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狐と言えば・・・巫女!  作者: フィノ


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240話 境界に立つ者

「浮いても飛んでもいいとして・・・、そのままのブライトのキャラで行くかぁ〜。羽と言えば王子様、王子様と言えば妖精王!」


「分かればよいのだ、分かれば。我は王ぞ!」


 男性アイドルの衣装なら羽くらいあっていいだろう。ワイヤーで吊るされて羽付けて降りてくるアイドルもいるし、AR使ったコンサートとかもう、どんな仕掛けでどこからが現実がも怪しい空間になってるし。


「カエルの王子様じゃなきゃいいけどねぇ。」


「あんなゲコと一緒にするな。で、桃はいつもらえるのだ?」


「今はちょっとなぁ〜。ですよね、三枝先生。」


「いえ?研究協力してもらえるなら、私は構いませんが?当然、先にタンパク質やナノマシン溶液の準備は必要ですが・・・、そう言えばマリちゃんに質問がありました。」


「私にですか?答えられることなら答えますけど。」


「新しいメスが欲しいのですが、なにかよく切れる物を知りませんか?」


「メスですか?そうですね〜。扱いが難しくてもいいと言うなら、ナノテクと言うか分子機械で作られた黒曜石ナイフとかですかね?靭性に問題があるって話でしたけど、それの問題も解消されましたし。それを抜くとセラミックブレードやらダイヤモンドブレードとかの工業製品ですね。」


 黒曜石はめっちゃよく切れる。それこそもう普通に切っても傷みがないくらいスパっと切れるし、分子機械に取り付けるレベルまでやれば文字通り狙ったら分子が切れる。その後はナノマシンが集まってタンパク質に包まれた状態で排泄されるから、人体に使っても後遺症はほぼない。


「・・・、お値段がですね・・・。」


「あ〜・・・、河原で黒曜石拾って打石器作ればいいって話じゃないですからね・・・。ただ、今はそこまでって感じじゃないですよ?使い捨てにしない状態。まぁ、欠けやすいから取り扱い注意品で、再利用するにも溶かして鋳造って話になりますね。」


 確か川端の勤める飛騨製作所はナノマシンと言うか、分子機械とかも取り扱うから、そんな分子やら原子やらを取り扱える機械が多かったなぁ〜。それこそもう、高級機械は会社の許可がでてる部長クラスやら、そう言う機械工学を学んだ人しか使わせないとか。


「しかし、安価な金属メスじゃダメなんですか?高分子顕微鏡とかで見ると、どんなに研磨してもギザギザ刃で先を目指すなら、そのギザギザ部分にセラミック取り付けて滑らかにするとかありますけど。」


「医者として道具には妥協できませんよ。確かに傷跡なくナノマシンや医療ポットは治療してくれます。しかし、逆を言えば医療ポットがない状態でもその精度での切断が求められる。特に、バイトナノマシンとデバイスにも関わる話ですから。」


「なるほど。」


 確かに機器やらを取り扱う中で新米は、ナノマシンが〜やら分子機械が〜やら、果ては医療ポットを柔軟になんて言う、自分が命令する物に注文をつける。そこそこ年数が経った医者は自分の分野に必要かを見極めて財布の紐が固くなる。そして、腕のいい医者ほど自分が直接使う道具にこだわりだす。


 三枝先生と敷田さんは最後のタイプだな。仕様変更でゴタゴタしたけど、結局は自分が使う道具への最適化アプローチだし。しっかし、なにを切る気なんだろうか?


「ちなみに切りたいものは?」


「当然肉ですが?」


「いや!?三枝先生が猟奇的!」


「ツキ・・・、この女は大丈夫なのか?」


「多分?医者って変わり者が多いし・・・。」


「本人を目の前によく言いますね・・・。先に言いますが、私達医者は仲介なくしてメーカーに直接依頼はできません。そしてその関係上、直接機器を借りることもできません。だから、自前で揃える方向に舵を切る。」


「まぁ、仲介なかったら、医者のやりたい放題ができますからね・・・。まぁ、いくつかリストアップしますよ。今ならまだ、社員ですからね。」


「それよりも我は結局桃が貰えるのか否かなのだが?」


 先生はいいと言うし、用意するのは食い物。そして、その食い物もある・・・、足りないか。姫子さんで祝い膳と言った鹿1頭食ってたし・・・。


「渡すのはいい。でも、食べ物が足りない。」


「むっ・・・、それはどうにかならないのか?」


「どうにかって言われても、流石にここに70kg軽くても40kg以上の肉はないしなぁ・・・。」


 流石に死体を材料なんていい出すと、その時点で色々ヤバい。かと言って、通販で肉を大量注文するのもまた違う。なら、どうする?ブライトが言うように太る?


「なら、私の提案を受けてもらえませんか?」


「提案ですか?」


「ええ。医療ポットを使うと言う案です。少なくとも肉が・・・、タンパク質が必要と言うのは簡易的な要因だと私は考えています。」


「簡易的な要因?でも、バイオナノマシンの大元はタンパク質ですよね?」


「ええ。しかし、逆説的な話をすればバイオナノマシンが満たされた溶液内で受肉するのならば、その時点で完成品が出来上がり、エネルギー等は足りていると考えられる・・・。つまり、摂取してナノマシンを生産すると言う工程を、スキップできるのではないかと考えています。」


「つまりは、ナノマシンで3Dプリントするみたいであると。それができるなら、かなり負担は減りますね。」


 確かにドーピングとしてナノマシン溶液とか貰ってるし、そのドーピング剤の中で受肉すれば俺が支払うコストは桃だけでいい。なら、その案に乗ってみる?三枝先生もソワソワしてるし。


「やってみましょうか。いつやります?」


「最短で今晩ですね。医療ポットの方は大丈夫だとしても、ナノマシンの方が足りません。流石にナノマシンを人体の体重分用意しろと言われても困りますよ。準備できたらメッセージを送るので、それまではゆっくりしておいて下さい。では!」


 三枝先生もでは!と言って俺の昼飯を置いて出ていった。ビビることを言うなら、俺は今の今までベッドの上でうつ伏せのままである。なんだろうなぁ・・・、殺生石ってこんな気分?石だから感情なんてないんだろうけどさ・・・。


「とりあえず、AR神社は展開停止。ブライトは・・・、太鼓の練習する?」


「してもいいが、そもそも太鼓もなければ曲も知らん。」


「なら、妾が教えようかえ?」


「雪だるまが?」


「こらこらブライト、これは雪だるまだけど雪女だから。と、曲知ってるの?」


「知っているもなにも妾もあの山にいた。そして、幾度も幾度もしらべは聞いた。なら、嫌でも覚えておるよ・・・。その音が響けば春が訪れる、妾達は次の冬まで凍えて眠る子守唄・・・。」


「そう言えば、なんで電気精神体は山が好きなの?海にも妖怪はいるけど、なんか山は特別みたいだし。」


「山が好き?それは取り違えておるよ。単純に山の方が電気が効率的に使いやすいから。総じて海の電気精神体はデカくなる。或いは限定的にしか現れぬ。逆に山の方は電気が溜まりやすい。それこそ、龍脈やらも地電流が流れるルートとも言えるよ。」


 なんだろう・・・、もっとこう・・・、神秘パワー!とか言われると思ったらめっちゃ科学的に回答された。でもまぁ、確かに電気精神体って名前つけられるくらいだし、そんな解釈でもいいのかなぁ・・・。


 でもそう言われると、アストラルエンチャントとかでぬらりひょんが見えたこともわかりやすいし、どうして効果があったのかも分かりやすいんだよなぁ〜。技術が進んで神秘は死んだと誰かが言ったし、世界は狭くなって物知りになったとも言った。でも、俺は今その死んだはずの神秘と技術の間に立ってるんだよね。


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