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狐と言えば・・・巫女!  作者: フィノ


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238話 オファー

 デジタルお賽銭。スマートレンズでQRコード読み取って、額を指定するとARで賽銭箱へお金が飛んでいく。原理考えると投げ銭と変わらないよなぁ〜。むしろ、そっちの方が神様には届きそう?なにせ目に見えない相手に渡してるわけだし・・・。


「しかし木本さんはと言うか、ご両親はよかったんですか?結婚式と言ったら両家が顔合わせてから、友人知人呼んだりしてってイメージですけど。いや、今だとAR出席とかVR結婚式もあるから・・・。」


「おう。遠方なら遠方でそうやって参加する奴もいれば、逆に毎日会おうと思えば会えるから言葉だけって奴もいる。俺の場合は事後報告で助かったと言えば助かった・・・。」


「助かった?」


「こーちゃんのお友達とかから、嫉妬の視線がいっぱい飛んできたんだよね〜。色目使う女どもは敵だけど。」


「やめろ姫子・・・。親族やら両親から『お前・・・、なんの罪を犯した?』やら『前世でなんの徳を積んだ?』と散々冷やかされて、男どもからも誰か紹介しろって散々、な・・・。」


「あ〜・・・、美人の嫁さん欲しい的な?」


「そういう事だ。」


 と、疲れたような木本さんが言うけど。卜部さんがここに来たことを考えると、座敷童子大先生的な扱いを雪女にしたいとか?ある意味合理的と言えば合理的なんだよなぁ〜。


 卜部さんは戦力が欲しい、雪女達は結婚したい。そして、互いの利益を考えるなら雪女達に相手を見つけてもらって、人間側についてもらって電気精神体側の戦力を削る。


 雪女が総体なら、どれほど結婚させればいいかは分からないけど角砂糖だってアリにたかられれば、いずれはその姿を消すし・・・。もしかして、過去の生贄差し出しとかって電気精神体に依り代与えて、それを討伐してから相手に『倒せる』って認識を与えてたとか?


 実際、姫子さんが雪女のままで木本さんが婿に行った場合、木本さんは雪山に囚われて毎年冬は雪山のどこかで雪女と過ごすことになってたんだろうし、電気精神体の基盤が伝承だとするなら『私のことは口外するな』と言う、雪女の伝承からすれば、毎年雪山にこもった時に違う雪女が出てきても曖昧だから仕方ないとも言える。


「卜部さん的には木本さんの件は・・・。」


「卜部さんか・・・。悪いが俺もあの人には頭が上がらねぇよ。そもそも上司だしな。ただ会いに来たならそれだけマリちゃんに興味があるんだろうさ。一応言っとくが、腹黒いかもしれねぇが、人間にとっちゃ悪い人じゃねぇ。」


「私は会いたくないかなぁ〜。宮内庁、卜部って聞くと厄介って寸法で面倒そうだし。」


「雪女的には・・・、あら?雪だるまが止まってる。」


「多分名前聞きたくないからドロンしてるんだよ。聞かず、見ず、見つからず、そうすれば曖昧なままで面倒は避けられるし。」


「流石妖怪の嫌がる卜部姓。えっ!ほかの卜部って人もダメ?」


「そんなこたぁねぇよ。ただ、好まれはしねぇな。例えば、だ。虎穴に入らずんば虎子を得ず。それを聞いてから虎のいる穴に入る奴がいるか?実際は虎子じゃなくて猫だったとしても、入るまでは分からねぇし。」


 一応、卜部さん全員が電気精神体全体から嫌われてはいないようだ。まぁ、同姓の人なんて探せばいるしなぁ〜。それこそ藤原さんもいっぱいいるし、全員が平家の末裔でもないだろう。


 でも、名前は重要っぽいし・・・。あれか、初代藤原さんがいてその他に藤原1藤原2と増えていく感じ?トラブルオンラインっぽい解釈だけど数字が増えれば藤原さんでも別人だし。なら逆に直系って?


「卜部さんって卜部 季武の直系なんですよね?」


「おう、前にも言ったろ?今に続くまでの家系図が全部残ってる。」


「あっ!なるほど。だから電気精神体としてもバックアップがあって怖いのか。」


「そう言うこった。ただ、忘れるなよマリちゃん。お前は俺たち側じゃなくて開祖側だ。積み上げた末の雁木姓じゃねぇ。積み上がった先の新しい者だ。曰く稀人とは遠い異郷や他界から、時を定めて人々のところへ来る神や霊的な存在のことだ。」


「あいあい、狐巫女がそのあたり歩いててもいいくらいには、地に足のついた存在になりたいですねぇ。そう言えば、今日は新年の挨拶と参拝料金の支払いですか?」


 大きな報告と言えばそれだし、お金面でルーズじゃないのも好感が持てる。そもそも俺がやらかしたと言われたらそれまでだけど、少なくとも人命は救ったし大きな問題も起こってない?まぁ、電気精神体である雪女は受肉して姫子さんになったけど・・・。


「あ〜・・・、それなんだが・・・。俺と柊はマリちゃんの監督に一応なる。」


「それはまぁ、卜部さんからもそういう風な話は伺ってますが、なにも決まってませんよ?」


「だから一応だ。提供:宮内庁を入れない限り、俺たちからはどうこう言うこたぁねぇし、普段通り生活してくれればいい。その中でオファーっつうか、提案なんだが・・・。」


「巫女さん、私を雇って?」


「・・・、は?」


「巫女さん、私を雇って!」


 姫子さんが俺の頭に向かって話しかけてくる。いや、まぁ。そこに耳があるからいいんだけど、目の前には大きなお胸がたゆんたゆんと・・・。と、そこじゃない、そこじゃない。


「あのですね、姫子さん。私は今個人営業主で収益としても、そこまであるわけではありません。今の登録者数が大体4000人ぐらいとするなら、月に概ね1〜7万円。そこに投げ銭があるとしても約10万円からと言った具合です。」


 配信者としては新参者。今生活できている資金繰りとしては1、病院からの被験体報酬。2、退職金及び今月まで分の会社からの給料。3、慰謝料の株式運用。と、まぁ。今すぐお金で困ることはない。


 でも、逆を言えば3だけ残る可能性もある。配信者として大成するかは分からないし、そもそも大成狙ってない存在証明だから、結構自由にやってるしなぁ〜。そう考えると『お金に困った?なら、ウチおいでよ。』と、卜部さんからオファーが現実味を・・・。いや、華澄から主夫お願いルート?


「巫女さん・・・、お金ないの?」


「お金がないわけじゃない。でも、人を雇うってことは、それだけお給料が必要なの。それが払えません、薄利給です。でも、こき使いますじゃ成立しないの。」


「知ってるよ?でも、私のお給料は宮内庁から出るらしいよ?」


「????なして?」


 イマイチ姫子さんの話じゃ要領を得ない。木本さんの方を向くと、どこか申し訳なさそうにしているけど、もしかして卜部さんの差し金?別に演者が増えたりする分には構わないし、俺とブライトの漫才だけじゃ飽きられる。なにより、メインがトラブルオンラインと言うゲームだからイベントがないと、ネタがなくて詰む可能性も・・・。


「卜部さんがな。仮に姫子が人間社会に溶け込んで人として堕ちるなら、手っ取り早いのは認知だって言うんだよ。まぁ、その話は俺も分かる。相手を見定め何者かを問い、その結果本人が決定したなら形を得る。ただ、今度はその先の問題でどこまで認知が必要なのかは分からねぇ」


「いや、姫子さんはここにいるし。」


「人は生まれてからずっと誰かに見られてんだよ。親子、病院の先生から始まり学校、会社、その他出歩けば無意識の誰かからな。でも、姫子はつい先日産まれて・・・、ログインして?ここにいる。だから、認知が足りねぇ。」


「そうは言ってもアマテラスとかには登録されたんでしょう?」


「されたと言うかした。でも、まだ足りねぇ。その証拠がコイツはスマートレンズなしにしても、電気精神体が見えるだろ。」


「見えるって、木本さんも見えるじゃないですか。あら?でも華澄は見れない?狐の窓のせい?」


「俺はそう言う風な者を視る様な訓練を受けてんだよ。そして、書物や木簡で相手を縛って相手の存在そのものを浮き彫りにする。ただ、そう言った人材も減って、スマートレンズに頼って目を潰すやつもいる。いいかマリちゃん。人は死んだからいなくなるんじゃない、忘れられたからいなくなるんだ。」


「それは分かりますけど、逆に認知を上げるとどうなるんです?」


「マリちゃんの場合は別として、葛の葉ルートだな。恩を受けて人となり、子をもうけるも見破られて姿を消す。要は姫子が雪女だとバレれば雪女に取り込まれる。逆に木本 姫子となれば器がある以上、ここに残る。そして、雪女の場合は先に思いとして結婚したいがある。」


 つまり雪女は全体的に人間側に寄りたい?まぁ、毎年雪山で人攫いするよりは、どうにかして人間側に寄って婚活した方が、楽とは言わないけど円満に結婚できなくもない。いや、もしかすると宮内庁の人の嫁さんが全員雪女でもいいのかな?


 木本さんは好みを伝えて今の姫子さんの性格なわけだし、体は・・・。なんか見たときからムチムチしてたけど、本人がゼクシィとか言ってたから、男の人の好みを研究した結果とか?侮りがたし雪女の結婚欲・・・。まぁ、雪だるまの雪女も虎視眈々と夫探ししてるわけだし


「う〜ん・・・、お給料の話は分かりました。雇う理由も分かりました。で、なにさせるんです?全部が全部企画からやれと言われると、結構困りますよ?」


「第一案はある。」


「第一案ですと?」


「鬼一んとこの神社で新年の奉納舞を15日にやる。そこで舞ってくれればいい。それが第一案だ。」




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