179話 流石に住み着かないよね?∞雪女
Q:知らない間に配信チャンネルに
押しかけ演者が来たらどうする?
A:相手を好ましいと思えば採用しましょう。
好ましくないなら、拒否しましょ。
→詳しい拒否手順はコチラ
脳内Q&Aをやってる場合じゃない。そしてそのQ&Aもあんまり役に立ってねぇ・・・。いや、いってることの意味は分かるんだけど、稼ぐ先が祈る先ってどうよ?
と、言うか押しかけて来て、参拝料奪って奉納して願い叶えろって超理論な時点でどうなの?いやまぁ、変に騒ぎ起こされたり、春先に凍死体見つかるよりはいいんだろうけどさ。
「ほれ、演者なら参拝者ウケけるする形がよいだろう?どの様な形がよい?1/144スケールか?HGモデルの1/100か?」
「それがガンプラ基準なら、小さ過ぎでなにか分からない氷像というか、雪だるまにならない?せめてこう・・・、1/4とか1/7がいいと思うけど?」
姿は別として、雪だるまを嫁に貰う人がいるのか?うん、いない。それならもっとアピールポイントというか、形から入ってもいいんでないの?そりゃぁね、今は大麻持ってるから世界の風習なんていうものもなんか頭に浮かぶけど、最低限人形であって丸2つの人形なんて・・・、土偶?それでも溶けずに残るけどさ・・・。
「巫女殿。妾達は形も姿もど〜〜〜でもよい。必要なのは1点、その御方を愛し愛され子を残せるかのみぞ。故に、蛙の姫でよい。」
「あ〜・・・、蛙王子の逆版かぁ〜。」
「その方がお得であろう?雪だるまに恋をして、成就すれば美女とな。ぬっ!妾が先じゃ!他は控えおろう!」
「・・・、ここって結婚相談所じゃないんだけど・・・。」
「知っておるぞ?ただ、祈る先は神仏で神社であろう?」
「いや、まぁ。でも、ここはAR神社で祀る神とかいないよ?」
「それが良い。誰かを祀ると言うのはそれに隷属し、借りを返せと末代まで借金取りに追われるようなもの。廃神社なら空席で勝手が許される。故に狐巫女なのであろう?余白神のツクヨミ殿。」
「ツクヨミ?そんなものは知らないけど、確かに設定では廃神社だしなぁ〜。と、言うか勝手にここに来たらアマテラスから感知されない?」
「さぁ?ただ、八百万の神々よりも八百万のNPCは多くおる。適当なルートで来るからよい。で、これは配信か?参拝者たる婿殿はおるか?」
「先に言うけど、婿じゃなくて嫁だからね?嫁入りする、それ以外はウチやってないから。」
「むっ・・・、確かに『俺の嫁』は聞いても『俺の婿』は聞かぬ。なら、あのアーパー同様嫁となろう。」
婿取りって結構軽い感じなんだ・・・。人の感覚だと嫁入りするのと婿入りするのは結構違う気がする。どちらも相手の家に入るって形なんだけど、婿は割とその家の主の後を継ぐと言う役目があるから優遇とまでは言わなくても、お姑さんにも大きく出れる。逆に嫁入りだと嫁姑戦争が産まれる・・・。
まぁ、それは古い話で今はあんまりないんだよなぁ〜。それこそ、代を重ねた3文字名字とか4文字名字、古い名家ならあるかも知れないけど、そんなことをすれば廃れるって分かっちゃってるからなぁ〜。
追出し没落させるのに最強に陰湿な方法は、させたい相手にどこまでも優しくすること。それこそもう、赤子相手に世話焼くくらい全部こなして相手を王様気分にでもさせて、ある時急にフェイドアウトして放り出す。
そうすると、家のことも知らない。なにがどこにあるかも知らない、なんなら資産の管理もお金の管理もできない化物ができる。それを知ってるからこそ、今どきの人は色々記録したりすぐに判断したりもしない。
「嫁はいいとして、私が宮内庁から封印とかされない?と、言うか普通に木本さんに連絡したいんだけど。」
まさに大麻持ってる理由がそれ!下手に刺激して病院を雪まみれにされても困るし!情報もないまま決定していくのも怖い。それに何より、木本さんは知り合いでも宮内庁は知り合いじゃない。
個人としての知り合いと情報だけ持ってる組織。どっちが怖いかといえば組織で、割食うのはいつも下々の者なんですよ!それこそもう、木本さんが淡々と死ぬって言ったのは覚悟完了過ぎてなにも言えなかったしさ・・・。
「妾か言うのもおかしいかもしれぬが、それはあり得ぬ話ぞ?」
「ありえない?なんでまたそうやって断言できるのさ。宮内庁は妖怪と言うか電気精神体を祓う側でしょ?今の状態見たら真っ先に飛んできて『てめぇ!なにやりやがった!責任取って封印!嫌なら切腹か社会的に抹消な!』ってやりそうだけど?」
「それは妾達が雪女じゃからじゃよ。」
「雪女だから?宇津田姫じゃなくて?」
「宇津田姫は冬の神じゃろ?そんなに神格はポンポンおらん。しかし、雪女は山ほどおる。そして、雪女の1人が結婚すれば、他の雪女は嫉妬に狂う。・・・、憎い!あの雪女が・・・、姫子が憎い!」
「ちょっ!吹雪いてる!これガチで吹雪いてるの!寒い!」
「現実世界に干渉はしておらん。巫女殿が悔しさ憎さが分かればよい。1人だけ幸せで嫁入りするなど・・・、憎くて仕方がない!」
「お、女の情念こぇ・・・。と、言うかそれやめて。男の人怖がるから。」
「ぬっ!ヤンデレやらツンデレがよいのだろう?妾は奥ゆかしさで負けた故、今はそれを・・・。」
「いや、個人としての好みがあるから・・・。」
「・・・、巫女殿。巫女殿はどの様なおなごがよい?」
「それって、どこまで知っての意味?」
「知って?巫女殿は巫女殿。故に男性神も女性神も、なんなら人かも危うい神の声を聞きそれを話す。妾は畜生の嫁には成れぬ。しかし、巫女殿はそこに隔たりを持たぬじゃろう?」
「う〜ん・・・、確かに。」
そもそもヒルコとかオモイカネって人ですらない姿なんだよなぁ〜。でも、それって現代に言い換えれば奇形で、それを治すために医療ポッドとかナノマシンとか売ってたし、直接ユーザーから機器を改良して欲しいなんて言う話も来てた。
この雪だるまが言う、畜生が本当に畜生なのかは置いておくとして、座敷童子大先生からもお前は巫女って言われたし、知らぬ間に巫女としての事実が勝手に積み上がってるんだよなぁ・・・。まぁ、別にいいんだけどさ。
「故に、いかがか?」
「難しい話だよ。だって、私の好みと木本さんの好みは違うし、他の人の好みもまた違う。だからまぁ、最初は話してみてからなんじゃない?」
「それが難しいからこうして!」
「知ってるよ。だって、元来なら監禁して相手のして欲しいこと全部してあげて、社会的に去勢してモノにするんでしょ?なら、雪だるまから美少女フィギュアとかになって、bot代わりに話すとかでいいんじゃない?」
「それはその・・・。」
「その?」
「は、恥ずかしいじゃろ?添い遂げもせぬ相手と話すなど。」
・・・、価値観分かんねぇ・・・。これが電気精神体が思春期の子供と言われる由縁?普通そこは好きな子と話すのが恥ずかしいなら分かる。でも、スタートから添い遂げる添い遂げないだからなぁ〜。しかも、添い遂げない相手の方が恥ずかしいとか・・・。
いや、まぁ。助けた男=夫だから、助けない相手は死ねって感じで話さなくてもいいし、殺した相手が話しだしたら恥ずかしいというか怖いんじゃない?あぁ、なるほど!恨み言いわれるってことは、詰め寄られてるか恥ずかしいのか!なんだか迫られてる気分で!そうだろ?そうなんだろ?そうであって下さい頼みますから・・・。
「・・・、ここってAR神社で最大4000人とか来るけど大丈夫?」
「4000人?こんなボロい神社に?それはもうボロい神社じゃなくて立派な神社じゃろ。妾を謀るな巫女殿。」
「いや、マジなんだけど・・・。論より証拠、ほら。過去のアーカイブね。」
駄弁り配信やらのアーカイブを見せると4000人くらいが接続してる。だから、嘘はないし、偽りもない。でも、雪女理論で言うとその数ってキャパオーバーなんじゃ・・・。
「・・・。お主、名のある巫女だったのか!」
「名のある巫女・・・。まぁ、配信者としては一応そこそこ?」
「うぅむ・・・、4000人の嫁入り候補・・・。端なくともよだれが・・・。」
「いや、木の棒の手で拭ってるけど、普通に顔溶けてるから。」
引くかと思えば嫁入り>羞恥かよ!アバウトと言うか、本能的と言うか・・・。コレも姫子さん基準のせい?なにせ、この雪だるまの中の雪女は奥ゆかしさで負けたわけだし・・・。
「あと、ブライトとかいるし、普通に座敷童子大先生も来たりするからね?まぁ、座敷童子大先生は配信にはでないけどさ。」
溶けてた顔が座敷童子の名を聞いた瞬間に一気に固まった。と、言うか文字通り凍り付いた。やっぱり大先生って本人が言うように嫌われ者と言うか、一目置かれた存在なのか。
割とピュアで心配になる感じなんだけど、それでも肉体を持つ妖怪にしても電気精神体にしても座敷童子大先生は嫌がる。1人だけ確率論で生きてる様なものだしなぁ・・・。
「巫女殿・・・、座敷童子がおるのか?」
「今はいないし、たまにくるとか?」
「・・・、変わった神社じゃな。普通、座敷童子は離れれば戻らぬ。そして、離れれば潰れる。離れてもなお、こうしてあると言うなら、それは座敷童子の不幸を跳ね除けるだけのなにかがあると言うこと・・・。畏れ多くも畏み畏み申し奉る狐巫女殿・・・。」
「いや、別にいいよ。多分、なんでかって予測ついてるし。」
そう、予測。凄い雑な言い方をすると、LUCKって数値がないから。俺ができることと言うか、できることの法則はトラブルオンラインの法則で、その大本のトラブルオンラインにはLUCKなんていう数値が最初からないない。
だからクリティカル出そうと思えば首やら頭、心臓を正確に狙って自分で刺しに行くしかないし、医療提携型である以上システム的な偶々はかなり排除される。それはつまり、自分で動かない限り結果が出ないということで、極端な話をするなら周りが不幸でも自分が動いていないなら、自分に不幸が飛んでこない。
当然、周りが火事なら俺も熱いんだろうけど、それをどうにかする手立てを俺は個人として持っている。だから、跳ね除けるだけのだけのなにかを、持っていると言う話になるんだろう。まぁ、予測だから過信もできないんだけど、そもそも運とか言う曖昧なものに縋っても仕方がない。
火達磨になってそれは文字通り身にしみたよ・・・。仮に川端さんがトラックに乗って、俺が普通車で川端さんを追っていたら?答えは助けられない、だ。
なにせ仕様書は読んでいても実際に扱えと言われれば、多分扱えないだろうし、どうにかしたいと思っても足が竦んで動けない。結局運に任せるよりも、やった後から結果を見るしかないのよね。
「巫女さんオース!」
「帰る前に挨拶・・・、この駄狐!今度はなにやらかした!」
「いや、この神社なら木本さんもみたでしょう?」
「ちげぇよ!なに勝手に異界作ってやがる!」
「いや、作ってない。」
「いや、異界だ!」
「・・・、ふっ。」
「おのれ姫子!妾を笑ったなぁ!」
「や〜い、雪だるま〜。白っ歯〜。動物的でいと恐ろしや。こーちゃん怖いから助けて!」
「いや、今はそれどころじゃねぇ!って、抱き着くな、押し当てるな!」
「キィーーー!!!」




