263話 テセウスの船
雪だるまのいとおかし発言の後は、ぼちぼち駄弁ってLIVE配信終了。あんまり長くやると敷田さんにも悪いし、なにより参拝者もだらだらしてしまう。まぁ、時間的にはこんなもんだろ。同接数も3500人とそこまで悪い数字じゃないしね。
姫子さんには後日木本さん経由で振り込むか、現金がいいかと聞いたら木本さん経由でいいらしい。スマホ持ってるし送金でも良かったのだが、旦那さんに一度預けてと言うか家計を管理するならお金はオープンにしたいらしい。
まぁ、木本夫婦が同じ財布でも違う財布でも、なんならへそくりしてても俺としては構わない。そのうち管理能力ありと判断すれば、木本さんが姫子さんに財布を渡すのだろうか?今は姫子さんがお小遣い制、その先は逆転してもおかしくはない。
「巫女さんお疲れ〜、敷田さんもお疲れ〜。」
「お疲れ様でした2人とも。でも、よかったんですかあのスクショ写真掲示板に投げても。」
「う〜ん、別に?どうせゲームやってたら水着イベントとかありますからねぇ。と、言うか他のスクショ写真も渡すので好きに使って下さい。」
「ほう!ならぼちぼち使わせて貰いましょう!と、言うかマリちゃんはなんでまたこんなにスクショ写真を?自分のアバター可愛いからとか?」
「違いますよ。単純に仕事して家帰ってゲームして、華澄と付き合いだしたら、今度は一緒にどっか出かけてとしてましたけど、なんだかんだでゲームしてる時間が長かったから思い出の一環として撮ったりしてたんです。なにせスクショ写真ならトラブルオンラインがサービス終了しても後から見返せますからね。」
写真フォルダーを漁ると、トラブルオンライン以前にやってたゲームのスクショとか結構出てくる。どれもこれも女性アバターで金髪碧眼。まぁ、それはいいとしてレスラーになってムーンサルトしてる写真やら、銃もって戦場を走り回ってる写真やらもあるなぁ〜。くっ!リアルな戦場体験はいいとして、このゲームの回復アイテムがレーションでクソマズイ事この上なかった。
死にたくなければ食え、食いたくなければ被弾するなとはよく言ったものだ。そして、サービス終了の要因がそのメシマズだったと言うオチが中々・・・。まぁ、ゲームは面白くても回復で水を差されたらねぇ。
「今はいいよね〜。薄れる記憶を固定する方法が山程あって。昔の人は奇数だと魂抜かれるから、必ず4人でって言って人形持ったりしてたし。それ以前は文章やら絵巻物でどんどんおどろおどろしく・・・。」
「妖怪の成り立ちを聞いたら眉唾上等!だしねぇ。なに?北斎とか歌麿辺りが遊んだからとか?」
「それもあるけど、カエルとうさぎの相撲辺りから既に・・・。」
「鳥獣戯画もお遊びかぁ〜。まぁ、昔の人からすればこれ、面白いんじゃね?くらいだろうし・・・。」
「私も少し妖怪やら電気精神体の話は聞きましたけど、ある意味歴史の生き証人なんですよね?びっくりするような秘話とかないんですか?姫子さん。」
「敷田さんがびっくりしそうな話?そだね〜・・・、葵の紋入った千両箱を山程埋めてた人たちの話とか・・・。」
「それ徳川埋蔵金!えっ?今もあるの?探して見つけたら10割貰っていいの!?」
そうだよ!歴史を知ってるならお宝のありかも知ってるんだよ!人が見ちゃいけないものを見たなら、斬り捨て御免もあるかもしれないけど、電気精神体と言うか幽霊の時点で覗き放題じゃん!
「マリちゃん・・・、私も参戦します!ウハウハ生活の幕開け!」
「多分国有林?とかだから半分じゃない?しらんけど。」
「くっ!先にその土地をどうにかして所有しなくては!って、国有林だと無理かぁ〜。でも折半でも結構な額が?」
「それでも金の価格と歴史的な価値を考えると、数千億円以上は硬いですね!ワタクシ敷田は山ガールを目指そうかなぁ〜。鞍馬さんに歩き方教えてもらって。」
「欲に目がくらんだ狐と人かえ。家康の渾名をなんとする?」
「渾名?・・・、狸親父か!雪だるま!私は騙されたのか!」
「巫女殿、曇りなき眼で見れば分かるであろう?」
「いや。欲にまみれたから人であって、欲を取ったら機械でしょ?なに?雪だるまは欲ないの?ないならそのまま雪だるま続行でもいいんだよ?なにせ、欲がないってことは動機がない、動機がないなら動く必要もない、動かないならそのまま地蔵で祈るオブジェクトでいい。ほら、神社のAR使ってるけど御神体とかないし・・・、やってみる?」
「巫女殿、ご勘弁を!変に祭られて白姫、黒姫、宇津田姫などなりとうない!」
「いや、宇津田姫って冬の季語になるような女神らしいんだけど?」
「確かに私も木本さんからそんな話を聞きましたね。俳句とかやらないから知りませんでしたけど、春の佐保姫や秋の竜田姫は有名だけど、冬の宇津田姫や夏の筒姫は文献が少ないとか・・・。」
敷田さんと俺で元宇津田姫らしい姫子さんを見る。まぁ、見られた本人はポテチ食いつつコーラ飲んでるんだけどさ。姫・・・、姫ねぇ?城もないのに姫とはこれ如何に?
「なに?つつっちと、私がなんであんまり名前出ないかって?単純に人にとっては不快じゃん。寒い暑い、食い物ねぇ、水がねぇって、叫びしかないからわざわざ呼ばないよ。」
「なんと言うか、身も蓋もない。」
「確かに文明レベルが下がると季節は敵ですからね・・・。春秋は食べ物多いですし。」
「私も夏はパスかなぁ〜。まだ体験してないけど、尻尾が暑いだろうし冷房の効いた部屋から出とうない・・・。」
そんな話をしてから解散し、部屋に1人。LIVE配信のログを過去からままで見返すと、ブライトに桃をが定期的に入っている。そして今回はあげた?と言う疑問系。つまり素直に観測出来てない状態と受け取るなら、これはアマテラスからの発信だよな?
縄張り云々と言う話を抜きにしても、俺達からすればそこにいても見ることはできない。なにせアマテラスの本体がどこにあるのかは公にされてないし。
「こういう時電波もメッセージも送れないのは不便だなぁ・・・。多分岩戸さんは気づいてそうだけど・・・。一応人間の浅知恵で送っておくか。29-83+92+2496と。」
参拝者2534。これが最初に桃の話を出したと言うかブライトに桃をと言った人物。つまり、そこから追うのが1番足取りを掴みやすと思う。まぁ、追ってなにをすると言うわけではないし、アマテラスが配信を見ていても問題はない。
問題なのはその発言が自主的なのか、それともなにか意図があってからのものなのか、だ。本当にアマテラスはバイオナノマシンのデータを使って、電気精神体を治療したいのだろうか?既にそこからが謎なんだよなぁ〜。
確かに人は健康であるべきと言う国の指針は分かるし、その指針を元に社会も動いてる。でも、そのために願われもしない治療を行うものなのか?う〜ん・・・、人間と同じと考えるなら眼の前の患者は治したいと言うのは分かるんだよ。
でも、仮に逆だったら?人を電気精神体側に寄せた方が、不自由がないと考えていたらどうだろう?既に約4ヶ月この体で過ごしたけど、体調不良はないし前よりも元気ではある。トイレもほとんど行かないし・・・。
「いつだったかテセウスの船を考えたけど、その船はいつまで船だったんだろう?」




