269話 何かのコンテナ 挿絵あり
真珠を浮かべつつ奥へ奥へ。バーサーカーフィッシュが殴りかかって来ては倒し、アクアスラムがへばり付いて、錆びと言う特殊状態変化で武器や防具が性能低下させられたりしつつ、それを焼き払って元に戻す。ファイアエンチャントで解除できるよ?それよりもフレアバーストなんかでまとめて焼いた方が、一気に解除できるから楽なんだよねぇ。ついでに塩も取れるし。
「これで真珠は20個目じゃのう。」
「やっぱり広いなぁ〜。ミニマップ的にはようやく半分くらい?フロア数も下限はあっても上限は40〜50とか言われてるし。まぁ、取れるものは結構取ったけどねぇ。当たりがでない。」
モンスターも倒した、塩も貝殻も手に入ったし宝石も採掘した。でもコンテナはあっても正解のコンテナがこねぇ・・・。依頼だと小豆コンテナ3に水飴コンテナ3よ?流されて集積されてるならそれはそれでいいけど、フロアで当たり引くほうが確実性は高いんだよなぁ〜。
「全員ヒール使えるからこそだろ?なんだかんだで、なにか杖は仕込むし杖を嫌うなら、アクセサリーのヒールの指輪も装備する。最初の街で安くで手に入るしな。」
「むしろ、あれが高かったら初心者は泣く。それでも、鉄鎧とかを買って後回しにする奴もいるけどな。」
「多分篝火さんはそのタイプだったなぁ〜。初めて会った時は全身鉄装備で来たし。あれってフロムさんの指示?」
「全身鉄装備は全身鉄装備でセットボーナスもあるからの。後半になればそこまで考慮せんが、アイアンボディの常時バフはそこそこ生き残りやすいぞ?」
「俺は全身皮装備だったな、速さが欲しかったし。」
「俺は平均的な木製装備だった。こう・・・、なにかがステータス的に低いってのが気になってな。ツキさんは?」
「なんか猫三郎と話し込んで、最後にわらじ作って履いてたかな?」
「なにがあったらそうなるんだよ・・・、俺は切られたぞ?」
「ワシは鬼ごっこしたのぉ、あの猫はすばしっこい。」
NPCの猫三郎・・・。猫三兄弟の三男坊で1番平均的にステータスが高くて厄介な猫。ヒゲを引っ張るくらいなら怒らない。腹を撫でようとすると、セクシャルガードといいながら手を叩かれる。そして、手合わせを申し出ると斬りに来る。アレが最初に出会うNPCだけど、勝てる勝てない以前に壁なんだよなぁ〜。
「それで?昔話はいいとして、俺達はまっすぐ進んできたわけだがそろそろ端だろ?右か左か最初に戻るかだが?」
「真珠は壊れとらんし・・・、貝殻を使うか。」
「貝殻?」
「水滴の落ちてない水場になにかアイテム浮かべると、どこかの方向に寄るんだよ。それが潮目らしくて、おおよそそっちにお宝がある確率が高い。」
「よくもまぁ、そんな事試そうとしたな・・・。」
「サンマー・サンマー倒してたら割と見つけられるぞ?水面からヒョコヒョコ顔出してくるしな。で、潮目は?」
「入口に向いとる。10に戻ってからもう一度潮目を見るかのぉ。しかし、1つ横にパーツがないとも・・・。」
「フル攻略前提で来たからいいんじゃない?隠し部屋も考えると、マップ埋めないと見つからないだろうし。」
行き止まりもある、落とし穴もモンスターハウスもある。でも、落とし穴の底にスイッチがあったり、モンスターハウスを攻略したら扉が開くなんてこともある。色々と運営から気づけと言う仕掛けはあるよ?巧妙に隠されてるけどさ・・・。
「なら、水着に着替えるかの。」
「あっ!水着映されるの嫌な人はシンッコクして下さぁ〜ィ。」
「わざわざエセペリーみたいに言わんでも・・・。俺はもう見られたからいいよ。そこのゴリマッチョ2人は?」
「水着は見せつけるものだろ?」
「鮫肌スーツじゃぞ?ワシ。」
「ツキさんは?有料と言うからにはそれなりの水着を着るんだろ?」
「どれにしましょうかねぇ?スク水もビキニも全身水着もありますよ?変わったのなら、紐部分だけシースルーの奴とか?」
露出に抵抗のある人はボディースーツ。そうじゃない人は
好きなもの。一時期横縞ボディースーツが流行って、水着じゃなくて囚人服なんじゃとか言われたなぁ。ボーダーラインをカラーエディットできるのに、なぜか全員白地に黒のライン入れてたし。
「貝殻は?定番だろ?」
「あ〜・・・、アレは流石にセンシティブでしょう?なにせ本人基準ですよ?ここで水着を着るイコール現実の私がその水着着てるようなもんですし。なので・・・、無難にルーレットスタート!」
「ルーレットが見えねぇーぞ〜。」
「ヤラセだ!ヤラセだろ?それ!汚い大人のやり口だ!秘密決定だ!」
「ツキさん、擁護はできんぞ〜。」
「いやいや、私のダイナマイトタイニーボデーにムラムラされても困る!と、厳正なる抽選の結果・・・、紐部分がシースルーのビキニですね。」
「ダイナマイトとタイニーって両立しねぇだろ!」
「いやですねぇ、それの中間は普通ですよ?よく言うでしょう?小ライス大盛りとか。と、言うわけで有料の水着姿なので・・・、くっ!抜かった!ライブ配信じゃないからお賽銭が来ない!視聴して参拝料払いたい人は送ってねぇ〜。他のサービスとして、ガチムチな人の映像も置いときますね!フロントバイセップス!」
「「ふん!ほら、お前も!」」
「えっ?俺も?・・・、ふん!」
3人でボーズ!陸亀さんはシャープな感じのアバターだからそこまでムキッ!とはしないけど、残り2人はパンパンの力こぶが見える。割とマジな話をすると、アバターを撮影させてと言うとOKな人は多い。まぁ、好きでそのアバターを作って使ってるんだから当然と言えば当然か。
そんな撮影会をして水溜りに飛び込み、海流に乗って『1』の真珠のところへ。スタート地点に帰ってきたわけだが、俺達に反応したのかモンスターがリポップして再度討伐し、もう一度真珠を投げ込む。そして、今度は左方面へ。
「うおっ!ハーミットクラブの群れが!」
「それよりもアレは目標のコンテナか・・・?違うにしてもヤバいぞ!」
「最悪小豆とかはいいんじゃね?欲しいのはウォーカーアーマー用のパーツだろ?」
「バカ言え!コンテナを壊されてダイナゴンの機嫌が悪くなったらどうするんじゃ!それに、副次クエストは主クエストを失敗すると、確率で失敗する可能性があるんじゃぞ!」
「そうそう!あくまで副次クエスト!メインを蔑ろにしていいもんじゃぁない!」
デカいヤドカリが部屋の中央にある『何かのコンテナ』を、これまたデカいハサミと盾蓋でガンガン殴ってやがる。コンテナの上に円があるって事は、あれが耐久値か?なんにしてもさっさとヤドカリを倒そう!ただ・・・。
「陸亀さん!絶対ハーミットクラブはひっくり返さないでよ!」
「やらないよ、駒みたいに部屋の中をピンポンされてもうざい!」
硬い殻があったら腹が弱点だと思うだろ?だから、ひっくり返したくなるだろ?そうすると盾蓋閉めてコマみたいに回転して突撃してくる・・・。当然ある程度で目が回って辞めるけど、他のヤドカリもタックルを食らうと、連鎖的にひっくり返ってどんどんコマが増える。
「ツキさん浜焼きにしたれ!」
「おっしゃ!下ごしらえのツキちゃんフラッシュ!動きを封じるライトニングカノン!こんがり焼けろ、狐火!」
『オレはサザエじゃねぇ・・・。』
『稀人どこだ?割るぞ?』
『仲間からいい匂いが・・・。食っていい?でも、コンテナから甘い香りが・・・。』
「自分で自分食ってろ!チャージシールド!」
「ツキさん目潰しカウントなんぼと見る!緊急回避!そこじゃ!会心の一撃!」
「打撃が有効にしても盾がやっぱりうぜぇ!ちっ!ジャストガードされた!ヒール!ツキちゃんフラッシュもっかい頼む!」
「ツキちゃんフラッシュ!ポイズンクラウド!デス・ポイズンクラウド!クロックダウン!サンダーバースト!」
『タイダルウェーブ!紫電一閃!ちょん切れろ!』
『アクアエッジ!クロックアップ!シャカシャカ動くぞ!』
『目がー!目がー!誰かおらぬか!・・・、ボンバーゼリーフィッシュ殿!』
「けっ!あいつ仲間呼んだ!水溜りにサンダーマイン設置!狐火!どこだぁ〜!どこから来る?そこ!」
『ボクはただ爆発するクラ・・・。』
「リポップ狩りサンキュ!ポイズンエンチャント!ガトリングショット!」
「こっちの奴は殻が割れるぞ!おりゃ!剛力無双斬岩割り!」
「モーション遅いのによく当てるなフロムさん!俺も負けてらんないか・・・。装備変更:双剣。ファイアエンチャント!クロックアップ!ディメンションピアーズ!」
「おぉ〜、珍しいアーツを。」
ディメンションピアーズ。早い話が色んな方向から突きが放たれるアーツなんだけど、範囲の狭さと移動されると弱いって弱点があるよのね。アーツ実装初期のPvPでは出された瞬間に緊急回避を重ねると言うのが主流だったけど、それでも何発かは入る。なら、どうするのがいいかと言えば、走り回りながら緊急回避するのが正解だったとさ。
「デカブツには全ヒットしやすいしな!なによりクリティカルじゃないにしても、中身が柔らかい奴ならダメージが上がる上がる。」
「マジで?今度試してみよ〜。と、言うか生物系は全部中身柔らかくない?フレアバースト!」
最後のヤドカリもこんがり焼いてこのフロアは制圧完了!大漁の貝殻とカニ肉に部位破壊して出たレアドロップの蟹爪は美味しいし、ハーミットシールドも落ちた。割と使い勝手がいいから今なら高いかも。
「コンテナは回収するとして、中身のヒントはなにか聞いたか?ないならそのまま回収じゃが。」
「私聞いたよ〜。甘い香りがとか言ってたから、中身は水飴!」
「確かに俺も聞いた。仲間食おうとしてたヤドカリからだよな?」
「そうそう。イヴァさん耳がいいね。」
「アクセサリーだよアクセサリー、宣言は任せたぞ。」
「気分はカナリアだけど、そう言う役目は引き受けたぜ!」
「ならワシたちは、もしもの為に備えて武器を構えとく。」
コンテナに手を当てて水飴と宣言!そうすると『何かのコンテナ』から『水飴のコンテナ』へ名前が変わる。失敗しなくてよかったぁ。3回デタラメなことを言うと『何かのコンテナ』は『不思議なコンテナ』へ名前が代わり、どこかのフロアに『何かのコンテナ』が置かれる。
何かのコンテナのままこじ開けようとすると、物によっては溢れたりモンスターが入ってたりもするし、そもそものコンテナ回収量が上がるのよね・・・。なにせ『何かのコンテナ』だし。ならどうすれば確証が得られるかと言えば、宣言による確定か外に持ち出してから、船大工の集落で難破船リストと照合してもらって、初めて正式になんのコンテナかは決まる。
「とりあえず、水飴コンテナ1つ目かぁ〜。トータル残り5個にパーツ2個でしょ?移動時間を短縮できる分、後半の探索速度は上がるけど区切りはどうします?」
「19時から始めて既に3時間じゃしのぉ・・・。明日の予定やらは?」
「20時でいいなら俺は来れるぞ?」
「陸亀さんは?」
「俺もそれくらいなら多分大丈夫だろう。ここまで来て未達成で終わるのは気持ちが悪いし。ツキさんは?」
「私は時間の檻から抜け出た狐巫女なので、多分大丈夫ですね。」
「なら、それくらいに集まって残りの攻略の手伝いを頼む。なにかあればメモを貼ってくれ。」
「分かった、ならキャンプするか。出たら設置した真珠が全部消えるしな。」
広いダンジョン攻略だと、どうしても1日で終わらない事が多い。そのままbot放置していいのはポータル近くの安置で、それも確実じゃない。ならどうするかと言えば、大前提としてモンスターを全滅させた安全なフロアであること。そして、ちゃんとテントを持っていること。その2つが合わさればテントが張れる。そして、テントを張れば俺達は背景として扱われる。
当然テント側からの攻撃は出来ない。したらテントが壊れてモンスターに先制されるというペナルティがある。その代わり、モンスター側もテントの周り1mくらいは離れてうろうろしてくれる。ちなみに空腹度なんてないゲームなのに、6日もキャンプしたままログインしないでいると、餓死して領地に戻されるらしい。
「キャンプも張ったしログアウトするのは自由にしてくれ。残った奴は・・・。」
「なに?イヴァさんなにかしてくれるの?」
「手持ちの素材で料理を食わせてやる。こんなアバターだが、リアルな俺はシェフなんだぜ!新鮮な海産物で何でもござれ。」




