257話 電波受信?
人が寝る理由はオーバーヒートした脳を休ませる為で、必要な記憶を定着させたり削除するためらしい。ある意味スゲー矛盾してるよなぁ・・・。まぁ、普通の人なら視覚情報が1番多い情報だから、目を閉じるイコール情報入力がない状態だと思えばいい。
と、言うか脳が止まれば死ぬ。単純明快に司令塔が完全ダウンしてるんだから、勝手に操作してくれてる心臓も止まれば、他の臓器なんかもどんどん止まっていく。なんでそんな事を考えてるのかって?
「これは多分明晰夢かなぁ・・・?」
「さて?それはどうでしょう?明晰夢と思い、これは夢だと強く考えればそれが真実であり、逆にこれが刹那の現実だと思えば、高速で人生を過ごしているのかもしれません。」
「夢は第2の人生ねぇ?まっ!お得と言えばお得なのかなぁ?そこに不自由があればさっさと起きるけど、ないならないで居心地が悪いわけでもないし。」
ロックな讃美歌が響く寺院。椅子に座る俺と箱頭で単眼のドン・スミスが向かい合っている。ログインした覚えもないし、したらしたで2章へ最初から行く予定だからここへは多分こないだろう。
なら、なんでドン・スミスかと言われれば、さっきの夢の話が答えかな?まぁ、夢なら夢でもちっとばかし色気のあるキャラがよかったな・・・。
「私ではご不満で?」
「いや?不満はないけど胡散臭さはある。元々犯罪者側の元締めNPCだしね。」
「おやおや、それはまた嘆かわしい。私たちをNPCと言うなら、アナタはなぜ自身がNPCじゃないといいきれる?私たちの思考をアナタ方は知らない。それでも、ここなら互いに手も取れる。ならば、なにを持って線引とします?」
「さぁ?別に線引しなくてよくない?」
「ほぅ?それはまた乱暴な・・・。」
「いや〜、どうせ夢だから頭ン中整理してる時に自問自答してるんだろうけど、プレーヤーとしてそこに入り込むのと、NPCとして現実に来るのって人の勝手な区分なわけよ。電気精神体は来たい人も断固として来ない人もいるかもしれない。そう言う成り立ちだって聞いたしさ。なら、NPCとしてもそうなんじゃない?」
「我々の中にもそちらへ行きたくない者がいると?」
「逆に聞くけど、全員来たいの?」
「その答えは・・・、状況によりけりでしょう?」
「おっ!ダウトに引っかからなかったか。これで全員来たいなんて言った日にゃ、個性を否定して総体としての思考しかないと言えるし、来たくないと言えばその時点で『なら帰れ』ですませられる。いや、すませられた?なんにしても2択を3択にした時点で多分明晰夢なんだろうなぁ。」
「いえいえ、これで夢と断じられては困ります。明晰夢と思われるなら、突拍子もないものを出されてみては?それが出るか否かで事実確認もできるでしょう?」
「やらないよ、それが回答。私はここを夢だと思うと同時に、トラブルオンラインの寺院だと思ってる。だから、ここに華澄を出そうとしても、ありえないが先行する。逆に召喚獣呼んで出てきても、街には襲撃イベントがある。だから、夢と断じてなにもしない。だって、寝てるんだよ?夢の中でまで労働はしたくない。」
「お遊びでしょう?労働とは言えませんが?」
「なら、私の手番ならさっさと降りる。それは敗者じゃなくて場外に出るためってね。どんなゲームでも遊びでも、駒にならず盤面を眺める審判やらルールブック或いはギャラリーが一番強い。なにせ、そこに責任はないからねぇ。」
「それはすでに塵芥、数多の無貌、変化を起こせぬなにかでしょう?盤面に上がらなければ変えようもない。上がるからこそ変えられる局面もまたある。眺めるだけのなんと退屈なことか。」
「ダウト!」
「ダウト?」
「そう、ダウト。人が人である以上、すでに現実世界の盤面には上がりたくなくても上がってる。そして、その盤面にいるのはなにも変化を起こせないかもしれない人たちだよ。」
例えばアインシュタイン。相対性理論なんて言うよく分からないものを提唱して、ノーベル賞とか取ってる。でも、全員が勉強すればアインシュタインになれるかと言われると、そんな事はありえないし、それを発想できるかも分からない。
「なら、努力の価値は?」
「自己満足!それ以外ないよ。むしろ、自己満足できないから努力する。だから、報われない。でもやめない。悪い話をするとねぇ、パチンコで大当たり引くのと、テストで満点取るのは多分おんなじ化学物質が脳の中で出てると勝手に思ってる。」
結局のところ、なんに満足感を得られるのか?それが問題点で焦点。だから全員が全員違う形で努力もすれば挫折もする。決められたルールが全員平等にゴールするだったら?
1番嫌な駆け引きが始まるよ!だって、横の奴が抜け駆けするかもしれないし、ゴール手前で止まって『はよ来い』と言い出すかも。でもねぇ、来いと言われて易々と行けるなら、そもそも平等にする意味も薄いんですよ!
「なるほど、変わった御方だ。」
「たまに言われるよ、図太いとかもね。でも、人間ある程度図太くて身勝手じゃないと最悪死ぬ。だって飯食うならなにかをぶっ殺して料理して、果てはマズイなら捨てる。それくらいの身勝手と図太さがないと生きてなんていられない。なにより解脱も涅槃も当分先でいいかな?1回涅槃には入りかけたし・・・。」
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「ちゃん・・・、マリちゃん・・・。」
「はっ!?知ってる顔だ・・・。」
「天井が見れないからと、使い古されたネタは話さなくてもよろしいですよ。それよりもなにかありましたか?」
「なにか?なにか・・・、なんか夢見てた気もしますけど、どうしてですか?」
「いえ、大麻が立てかけてあるのはいいとして、珍しく尻尾が扇状に広がっていましたので。寝相というものですか?」
「寝相と言うものなんじゃないですかね?無意識でそうなったから、なんでそんな事になってるのかと聞かれても不明ですし。」
寝汗はかいてないけど温かったのかな?まぁ、尻尾に包まってるって事は、ずっと電気毛布に包まってるようなものだしなぁ〜。先生が持ってきたご飯をもっちゃもっちゃ食べつつ、夢と言われた事について考えるけど、あんまり覚えてない。
と、言うか起きた直後は夢見てた気もしてたけど、忘れるならそんなに大事なことでもなかったんだろう。時計を見ると昼を過ぎてるし、結構ガッツリ寝た気もする。こうやって人の生活リズムは崩れていくんだろうなぁ・・・。
「なにか進展とかありました?」
「進展と言うほどではありませんが、ブライトさんは無事に鞍馬さんのところへ到着したと言う連絡が来ました。多分、マリちゃんのところにも来ていると思いますが?」
「ちょっと待って下さいね・・・、確かに木本さんからメッセージ来てますね。へ〜・・・。」
「どうかされましたか?」
「いや。鞍馬さんって、結構浮世離れしたイメージがあったんですけど、ちゃんと電話番号もあるんだと思って・・・。まぁ、固定電話っぽいですけど。」
「それでも十分古風ですよ。今時固定電話と言うものは大企業等しか設置していません。おおよその方はスマホやスマートレンズですませてしまいますから。むしろそれを持たないと言う状態は、今の社会に入りこまないと態度で示しているとも取れます。」
「確かにこれがないと不便でしかたないですからねぇ。今更財布に大量のカードやら入れて持ち歩くのは面倒ですし。なにより、取り出すとか探す手間が惜しい。」
スーパーに行けば人はいる。でも、それは管理する人であってレジ打ちする人でもなければ、商品を陳列する人でもない。あくまでなにか不具合があった時のトラブルシューターだし、長距離トラックだって走ってるけどドライバーは大体乗ってるだけ。
停電なんてなければそれこそ、物理的に忙しい時間は瞬間的で、大半の人はアバターと遊んだりゲームしたり、或いは家族がいればVR旅行とかしてるんじゃない?俺は使わないけど、トラブルオンラインのクローズドモードもローカルネットワークやら、パスキーなんかを使えば戦闘なしで観光できるし。
あり得ない光景や景色を本当に旅するだけのインディーズVRゲームとか、一時期話題になったなぁ〜。流行れば作る人が増えて、どんどんとんでもない方向とかに走っていくけどさ。
なにげに太陽に降り立つ!て見出しのゲームは結構ダウンロードされたらしい。面白いからじゃない、オレンジジュースにダイブしてる気分が味わえるって話題になったからだよ!実際脳波操作を省略したVRゲームは作るのそんなに手間じゃないのよね、フリー素材とかもあるらしいし。
「逆を言えば横着したいと言う努力が今の世の中でしょう。レジ打ちでミスがあるからオート決済、重い物を持って腰を痛めるから、拡張アームやアシスト衣類。そして、人が忘れるからサポーターとしてのAIやアバター。不便は発明の母ですよ。」
「なら、横着は父ですね。いざと言う時以外はそんなに動かなくてもいいですし。さてと、特にこれと言ってなにもないですか?」
「私の方はありませんね。流石にデータが出てからと言って、一足飛びに解明できるものでもないですし。マリちゃんはこれから?」
「姫子さんを新メンバーとして箱化するんで、駄弁り配信の告知とかですかね?木本さんと話した限りでは、神楽舞う時にまとめてやろうかとも思ったんですけど、題目はある程度整理した方がいいでしょうし、それなら姫子さんの紹介だけでもいいかなぁ〜と。」
パンチは弱い。キャラとして見れば強いけど、企画としてはそこまで強くない。どうせなら、どこかのカフェとかでメニュー紹介しながらの方が間も持つんだろうけど、下手にカフェの店名とか言うとその近くに住んでる?と勘ぐられる。
割と公園とか撮影にはいいよ?風景でいるところバレても、そこにピクニックに来てますで押し切れるし、そう言う設定と相手側も受け取る暗黙の了解って奴だな。まぁ、今は冬だからあんまり外には出たくないけど・・・。
「姫子さんと企画の話をされてみては?こういった事がやりたいと言う発言もあると思いますが?」
「あぁ、その件については既に企画書を読んでもらっています。ざっくりと方向性を決めただけで、細かいことは別途相談としてね。私がやりたくても姫子さん的にちょっとそれはって話もありますし。」
「・・・、どのような企画を?」
「ありきたりですよ?歌ってみたとか、料理してみたとか。変り種だと街を散歩してみたとか?」
「最後の企画が1番の高難易度ではないですか・・・。撮影自体、その後の編集が絶対に必要で、更に言えば撮影許可がどれくらい取れるかも不明です。」
「いや。撮影するのは第三者で、私と姫子さんは普通にショッピングとかを楽しむだけですよ。配信者やるからと前に色々調べてみたんですけど、今は便利ですねぇ〜。アルバイト感覚で広告被写体募集してるお店がすぐに見つかるし、そこでなら撮影しても文句は言われませんよ。」
モデル使って服の宣伝って、確かに大多数に発信するにはいいんだろうけど、逆を言えばモデルだから似合うんだろ?自分の個人データと照合して似合わない、サイズがない、そもそもこれどこに着ていく?と言う話がボロボロ出てきた。
だから、そこら辺にいる一般人にお店側からオファーを投げて、モデルをやってもらうと言う方式が増えているらしい。これのなにがいいのかよくわからなかったが、自分からモデルに来ると言うことは、普段からそういう服を着こなして過ごしていると受け取れるらしい。
人気者になればプロルートもあるらしいけど、俺だとどこの店だろうか?背格好的にファンシーショップとか、或いは着ぐるみ貸し出し店とか?なんにせよ、事前調査は必須でそこは華澄にも協力要請を出さないとな。
「しかし・・・。」
「ええ。しかし、これは社会復帰への一歩です。バレる可能性も考えますけど、それを踏まえてどこのラインまでならバレないかを知る必要もありますよ。」




