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狐と言えば・・・巫女!  作者: フィノ


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221/222

210話 戦場の鏡餅

「雷獣招来!突っ込めー!!更に百鬼夜行、なにが出るかななにが出るかな・・・。おぉ・・・、砂かけババア・・・。」


 ハズレな砂かけババアはとりあえず砂を撒く。相手の視界遮るからPvPならいいけど、今はお呼びじゃない。大魔法じゃない百鬼夜行はランダム召喚だからこんな事故も・・・。


「あぁ・・・、砂かけババアが蜂の巣に・・・。」


「囮なのだろ!さっさと行くぞ!」


「行くって言われてもねぇ!先駆けできるほどモンスターもプレーヤーも少なくなーーい!!!」


 足元にいたスライムを蹴っ飛ばしたら、他のプレーヤーにへばり付く。それくらいまでにプレーヤーもモンスターも多い。ジャングルを活かして木の上を飛び回る人もいるけど、そこはそこで猿やら虫系のモンスターが襲来している。


 レベルだけを考えるならここのモンスターはザコ。なにせ最初の街から近いから、バカみたいなレベルのモンスターは流石に配置されていない。フィールドボス?徘徊してるから会ったら初心者は諦めろ。


「わーはっはっはっ・・・、チャリオットで踏み潰すのでアール!」


「アール!人の多いところは避けてよ?と、言うかバッタ型って誰得?」


「さぁ?だが、私はこんな奇妙な乗り物でも乗りこなすのでアール!周囲は任せたぞ!グレイ殿!わーはっはっはっ・・・。」


 ピョンピョンと笑い声を木霊させながらアールさん達が跳ねていく。確かにあの方法なら邪魔だけど最速でリローデッドにはたどり着けそうだ。と、言うかあんな奇妙なチャリオットはどこでドロップするんだろ?海向こうか?


>> 見なかったことにしよう


>> イナゴの大群じゃないから、ヨシ!


>> フレンドリーファイア発生なし、ヨシ!


>> 横に強制移動させられてるけどな・・・


>> ツキちゃんフレに声かけんの?


「あそこまで色物になるのはちょっと・・・。でも、チャリオットか。ブライト、チャリオット出すよ!」


「むっ?使い物になるのか?」


「さぁ?でも、狙撃は任せた。」


「まて、我は銃なぞ・・・。」


 ウォーカーアーマーを取り出しライドオン!武装とか考える前にだしたから、あり合わせの物だけ装備させとくか。多分遠目から見たらそこそこめでたく見えるだろうし。


「なぜ・・・、扇子を?」


「えっ?扇子はナイフ枠だよ?それに、これ結構強いのよ?あと、ブライトには緊急換装!はい、これ。」


「まて、なんだこれは!」


「スナイパーライフル?」


 それはスナイパーライフルと言うには余りにも長すぎた・・・。全長約2m半。それは銃と言うには余りにも武骨過ぎた・・・。発射口は四角で中には光学レンズっぽいのが見える。それは狙撃銃と言うには余りにも目立ち過ぎた・・・。左右に展開する放熱板はピッカピカ光ってる。


 対巨獣用戦艦ビーム砲レプリカ。頭の悪い運営がいたんだろう・・・。とにかく威力、逃げも隠れもせずに威力!目立って先に撃たれるくらいなら、相打ち覚悟で先に撃て!それを体現したようなスナイパーライフルである。歩くと放熱板引きずるから凄い邪魔なのよね、これ。


 でもウォーカーアーマーの背中にブライトが取り付いて、そこから狙撃してくれれば機動力もなんのその!勝った!この乱戦を潜り抜ける算段がついた!


>> ド派手な鏡餅?


>> 白い機体なら鏡餅

  ダークグレーだから、灰が混ざったかカビた餅


>> みかん小さくない?

  あっ、ツキちゃんの頭か


>> ナイフしか手には装備できないからって

  わざわざ扇子持たせるのかよ・・・


>> でも、あの扇子結構いい装備だぞ?


「ブライト、落ちないでよ!これ、固定具とかないから!」


「ま、まて!」


「Go!Goーーーー!!」


 普通に歩いても仕方ないとブーストダッシュ!初速MAXでそこからブースターをふかし続けると巡航モードへ。初速の速さだけならバイクとトントンとか?巡航モードになると1段落ちるけど!


「ブライト大丈夫!?」


「ほ、放熱板に諸に風が!今は撃てるが、初速では多分当たらんぞ!」


「なら、今から撃って!」


 獣人故、銃系のアーツはほとんどない。だからこその大火力!と、言うかブライトが銃系のアーツ持ってるとも考えづらいんだよなぁ〜。まぁ、人型メカからビーム砲は夢とロマンに溢れてるから、ヨシ!と、言うか・・・!


「耳熱っつ!放熱板の意味!めっちゃ熱気が来てるんだけど!?」


「知らん!ツキの頭の上に銃身があるからそのせいだろう。」


>> 悪い文明の運営再び!


>> えっ?銃身熱いの?そこまで作り込んでるの?


>> 普通の銃でも発射後に銃口とか押し付けられると

  極低確率で火傷の状態異常ついたりする


「装備持ち込みの弊害が!とっ!そこ飛び蹴り!」


「お、落ちる!」


「えっ!飛び前蹴りじゃなくてドロップキック!?いや、滞空ジェットキック?」


 なんにしても逆関節の脚を縮めて前に飛ぶように蹴ると言うか踏みつける。結構前に飛ぶなぁ。少なくとも5〜10mは飛び蹴りしてると思う。機体も重いだろうし、ダメージも結構でそう。


「そんな事より飛び蹴りは使うな!我が落ちる!」


(バッタの次はまたイロモノ・・・。)


(正月飾り?)


(運営また変なの実装した?)


(あれってかぐやの?)


(カンストするほど変人が増える・・・。)


 ブライトとワーキャーやってたら周りの視線が痛い!そりゃプレーヤーよりデカいロボが爆走してたら目を引くのは分かる。でも、流石にならしもせずに実戦投入は無理があったか!?


「熱線が来るぞ!」


「くっ!考える暇もなく!扇子ガード、いけるか・・・?」


 ゲームを始めた頃。大麻も持ってなかった頃、なにをメイン武器にするか悩んだ末に手に取ったのはナイフだった。片手でもいいし両手でもいい。まぁ、両手に持てば分類としては双剣枠なんだけどさ。


 一応指のように動くアーマー手。扇子をばっと開き、そのまま前面に重ね合わせる用にして受け止めながら突っ込む!くっ!ビーム扇子だからショッキングピンクが眩しいぜ!


 ガードにぶち当たった熱線から『じゅゅゅ・・・』と、なんか焼肉っぽい音が上がる。アーマーの耐久値的には余裕がある。でも、集中砲火を浴びるとヤバそう?受けるより回避メインか。


>> ジュリアナ!


>> 東京〜!!



>> なぜガチ武器をこうも面白く使うのか?


>> あれっていいの?


>> 実弾系の銃なら威力減衰が大きい


「バッタとか車よりこっちの方がマジか?」


「なんか知らんが目立ってる奴の後ろに続けーー!!」


「先導よろ〜。」


「あ〜・・・、行き先はどこになるか分からないけどOK?」


「リローデッドの近くならOK!」


「なら、リローデッドに向かってパレードだぜ!ブライト!バンバン撃って!あっ!耳から離して!熱い!」


「そこ!狙い撃つ!」


「熱いって!」


「お前らーー!!どんどん狩れ!報酬交換したいだろーー!!」


「おぉぉーーー!!!」


 フレンドリーファイアはない。しかし、雑に魔法もアーツもバフデバフも飛び交う戦場は確かに前へ進んでいく。やはり、この先なら神秘洞窟か?て、ことは滝壺フリーフォール?いやいや、流石に滝壺からてっぺん目指して登れとか言わんよな?


 そんな思いを胸に途中から変な挙動するプレーヤーも増える中、なんとなくリローデッドに近寄って大きく見えだした頃、その人はいた。まぁ、俺とブライトが止まろうとも、他の人は止まらないんだけどさ。多分、もうすぐリローデッドにつくし。


「やばいのでアール!!」


「ちょっと待てよぉ!敵前逃亡なら引きずり回すよアールさん!」


 なんかしらんけどチャリ漕ぎながら引き返して来るアールさんと出くわした。うん、敵前逃亡なら掴んで最前線に引っ張っていこう。少なくともカンストしてるから、へっぽこでも戦力にはなるだろうし。


「稀人アール、なにがヤバいのか?」


「フォレストレベリオンやフォレストボマーウッド徒党を組んでいるのでアール!それだけならまだしも、邪悪なる妖精王も目玉つけて現れたのでアール!!」


「・・・、はぁ!?なに!?ダンジョンボスフィールドに出てるの!?」


「出てるのでアール!神秘洞窟ボスのキングリザードマンもセンチネルも現れてるなのでアール!」


「中級?」


「ハテナでアール・・・。」


「oh・・・。下手したら上級?」


「分からんのでアール。しかし、先行したバルサミコス帝国の民はほぼ死に戻り、グレイ殿もさっき死んだのでアール。」


「流石に多勢に無勢なら伝令として逃げるか。えっ、私達そこに突っ込もうとしてるんだけど!?なにかプラスの情報は!?」


「神秘洞窟前のポータルは使用不可。その代わり、リローデッドの真下にポータルはあったのでアール。」


「アールさんはそれを?」


「開放する暇なく、今ここでアール!」


>> リローデッド足元にポータル!


>> 情報回せーー!!


>> リローデッド転移の可能性大!


>> 他の配信者のところにも情報流すぞ〜


>> 待って、転移されたら?


>> 転移されたらどうなる!?


>> 知らんのか?他のフィールドモンスターやら

  ダンジョンボス、フィールドボスと戦うハメになる


>> 出現場所テーブルかよ!


>> どこに来たら攻略しやすいかなぁ〜


「なるほど・・・、やっぱりアレ登れってこと?」


 そびえ立つ邪悪リローデッド。それのてっぺんが決戦場なら、たどり着くためにボスラッシュを攻略・・・、せずにさっさとポータル開放すればいいと。倒したボスに旨味があるかも分からないし、それならさっさとリローデッド攻略した方がいいよな?


「おそらくはそうでアール。ただ、なにが出るかは分からないのでアール。」


「ツキ、どうする?我々の後ろにいた者達はそのまま止まらず駆けていったが・・・。」


「生贄でしょ?頑張ってもらおう。どうせ死に戻った方が戦力は増える。」


 バルサミコス帝国所属のプレーヤーが多数死んでジャイロに戻る。俺たちを抜いていったプレーヤーが死にジャイロで合流する。ここに戻ってくるのは厳しくとも、数が増えればそれだけ暴力は増える。それになにより、置き去りにしてるNPCを引き連れて来てくれれば攻略は楽になる。


「うむ。それには賛成であるが・・・、そのチャリオットいいできであるな?」


「かぐや産の最新式チャリオットでございます事よ、奥様。」


「あらやだ、そんな形状だったんだザマスね。って、さっきからブライトが狙撃してるが悠長に喋ってていいのでアールか?」


「熱さには耐えてる!と、そろそろ行こうか。」


「むっ!進む気か?流石にここには3人しか・・・。」


「私は無戦力でアール!」


「・・・、ここには我達しかおらんのだぞ?」


「だから見に行くんだよ。流石にザコのリポップとボスのリポップが同じ時間なわけないでしょ?バルサミコスが削って、今行ったプレーヤーたちが削って、残るのは?」


「漁夫の利か・・・。」


>> ここにオールスルー目指してるプレーヤーがいます!


>> 狐じゃ!狐に謀られた!


>> そう言えば元々ツキちゃんってガチンコよりも

  裏で糸引くタイプだったなぁ


>> バルサミコス帝国陥落も裏で糸を・・・


>> いや、ツキちゃんとこのクランがちゃんと

  仕留めたからな?


「そうそう。ボスを狙う人、報酬交換狙ってザコだけ狩る人、イベントだから完走したい人。或いは課金勢に無課金勢。いろんな人がいるんだから楽できるところは楽しないとねぇ。うっしっしっしっ・・・。」


「・・・、物見遊山でアールか?」


「どちらかと言えば古戦場散歩?或いは・・・、墓荒らし?なんにしても削られたボスがいたら、誰かが餌にでもなって回復阻止しないとやりなおしじゃん。さて、ブライト!一気にいくよーー!!」


「・・・、私も行くのでアール!情報は確かに流したぞ参拝者!」


>> 追いつくぞ〜


>> 全力で走れば漁夫の利もらえると聞いて!


>> テーブル考えるより、後の方が戦力減るよな?


>> カンスト勢がリローデッドのポータル開放したら

  もう、フィールドには降りてこんだろ?


>> 急げ!それなら急げ!


>> どさくさ開放目指すぞー!!


>> カンスト勢おらんと無理なん?


>> もうすぐ元旦だぞ?

  下手したらリアルが忙しくて2日までイン

  しないまである


>> リアルの時間も敵か!


 ブーストダッシュからの巡航モード。そんなウォーカーアーマーを片手で掴んで無理やり同速にするチャリのアールさん。えっ?流石にコケないよな?アレでコケたら大ダメージ出そうだけど・・・。


「これに武装はないのでアールか!?」


「殴る蹴るの暴力はある!したらアールさんが死ぬかもだけど、やっていい?」


「ダメに決まってるのでアール!ブライト!狙撃を頼んだのでアール!そこの性悪狐なら、撮れ高とか言って本気でやりかねないのでアール!」


「さっきから我1人だけずっとモンスターを倒しているのだが!?やめろ!ツキ、やめろ!なぜちょっと今蹴りを放とうと思った!」


「えっ!運転だけじゃ悪いと思ってとか?」


「それは善意ではなく悪意でアール!」


 よしよし。誰かが叫んでいれば、まだ前線にはプレーヤーがいると配信見ていないプレーヤーにもNPCにも伝わる。ハヤトさんはNPCを守ると言っていたけど、その守るNPCが前進するなら守りにつくプレーヤーも前に出る。


 まぁ、ぶっちゃけ俺達もアールさん達もその他大勢の先行したプレーヤーは生贄なのよねぇ。死んで戻って誰かに情報伝えて、攻略の糸口を探す生贄。でも、ハブとして配信している以上、最前線は見ないといけない。でも、その最前線が静かすぎる・・・。


「つかぬことをお伺いしますがアールさん。」


「なんでアールか?」


「この先フリーフォールコース?」


「なにを今更。神秘洞窟入り口はフリーフォールした先にあるのでアール!」


「よく滝壺から戻って来ましたね!」


「バッタはいいぞぉ〜?風の力で変身するかもしれないのでアール!」


「・・・、淵からリローデッドまでどれくらいありました?」


「淵から?概ね50mと言ったところでアール。ただ、ワイバーンの群れが上下左右に熱線放っているのでアール。モンスターを踏み台にするのも、アーツの飛び蹴りでショートカットするのもほぼ無理だろう。」


「ほぼ無理・・・、なら確定じゃない。」


「ツキ、なにをする気だ?我は嫌な予感しかしないのだが?」


「耳熱!そりゃぁ・・・。ウォーカーアーマーが実装されたばかりで、多分思いもよらないバグがあると思う。だから、それを試してみる。」


「な、なんでアールか!?」


「ブライト、がっちり捕まって!銃はインベントリに収納する!」


「!?」


 両手に装備した扇子をインベントリにしまい込み、アールさんをお姫様抱っこして巡航モードではなく、ブースターを連続でふかして初速と言う名の最高速度を維持!クッソ!風よけくらいつけろよ!


「あばばば・・・。く、食い込む!私が機体に食い込む!た、盾を出すのでアールルルル・・・!」


「我だって吹っ飛びそうだ!」


「もうすぐ!ちっ!ザコは引っ込んでろ!邪魔だ!」


 爆走する機体にも何故か当たるモンスターの攻撃の理不尽さ・・・。でも、全てではない。耐久値は半分を切り更に意味があるかわからない速度上昇バフをかけて、フリーフォールするための滝の淵へ!


「ヘイヘーイ!ワイバーンビビってるぅ!?」


 踏切よろしくジャンプ!そして蹴り!やっぱり空戦エースのアールさん!誠に目がよろしい!リローデッドまでは淵から概ね50m!その代わりワイバーンが山程いる!一瞬ホバリング!って速度あるから水平移動!?からのぉ!


「ここからとうする気でアールか!?」


「アールさん。煩いから先に逝って、ヨシ!」


「あぁ・・・、心得た!盾サーフィン!って、おご!」


「稀人アールがくの字になって飛んでいった!」


「フレンドリーファイアはないから安心して!」


>> 酷い見た目でアール


>> 前傾姿勢の激狭可動範囲腕なら

  しゃあないのでアール


>> これバグなのでアールか?


>> バグじゃなくて運営側のトラブルでアール


アール>> 私が分身した!?


 アールさんが盾を投げる。その盾に向かってアールさんを投げ・・・、られないからパンチで送り出す!いや〜、この形状だと振りかぶるとか無理。若干バランスを崩したものの、盾に着地してそのままワイバーンにぶち当たる。熱線が上下左右なら、それから守る方法をとればいい。でも、アレって失敗すると落ちるんだよなぁ〜・・・。


「で、ツキよ。我々は?」


「25mは飛んだと思う。アールさんはうまくすればリローデッドに取り付けると思う。残った私達は・・・。」


「我達は?」


「可能な限りブースターふかしながら、蹴りを出しつつ斜め下に落ちる!頑張れウォーカーアーマー!お前ならやれる!蹴り!蹴り!ブースター頑張れ!」


「速度を殺すな!絶対に殺すなツキ!」


「し、集中砲火されてるのでアール!!図ったなツキ!」


「どっちかが生き残ればお得!私達も今落ちてんだよ!ブースター!ブースター!蹴り!蹴り!」


>> モンスターガン無視計画!


>> これ、高度落ちるとどうなる?


>> そりゃぁ、滝壺の端に立ってスポーンする


>> 盾使いが捗るな!


>> いや、ワイバーンのところまで

  先ず盾サーフィンじゃ飛べない


  ツキちゃんが無理やり距離稼いだから今は行けてる


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