200話 そう言えば居残ってた
今時点の普通と言えば食っちゃ寝生活!と、言いつつ見方を変えるとこれって祀られてる状態?上げ膳下げ膳してもらいつつ、好きにゲームして穏やかな生活を送る。まぁ、変にうろうろして事件に巻き込まれるのも嫌だし、最終的な目標は日常生活を送れるようなることだから、不便ではないのかなぁ。
昔なら閉じ込められて自由がなければ、暇と戦っていたんだろうけど今の時代、家の中で出来ることは下手すると外でできることよりも多い。なにせやろうと思えばVRで南極とかも見れるし・・・。
前に誰かが言ってたんだよなぁ〜。昔の人は犬だけど、今の人は猫だと。犬なら毎日散歩に行ったりしないとストレスを感じるけど、猫ならずっと家にいてもストレスは感じないし、ご飯を貰うのも当然のメンタルを持つらしい。
「なら、普通に過ごしましょう。流石に病院に居続けることは出来ないでしょうけど、検査やら研究には協力しないといけないし。」
「そこが問題と言えば問題よね。木本さんからも提案があったと思うけど・・・。」
「おう、提案したからには答えきかせろ。色良い返事以外は耳に届かねぇがな。」
「あら、木本さんも来てたんだ。てっきり華澄と岩戸さんだけかと思ってました。」
「来てた。ただ、先に姫子のところに行ってただけだ。」
岩戸>> お久しぶりです木本さん
「おう。飯食えよ岩戸。」
岩戸>> え、エナドリで・・・
それより姫子さんとは?
「嫁だ、嫁。」
岩戸>> ご結婚おめでとうございます
「岩戸さん、興味があっても木本さんの奥さんには会わないほうがいいよ。」
岩戸>> 雁木さん・・・、やっぱりフナムシみたいな
私じゃ・・・
「違うよ岩戸さん。多分、グイグイ来るから岩戸さんが困る。」
「会うなら連れて行くわよ?」
「華澄、それは・・・。」
岩戸>> 一応会っておきます
華澄が岩戸さんを姫子さんに会わせると言うけど、大丈夫かなぁ・・・。岩戸さんが華澄たちと同じような仕事をしているなら、受肉した電気精神体には会ったほうがいいんだろうけど、ギャルと地味子だと地味子の方が圧倒的にコンプレックスやらで心がしんどいような・・・。
そうは言いつつも岩戸自身は結構芯が強い。それはもう、仕事ぶりを見れば分かる。芯の弱い人ならそもそも話せない時点で投げ出すし、仕事を任されても誰にも聞けないからどんどん手詰まりになっていく。
でも、岩戸さんの場合は話す方法さえ確立できればコミュニケーションも取れるし、仕事を投げ出すこともなければ、自分のやった仕事には責任を持ってくれる。
いや〜・・・、困るんだよね。自分の仕事に責任持てない人って。確かに急な仕様変更とかで頭に来るのは分かるけど、だから仕事を放棄されると、結果として周り全体への負荷が上がるから・・・。そんな事を考えている間に華澄は岩戸さんを連れて行った。まぁ、隣の病室なんだけどさ、姫子さんがいるの。
「色良い返事・・・、少なくとも契約書がないと判断はできませんよ。」
「あん?雇用契約書か?でっち上げでいいなら、宮内庁職員とかで作るぞ?」
「でっち上げの時点でNOと返しますし、病院との契約があるから簡単にはYESとは言えません。」
契約違反。ダメ、絶対!それがまかり通れば約束は意味をなさず、いくらでも後出しジャンケンができる。それはもう、営業マンとか以前に人としてダメだろう。当然、長く生きれば生きただけ、果たせなかった約束が増えるとしても、だ。
「柊と組んで電気精神体相手に走り回ってもいいぞ?雪山のことを考えれば、俺と柊のコンビで現場をどうにかするより、マリちゃんと柊のコンビでいる方が安全だろ?」
「痛いところを突いてきますね・・・。でも、それを聞いても保留としか言えませんよ。確かに物事には優先順位がありますけど、それを勝手に判断して違えるのもまたおかしいな話です。逆に、華澄と一緒に暮らすと言う手もありますよ?今の仕事を辞めてもらってからね。」
普通に暮らすなら先ずはお金。夜空が屋根で街が家、愛があればそこが住処・・・。うん、詩的でいいセリフなんだろうけど、現実的に考えると住所不定で下手したら無職。今は良くても先を考えるとねぇ。まぁ、そういう暮らしで成り立つ人もいるんだろうけど、少なくとも俺には無理だな。
「なるほどな、マリちゃんの考えは分かった。なら今の会社の退職が済んで、病院側との協議も済んだなら新しいオファーとして検討の余地は?」
「その状況なら十分に検討の余地はありますよ。今でこそ配信者してますけど、これもまた水物商売。飽きられたら収入は目減りするし、永遠のアイドルなんて早々いないですからねぇ。」
資産運用は慰謝料でやっているにしても、それがずっと大丈夫と言う保証もなければ、今の人気が陰る可能性も十二分にある。それは当然のことだろう。なにせ配信者と言うのはクリエイターで、新しい面白さがなくなれば飽きられる。
だから歌ってみたり、変なことをやってみたり、車で日本一周車中泊旅行したりとやってるんだし。俺の場合、今はゲーム配信と駄弁り配信、それとこの前の外出動画くらいしか柱がないから文字通り砂上の楼閣状態なのよね・・・。
「アイドルか。まぁ、巫女はアイドルみたいなもんだぞ?踊って話して、人を集めて言葉を伝える。なんにしても、1月末辺りには、俺も上と協議して契約書を持ってくる。先に聞くがなんか望みは?」
「望み・・・。仕事はするとして、そこまで現実離れした仕事じゃないとか?明日から急に山籠りとか嫌ですし。」
「おう、それは大丈夫だ。」
「?」
変に確信をもった言い方をするな。と、いうことは既に内々で話は進んでるとか?見方を変えればこれは面接と言う受け取り方もできる。『我が社に入社したら〜』なんて部分は省いてしまった個人の考えを追求するね。
めちゃくちゃ雑な言い方をすると、そんな面接を面接官側の立場でやったことがある。相手はスマートレンズをつけてるし、俺達もスマートレンズをつけてる。つまり、その場の形式的な質問に対する答えはAIに聞ける。なら、採用するしないをどうやって決めるのか?
答えは簡単でひたすら相手と話す。そして、相手がなにをどう考えているかを読む。さっきの木本さんの提案にすぐに飛びつくなら、感情で動く人と判断されるだろう。
「なんにしても、だ。トラブルオンラインの運営には岩戸がいる。だが、ゲーム内容を勝手に改竄はできねぇ。それはわかるな?」
「それはもちろん。医療提携型と言う時点で半分は国営みたいなもんですからね。勝手に改竄とか仕様変更したら医療提携型AIもアマテラスがブチ切れる。」
「そうだ。AIの最大の強みは大多数から情報仕入れて、大多数にロールバックできる点だ。だから、誰か1人にだけ優遇なんてのは絶対にない。だから、真面目にゲームしとけ。それがお前のルールならな。」
「はいはい、言われなくてもゲームしますよ。むしろ、年末イベント走ってる最中で結構大変なんですよ?モンスターはどんどん出てくるし、交換アイテムは多いし、なにより今踏ん張れば後が楽になるし。」
「それは勝手に頑張れ。それよりも、座敷童子。アイツがお前のところに行ったろ?」
「来ましたね。やっぱり問題になってるんですか?」
「いや、表面的な処理は無害なNPCだ。それはもう岩戸が仕事をした。ただ1つ問題がある。座敷童子がそのまま領地とか言うところに残ってるだろ?それをどうにかしろ。」
「えっ?大先生なら勝手に帰ってるんじゃないんですか?って、動かない子供のNPC残ってたわ・・・。どうしましょうか?」
「俺に聞くなよ。NPCなら殺してしまうって話もあんだろ?」
「・・・、殺していいんですかね?と、言うか領地じゃ殺せないという話もありますけど。」
領地防衛戦なら侵入者をぶっ殺せる。まぁ、そう言うルールのゲームだし。でも平時の領地となると、お客さん呼んで邪魔されずに話す場となる。つまり、戦う場所じゃない安置である。それに何より、あのNPCを殺してしまうと言うのもなぁ・・・。
「なら、追い出すのは?」
「う〜ん・・・。そのままだとマズイんですかね?或いは、あれがイベントNPCならイベントが終われば勝手に消えるって話もあるかもしれませんよ?」
「いや、やるならはぇー方がいい。あんまり留まるといなくなった時の反動が・・・、多分でけぇ。」
「運の総量的な話ですか?あんまり運ってモノを信じてませんけど・・・。」
願掛けくらいはやる。でも、願掛けして全部成功するなら願掛け以外やらなくなる。つまり、いてもいなくてもあんまり変わらない。だから別にねぇ。どうせお菓子とか食べてるだけだし。
「あのだな・・・。いや、お前のルールに準ずるなら運そのものがないって言うのは分かる。だが、他には運気ってもんもある。よくよく考えろよ?一目見ただけでホンダもパナソニックもできたし躍進した。それだけ周りにゃ影響力がある。そして、全部座敷童子のおかげと考えれば人はだらける。」
「めっちゃ自業自得じゃないですか、ヤダー!なんにしても、映像とかにださなきゃいいんですよね?」
そもそも領地撮影してもこれが座敷童子です!なんて言わないし・・・。と、言うか勝手に来て勝手に帰る大先生の居場所が領地なら逆に安全なのでは?
現実世界だと座敷童子大先生は人形に乗り移ってるというか、人形を操作してる感じで過ごしてるけど、動けない喋れない感覚もそこまでないと、戦場から帰ったジョニーよりはマシだとしても、ぼっちで座っとけと言われるとかなり堪えるんじゃ・・・。なにせ子供だし。
これが言う事聞かないクソガキならさっさと叩き出す。話も聞かない悪ガキでも、さっさと追い出して距離を取る。でも、大先生は普通に話せる相手なんだよなぁ〜。どこからの情報かは別として、色が教えてくれるし。
「・・・、マリちゃんのやってるゲームはなんだ?」
「トラブルオンラインです。」
「医療提携型VRMMOの、だろ。本気でそこを忘れるな、座敷童子の野郎がお前の領地とか言うところで飯食ってる、それだけならまだいい。ブライトとか言うAIと話してるのもまだいい。だが、他の奴。特に病人には見せるな。」
「それはまぁ、フレは多くても野良だから領地に来る人はほとんどいませんし。でも、なんでまた病人限定で?」
「人は健康であるべき。裏を返せば人は不健康なら治すべき。そして、病人は普通に治したいと考える。そこに幸運が舞いこむと・・・、何故か病気が治ったになる。そうなりゃもう、医学はぶっ壊れる。流石に一発でそうなるとは思わねぇが、重々気をつけろ。」
「う〜ん・・・、でも華澄と木本さんは大先生と一緒に暮らしたりしてるんですよね?そこに矛盾が生まれませんか?これが箱に入れて御札でも貼って、厳重に封印してるって話なら分かりますけど、普通に外に連れ出したりとかしてますし。」
「そりゃ、ちゃんとした手順踏んでんだよ。」
「なら、それをおしえてくださいよ。」
「一期一会じゃ無理だ。なにせ、スタートに立つには・・・。お前金持ちだよな?」
「さぁ?なに人の資産を探ろうとしてるんですか?」
「ちげーよ。お前の資産がどれくらいあるか、そこがスタート地点なんだよ!」
「・・・、ゲーム内ならBとかM単位はありますよ?」
欲しい物が出るまでは貯金!なにせ、このゲームモンスターを倒してもお金が出ない!だからプレーヤーは経済を見るし、素材売りやらに勤しむ。なにせお金がないとポーションも買えがないし、NPCへの交渉手段も限りてくる。
運営のばら撒く有料ガチャ用の金塊は貯金!素材やら売って集めたゴールドも貯金!ベテランプレーヤー?下手したら家計簿付けてるゾ☆
俺の場合大麻が欲しくて無料ガチャ回すために、貢献度稼ぎまくる必要があったから、勝手に貯まってたって話もあるんだけどさ・・・。
「・・・、ゲーム・・・。ゲームかぁ・・・。仮に、そのBとかMの資産。これが増えるとするならどう思う?」
「怖いですね。だって、どうやって増えたのか分からないんでしょう?確かに運営は金塊ばら撒いたりしますけど、それはデイリーミッションこなしたり、売買したりした結果であって勝手に増えたらチートじゃないですか。」




