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狐と言えば・・・巫女!  作者: フィノ


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219話 待つしかない

『急にどうしたんだ?久しぶりじゃないか!』


「その久しぶりを久しぶりだったに変えてやる!」


『ファイアカノン!イフリートハンマー!』


 背後からツキンズの魔法が飛んでくる。微妙に斜めに走り、今と言うタイミングで逆位置に向きを変える。ただ、それだけでは回避しきれず被弾もする。


 悪鬼羅刹、それは物理防御の半分を魔法防御に回すバフ。嫌なところは回した数値がカタカタと下がっていき、時間経過で反転すること。PvPで相手の目算を狂わせるならいい。その代わり使っているプレーヤー側からすれば、時間経過で有利不利が明確に分かって焦りも生む。


 ただ今はツキンズの魔法に耐えられるだけの数値があればいい。ファイアカノンはやり過ごした、イフリートハンマーは地面に叩きつけられ、炎の余波を周囲に撒き散らすが直撃ではない。それでも削れたHPをポーションで回復する。


 ここでMPを使うな。回復速度の下がった今では、MPポーションまで挟めるかは分からない。なにより邪神本体はすぐ目の前だが、巨大なアームも俺を狙って振り下ろされて来ている!


「緊急回避!そして、影走り!逃げるなよ?邪神!」


 一瞬の透明化、当たり判定はある。それで見失うかも分からない。だが、とうとう目の前に着いたぞ邪神!杭が特攻武器。両手持ち装備で分類はハンマー。アクセサリーで初期魔法やヒールは使えても、武器に帰属するアーツは封じられている。一応、振り回せば片手技は使えるが、使える瞬間は少ない。思考を削ぎ落とし使えるバフやアーツだけを頭の中に並べ、たった一箇所だけでもいいから封印を再構築してみせる!


『影走り!』


『もうだめだ!逃げ場なんてない!』


「お前はチグハグななんだよ!」


 弱音を吐く。それは言葉だけで邪神は動かない。どうする?動きがあればまだ、回避や隙が突ける。逆に動かないなら俺は背後から来るツキンズと邪神2人を相手にすることになる。だから、無理やり動かす!


「シッ!」


 なにげない首への蹴り、されど蹴り。金剛夜叉で捧げるのはHP。代わりに得られるのは速度と筋力!亜人ほど基礎攻物理撃力も魔法攻撃力は伸びない。だが、それを覆すのがバフでありプレーヤー!まともに受けてくれるわけはない。だが、それで回避行動をとるならまだ崩しようがある!


『やめてくれ!俺には仲間が!』


「仲間意識なんかないくせに!」


『狐火!』


「くっ!?」


 攻撃する、俺は邪神に敵意を向けた。しかし、その蹴りを邪神はガードもせずにまともに首で受けた。背後から飛んでくる9発の火球に顔から伸びた芋虫が俺の足を掴む。だがそれで立ち止まるほど闘技場殿堂入りは易くない。


 片足が拘束された、手には杭、残るは片足と頭!残された片足で跳ね上がり、邪神の腹にフットスタンプ!ギリギリまで芋虫を引き伸ばし、ヘッドバットを発動させ、体を丸めて背中で火球を受けて跳ね飛ばされる。


 ここしかない、多分今はこれしか作れない。ツキさんをみて装備したナインテールで、9発の火球を受けた止めつつ、火球の反動で邪神の背へ回り込む。ここで更にフットスタンプ!強制的な急降下技、全ての芋虫は引き剥がせずにいるが、この状態なら外さない!


「その背中、貰ったぁ!」


 杭を刺す。そこから特殊モーションに移行し杭の背を5回、全力で殴る!誰がために振るわれる拳なのか?なんのために振るわれる拳なのか?その意味は多分、悪い文明の運営しか知らない。


『よくやった!』


『後は頼んだぞ!』


『やっぱりこうなるのか?』


『それで、いいんだな?』


『・・・、優秀な個体は既に作った。』


 邪神から漏れる声はすべて違う。殴りつけ打ち込むたびに別々の声が聞こえる。ただ・・・、最後のが本心なのか?確かに杭は差し込んだ、抜かれるほど浅くなく深く深く差し込んだ。ただそれで俺も終わりか。最後まで振りほどけなかった芋虫が俺を邪神の目の前に逆さまに引きずり出し・・・。


『刀術:一閃。』


 そのツキンズの声で俺も首にクリティカルの一撃を受けて死んだ・・・。



________________________

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


>> ツキちゃん動かんの?


>> いや、動けんだろ?


>> でも、上でまだクインズが戦ってるかもしれない


>> でも、目の前モンスターハウスよ?


「・・・、待ちます。」


>> 待つ?なにを?


「決まってるでしょう?討伐アナウンスか、誰かがここに辿り着くのをですよ。参拝者諸君!」


 悪い文明の運営は邪神の手前ではなく、供物族満載のモンスターハウスの前にリスポーン地点を設置した。それはなぜなのか?単純に考えれば嫌がらせ。だが、邪神やモンスターの声を考えるとどうだろう?


 逃げろやらこさはもうダメだ等々、供物族はここから出ろと言うか避難しろと言う。それに対して邪神は久しぶりやら、もう会えないなんて言ってくる。なら、ここに誰かが残ることが楔になるんじゃないか?


 初接触で邪神は本体と言うか塔ごと移動した。それは多分、そう言う設定。なら、2回目のトリガーは?多分、リソース考えて誰もプレーヤーがいなくなったタイミング。憶測でしかないけど、これ以上移動されて他のプレーヤーがここまで辿り着けない状況を作られるのもマズイし、なにより邪神が作ったモンスターを移動しながらばら撒かれるのもマズイ。


 そもそも供物族自体なにかを捧げた種族で、何を誰にどうして捧げたかなんて言う説明が一切ない。でも、ここで供物族が出てくると言うことは、その存在を捧げて要石になったとか?


>> プレーヤー来れるのかな?

  結構海でジタバタしてるぞ?


>> 一部は邪神の下のポータルで

  塔を登ってるみたいだが?


>> トラブルオンラインやってないから、ツキちゃん

  なにか喋って〜


「おっ!駄弁り配信希望?と、言っても1人だからQ&A方式かな?ちょっと待て下さいねえ〜・・・。ポテチ、ヨシ!コーラ、ヨシ!スイスロール、ヨシ!プロテインバー、ヨシ!後は鳥のささ身の燻製で、今の私に隙はない!」


>> めっちゃ食うw


>> 巫女さん太るぞ〜


「トラブルオンラインやると、頭使うからいいんですよ!知りません?引きこもりのLと、病室引きこもりの私はおんなじくらい糖分を取っていいはず!」


>> いやいや、あんなに甘いもの食ったら糖尿が・・・


>> 今はナノマシンで糖尿も治ると言うか

  膵臓の肩代わりにインスリン調整もして

  くれるけどな


>> そもそもツキちゃんなんで病室にいるの?


「なんで病室にいるか?そりゃあ病人だからですよ。あらやだ、私って美人だから薄幸?」


>> 自分を自分で美人とかw


>> 実際美人だから困るw


>> 外出たから退院だろ?

  病床勝手に埋めず神社に帰れよ〜


>> その神社が勝手に来てるんですが・・・


「へっへっへ・・・、この病室は占拠した!気が向くまで退院はせんぞ!っと、割とガチな話。色々あって病室にいるから、外配信とかはいつ出来るか分かりません!まぁ、気が向いたらどっか行くとか?」


>> 病人なのにフリーダム過ぎる!

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