの矛盾が激しそう。なにせ同一存在が別の方向に走ってるとも言えるのだし。更にややこしいことと言えば、NPCがスタートと言うことでブライト自身をプレーヤーアバターとしては扱えないこと。


「マリちゃんいいですか?」


「いいですよ〜。」


 そんな事を考えていると敷田さんが来た。多分ブライトが到着したんだろう。考えはまとまってないけど、こちらで過ごしてなにか変化があったかも気になる。流石に呼吸法を覚えたからと言って、いきなり羽が動かせるとかも・・・。


「三枝先生の部屋で?」


「ええ。裏口から入ってもらってそこにいます。今回は鞍馬さんも来ましたよ。」


「えっ!?鞍馬さんが?なんか山から下りない風だったのに下りるもんなんですね。」


「ある意味偏見かもしれませんが、私もそう思ってました。でも、配信へのコメントでは、イケメン山伏って呼ばれてますよ?」


「イケメン山伏?配信にそんな動画上げましたっけ?」


「告知で神楽を舞うと言った後に上げたんですよ。流石に信憑性と言うものを確保するなら、1人ではなく相手がいると言うのを見せたほうがいいと思って。ダメでした?」


「いや。私の方はいいんですけど、鞍馬さん的には?」


 俺の方はもう顔も出してるからいいんだけど、下手に鞍馬さんはだしてよかったのだろうか?でも、敷田さんのことだからその辺りは抜かりないと思う。なら、卜部さんがOKした?


 う〜ん・・・、宮内庁のスタンスが分からん。分からんけど、妖怪を目の敵にしてぶっ殺して回るような感じではないんだよなぁ〜。仮にそのスタンスだと殺せないから追い返すじゃなくて、殺せないからどうにかして封印するとかになりそうだし、長い時の中でそれを見つけてそう・・・。


「ブライトの羽はやっぱりまだ?」


「いえ、それが動いてるんですよ。」


「・・・、マジで?」


「マジです。ただ激しく動かすのは痛いそうで、今は医療ポットで検査してるところです。」


「痛い・・・、ある意味経験値が増えてる?」


「経験値ですか?」


「ええ。ゲームで言う経験値って、文字通りなにをしたかで発生する数値でしょう?つまり、どれだけ新しい所で何をしたかで増えていくのかと。」


「そう考えるとゲーム内で経験値を振り込むのは少し怖いですね。現実ではなくゲームでの経験が増えれば、逆にゲーム的な行動が増えるかもしれませんし。」


「それはありますけど、そもそもブライトはゲームの世界こそが本人の世界だからなぁ〜。」


 そんな話をしている間に三枝先生の部屋に着いて中へ。中には三枝先生に医療ポットに入るブライト。それに鞍馬さんと木本さんがいる。なんと言うか、黒のスラックスに白いシャツ、それに革ジャンを着る鞍馬さんは、気難しいロックシンガーっぽい。


「鞍馬さん、ご無沙汰しています。」


「・・・、俺は付き添いに過ぎん。それよりも年末の文は届いた。」


「あっ・・・。」


 木本さんの方を見るけど、首を竦めて返してきた。座敷童子大先生や華澄からも聞いてるんだろうけど、百鬼夜行でランダムスパムメール送った事になってるっぽいしなぁ〜。あれは事故・・・、そして事後だよ・・・。おちおち大魔法使えないとか言う縛りプレーに興味ないし。


「その節は・・・、特に反省はしません。ええ、反省しませんとも!」


「しねぇのかよ!」


「いや、しても仕方ないかなぁと。そもそもですね?今までプレーしてきて百鬼夜行を使ったのは一度じゃないし、大魔法として使ったのも一度じゃない。そう考えた時に、毎回スパムメールばら撒いてた相手がまたスパムメール送ってきても『今度はどんな面白内容だ?』としか思わないじゃないですか。」


「いや、スパムメールってなぁ・・・。なにかを呼び出す儀式をそんな軽く扱うなよ・・・。」


「いやいや。相手の会社のお偉いさんに連絡入れるのも、電話やらメールが先ですよ?それでアポ取ってから話が始まる。なら、最初から相手にされないスパムならいいかなぁ〜と。もちろん、乱発するわけじゃないですけどね。」


 と、言いつつも1つ疑問もある。百鬼夜行が妖怪のランダム召喚なら、併用している狐の嫁入りはどうなのだろう?魔法ビルド同士で召喚獣を多用して潰し合うPvPのは多々ある。そんな中でカウンターとして使われるのが、直接的な攻撃を行う召喚獣を平伏させて、行動不能にさせるのが狐の嫁入り。


 当然カウンターとして使えばMPはガリガリ削られるし、平伏する時間も設定されている。つまり、時間内で残った召喚獣は狐の嫁入り時間が終われば普通に暴れ出す。大抵はその時間内で召喚獣を撃破しつつプレーヤーを倒す方にも舵を切るし、倒せないなら再度狐の嫁入りを使う。


 まぁ、狐の嫁入り中もバフデバフを使う召喚獣は止まらないんだけどさ。接触してダメージとデバフを押し付ける召喚獣?狐の嫁入り中だと少し速度が遅くなるぞ!


「それでもだな・・・。」


「ブライトさんの今のデータが取れました。」


 その三枝先生の声で、全員が先生の方を見る。さて、羽が動かせるらしいけど、どんなデータがでてきたのかな?

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