267話 海底神殿が見えてきた
普段なら多分撮れ高と喜ぶけど今はいらない。なにせ4日あるとは言え時間が合うのは夕方以降だし、仕事の関係でメンバーが揃うかも分からない。そうなると、賞味約2日程度の時間になる。
一応、ポータル解放してればローテーションも出来るんだろうけど、そうなると出費がかさむのよね・・・。それに何より、今回の動画を配信するとこの辺りにもプレーヤーが増えるだろうしなぁ・・・。
「厳正なる協議の結果、満場一致で海に突き落とすが可決されました。ビルさーん、最大船速!突き落としたら振り切って!」
『わ、分かりました!なんなんだアレは!稀人さん達頑張って!』
「先もらうぞっと!チャージタックル!シールドバッシュ!」
『・・・、君も仲間にならないか?』
「うぇっ・・・、ガラスを引っ掻いた様な声だな・・・。ライトエンチャント!ノックバックボウ!ガトリングショット!」
「邪神が煩いのはリローデッドで聞いたじゃろ?あんな声じゃなかったがの。ブリキの鎧!駿馬脚!プッシュハンマー!」
「ノックバックフィスト!ちっ!以外と根性がある!」
「相変わらずの硬さじゃの!」
なんと言うか・・・、イモムシ振り回しなんかはあるものの、封印しろと言うような感じで全くダメージがないわけではない。と、言うか割とダメージは通る。けど、なんと言うか手応えがない。そうなると、やはり邪神の影じゃない?
「どうする?」
「なんにしても居座られても邪魔だしさっさと突き落とそう。オラ!ミサイルドロップキィーーク!!」
『ここに仲間はいないのか・・・。』
「いきなり消えた!?えっ!どこ?」
『さっきのモンスターの情報が村から来ました。名前は邪神の先触れと言うそうです。どうもアレの近くには邪神の影が潜むとか・・・。』
「邪神の先触れじゃと?」
「多分アレだ、希少ボスだからこそある程度の出現確率とテリトリーを定めてるんだろ?ほら、レベリオン系のフィールドボスも森ならフォレストレベリオンなんて話もあるしな。」
「ある意味逃げるものを追わず、か。杭欲しがってる奴に情報流していいか?高値で売ってゴールドは後から分配してもいいし。」
「私は構いませんよ?配信で流せば撮れ高的にも美味しいから、ゴールドは別にいいかなぁ?代わりにポーションくれるなら欲しいかも。」
「他の方お2人さんは?」
「俺もポーションだな。滝壺ダイブやって結構減ったし。フロムさんは?」
「ワシもポーションじゃな。ヒールは使えるにしてもMP管理考えるとポーションは腐らんし・・・、MPポーションもくれるならくれ。」
「ならまぁ、それで売るか。ガセじゃない証拠にツキさんの映像切り抜きとか借りて使っていい?」
「いいですよ。先触れが出た部分の動画をコピー&カットして渡しましょう。ちょいと作業に入りますね。」
欲しい人は喉から手が出るほど欲しい情報なんだろうけど、俺達はいらないのよねぇ。そんな先触れを海へ返し、サルガッソ地帯へ突入し・・・。
『スケルトンが流れてきてます・・・、これなら迂回できますよ。』
「なら迂回じゃな。スケルトンと遊びたい奴は勝手に小舟で行ってくれ。」
「パス1」
「2」
「3、インビジブルなら考えるが、スケルトン叩きじゃな。弱いんだろ?」
「あん?船長は中級でレベルは100からってところだな。弱くはないが、それよりもスケルトンラッシュがうざい。ただ、1対多数をやるなら練習にいいぞ?」
「割とレベルいるところじゃん。今度別府とハヤトさん誘ってみるかなぁ〜。夜に勇猛果敢な性格選んで採取ツアーがてら。」
「それよりも樽何個か投げるから手伝って、カウントセットは10くらいでいいから。」
「あいよ〜。」
他の船も見えるし、パチパチとライトを点滅してくる。俺には分からないけど、ビルなら分かるんだろう。あの合図があれば遠くとも敵ではないと分かる。プレーヤーが海賊がやってたら?スーッと近寄ってきたり、海を走ってくるから分かるかなぁ〜。まぁ、海賊やる旨味も少ないからゴッコ遊びの域だけどさ。
一応領地防衛戦は海戦もやったりするし、そっちの方が好きな人もいる。ただ、潜水艦使うとほぼレーダーのみの観察要員にされたりと不満もそこそこあるから、アレもテコ入れされるのかなぁ〜。
「うぉ!結構水しぶき上がるな。そして、漂うドロップアイテム・・・。」
「う〜ん・・・、遠いかな。」
「遠い?」
「そう!仮にゴーストシップが近かったらもっとアイテムが浮かぶ。見た感じだと雑魚い海系モンスターが消し飛んだくらいだね。樽使うのももったいないし、双子の雷神!」
召喚獣を呼んで海にボカボカ雷を落としつつ進むけど、サルガッソ地帯に入り移動速度はあまり上がらない。まぁ、漂う箱とか船の残骸とかがでてきたしなぁ・・・。
「そういえば、虫よけ使っとこ。」
「なんじゃ、フナムシも嫌いになったか?」
「足の多い系は嫌い。なんなら年齢設定変えて1人だけファンシー空間で戦おうか?ギャップが凄くてあんまりやりたくないけど。」
「普段の設定に慣れてから変えるとビビるよなぁ〜。ゾンビの首を跳ねたら、その首が口笛吹いてるとか。」
「子供向けにはいいんじゃない?ジャイロで新人まとめたりしてる時に、その話題は結構あった。小学生だからマイルドな表現で物足りないとか、逆に思ったよりもリアルでビビったとかな。」
『皆さん!セイレーンの群れとスキュラです!』
「やってやるぜ!」
そんな戦闘を繰り返し樽爆弾でゴーストシップを半壊させて、到頭たどり着いたのが海底神殿の真上!いや〜・・・、臆病でこれだから、他の性格だと更に戦闘が増えたかもなぁ〜。
『皆さん目的地です。どうにかこうにか無事に着きました。』
「いや〜、ビルさんお疲れ〜。さて、飛びこみましょうか。」
「水中探索はどうする?碇下ろしてもらえば、それを伝ってショートカットできるけど。と、言うかコンテナの目星はどこよ?」
「それと、パーツな。やっぱり奥か?それとも裏ボスか?」
海底神殿、それのうち今回来ている場所が墓場神殿と言われるのは、1番漂着物が貯まるから。そして、その漂着物を狙うサルベージャーやらもいる。でも、それよりも神殿そのものが流動して勝手に宝部屋を作るのよね。
そしてその宝部屋はランダムでありながら、本来のボスとは別に番人が置かれる。その番人が裏ボスと言われる由縁は地形を無視してランダムにボスが配置されるから。海系のモンスター狩りに来て飛行系のボス来たら誰だってビビるだろ?
まぁ、探索をしていけばある程度の傾向は見えるものの、うっかりボスを倒すと今度は帰れと言わんばかりに帰還ポータルが解放されるし、ここのボス部屋はシャッターが閉まると開かないから、ある意味全探索を前提とした装備が必要だな。
『私達はこれで帰還しますけど、本当にいいんですよね?』
「大丈夫じゃよ。さて、行くぞ!」
甲板から夜の海へダイブ!海ほたると月光で海の中は明るいし、昼とは違った幻想的な姿を見せてくれる。海底で寝転び海面を見ると、晴れた夜に静かな雪が降るような光景も見れる・・・。
「モンスターが少ないな。」
「まだ浅いからね。深く潜れば潜るほどモンスターも強くなる。まぁ、制限時間もあるから数より質で仕掛けてくるけどね。」
「水中活動は無酸素だと最大1時間だからな。ただ、酸素ポイントは結構多いからそこまで気にはならんが。」
「それよりも急ぐぞ。あの光っとるのが海底神殿じゃな・・・。」




