254話 大麻って、なに?
「勝手に話が進んでいるが、我としてはマリと離れたくない。」
「う〜ん・・・、どうします?」
話がまとまりかけたと思ったら、ブライト本人から拒否の意志提示が・・・。どうしたもんかなぁ〜。2日に1回は三枝先生はブライトを見たいと言うし、ここにブライトがいることで『こいつ、だれ?』と噂が立つのは目に見えている。
「ブライトさん、例えばネット世界でマリちゃんと会うと言うのはどうです?」
「我はそのネット世界と言うものを知らん。」
「三枝先生。ブライトはアカウントも個人IDもないから、もろに不正アクセス案件ですよ。」
「いや・・・。そうとも言えねぇよ、マリちゃん。」
「そうとも言えない?何かあるんですか?木本さん。」
「ブライトができるかは一旦別として、座敷やら電気精神体はネット世界を・・・、電気世界を自由にうろうろしてやがる。大半はAIに検知されれば面倒と、小さなトラブル起こすくらいだが・・・。」
「その方法が分ればネット世界に潜り込めるかもと?危なくないですか?それ。座敷童子大先生とかは逃げ方も、歩き方のいろはも知ってるかもしれませんけど、ブライトはヒヨッコですよ?」
流石に見つかってウイルスバスターなんかでデリートされても困る。まぁ、バスターされる前に検知されるのか?って部分があるけど、変なリスクは負いたくないなぁ・・・。
>> 一応そっちの方は大丈夫だと思います
と、言うか誰か戻って来て・・・、助けて・・・
「・・・、ちょっと部屋に戻ります。ブライト、変なことしたらダメだからね?私が戻るまで呼吸法の練習をしておくこと。」
「それはいいのだが、早く戻れ。」
「はいはい。こんなところでシスコン爆発させなくてもいいんだけどなぁ・・・。」
「私もついていくわ。」
岩戸さんからヘルプが飛んできてるし、大麻を持ったまま一旦部屋へ。既に夕食時も終わり消灯時間間近。昼から話し込んでるけど、結構時間経ったな・・・。まぁ、それだけ簡単に解決できる話というわけでもないから仕方ないんだけどさ。
「戻り・・・。」
「だからこーちゃんがかっこよくてね!買い物行っても、サラッと俺が払うって言ってお金出してくれるし、歩く時も車道側歩いて私を守ってくれるしね、それにそれに・・・。」
「・・・。」
「あら、姫子さん。もうすぐ消灯時間ですよ?」
「岩戸・・・、大丈夫?」
>> な、なんとか・・・
「もうそんな時間?井戸端会議するのも主婦の務めだけど、こんなに時間泥棒だったとは・・・。もうこーちゃん帰るって言ってた?」
「もう少しかかりそうですねぇ。」
暇だから姫子さんが俺の部屋に来てたのか。まぁ、ネットもなくて本もなくて1人でいる病室なんて、今の人だと暇すぎて死ねる。クローズドゲームでもあればいいんだろうけど、アレもまた高いしなぁ〜。
わざわざスマホとは別にゲームだけできる機械を買う。小さい子供にネットを使わせたくない親は買うらしいけど、アップデートのたびに親が操作しないといけないし、なにより学校でもスマートレンズを使ったりするから、クローズドゲームと本体は高級品に分類される。
それでも残っているのは、他人とどうこうするのに疲れた人もいるから。四六時中誰かと一緒で行動を見られてると思うと、結構ストレスに感じる人も多いんだよねぇ。まぁ、それにVRで配給できないようなストーリーなんかは、クローズドゲームで配給されるし・・・。
「えっ!?こーちゃんの晩ごはんは!?私作ってないよ?」
「さっき私がコンビニで買ってきましたが?」
「・・・、サラダは?」
「サラダ単品はないですが、栄養的には大丈夫でしょう。」
「一汁三菜を旨に作る私の手料理ががが・・・。」
「その割にはレバニラとかニンニクとか・・・。いえ、木本さんがなにを食べて、姫子さんがなにしたいかは横に置いておきましょう。それよりも、岩戸さんが困ってるからグイグイいくのはダメだよ。」
「いや〜、相槌打ってくれるからついつい。なにより暇だし・・・。」
「なら、企画書読んでいてください。配信に出るなら、色々やっちゃダメなこともありますからね。」
脳波でスマホを操作して作った企画書の画面へ。他のフォルダなんかはロックしてるし、抵抗はあるけど渡しても大丈夫だろう。なにせこの中には個人としての証明やら銀行口座、果てはゲームデータにスマートレンズからの一時記録なんかも詰まってるんだし・・・。
「いいの?真利。スマホよ?スマホ。下手をすれば中のデータを・・・。」
「その場合は、木本さんからガチギレされる姫子さんが見れる。」
「・・・。巫女さん、怖いから触りたくないんだけど?」
「変なことをせずに、この企画書のページだけ見るなら大丈夫ですよ?くれぐれも他の画面を見ると・・・。」
「知ってる!見つかった娘は鶴になって飛んで行くやつ!」
「ええ。姫子さんが恩返しをしたいと思うなら、くれぐれも覗くなと言われたら見てはいけません。そこには秘密があり、取り返せない信頼関係がある。まぁ、何かしらの根拠があって動くぶんには知りませんけどね。」
「う、うん。」
姫子さんがブンブン首を縦に振ってから、おっかなびっくり俺のスマホを受け取り椅子に座って画面を眺めだした。まぁ、一晩中企画書作ってたから結構量はあるよ、うん。
「さてと。一応大丈夫って話でしたけど、何かあるんですか岩戸さん。」
>> ブライトさんの状態を観測してましたけど
現在の状態は雁木さんの領地で休眠状態です
これは、誰とも接触できずアクティブになり得ない
だから、ゲームとしての処理はそうなって
いるからです
「それはまぁ・・・。領地防衛戦でもなければ、プレーヤーは許可のある人しかほかの人の領地に入れませんし。」
>> そうです。ですが、ここで重要なのはブライトさんの
データ自体はあると言うことです。
「どう言うことかしら?こちらにいるブライトと寝ているブライトは同じでしょう?」
>> そのはずです
でも、全く連動してないわけでもないようなんです
雁木さんが発勁や呼吸法をこちらでブライトさんに
教えたりしたら、寝ているブライトさんの方にも
ツキからそう言うデータ入力があったと
示されています
「私から?いや、ログインしてないし。」
「もしかして、その大麻じゃないかしら?」
「大麻?・・・、なるほど。それならあり得る。」
>> その大麻は結局なんなんですか?
焦げが集まったとは聞きましたが・・・
「華澄・・・。」
「ここまで来て話さないは、後々判断ミスを招く可能性があるわね・・・。木本さんからも情報開示OKがでたからいいわよ。」
「なら・・・、なんなんだろう?」
>> いや、雁木さん
私にそれを聞かれましても・・・
「いや、岩戸さん。結構難しいんですよこの大麻がなにかって話は・・・。大前提として、この大麻は私が事故に遭った後に医療ポッドで治療を受けて、治療完了の時には既にあったらしいんです。その間、私は昏睡してたので詳細は分かりません。」
三枝先生曰く焦げが集まって出来たモノ。と、言うか素材だけ言うなら自分自身。なにせ事故で丸焼けになった俺の皮膚とかからできてるらしいし。でも、そう考えるとこれもガルボーン?長い割に軽いし、背中を掻きたいと思えば掻いてくれる。
>> つまり、なにがなんだか分からないモノであると?
「そう言われるとそうなんですけど・・・。割とマジな話をすると、この大麻があると魔法っぽいものが使えるんです。」
>> それはまぁ、木本さんからそう聞かされてますし
電気精神体とかのやる事は、科学的な根拠や
データとしての観測は出来ても、なぜそうなるかは
よく分かってないので、納得はできます
よかった。流石にここで頭のおかしい人だと思われると話が進まない。まぁ、電気精神体関連で木本さん達に関わってるなら、俺よりも不思議な体験は幾らでもしてるのかもしれないな。
「それで今回・・・、今回の前にそこにいる姫子さん。」
「ん?なに巫女さん。」
>> 姫子さんがどうかしたんですか?
「岩戸。この人・・・、この電気精神体?妖怪?ともかく、これは雪女よ?言われなければ分からない、言われても気づけない。そんなレベルで受肉した、ね。」
>> 木本さんから、過去作ってアマテラスに登録してくれ
卜部さんからも許可は出てるって話で
深くは聞きませんでしたけど・・・
マジですか?柊さん、雁木さん?禁忌ですよね?
岩戸さんが目を白黒させてると思う。前髪で顔が隠れててよく分からないけど、メッセージ的には結構ヤバさは分かってるっぽい。元々岩戸さんは協力者だから、ある程度しか知らなかったのかもなぁ・・・。
「その禁忌を越えて、ここにいる。そして、NPCから受肉したブライトも昨日からここにいる。でも、結局何も起こらずに私と岩戸さんは話してる。だからまぁ、深く考えなくていいと思うよ?」
>> それはまぁ・・・
ではなくて、その大麻がなにかです
ほとんど魔法の杖以外分かってないじゃないですか
話を聞く限りだと、アクセスキーとか
そんなものなのかな・・・?
「巫女さん、巫女さん。何の話してんの?」
「この大麻が何かって話を・・・。そうだ!姫子さんから視て、この大麻ってなんに見える?」
「このお祓い棒?なんに見えるも何も、巫女さんの場を作る道具じゃん。穢れを祓い清め神を呼ぶ、普通は神の声なんて聞こえず静けさとか直感とかで感じるけど、巫女さんの場合は普通に私達を見える形に押し込める。だから、怖いし願うに値する。座敷童子様から何か聞いてない?」
「大先生から?なんか怖がられたり豊穣と言われたり、閻魔帳を誤魔化してるって言われはしたけど・・・。」
「なんだ、聞いてんじゃん巫女さん。この世に何もないはありえない。多分、それは空亡とかが出てきて明日をパックンチョでもしない限り起こらないし、パックンチョしても空亡が消えれば明日は来る。その時芽吹く何かが残ってれば、結局何もないは成立しない。まっ!その棒でナノマシンとかに命令してると思えばいいよ。」
「ナノマシンに命令・・・。」
外部からナノマシンに対する操作・・・。それって白波先生の研究分野だよな?えっ?その研究の完成形が俺?確かにナノマシンに個人が機械使わずに命令出せるとするなら、それはもう神とも言える。なにせ、ナノ単位で何かを操作できるんだし・・・。
「姫子さん、とかとは?」
「柊さん、とかはとかだよ。座敷童子様に聞いたらいいんじゃない?」
「アレは要領を得ずに話します。まだ、姫子さんの方が・・・。」
「時として、子供は大人以上に敏感だよ。それは人の機微にだったり、風景に対してであったり・・・、或いは世界の見え方に対してもね。」
>> あ、アクセスキーは正解?
でも、そう考えるとブライトさんの状態や
雁木さんからのデータ入力も説明できる?
でも・・・、けど・・・
「岩戸さん落ち着いて。とりあえず、今日は遅いし岩戸さんはどうする?一応、ブライトは鞍馬さんのところに預けようって話で進んでるんだけど・・・。」
>> 鞍馬さんと言う方がどなたかは知りませんが
私は一旦明日の便で帰ります
トラブルオンラインの運営と言う仕事もありますから
「分かった、何かあったら教えて。で、今はやっぱりゲーム内でブライトに会わないほうが?」
>> 確証はありません・・・、確証はありませんけど
有線接続なら大丈夫なのかなぁ・・・
「有線接続?電気コード持たせるとか?」
>> いえ、その大麻です。
話を聞いた限りだと、雁木さんの周りに電場を
作ってるのかもと
「電場を?静電気とかは起きないけど・・・。」
>> いえ。それが仮にガルボーン製の大麻なら
静電気が発生する前に散ってる可能性がありますよ
その・・・、今の雁木さんって、相当に毛深いですよね?
「毛深いかと言われたら確かに。尻尾10本に金髪ロング、更には狐耳でそこにも毛が・・・。」
>> PCを自作したりする時に静電気には
かなり気を使うんですけど、電圧は数万ボルトですよ?
アンペア量と一瞬で終わるからパチッて感じで
終わりますけど、仮に雁木さんの尻尾に帯電し
続けたら、発電機いらずの蓄電池にも・・・
「天然発電機はご勘弁・・・、今の食っちゃ寝生活だから勝手に電気持ってかれても変わらない・・・。って、それって半分くらい電気精神体になってません?」
「ならないわよ?だって、真利はここにいるじゃない。」
「いや、まぁ・・・。」
そう言っている間に華澄が俺を抱き締めてくる。うん・・・、確かに俺はここにいる。ここにいて華澄に抱き締められてる。そして・・・。
「ぐ、ぐるじい・・・。胸に潰され・・・。」
「柊さん、巫女さんヒューヒュー!よっ!お二人さん!ほら、岩っちも!」
「はひゅー・・・。」




