↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
狐と言えば・・・巫女!  作者: フィノ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
230/326

218話 プレーヤーは死ぬものです

 抜かれた杭を邪神はもて遊ぶようにくるくる回した後、一気に握り潰し小指からゆっくりと手を開いていき、その中にあった杭が砂粒のようになった姿を見せつけてきた。


『■■■がロストした。もう■えない。』


「な、なんて言った?聞こえた?」


「雑音で一部は聞こえないな。回復助かったが・・・、流石に一筋縄では行かないか。」


 演出なのか分からないが、芋虫NPC達はそれを見て飛び出した芋虫部分が下に下がったように思う。どうする?杭はまだいっぱいある。それこそもう、イベントアイテム交換用にある分の欠片すべて杭にした。


 でも、邪神特攻だった杭が、こうもあっさり抜かれたり砕かれたりしたらきりがない。絶対になにかあるはずだ。それこそもう、絶対になにかしらの法則やら見落とした点が。


「そう言えば、邪神リローデッドの討伐形式見ました?」


「あれか?殴れ。その下には銃と銃弾が表示されていた。」


>> 運営が雑!


>> いや、攻略方法教える運営もおらんだろ


>> 銃と銃弾って・・・、なに?


>> 潜水艦だろ?

  沈没しそうな時に責任持って

  死んで次に回せって言う


>> 運営の目がバキバキにキまってる

  のは分かった


「銃と銃弾?そりゃあリローデッドだから再装填しろってことでしょう?」


「再装填?再構築だろ?」


「「・・・、運営やりやがったなぁ!!」」


 そう叫ぶしかない。そう考えるしかない。再構築と言うなら杭は邪神と同じ位置に打ち込まないといけない。でも、俺は腹に打ち込んで振り払われた。クインズさんは多分成功なんだろうけど、まだ何かたりなかった。そして、殴れ・・・。


「特殊モーションですよね?」


「今ある情報ならそうなる。杭を差し込んで拳連打。つまり、封印の再構築・・・。」


「そして、誰がそれを再装填するのか?当然私たちが邪神を封印しなくちゃいけない。なにせ、杭の名前は邪神を封印せし者の杭!で、どこに刺さってたのコレ?」


「ネタバレだが?」


「鉄砲玉の私達ですよ?殺られる前に殺る!」


「芋虫が出ている位置・・・。」


『■■が増えた。』


 邪神のなんと言っているか分からない部分はいいとして、多分悠長にしすぎた。背後から布を破くような音がし、振り返るとそれは立っていた。黒い繭の位置に。頭の片方には角のように見える狐耳、男のような輪郭に痩せ型ながらも筋肉質、顔は黒塗りで見えない。代わりに、俺の10尾を真似るかの用に背後には10の芋虫が・・・。


『前!前に進む者たちよ!』


「ちょっと待てぇーー!!大魔法!それ大魔法!」


「潰すぞ!」


 邪神が腕を振るうって!マジか!アレも落とす気か!二手に分かれる?邪神を倒す?詠唱を潰す?ダメだ、どう考えても詠唱完了までに邪神は倒せない。なら、あの詠唱を潰すしか!


 クインズさんと走り出して一度目の巨大アーム薙ぎ払いは回避した。ずるい事に詠唱している『ツキンズ?』とか言うクソ雑な名前のモンスターも詠唱しながらかわした。ただ、ここからさらに邪神が邪魔しやがる!


『音楽は好きなんだ、だからこうして聴いてる。』


「勝手に聞いてろボケ!」


「それよりも早く行くぞ!ちっ!何回振り回しやがる!」


「そこ!その舞なら絶対そこ!ファイアバレット!とめる!絶対にとめる!」


 他の詠唱も止めるけど、あの詠唱だけはマズイ!俺が詠唱しているわけではないけど、あの詠唱は妖怪を・・・、電気精神体に対してのメッセージになり得る!声は違う、姿は違うでもアレもまたコピー品なんだろ!?


 ファイアバレットは巨大アームに止められた。続く魔法もまた止められた、加速してバフを盛って今までないくらいに速度を上げて、更にアーツで加速した。だが、目の前のツキンズは舞をやめない!


『兵!・・・、兵どもが夢の跡・・・。』


「そこだ!悠長な舞に入るならここで崩す!金剛夜叉!発剄!浸透勁!六道輪廻!乱打掌!」


 クインズさんが近寄り一気にバフを盛り乱打を叩き込む!でも、それまで真似るのかよ・・・。背後の芋虫が千切れ飛びツキンズは無傷!後2本!真似ているなら後1本落とせばダメージが入る!


『臨・・・、臨む者。望まざる者・・・。』


「サンダーレイ!ファイアカノン!ライトニングチェーン!」


『お前が死んだら悲しいもんな!』


 全ての魔法は縦に差し込まれアームで防がれた。でも、アームの姿が見えているなら邪神の手数は減っている!打撃技が入るまで近寄ったクインズさんなら、それで確実に潰してくれる!


「柔術:天地落とし!なっ!?」


 アームが動く。驚いたクインズさんの声が木霊する。なんで・・・、なんでだ?確かにその声は背後から聞こえていた。なのに、なんでクインズさんは邪神を投げている!?


『百鬼夜行・・・。』


 プレーヤーの使う魔法やアーツ、バフはモンスターやNPCと共通である。それはこのゲームシステムの根底といっていい。なにせ、プレーヤーは呼吸法やら初期魔法はNPCから教わる。なら、秘伝書は?当然過去の誰かが残したものになる!


 ランダムに召喚される妖怪達・・・。そのどれもが邪神同様に芋虫をどこかに付けている・・・。ほうけている場合か!あの大魔法の最大の欠点はMPが底をつくまで召喚し続けること!なら、まだ勝機はある!


「クインズさん!」


「邪神!俺の前によくも立ったなぁ!」


『危ないじゃないか、スマイルスマイル!』


「それはどのNPCの言葉だ!」


 武器の持ち替えは1カウント!その1カウントがたまらなく遠く、そして埋められない時間で邪神はフィールドに潜った。瞬間移動じゃなくて潜っての移動・・・。そりゃあ、アレだけアームが振るわれる中で俺達には気づかれないように動くなんて無理だろう。


「ちっ!外した!」


『爆裂掌!』


「がっ!」


「ふざけんなツキンズ!刀術:抜刀七連!」


 2発は入った!だが残りの5発は召喚されたぬり壁に阻まれた!って、爆裂掌自体はそこまで大ダメージが出る技じゃない。バフも盛ってないはずなのにどうしてクインズさんがポーションやらヒールを?


「ツキ下がれ!そいつのステータスは邪神並みだ!」


『ファイアバレット・・・!』


「弾速も速い!そして、私が嫌なことも知ってる!」


 ぬり壁で視界を塞いで左右に移動ではなく、ぬり壁の真上から初期魔法マシンガン!緊急回避で避けたものの、3発当たり尻尾が千切れ飛ぶ!手数押し付けが一番嫌!だから高速アサシンも嫌!


『俺のことを忘れてないかい?』


「なっ!」


 緊急回避した先に邪神!飛び込むような形となり、そのまま頭を雑で大振りな打撃で・・・、セコい!その芋虫セコい!顔と背中の芋虫5回の痛打で尻尾は残り1、それを嘲笑うかのように指でちょんと突かれて尻尾は全損。


 あぁ・・・、こいつ逃さない気だ。さっきのが大振りな一撃なら吹っ飛んでも立て直せた。でも、攻撃判定のある最小攻撃で俺を留めた。なにができる?何の手札がある?俺に今何ができる?


「狐の嫁入り!」


『君には生きていてほしいんだ!』


「・・・、がっ!」


 宣言は通した!魔法は確かに発動した!大麻で受け流しもできず振り下ろされた腕で俺の頭が潰されて、クリティカル一撃死でも召喚獣は平伏する!これで、百鬼夜行の火力担当は全員平伏する。その代わり・・・、デバフ要員は動き・・・、回る。


>> ツキちゃん死んでしまうん・・・?


「ちっ!邪神こっちだ!俺を見ろ!決闘の誓い!」


 どっちだ?ヘイトは買った。しかし、ツキさんはどっちだ?ナイトメアキャッチャーをONにしているか?物見遊山・・・、今となっては朝の会話が懐かしい。既に今は17時、休憩を挟んだとしてもかなりの長丁場だ。


 ナイトメアキャッチャーをONにしているなら、その場で復活するたった一度だけの使い捨てアイテム。使っていないならこの下のリスポーン地点にツキさんは復活する。リローデッド・・・、仮にプレーヤーを弾として再装填していると言うなら、俺達は充分にツキさんが言う様に鉄砲玉としての役割は果たした。


 なにせツキさんは配信者。今の戦いを多くのプレーヤーが見ている。そして、その多くのプレーヤーがどう攻略するかを考える。そう考えれば、俺とツキさんがやった事に意味はあった。目の前にまだ邪神とツキンズがいようとも、だ。


「金剛夜叉、悪鬼羅刹、飢える者。」


『金剛夜叉、パンプアップ、アストラルアーム、駿馬脚!縮地:崩拳!』


 たちの悪い・・・、デメリット多めの強化バフは真似ないか。飢える者・・・、筋力を最大強化する代わりに、MPの回復が1/4になる扱いの悪いバフ。普段が秒間4回復するのに1秒で1回復と言われればその遅さがわかる。これを使ってくれれば、魔法封じには最適だったんだが・・・。


 どちらを優先する?ツキさんが死ぬまでの邪神やツキンズの行動を見れば、邪神が主体で攻撃してくることは少なかったと思う。なら、ツキンズを無視して邪神に挑むのか?それではツキンズにまた大魔法を使わせる時間をくれてやることになる。


 チラリとツキさんが死んだところを見れば、復活する兆しはない。なら、今俺ができることをやろう。一瞬、ほんの一瞬だけツキンズの方には気を向ける。殺気なんてものは分からない。分からないが、要は攻撃するという意思を示せばそれが脳波に乗って相手に届く!


「悪いがお前の相手はまたいつか、だ。継ぎ接ぎ野郎。」


 加速バフに更に加速して放つ縮地:崩拳。何度その技を使ったと思っている?何度その技をPvPでプレーヤー相手に放ったと思っている?どこで踏み切り、どこまでが拳が伸びるのか?模倣されているからこそ、それは分かりやすい!


「緊急回避!」


 俺が2択で選んだモーションは前転。側転ならそのまま立ち技に繋げやすく、姿勢もさほど変わらない。なら、前転回避の最大の利点は?単純にクラウチングスタートがきれる!


 MPの回復は遅い。それと引き換えに手に入れた筋力はそのまま大地を踏む力となり、頭の上を通り過ぎるツキンズの拳をやり過ごし、目指すは邪神ただ1つ!無駄死にとは言わせない。既に手には杭がある。コレを邪神に一つに打ち込み、それを持って成果とする。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。