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狐と言えば・・・巫女!  作者: フィノ


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239話 人は浮けるらしい

 ほかの案は知らないけど、第一案は神楽を舞って欲しいらしい。それ自体は別にいい。多少鞍馬さんに習わないといけないところや、修正するところはあるにしても一度一緒に舞った。でも、そこに姫子さんが入ると3人で舞うの?


 流石に誰かと合わせて舞うのはどうなんだろうか?大魔法使うなら1人で舞う。そこにPvPやらモンスターが来ればどうにかしていなしたり、攻撃できる時は攻撃しながら舞う。でも、大魔法使う人の横で大魔法使うために舞うことはない。なにせ、同一地点に大魔法を連続で叩き込むなんて、それこそ大規模レイドで且つ、掃討やら露払いをみんなでやるときしかないし。


「練習とかは?流石に鞍馬さんとは舞いましたけど、更に増えて3人となると・・・。」


「姫子は笛だ笛。太鼓やらは他の奴がやるし、舞うのは鞍馬とマリちゃんの2人。ただ、奉納神楽は1演目で1時間以上の場合もある。」


「さ、流石にそれを?それなら断りますよ!?」


「分かってるよ。今回頼むのは大体15〜20分を1演目とするものだ。それを全部で4演目。時間にして概ね1時間ちょい。」


 簡単に言うけどそこそこ長い。なにより神楽って、普通とは違う動きするから結構体力やら筋肉使う。と、その前にこれだけははっきりさせないといけない。


「病院側は?今のところ撮影やらは私でもできますけど、それでも敷田さんに編集してもらったりハルPとしてツッコんでもらったりも・・・。」


「そこは話してる。敷田さんはついてこれねぇ、流石に医者がフラフラ仕事もせずに休むのは悪い。だから俺と柊が監督だ。天野医院長の方は卜部さんからの正式な依頼として、受ける受けないはマリちゃんに任せると言われてる。」


 仕事が早い!そして逃げ道を用意する辺り、卜部さんも上役としての交渉手管を理解してる!ここで蹴ったら第2案、それを蹴ったら第3案。実績を積むと言うことを考えるなら、裏を返せば案件を送り続けて、どこかで受けてもらえればいいとも言える。


 そして怖いのがその案件がどんどんスケールアップすること!ダメなら軽い案件へ切り替え、普通はそう考えるかもしれないけど、人間心理として先に出したものより、後に出したものが困難なら楽な方を選ぶ。


 なによりサラッと1つ目の案件は、この期限までと時間制限もだしてきてるんだよなぁ〜。そうなると、蹴るたびに投げる方は次の期限、次の案件と転がせるし・・・。


「案件は分かりました・・・。」


「巫女さん受ける?」


「受けますよ姫子さん。その代わり・・・、ブライトを出す!それが条件です。」


「・・・、は?ちょっ!マリちゃん!それはあんまりじゃねぇか!?ブライトって・・・、ブライトって誰だ?外人か?」


「妖精王ですよ木本さん。名前がブライトに決定しました。なんか桃が欲しい欲しい言うので、現実世界に呼びます・・・。」


「どっちみちAIのNPCじゃねぇか!確かに受肉出来るのは見た。しかしだな・・・。」


「それが条件で飲まないなら蹴ります。あっ!ブライトは楽器できますよ。二胡とか引けたし。」


「AR表示で勘弁してくれよ・・・。」


「電気精神体だけ受肉とか、かなり不公平ですよね?」


「あのだな・・・、お前まさか本当に対話できる窓口作るつもりか?前に対話してからって話してたがよぉ。」


「さぁ?巫女なんで場を作るだけですよ。当然、受肉云々は話さないにしても、配信はさせてもらいますからね?提供:宮内庁で。それが受ける条件と言うか、私は受けたので後は卜部さんが飲むか飲まないかになります。」


「ちっ!・・・、OKだそうだ。」


「・・・、マジで?」


「卜部さんも俺のスマートレンズ越しに今の話は見てる。『受肉の話を出さないならOK、小太鼓でもさせて。』そう言うメッセージが来た。」


 くっ!1枚上手か・・・。いや、上手と言うよりお互いの言い分が通った?卜部さん的には姫子さんのことを悪い風には思っていない。それはもう、こうして部下の木本さんが姫子さんと結婚してアマテラスにも登録されて、木本さんの両親に紹介するのを止めないと言う点からも見て取れる。いや・・・、もしかして・・・?


「卜部さんが了承したなら、それで話を進めましょう。1つ気になったことを聞いていいですか?」


「なんだよ?」


「いや、木本さんじゃなくて姫子さんに。」


「私?なになに巫女さん。夫婦仲なら円満だよ?昨日もにんにく爆弾にすっぽんにレバニラ炒めに・・・。」


 嬉しそうに話す姫子さん。それを見ながら木本さんに視線を送ると、若干うなだれている。うん。夫婦仲のことや食事について話すのはやめよう。下手したら水といってマムシドリンク出されてるかもしれないし・・・。


「そこじゃなくてですね、仮に今から私が婚姻を認めないとか、離婚と言う話になったら・・・。」


「・・・、その話はやめて。」


「・・・はい。2人は死ぬまで仲がいい。」


 ガチかぁ・・・。そりゃあ、鞍馬さんは空飛んだり風を操ったりしてたけど、窓が凍ってらぁ・・・。そんな姫子さんはフラフラしてるけど、多分バイオナノマシンが急に使われて減ったから?とりあえず、木本さんがプロテインバーを何本も姫子さんに渡し、それを食ってる。


「マリちゃん、不用意はよせ。俺は姫子を愛してる。」


「霜のついた布団と、同じく毛に霜を付けた私に対する言葉それでいいんですね?」


「優先順位は間違わねぇよ。お前さんはそれくらいじゃなんともないだろ?」


「確かに。寒いけど凍るわけじゃないですねぇ。ただ、金髪から白髪に変わるかもしれませんよ?雪山対策なだけに。」


「よしてくれ・・・、白ってのは日本じゃ神聖なんかの意味があるんだから。」


「了解であります、木本さん。」


 確認したかったけど、こうして現実を見せられるとぁ・・・。でも、逆に卜部さんがさせたいことの意味も見えてきた。今の姫子さんはまだ電気精神体としての感覚を忘れてない。だから、今みたいに辺りを凍らせることもできる。逆に木本 姫子の側面と認知が強まれば、美人な奥さんで定着する。なるほど、曖昧を捨てると言うことはこう言うふうなことなのかな?


 ・・・、雪だるまの雪女は大丈夫か!?早く結婚したいからって悪い男に騙されて、浮気やら離婚騒動になったら氷爆弾が連爆とかしない!?今の姫子さんでこれで、能力使いすぎて肉体を失ったら更に枷がないから電気精神体としてフルパワー・・・。こわっ!だから木本さん電気精神体を舐めるなと言ったし、受肉が禁忌枠だったのか・・・。


「ちょっと!僕の部屋の水がいきなり凍ったんだけど!?なに!?今は冷やしキュウリとかいらないよ!?冬だし!底冷えじゃすまないくらい寒いんだけど!?」


「天野医院長・・・。」


「・・・、卜部さん。見てるんでしょ、弁償ね?医療機器全部チェックして影響あるものは全部弁償だからね?」


「卜部さんが『傍観者に払わせるのか?』って言ってますが・・・。」


「木本くん。彼は傍観者ではなく監督だよ。この場を見ていたなら、見ていた者としての義務がある。なにより通信記録を見ればそこにいた事はわかる。安くない請求書は回すと覚悟しておくように。」


「『その件は後で話そう』だ、そうです。それとマリちゃんは案件を受けました。」


「それは僕の口を出すことじゃない別の話だよ。僕はマリちゃんに判断を委ねた、そして委ねた本人が了承した。なら、後は体にお気をつけてと言うくらいだよ。」


「さてと。私はこれから請求書を一旦過大額で作るとして、姫子さんの本質は冬の季語にも使われる女神だよ?下手なことはしないように。特に、妻でありたいならね。」


「医院長ごめんなさい・・・。でも、雪女から夫とったらなにが残るかとか考えちゃって・・・。」


「だから、お前はどっしり構えとけ。木本 姫子は木本 幸喜の妻。前にも言ったろ?今の結婚は安かねぇし、簡単に引っ剥がせねぇ制度でもある。」


「こーちゃん・・・!」


 2人の世界に入って行くのはいいとして・・・。別のところでやってもらいたい。木本さんが食わされているものを考えると、神秘医学的にもガッツリ精力旺盛な体にされていってるわけだし・・・。ただ、もう一つ木本さんに個人的に注文するか。


「木本さん、木本さん。」


「なんだよマリちゃん。変なことを言うなよ?」


「変じゃないですよ?本当ですよ?単純に姫子さんの夫として、配信にサングラスとマスク着けて出てもらうだけですよ?」


「ふざけんな!なんで俺が!」


「いや〜、姫子さん自体人気があるんですよ。木本さんから見た姫子さんは?3、2、1、Q!」


「ギャルぽい性格でボンキュッボン、顔は童顔でアイドル・・・。分かった、冒頭に少し出る。ただ、夫の宣言だけだぞ?」


「それで十分ですよ。なにせ現実世界にログインしているなら、誰とパーティーかははっきりさせないといけないですからね!」


「マリちゃん・・・、意味わかってるよね?それ。」


「わかってるからやるんですよ、天野医院長。むしろ、やらないと危ない。私は病室防御やら病人バリアがありますけど、姫子さんの場合は普通の人間に見える。流石に今時ストーリーやらは簡単にできませんけど、なにかあった後だとマズイでしょう?」


(う〜ん・・・。なにかズレてるけど、そもそもマリちゃんのルール自体が現実世界のルールでもAIのルールでも電気精神体のルールでもないしなぁ・・・。よし!)


「なら、僕はなにも言わないよ。外出届は私か三枝くんか敷田くんにだしてくれればいい。最悪、柊くんのところに泊まるなら、それでも構わない。」


「えっ!?お泊りいいんですか?」


「良い悪い以前に、外で長期滞在した場合、君の耳と尻尾がどこまで隠し通せるのか?それも実体験として知りたいだろう?流石にいきなりバレても困るけど、配信者と言う言い訳もある。でも必要なのは過去でも未来もなく、その時その場にある今だからね。」


 天野医院長がいいことを言う。確かにあるのは眼の前である今なんだよなぁ〜。こんな真面目な話をしている横で、姫子さんが木本さんに抱きついていようが、頬にキスしていようがなんなら、押し倒しそうな勢いがあるのも今なんだよなぁ〜。


「分かりました、その今を大切にします。」


「そうして欲しい。そして、なにかあれば報告を忘れないようにね。」


「そのなにかが起きそうなんで、木本さんと姫子さん連れ出してもらえません?」


「すまない・・・。僕はカッパとアマビエのハーフだから熱いのは苦手なんだよ。本当にすまない・・・。」


「そんな、すまないさんはいらないよ!?絶対面倒だから関わりたくないだけでしょ!もっと面倒呼びますよ!?ブライトとか!羽どうするかと・・・、か?」


「確かAI側の受肉者?受肉キャラクターだったね。羽って、羽生えてるの?せなかに?」


「ガッツリと・・・。そもそもゲーム中に空飛ばせて背中を踏んで踏み台にしたり・・・。」


「・・・。プレイングに僕がどうこう言うのはおかしいけど、それを呼ぶんだよね?怒ってない?」


「今朝一緒にいた時は大丈夫でしたよ?2人で大気圏突入して戦闘機が爆散してパラシュート降下ましたけど。」


「口を挟むのはやめるよ。じゃあ、僕は戻るね!」


「あっ!医院長!2人回収!」


 天野医院長はスタコラサッサと逃げてしまった。どうしたもんか・・・。木本さんが俺に手を伸ばしてくるが、見なかったことにしよう・・・。とりあえずゲームにログインして現実逃避するか、ブライトを呼び出して受肉と言うか羽をどうするか問題を詰めるか・・・。


「ひ、姫子!ここは病室だ!」


「病室?なら産婆さんはすぐに来るよね!?安産型だから多分すぐに産まれるよ!」


「ちげぇよ!むしろそんなに早く産まれてたまるか!」


「・・・、子どもいらないの?雪ん子は冬に産まれて春には消えるんだよ・・・?」


「・・・、そんな事はねぇよ。俺が抱いても凍えねぇ、風呂に入れても溶けねぇ。なにより、子供ならすくなくとも80年は生きる。」


「なら、早くその幸せな80年プリーズ!」


「あ〜・・・、ここは今AR神社を展開しています。神聖な神社で姫始めするなら、不敬とみなして今後ご利益はありません。特に子宝とか、子宝とか、後は・・・、子宝とか。」


「危ない!私の幸せ家族計画が!こーちゃん帰るよ!」


「おう。買い物して俺は帰る。お前はまだ退院してねぇから、病室にいく。いいな?」


「ぐぬぬ・・・、巫女さんが見てるしそうする。」


 木本さんと姫子さんも帰ったか・・・。そのうち搾り取られた木本さんが現れても、俺はなにも触れない。う〜む・・・、割とサキュバスって子供が欲しい電気精神体の総称なんじゃなかろうか?なんだかんだで、勝手に来て勝手に変えることを考えると・・・。


 それはさておきブライトの羽どうしようか?流石にもぎ取るのは無理。部位破壊出来るのはモンスターの時だけだし、かと言って『羽消して?』『いいよ〜』の受け答えはないだろうしなぁ・・・。


「なんにしても呼んでみるか。一応・・・、プロテインバー、ヨシ!ビーフジャーキー、ヨシ!その他ご飯、ヨシ!三枝先生にもブライトをAR表示で呼ぶと伝えて・・・。来いブライト。」


「くっ・・・! ツキ、これは一体・・・!?」


「いや、普通にAR表示しただけだからね?なんでなにかを追っかけてたとか、中断されたみたいに言うのさ。」


 表示されたはいいけど、やっぱり羽はある。しかも小さいのじゃなくてふくらはぎくらいまである羽が・・・。俺の尻尾とは別方向で隠しづらいなぁ〜。なにせ今以上に折り畳めないし。いや、Wのゼロカスならやれる?やってる?


「我とて色々あるのだ。それで?なんのようだ。桃をくれると言うなら・・・。」


「そう、それ。よろこべブライト・・・、君の願いは叶う。」


「なに!?・・・、急にどうした?太ったのか?これだけ食料をだしているなら、食い過ぎで体積が増えたのか?」


「違う!私にも色々あるの!それよりもさ・・・、羽っている?」


 なぜ太ったと思ったのか?答えは妖怪食っちゃ寝だからさ・・・。実際結構食ってるとは思う。でも、体重自体は変動してないし、たまにしかトイレにも行ってない。なら、抜け毛か?それとも、なんかまた進化してる?


「羽?我の羽なら飛ぶのに必要だが?・・・、なにをする気だ!?なぜ急に羽の事を言い出す!」


「ちっ!勘のいいガキは嫌いだよ・・・。ちょっと・・・、ほんのちょっっっと羽を抜くとかもぐとか考えてただけだから、ね?」


「ちょっとで済むかバカ者。」


「ですよね〜。しかし、そうするとどうしたもんかなぁ・・・。でかいリュックでも大き過ぎる問題があるし、ギターケースに入れるのは狙撃ライフルだけで十分だし・・・。」


「おいまて、なぜ狙撃ライフル?ギターはどこへやった?」


「形式美的に?ギターは多分誰かを殴って壊したんじゃないかな?トリエラだし。それよりも、だ。稀人郷に来るにあたって、仕事をお願いしたい。」


「む・・・。ツキが孤児ではないとして、話を聞こう。」


「桃を渡すにあたってブライトには、演奏役として仕事をしてもらいたい。」


「演奏?弦楽器か?我とて弾けるものと弾けない物がある。そもそもなんの曲だ?」


「なんの曲・・・、多分雅楽?ほら、神楽舞う時の音楽。」


「・・・、なぜ我が雅楽を知っていると思った?我は妖精ぞ!東洋音楽をどこで知る!」


「えっ!?これだけボケとツッコミできて知らないの!?ゆ虐とか知ってるのに!?なんで!と、まぁ。やるのは小太鼓だからリズムさえ押さえればいいと思う。」


「太鼓?もう1回叩けるドン?」


「それは大太鼓。小太鼓だと多分座ってポコポコ叩く奴。なお、実物は知らないから検索するように!」


「だから、なぜその知識が我に・・・。」


「・・・、アマテラス。」


「む?誰だそれはアマテラスとは?」


「AIアマテラス。」


「だからそれは・・・、誰だ?」


 じーっとブライトを見る。さて、アマテラスは俺を見ているらしい。そして、情報を欲しがってもいるらしい。なら、ここでブライトを揺さぶったり受肉させた場合、今のブライトではなくアマテラスが入り込んだとしたら?


 多分劇的に情報収集を開始する。それはまだ情報処理としては大丈夫だと思う。問題はアマテラスが来た場合のインフラ。ただでさえ国営AIで忙しいのに、その一部が来たら下手すると処理の限界値そのものが下がるかも。流石にそれを見越して来るとは思えないけど、一応はねぇ。


 ならどうする?答えは桃の種。ブライトになる前・・・、まだ妖精王と呼んでいた頃に俺の中へ消えた種。それを核とすれば多分、アマテラスでは手だしできないと思う。でも、問題は結局羽なんだよなぁ〜。


「う〜ん・・・。流石にカスタムすればいいって問題でもないしなぁ〜」


「そんなに羽がじゃまなのか?」


「いや、個人的にはいる。でも、稀人郷に羽のある人はいない。」


「あの山で会った男・・・、鬼一だったか?あれにも羽はあっただろう?」


「えっ?見えてたの?」


 鞍馬さんの羽は見えるのかぁ・・・。いや、見えない方がおかしい?なにせ電気精神体とAIって同じレイヤーの存在だし。なら、逆を言えばブライトは羽が消せるのか?それとも、物理的にさわれないように・・・、無理だ。受肉した時点で羽はあった。だから、運ぶ時も座らせる時も苦労したし・・・。


「見えるもなにも、そう言う者なのだろう?」


「まぁ。そう言う人ではあるんだけど、あの羽根は普通の人には見えないの。そもそも、その羽も多分触れる人しか触れないし・・・。」


 割と羽問題は手詰まりか?と、言うか俺がこの姿のまま神楽殿で神楽舞っていいのかも怪しい。まぁ、オファーするからにはいいんだろうけどさ。とりあえず腹が減ったのでプロテインバーをもぐもぐ。


「マリちゃん、来客があったので遅くなりましたがお昼です。AR神社とブライトですか。もしや、これから受肉を?」


「三枝先生・・・、お知恵をお貸しください。」


「知恵ですか?どのような?」


「神秘医学の医師は人はコスプレしても怪しまれない。」


「語弊があります。必要だからそうしているだけです。まぁ、変わり者が多いのは認めますが。」


「そこではなくてですね・・・、ブライトの羽。これをどう説明します?」


「羽ですか?・・・、前提として。先ず人に羽は生えません。これは骨格的な話でもあり、仮に肩甲骨からの延長を考えても無理です。次に羽による飛行、これもまた無理です。それを行えるだけの筋力が必要となり、人の重量を羽ばたいて浮かせるとなると、少なくとも翼幅が10m以上の羽が必要となるでしょう。可能とするなら高所からの滑空ですが、それを行った場合ハングライダーの様なフレームがないので即刻墜落します。」


 やっぱり人は飛ばないらしい。まぁ、飛べるなら今頃空は大渋滞だろうし、空で轢き逃げ事故と言うか飛行機からしても邪魔で仕方ないだろう。むしろ、飛べるなら最初からはねがある?


「いや〜・・・。物理的に無理そうなのは分かってるんですけど、キャラデザとして羽があってゲームとしては飛んでるわけでして・・・。それを受肉させた場合、羽もついてくると言うか、羽も含めてブライトと言うか・・・。」


「ふむ。楽に言い訳をするならマリちゃん同様コスプレでしょう。本気で隠すと言うなら、ポンチョやレインウェアの様な背中が盛り上がっても、不自然にならない衣類となりますね。」


「う〜ん、コスプレ配信者チームとするのが楽か。・・・、ブライトってそもそもこっちで飛ばないよね?」


「知らん。そもそも我は毎回腹ペコである。しかし、飛ぶと浮くは別問題だそ?」


「いやいや、人は浮かないよ?」


「特定の条件なら浮きますが?単純に考えるなら、空気の密度よりも人の密度が低ければ浮きます。現実的に考えるなら六フッ化硫黄で満たされた部屋なら、人が浮くことも可能でしょう。」


 知らなんだ、人は光るし条件が揃えば浮くらしい。とりあえず、うちわ。浮いてもいいようにうちわ・・・。いや、大麻があればどうにかなる?

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