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狐と言えば・・・巫女!  作者: フィノ


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閑話 15 2歳になった稀人 挿絵あり

 街があると言うので草原を走る。途中で見つけた開けろと指示される宝箱から彷徨い人の腕輪も入手した。中身を見ると中々のステータスだと思う。途中で卜部さんから攻略サイトも見るなと言われたが、特に問題ないだろう。最悪いくらか課金してさっさと強くなり、ツキと言うプレーヤーと接触すればいい。


 ただ、どの武器がいいか今のところ分からないのが玉に瑕か?猫三郎から貰った木製の武器では流石にこの先やっていけるとは思えない。しかし、今の時間が惜しい。家なら連動器具で筋肉へ刺激も行えるのだが、職場ではそれもできない。


「あれが街か。」


 草原の真ん中に木の柵で囲われた街が見える。王都や貿易都市と言うにはいささか貧相で、牧歌的と言えばそれが当てはまるのかもしれない。なにせ、ここから見るだけでもそれほど大きな建物もない。それに、ここまででモンスターとも出会ってはいない。


「あら?旅する稀人さん?行き交う人の街、徒然へようこそ!」


「街の名前はいい。課金ガチャを回したい、どこで回せる?」


「課金ガチャ?私達にはなんのことか分からないけど、そこでなにかしたいの?」


「いい武器や防具が欲しいんだ、早く強くなりたい。」


「う〜ん・・・。誰かを待たせてるなら次の街に行くといいけど、待たせてないならこの街を見て回ったら?ここはいいところよ?モンスターも少ないし、次の街への街道も整備されてるし。」


「いや、俺には用事が・・・。」


 街の入口にいた若い女NPCに話しかけたが街の名前以外、有益な情報は得られない。更に言えば、翻訳機能が機能していないのか、あちらこちらから様々な言語が聞こえてくる。まぁ、別に誰かとつるむわけでもないからいいのだが・・・。


「用事があるなら急ぐわね。武器や防具はあそこのお店で買えるし、お薬なんかも置いてあるわよ。」


「そうか、ありがとう。」


 ミニマップにNPCの言う店が表示されるが、その店は俺のいる場所と真反対。つまり、どうあっても街を突っ切らせたいのだろう。いや、外に出て走ればいいのか?街道はあるのだし・・・。しかし、わざわざ最短距離を捨てるのも惜しい。街なんてさっさと通り過ぎてしまおう。


『さぁ!お化け屋敷に興味はないか?』


『誰か草むしりを手伝っとくれ〜。庭が草でぼうぼうなんだ。』


『風で飛ばされて木に帽子が引っかかったから取って〜。』


『こら!まて猫!魚を返せ!』


「やけに賑やかだな・・・、最初の街ならこんなもんか?」


 声を上げるNPCと異国の言葉で話すプレーヤー。時折日本語も聞こえるが、UIを見ると翻訳は正常と示している。なんにしても、さっさと店を見て先に進もう。そう思い鍛冶場のような店に辿り着き品を見せてもらう。


「ここのは全部鉄か?」


「そうだ、稀人さん。鉄の剣に槍に刀に盾と銃、全部手にとって見ていいぞ?触らんと使い勝手も確かめられないだろうしな。ただ、試し切りやらをするなら裏の試し場を使ってくれ。」


「分かったが・・・、これよりいいものは次の街に?」


「さぁ?素材が増えれば変わった武器も出る。稀人さんなら知らん取引で見たこともない武器を持つこともある。なんにせよ、その街独自の武器なんてもんはゴロゴロしてるさ。色々試したいなら裏にいる奴に声掛けな。」


 そう言われて店の裏へ。中には結構なプレーヤーが見えるものの、思い思いの武器を試しているようだ。どれを試すべきか・・・。まだモンスターと戦っていない以上、全部試すのがいいのだろうが、急ぐなら1つに絞ってやはりナックル系か?


「試しをさせて欲しい。」


「あいよ。大広間で試すか小部屋で試すかだが、どっちがいい?」


「む・・・、なにが違う?」


「なにがも何も大広間なら、誰かに当たる可能性もあるだろ?別に稀人さんは気にしないだろうけど、こっちとしてはいざこざが起こるのはゴメンなんだよ。」


「そうか・・・、なら小部屋で頼む。武器はとりあえずナックルで。」


「あいよ。そう言えば、人形はいるか?」


「人形・・・、貸してくれ!」


「なら、中に置いとく。増やしたかったら勝手に増やしてくれ。あと壊してもいいけど、設定は自分でしてくれよ。」


 鉄のナックルを借りて小部屋へ。中にはナイフと杖を持ちデフォルメされたゴブリン人形が置かれている。システムアナウンスでモンスターの設定を促されるが、ここにもモンスターの表現設定の項目がある。現在は実年齢に基づいた設定となっているが、詳しくはお化け屋敷にいかないといけないらしい。


「レベルは・・・、とりあえず15。クラス?上中下なら中でいいか?初心者は下のレベル1?俺は格闘技やらもやってるから大丈夫だろう。試し時間にHPなんかは設定後のデフォルトでスタート!」


________________________


       システムアナウンス


 このモンスターの討伐可能推奨レベルは85からと

 なります


 アーツ、魔法、バフデバフの設定がONになっています

 人形が各種アーツ、魔法、バフデバフを使用します


 表現設定が成人になっています

 強い表現が実施されます


※訓練ではナイトメアキャッチャー(復活アイテム)は

使用されません


※訓練ではHPは減少せず、ダメージ値のみ表示されます


 この設定で制限時間内、或いはギブアップ宣言まで

 武器のお試しモードを使用しますか?


         Yes/No

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

「Yesだ!・・・、推奨レベル85?」


「ギギギ・・・、ファイアカノン!」


「ちょっ!」


 迫りくる魔法を避けきれずに抜き飛ばされて、ゴロゴロ転がりながら腹に鈍痛を感じる。ダメージ値を見れば今のレベルなら10回は死んでいるらしい。ただ、痛みはすぐに消える、これならまだ!


「くっ!」


「ギギギギ!!!クロックアップ、マッスルアップ、毒付与、スピードチェイサー!ギギギギ!!!」


 起き上がった時にはグングン加速する人形が目の前にいた。そのまま杖で頭を殴られ、ナイフで刺される。毒の表示と継続時間・・・、毒が表示されてからは体が引っ掻かれるような感覚が起こりダメージ値が伸びていく!


「ま、まだ!」


「連牙脚、奉天脚、飛び蹴り!」


 更にアーツを重ねられ、動かないままどんどんダメージ値は伸びていく!くっ!なんだこれは!武器を試すどころじゃない!いい武器や防具があればいいのか!?レベルがあればいいのか!?


「ギギギギ・・・、オマエ倒す、オマエ倒す!ライトニング・・・。」


「ギブアップ!」


 その宣言のおかげで人形は止まり元の位置へ。くっ!せっかちがいけないのか!再度設定画面を開き下級のレベル1、アーツも魔法もバフデバフもなしにして再戦だ!


「ど、どうだ?」


「ギギギギ・・・?」


 今度は人形が動かない。ナイフと杖を構えてはいるが、なんと言うか地面を杖で叩いたりナイフを掲げて振り回したりと、多分威嚇なんだろうが、先ほどのような無茶振りはしてこない。こ、これならやれるか?


 走り出して拳を突き出せば、ガードされることもなく人形の顔にめり込む。ゴロゴロ転がって立ち上がり、今度は怒ったのか両手を振り回しながら走り寄ってくる。どうする?また殴るか?いや・・・。


「緊急回避!」


 そう宣言すると急に側転した。アシストなのか一瞬驚くも、ちょうど人形が俺のいた位置に杖を振り下ろしていたので、がら空きの腹を殴る。硬めのゴムボールを殴る感覚が拳に残るが、今時点で俺はダメージ表現やらペイン値も最大にしているからこんなもんなんだろう。


「今度は弱すぎるのか?ギブアップ!」


 ギブアップして設定をいじる・・・。その前にアーツや魔法、バフデバフはどうなんだ?俺はそれを何も持っていない。いや、ヒールは使えるんだが・・・。一度出てから考えよう。 


「もういいのかい?稀人さん。」


「アーツや魔法について聞きたい。買えるのか?」


「アーツや魔法?それは修練や訓練しないと覚えられないよ。旅する稀人さんなら秘伝書も手に入るんだろうけど、誰がなにを持ってるかは知らないなぁ。」


「修練に訓練か・・・、この街でも?あと、レベルで覚えられるか?」


「それは次の街かな?ここにはそれができる人がいないし。でも、色々な人に話を聞くといいと思うぞ。それと、年食って勝手に覚えられるなら、誰も苦労しないだろ?精々体の扱いが上手くなるくらいじゃないか?」


「いやしかし・・・、分かった。とりあえずお化け屋敷に行こうと思う。」


 ここで急いでどうする。さっきモンスターにボコボコにされて、自分がなにも持っていないと感じたじゃないか。それに年齢=レベルなら、レベルアップでステータスは上がっても魔法やアーツは集まらないし覚えられない。そう思い店を出てからお化け屋敷・・・。


「風船取って〜!木に引っかかってるの!」


 最初は帽子だったが、誰かが取ったのか今は小さい子供が風船を取ってくれと言っている。ものは試しだ、話しかければなにかあるかもしれない。


「あれを取ればいいのか?」


「稀人さん取ってくれるの?でも、子供は名前を知らない人と話したらいけないんだよ?」


「俺は・・・、秋吉台だ。」


「やった!秋吉台、どれを取ってくれる?」


「どれ?どれって1つしか・・・。」


「いっぱいあるよ?」


 木を見れば無数の風船が!軽い気持ちで話しかけたが、あんなに増えるものなのか?見上げた時は黄色い風船しかなかったが、今見れば色とりどりの風船がひしめきあっている。


________________________


      発生クエストについて


 プレーヤーの行動次第では、メインストーリーとは

 関係のないクエストが発生する場合があります。


※会話や行動で難易度が変わります


※受注するかはプレーヤー次第です


※未達成のペナルティも会話次第で変わります


※同一NPCに話しかけても、発生クエストがおこるとは

限りません


※会話次第ではクエスト発生後に

内容が変化する場合があります


※このアナウンスは初回のみ表示されます

見返したい場合は、UIより確認して下さい



発生シナリオ:風船を取ろう


受注しますか?YES/NO


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


「確認するが、君の風船はどれだ?」


「う〜ん・・・、多分全部!」


「いやいや、流石にあんなに沢山だと君が飛んでいってしまうぞ!?」


「いっぱいある方がお得だよ?早くしないと飛んで行っちゃうよ秋吉台!」


「取る!取るのは取る!せめて色は?何色の風船だ?」


「色?黄色い風船だよ!私の風船は黄色風船だから、黄色風船を取って!」


「分かった、黄色い風船だな?」


 話を進めると風船を取ろうから、黄色い風船を取ろうと受注内容が変更された。そしてYesを選択。それでも10個ぐらい木には風船が引っかかっている。そんな木を前にして・・・、どうしたものか。ジャンプしていくつかは取れるが上の方の風船には手が届かない。ゲーム的な表現なのか家の屋根くらい跳んでるはずなのだが!?


「お前さん・・・、なにやってるんだ?」


「風船を取ろうと・・・!」


 近くを通りかかったNPCが話しかけてくる。話しながらジャンプするが、この木の幹はツルツルしていて登れそうにない。せめて紐でもあれば・・・。


「あんなに高いんだ、登るしかないだろ?ナイフは持ってないのか?あればそれを木に刺して登ればいいんだが・・・。」


「・・・、木のナイフでも?」


「木のナイフ?見せてみろ。・・・、モンスター倒せるナイフなら十分だ。」


 装備をナックルからナイフ2本に変えて見せると、これで大丈夫らしい。順で持って刺しても勝手には登らないので、逆手に持って両手を交互に動かすとスルスルと登れる。更に足で踏ん張るようにすれば、登る速度も上がる。そうして最後の風船を回収するとナイフが木から抜けた!?


「大丈夫?」


「た、多分大丈夫だ!」


「稀人さんは高いところから落ちても、基本的に平気だからなぁ。」


「はい、これが風船。」


「ありがとう秋吉台!お礼にこの本あげるね!」


 風船と引き換えに貰ったのは・・・、秘伝書!本来は1つの秘伝書で1つの魔法やアーツらしいが、今回は選択させてくれるらしい。内容は飛び蹴り、パンプアップ、ファイアバレットの3つ。適当に選んでいいのか?適当に選んだからこそ、俺は秋吉台と呼ばれてるんだが・・・。


「どれがいいと思う?」


「わかんない!」


「なんのどれだよ・・・。」


「すまん。この本で魔法かアーツかバフを覚えられるらしい。名前は・・・。」


 名前を提示すると子供は魔法がカッコいいと言い、ナイフ登攀を教えてくれた男は、プレーヤーが飛び蹴りをよくしていると教えてくれた。ただありがたい情報としては、どれを選んでも後から修練で覚えられるし、どれかを覚えたからと言って忘れるわけではないそうだ。確かに保有スキル一覧のUIがあるなら忘れずに済む。


「パンプアップを選択するよ。俺は殴る方が得意だ。」


 それを選択すると秘伝書は消えて代わりに、パンプアップのバフが使えるようになった。試しに『パンプアップ』と宣言すると、MPが減って代わりに体が軽くなった気がする。なるほど、バフは盛らないといけないな・・・。


 2人と別れ、草むしりで『採取』のしかたを覚え、インベントリに雑草が溜まったり、骨を盗んだ犬を追って屋根の上を走ったりしつつ動かし方を覚える。システム的にアシストされている部分もあるが、主体としては自分がどう動きたいのかに依存する部分が多いな。


「それで、ようやくお化け屋敷か・・・。」


「おや?入られますか?」


「その前に、ここではなにができるんだ?」


「お化け屋敷は恐怖の体験場!ゴーストにレイスに虫によく分からない物まで、様々な恐怖体験ができますよぉ〜?」


「恐怖体験・・・、今の状態で入ると?」


「よくも悪くも極上の恐怖でしょう?貴方がそうお望みになられた。」


 箱頭が単眼をスゥ~っと上に細める。試しの件もあるし、一度表現設定を最低にしてから入るとするか・・・。び、ビビりじゃないぞ?うん。ビビりじゃないんだからな?


「おや?ファンシー体験がお好みですか?」


「うるさい!これで俺は入る!」


「では。1名様、ごあんなぁ〜い。」


 扉が開き中に入る。・・・、確かにファンシーと言えばファンシーだ。辺りは少し薄暗い程度で、飛んでいるゴーストも子供の学芸会の仮装のように見える。歩いているゾンビも血色がよく、包帯が腹やら顔に巻かれているものの、血が滲むようなことはない。虫にしてもそうだ。靴を履いたムカデがつぶらな瞳を輝かせながら歩いている。


「壁も少し傷んだ程度でかなりファンシーだな・・・。とりあえず、設定最大!・・・、うぉ!」


 飛んでいるゴーストはドクロに禍々しい青白いオーラ、這うムカデはリアルでヌメリと光沢で嫌悪感を、壁は一気に傷み所々穴があき血しぶきもついている。あれか・・・、星のカービィとバイオハザードくらいの差か。


 ゾンビはゾンビで腸を垂らし、目玉が飛び出て今までにはなかった悪臭も放っているように思うし・・・。大人でもなにかに嫌悪感を持つなら、ここで設定を試すのも手だろう。


 そんな部屋でゾンビの頭上に殴れの表示が出ているので殴る。そうすれば、首が転がり腹からは無数の虫が!しかも俺に飛びかかってくる!?


「ひっ!設定最低!・・・、今度はまたファンシーか・・・。」


 設定を変えると飛び出した虫はデフォルメされた虫へ、転がった首もデフォルメされて可愛らしく目をパチパチさせている。なんなら歌でも歌っているのか、口から音符が飛び出している・・・。


「とりあえず・・・、最低が小学生低学年レベルなら高校生レベルにしておくか。」


 設定は年齢や世代、或いはホラーが苦手虫が苦手でも調整できる。そもそもプレーヤーは自身の年齢までしか選べないし、安全設定と言えば安全設定なのだろう。細かい設定は後で考えるとして、奥に進むと様々なモンスターが現れる。それを見つつ、たどり着いた扉には拷問体験部屋の表示が・・・。


 中に入るとデカいハサミを持った、綺麗だがどこか冷たそうな女性の神族NPCが出迎えてくれた。ただ、壁には拷問器具と思しき物やトゲの付いた椅子が置かれているのだが・・・。今度はなにをさせられる?


   挿絵(By みてみん)


「ここは?」


「苦痛とは生に対する代償!望む望まぬ関係なく、旅をすれば傷つく事もありましょう。私はその苦痛を少しでも和らげたい・・・。」


「ハサミを向けるな、ハサミを。」


「おっと失礼。さて、傷みを体験されますか?」


「う〜ん・・・。」


 今時点でペイン設定は最大にしている。そして、その最大でも階段でスネをぶつけた程度だし、なにより本当に傷つくわけではなく、脳にはそう言う傷みがあったと錯覚させるだけ。


「仮にゼロにした場合は?」


「この世にゼロはあっても、感覚としてのゼロはない。それは失われたときだけです。なので、その場合はこの羽になります。」


 近寄って来て毛はたきで体をパタパされると、くすぐったく感じる。そして、胸や首、頭だとより強く感じ、ここがクリティカルポイントだと教えてくれる。倍率は2倍?なぜハテナを付けた!


「クリティカルは2倍確定なのか?」


「貴方は掠っても大げさに痛がる方?なら、サッカーをやりますか?さぞレッドカードを量産できるでしょう。」


「OK、そう言う判定か・・・。なぜずっとはたき続ける?」


「毒を貰えば治るまではこのままですよ?それとも、更なる痛みをお試しに?とろ火で炙るロウソクに、鋭く切り裂くムチ、耳元で囁き続ける呪詛に等々・・・、1番人気はムチですね。防具を全て外しムチで叩かれて設定を感じる男性も多く・・・。」


「それは絶対に設定確認じゃない・・・。防具をいいものにすると?」


「当然守られているので痛みは和らぎます。なにより、ないものをあるとするなら、動かし感覚を掴みまたあるとするしかない。」


 医療提携型か・・・。確かにリハビリとするなら傷みと言うか、感覚はゼロにできない。しかし、すっぴんでムチ打ちされるのは癖の問題だろう・・・。だが、文句も言わずにずっと叩いてくれるNPCがいるなら、そう言う扱いも?


「仮に・・・、仮に俺が装備を外したら?」


 一応、今の俺の防具は厚手の服に厚手のズボン。皮の靴で頭にはなにもない。腕輪はのステータスで傷みが減っているなら、それも確かめた方がいいのか?流石に装備を全て外してなにかすることがあるとは・・・。


「裸ムチ打ちをご希望ですか?30分コースとよく言われますが。」


「だからそれと一緒にするな!・・・、低年齢には?」


「私が指でスゥーッと顔や手をなぞるだけです。」


「そうかぁ・・・。一応、上半身に指とムチを一発頼む。」


 先に指でなぞられて、多少の感覚強化を感じる。その刹那にムチで叩かれて、今度は魔法をもらった時よりも少し強い引っ掻いた痛みを感じる。動けなくなるなるほどではない。だが、多少叩かれたりすることへの躊躇いは出る。


「ペイン設定変更、中へ。さぁ!もう一度!」


「30分コース入りました〜。」


「やかましい!」


 設定を変えると確かに痛みは和らいだ。最低を試すと今度はくすぐったい。これなら中程度を上限にすればいいだろう。なにせ、物を掴んだりする感覚とは別なんだし。その後スリップダメージ体験もしたし、先端恐怖症体験もしたが・・・。


「この設定でいいか。」


「ここに入られて30分ですね。」


「くっ!もう出る!」


「では、あちらからどうぞ。」


 見送られながら出るが、何回叩かれて毒を盛られて炙られたか・・・。決して俺にそんな趣味はない。趣味はないのだが・・・。


「どうでしたか?極上の恐怖体験は?」


「俺は・・・。」


「いえいえ、先の言葉はいりません。知らないと言う恐怖、無知であると言う焦燥、理解していないと言う困惑・・・、そのいずれもが貴方を恐怖へと導く杖となるでしょう。そんな経験をここでされた貴方にこれを。」


________________________


      システムアナウンス


 プレーヤー:秋吉台に経験値が振り込まれました


 プレーヤー:秋吉台のレベルが1→2へアップしました


 レベルアップにより振り分けポイントを習得しました


※振り分けポイントは保持できます


※振り分けポイントをいつ使用するかは自由です


※領地システムが解放されました

領地システムについては、領地で説明されます



 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


「む・・・、ありがとう。」


「良い旅を、稀人さん。」


 空が薄暗い。だが、一通りはこなしたか?おかしい、急ぐはずがすべて見てしまった気がする。いや、すべてを見たのか?俺は。だが、先を急がなければ!走って街の外れ、街道へ続く道の手前。そこには多数の男NPCがいる。なんなんだ?


「通してくれないか?」


「あん?あぁ、稀人さんか。行きたいなら行ってもいいが・・・、これから夜だぞ?」


「夜?だからなんだ、俺は先に・・・。外に出るとどうなる?」


「昼間と違ってわんさかモンスターがいる。夜はモンスターの時間だべ。2歳の稀人さんには厳しいべ。」


「だべなぁ。せめてこの辺りでも10歳くらいにならんと、稀人さんでも危ないべ。どうしても行きたいなら、稀人さん同士でパーティーを組むといいべ。でも、それでも1人で行くなら止めはしねぇけっどよ。」


 むむむ・・・、どうする?今あるのはヒールと緊急回避とマッスルアップに木製の武器。ゴブリンレベル1なら勝てる。なら、レベル5や10は?ダメだ・・・、俺はこのゲームでまだ死んでない。

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