217話 2人で挑むもんじゃない!
「リスポーン更新は無しか。」
「今の攻略方法が広まれば、そこそこ安全にここまで来れますからねぇ。」
まぁ、ラーニングして遠距離主体で隊列を組まれたら、たまったものではないけど確実に無理とは言えない。ついでに言えば、人数がいるならプレーヤーが押し込むこともできる。なにせ御来光ヘルメットがあればMPを攻撃や回復に回せるし、初心者でもここにいる意味が生まれてくる。
そう、ここにいる意味が。確かに連れてくるのは大変かもしれないけど、それの見返りとして高レベルプレーヤー全員を攻撃リソースにできると言うのは大きいし、初心者としても高レベルプレーヤーの動きを見たりして勉強にもなる。
「次は簡単にはいかんよ。ギミックかAIの混乱かは分からない。まぁ、簡単に混乱するほど雑なAIではないと思うが・・・。」
>> ツキちゃんコメント見てる〜
邪神移動したってよ!
>> 潮彩・・・
なんか海のド真ん中に邪神がおる
>> 流石に飛び降りプレーヤー多すぎて
ジャイロから離れたか
>> 次はプレーヤーが魚の餌になるのかぁ〜
「どうした?」
「いや。今参拝者さんからコメントがあって、邪神が移動して今は海の上にいるとか・・・。」
「水蜘蛛で走ればいい。ツキさんは?」
「水蜘蛛もウォータースライドの魔法も覚えてますよ。うわぁ・・・、水蜘蛛はマスターとまではいかなくても、結構体型で難易度変わるし、ウォータースライドは秘伝書で出ないことはない魔法だけど、死蔵してる人も多そう。」
「高HPビルドほど、体格はふくよかになるから仕方ない。そもそも樽型体型で水の上を走るほうがな・・・。」
>> なぜこの2人は船という選択肢を捨てるのか?
>> 多分落っこちたらを考えてるんだろ
>> あぁ・・・、海辺の街から戦艦出てきた
>> 海魔に食われそうだな・・・
>> 攻勢に出るのか?
なんかNPCがプレーヤー集めてるけど
>> どうだろう?
と、言うかNPC的には滝壺ダイブはNGとか?
普通にNPCは死ぬし、復活もないし
>> 考えてみればプレーヤーは正気の沙汰じゃねぇな
>> ノーロープ滝壺バンジー・・・
死ぬな・・・、航空機もモンスター考えたら
あそこに配置するのは無理がある
>> つまり、キャプテン達は移動を見越して
有利な場所に来るのを待っていたと?
>> プレーヤーは脳筋、いいね?
「・・・、結論として私達は脳筋らしいですよ?」
「色々すっ飛ばしてるが、一体君の目にはなにが映ってるんだか・・・。さて、休憩はいいとして先に行こう。と、その前に。多分俺達は負ける。」
「あ〜・・・、流石にレイドボス2人じゃ勝てない的な?」
「いや。ここまで来て適正人数を出さないなら、なにかしらのギミック解除で弱体化はできるんだろう。この杭とかな。ただ、そもそもメインストーリーの邪神は・・・、なぜ耳を塞ぐ?」
「ネタバレ禁止故、聞かないというポーズを最大限とってます。」
「・・・、なら言わないが。1つだけ伝えておく。多分、この邪神はフルパワーだ。」
「フルパワー・・・、なら大丈夫ですね。どうせ初見だからフルパワーだろうと、プロトタイプだろうと知ったこっちゃありませんよ。」
そう言いつつ、流石に正月装備では攻略できないと思い巫女服に緋袴、下駄等のいつもの装備に変えていく。くっ!地味に正月装備はやっぱりステータスがいい。今の装備を超えることはないにしても、一部では迫るところもあるし。
まぁ、その分低いところも多いし、外観変更もできないのがネックと言えばネックか。・・・、正月以降もこれを装備してウロウロしてる人がいれば、装備の揃ってない初心者として見つけやすい。
「確かにそうだな。どうせ初見レイドボス、負けたら海を走ればいい。囚われのツキさん目指してな。」
「早く来ないと、犯人みたいに真っ黒になってるかもしれませんよ?」
そんなバカ話をしながら階段を上がる。さてはて、邪神ってどんな姿かな?攻略も見なければ、いつか自身の手で倒すとしていたから姿も知らない。人型だろうか?獣型だろうか?或いは目玉?登り上がった先に・・・、レイドを意識してかバカ広い頂上にはそれは・・・、いた?あった?
「・・・、なにあれ?」
「邪神だ!さっさと潰すぞ!」
形は人型っぽい。ポイと言うのはこう・・・、子供が雑に粘土で人間を作って、それをロボットだと言い張るために鉛筆とかハサミとかを練り込んで、飽きて放置したら崩れたような・・・。アンシンメトリーでグロテスク、顔だろう部分からは黒や緑、肌色の芋虫のような物が3つ飛び出ていて、背中からも羽にもならない芋虫が同じように生えている。
なによりその芋虫が脈打つし、這うように色が移動しているのが殊更キショい。うわぁ・・・、邪神って言うからもっとこう・・・。ローブとか着て頭からつの生えたようなヤツとか、神聖なのに黒いオーラ纏った老人とかだと思ったのに、ガチグロ案件じゃん・・・。
>> グロ中尉
>> グロ中尉!グロ中尉じゃないか!
こんなところにいたのか!
>> あ・そ・ぶ・な!
グロ注意な?元日の昼過ぎになんてもんを見せる!
>> 正月気分消し飛んだ!
>> その気分お焚き上げしときますね〜
「つ、潰すって!?うおっ!この塔のアームが何本も!って、アレもなんか先端が蠢いてる!」
「くっ!」
バカでかいアームがビーム撃つと思うだろぅ?残念!追加の人と同じくらいの芋虫を、ドバドバ降らせてきやがった!クインズさんはそれをどうにか回避したけど、この芋虫どんだけ出てくるの!?そして、モゾモゾ動いてるのにやたら早い!
「ひぃぃ・・・!虫は嫌い!イフリートハンマー!ファイアカノン!ボルケーノ!朱雀舞!ファイアマイン!狐火!」
『助けか!ようやく助けが来たのか!ツキ!俺だ!昔ガメデへの荷運びを依頼したコムズだ!』
「えっ?」
「聞くな!知ってる声だろうと、偽物だ!」
「っ!!」
知ってるもなにも、ブライトと幼体を一緒に運んだコムズの声が聞こえる。その他にも過去に知り合って死んでしまったNPC達の声も・・・。そんな中で一匹の芋虫の背中が『クチュリ』と言う音と共に割れた。
「コムズだ・・・、コムズだ・・・。サソリに・・・。」
「お前は死ね!ツキさん!呆けるな!」
「今・・・、邪神みたいに緑の芋虫生やしたコムズが・・・。」
「だから言っただろう!フルパワーだと!あの芋虫、絶対に触れさせるな!さらなる悪夢が押し寄せるぞ!」
「・・・、分かった!」
コムズが本当に死んだのか?それはもう分からない。なにせ、オオミカ全体で邪神と戦っていて、それこそもう。兵士じゃなくても綿棒持って参戦するくらいだ。だから、知り合いのNPCが死んでないとは言わない!
「燃えろ!メテオ!」
「まて!」
ドカンと1つ隕石が降ってくる。そこに10カウントは残るし、スリップダメージもはいる!乱発できるほど安いMPじゃないが、これなら十分にダメージも・・・。
『熱い・・・、熱い・・・、火耐性(小)習得。熱い・・・、熱い・・・、火耐性(中)習得・・・。』
「はぁ!?」
「だから言っただろう!邪神をさっさと潰すと!覚えられる前に本体をくっ!邪魔だ!ノックバックフィスト!」
『ノックバック耐性(小)習得・・・。』
「ちっ!」
既に隕石は消え、見える範囲にいるのは芋虫が生えたNPC達・・・。知っている顔もあれば、知らない顔もある・・・。いや、すべて知らない!顔から芋虫生やしたような知り合いなんていない!
「本体1点狙い、OK?」
「さぁ?俺だって初見だ。なにがあるか分からん。だが・・・、殴ればいつかは死ぬ!」
>> 雑魚が多いんですが・・・
>> 絶対悪い文明の運営なにか隠してる
>> そもそもレイドボスに2人と
いう時点で頭のネジはない
>> それを言うなら、モンスターをデザイン
したヤツの頭のネジもない
>> 代わりに芋虫だろ?
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潮彩キャプテンのロイドだ
誰かが邪神中枢と接触した・・・。
最悪だ!最悪の状況で接触してしまった!
すべてのキャプテンと稀人諸君に通達する!
かつての再現が起こる前に
這い出たものを潰してほしい!
海洋に出て、広がる前に・・・
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「まさかのキャプテンからのワールドアナウンス!?」
「激励はしてくれないか・・・。」
今・・・、俺とクインズさんは意気込んだ!邪神を倒すと・・・。回答は最悪という返答ですた・・・。って、しょげてる場合じゃなぁい!今は火に耐性がついた、ノックバックにも耐性がついた。耐性(大)が最高として、覚える速度が分からないのが痛い!
「影走り!一閃!」
「ガトリングナックル!爆裂掌!縮地:崩拳!」
流石に斬撃耐性や打撃耐性は習得しづらい?って、相手のリーチ長っ!そしてキモっ!なんで芋虫部分が伸びて殴りつけてくるんだよ!
「邪魔だ!部位破壊を兼ねて斬る!・・・、マジ?クインズさん、知ってた?」
「いや、流石にコレは初見で想定外だ!」
芋虫は根元から切れた。そして、新しい芋虫になった・・・。なにを言っているか分からないが、俺にも分からない。そんな中で本体だろう邪神が不格好な指揮をするように腕を振る・・・。
「飛べ!」
「言われなくても!って、これ絶対阻止しないといけないヤツなんじゃ・・・。」
「そうだろうが、そんな事できるか!」
始めてみたよ・・・、ボス本人が雑魚を薙ぎ払って海に落とす姿・・・。そして、また芋虫のおかわりが!どんだけ溜め込んでんだよ!便秘か!お通じよくなったのか!?
>> 戦艦リローデッドに近づくのやめて
網を張り出したんだが?
>> 海上封鎖(笑)
>> 別の配信者見ると、プレーヤーが海を走ってる
あっ、キモいNPC?マーマン?に引きずり込まれた
>> 芋虫っぽいのが見えたら、それは邪神のお裾分け
>> そんなんイラネ!
隣の部屋の美人がくれる
作りすぎたカレー以外イラネ!
「無理っす。よし、見なかったことにしてやり直すぞー!!死ね!芋虫!」
「ぴょんぴょん跳ねながら言うセリフじゃない!」
「クインズさんもぴょんぴょん仲間のくせに!あっ!やめて知ってる人の声で『もっと踏んで!』とか言わないで!」
「ふざけてる場合か!って、なんで俺の踏んでる芋虫は口開けて待ってる!飛び蹴り!くっ!粘液が!」
>> 粘液にまみれた男が見れると聞いて!
>> 寄生されたら産卵する?
>> なんか濃い奴が湧いた!
「気をつけろ!粘液は装備品のステータス全低下だ!」
「その前に羽化したからNPC踏みまくってるよ!って、また顔から出た芋虫が荒ぶってる!」
千切れ飛ぶ尻尾に芋虫なにみシャカシャカ動くNPC風モンスター、とうの邪神は最初の地点から動かず、格の違いを見せつけるように佇んでいる・・・。腹立つなぁ!確かに邪神だから配下になにかやらせりゃいいんだろうけど、少しは動けよ!
現実世界でお茶をゴクリ、さらにプロテインバーとチョコレートをボリボリ食いながらも、操作ミスはしないぜ!って、またアーム?芋虫追加か?パターンなんかしらんけど、なにする気だ?邪神の本体はピースサインをして下に下ろしたけど・・・。
『優秀な個体・・・、リソースの一部を使い再現。』
「クインズさんヤバい!アレは絶対にヤバい!」
「なにがそんなに?ドッペルだろ?」
「アレイスターの下にいたのは、ドッペルだけどドッペルミックス!だから、私とクインズさんが混ざったやつかも・・・。」
アームの先から『ヌチャっ』という音共に黒い繭が吐き出された。絶対ヤバい!まだ、繭を破れないのかモゾモゾしてるけど、絶対にヤバい!
>> ここまで来て邪神ノーダメージ!
>> そりゃあ、神だからな
>> 居場所が悪い!
NPCの精鋭連れて行ってるけど
手漕ぎボートだぞ!?
>> 悪い文明の運営w
>> なんかハゲたNPC風モンスターがいた、タコか?
「そのタコは多分コムズ!クインズさん!邪神になにか一手は!?」
「・・・、シンプルに近寄って殴る!」
「ですよね〜、それ以外ないし。」
でも、実際芋虫ぴょんぴょんでそこそこ距離は稼げた。加速バフなんかも盛りまくったから2人とも後少し!まだ羽化するなよ繭・・・。絶対にヤバいんだから羽化するなよ繭〜。
「杭は!」
「持った!」
多分。それが俺とクインズさんの差で、邪神を知る者と知らない者の差。『初手は譲ってやるよ』そんな余裕そうな声が頭に木霊するなか、クインズさんは右目にその杭を刺し、初のダメージを与えた。俺は腹に杭を差し、邪神に殴り飛ばされた。一気にレッドゾーンに入るHP、止まらず攻撃を続けるクインズさんだけど、流石に邪神の手数が多い!
同じようにナインテールを装備していたけど、それもなくなり盾と剣を取り出すも邪神はジャストガードのタイミングをどんどん読んで微妙にずらしてくる。そして、到頭クインズさんも邪神の一撃で俺の真横に吹っ飛んできた。
「ぐっ・・・。」
「ヒール!ポーション!ヒールポーション!邪魔だ芋虫NPC!サンダーマイン!アースクエイク!」
「邪神は!」
「まだ立ってる!」
「違う!杭だ!俺が刺しただろう!」
「それは・・・、今抜かれた。」




