167話 クエスト大丈夫かな?
敷田さんが運転しつつ木本さんがナビをして山を降りる。ただ、ちょっと怖いのはガソリン車と言うことと、普通の車と違い自動運転がないこと!
電子機器が狂わないようにと、最低限の装備と言うか車としての機能しかない。まぁ、暖房がないわけじゃないからいいけど、それでも運転すると意気込んだ敷田さんの顔が引きつっていたのは言うまでもない・・・。
「おっと!雪道で後ろが振れる!」
「キャー!こーちゃんこわ〜い!」
「お、おい姫子!押し付けるなよ。」
「華澄大丈夫?なにか食べる?」
「その真心だけで温かいわ・・・。」
「・・・、私泣いていいですかね?殺意の波動と言うか、独り身の孤独感で辺りを凍りつかせそうですけど・・・。」
「敷田さんどうどう。そんな第2第3の雪女事案とかいらないですから!」
そんなやり取りをしつつ麓まで降りて街へ。急患という事でゴリ押して華澄を街の診療所へ運び込みつつ、敷田さんの医師免許パワーと木本さんの権限で医療ポッドを使いそのまま入院させる。木本さん自身も凍傷は負ってるけど、華澄を優先させてくれる辺りいい上司なのだろう。まぁ、その木本さんも町医者判断で入院したけどさ。
敷田さんはそのまま診療所に残り、姫子さんは木本さんと近くがいいと言うことで診療所に残り、俺は1人タクシー呼んで旅館へ。深夜だったけど受付が開いてたのはありがたい。部屋に入ってそのまま就寝・・・。ハヤトさん達は大丈夫だっただろうか・・・。
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妖精王視点
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契約者は魂を抜いた。それはつまり、現実世界と言うものに帰属したと言うことだろう。元に今の契約者は喋りもせずに近くのモンスターを無作為に攻撃している・・・。
「ハヤト、どうする?我は契約者を優先するが?」
「妖精王・・・、俺にできることは少ない。殴り魔はそもそも前に出てモンスターを殴る役だ。まぁ・・・、そのツキさんがべらぼうに強いんだけどなぁ・・・。」
「それは・・・、同意する。」
モンスターを見る。それを切る。単純明快にして必然の理。キノコが出ればそれを切り、エンペラーが出れば、間に合えばそれを切る。守るための機構と言えば聞こえはいいが、それと邪神となにが違う?守るものの差はあれど、敵対者には容赦しない。それが意思あるものと無きもの差で、我と・・・、AIと言う者と稀人との差だろう。
「ハヤトさん!なにか採掘ポイントがありました!」
「メバルさん!それは・・・。」
エンペラーの傘は割れ、余裕を紡ぐ言葉はいつしか『子を広げ、大地を満たし種の繁栄を!』に変わっている。多分、それだけのダメージを負っているのだろう。地中に潜る時間も増えた。
『私の子・・・!』
斬!
『くっ!稀人が!なんの術も用いぬ稀人が!』
「・・・、妖精王。ツキさんをどれだけ援護できる?」
「我は契約者を守る。それが契約だ。近くで守り契約者を視る、それのみが契約としてある!」
「なるほどなぁ・・・。分かった!ならツキさんは任せた!」
「稀人ハヤト!どこへゆく!ちっ!グランドジャベリン!契約者、もっと辺りを見て!」
胞子を被り幾重にもキノコが生えて速度が低下してもなお、瞬間的な高速移動でエンペラーを切る。それが必然と言うように、それが本能と言うように・・・。
「妖精王さん!ツキさんを援護します!」
「やれ!稀人メバル!同士討ちと言うものの限界は確か5回だろう!」
「妖精王さん、それは違うよ!それは稀人同士で斬られて死んだから!」
「なに!?稀人イサキ!それは本当か!?」
知らないことが憎い!我は王ぞ!なぜ王が知らぬ理が多い!異界の神・・・、アマテラスはなぜ我々の主神よりも軽快に振る舞い、要請を出す!稀人とはなんだ!契約者のいる世界は稀人郷で、我たちの世界となにが違う!
稀人メバルの炎魔法で契約人共々爆炎に包まれる・・・。しかし、魂を抜いた契約者はそのダメージさえも意に返さず、子のキノコを斬りエンペラーに肉薄して更に斬る。
「くっ!ヒール!契約者!もう少し考えろ!今は死ねぬのだろう!」
「・・・。」
「ちっ!魂を抜いたから!お前はまだ考えて動く方だろう!尻尾ももうないのだぞ!」
「妖精王さん!それはいいからどんどんツキさんを回復してくれ!メバルさん、これは採掘ポイントじゃない、貫通ポイントだ!」
「貫通ポイント?」
「たまにある非破壊オブジェの中でも、壊せるポイント・・・。なるほど、ツキさんは倒しきれてないと言ったから知らないのかぁ・・・。」
「えっと・・・、どうするんです?」
「当然壊すよ。ただまぁ、それが良い悪いは分からないけどなぁ・・・。渾身!」
『ホッホッホッ・・・、私のテリトリーでそんな狼藉させるとでも?・・・、コイツ!邪魔よ!』
「ツキさんはやらせない!」
「稀人イサキ!」
「大丈夫だ妖精王さん!ジャストガードできた!」
盾の甲高い音と共にエンペラーにダメージが入る。それを見越したかのように契約者がエンペラーの腕を切り飛ばす。エンペラーは弱っている!このままやり続ければ!
「妖精王が命ず!地の妖精ノームよ!大地に仇なす者を罰せよ!」
グランドジャベリンではなく、対象を狙う一撃!大地よりそびえる石の巨槍は、しかして大地に潜るエンペラーには当たらす空を切る。なぜ我は外した!契約者は死んでもいいと言ったが、我それを認めぬ!
「契約者!もう少し連携を!」
「妖精王さんそれはいい!この一撃でなにかが・・・。」
『投げろ!投げろ!』
「邪魔をするなキノコ風情が!!」
死体を投げようとする子キノコ、炎の魔法を使うメバル、再度契約者を殴り倒そうとするエンペラーの攻撃を盾で防ぎつつ、意思なき契約者が好機と見るやエンペラーに斬りかかる!そんなさなか・・・。
「うぉぉぉ!!!!これが俺の最大攻撃!ハードナックル!ゴッドナックル!バスターナックル!・・・、カウントゼロ。連拳:タイタン殺し!・・・、崩脚!」
壁へ向かいひたすらの乱打!エンペラーにそれを叩き込めと稀人ハヤトに言いたいが、それを言う暇もなく壁を殴り削り・・・。最後の一撃を壁に叩き込むと、ボコッ!と言うも音がして最初はチョロチョロと・・・、そこから一気に水が流れ込んできた。
『・・・、子達よ。強く生きなさい。私は・・・、次の場へ・・・。』
『ま゛んまぁ゛・・・。』
「ハヤトさん!」
流れ込む水、それを吸い強制的に巨大化するキノコたち・・・。逃げるエンペラー。警戒をとかないものの
契約者はただその場に佇み、他の稀人たちは歓喜を上げつつ攻撃されながらも動けない子のキノコたちを慎重に切っていく。
「妖精王さんもキノコを斬らないか?」
「契約者が心配だ。」
「あ〜・・・、今は大丈夫だぞ?キノコたちは動かない。多分、ツキさんも動かない。それに、キノコを取った方がツキさんも喜ぶよ」
「・・・、試し切りだ。」
近くの巨大化したキノコを切る。
オニフタケ:品質高
普通なら水っぽいキノコ。ただ、スノーボールラーメンにするなら、焼いた時にその旨味が染み出し極上のスープを生み出す。王族もご満悦の一品。
そんな事がキノコから分かる。
契約者はこれを望んでいたのだろうか?開いた穴には岩がつまり、水は流れ込まなくなったものの、膝丈まである水はやはり体を冷やす。




