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狐と言えば・・・巫女!  作者: フィノ


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165話 どの娘がお好き?

 誰が勝つかはいいとして・・・。まぁ、総体だから誰かが前に出れば・・・、いや?今回嫁になれるのは1人だから、本気のガチバトルが勃発してる?傍目からは1人脳内会議を延々と垂れ流してるふうにしか見えないけど・・・。と、そんな事より華澄は!?


「決まるまで私って離席していいと思います?敷田さんがいるから大丈夫だとは思うけど、華澄が気になる。」


「あ〜・・・、鬼一の奴は?」


「ぬらりひょんと睨み合ってどっかにいきました。」


「それは行ったんじゃなくて行かされてんだよ。ぬらりひょんの直接的な攻撃っつうか害は、精々多くあるもんなんかをチョロまかすくらいだ。だがな、それよりも厄介なのは勝手に家に上がり込んで気付かれねぇことだ。」


「ここは雪山ですよ?家なんて・・・。」


 木はあっても家はない。雪が積もって辺りは暗く、敷田さんの懐中電灯やら、雪に埋もれた車のヘッドライトが光源と言えば光源で、どこか切り取られた世界と言う感覚が強いかなぁ〜。


 車のヘッドライトもLEDで、ハイビームにしてないから余計見える範囲は狭まるし、動物の声やら雪が落ちる音もしないからかなり静か。


「あぁ、雪山だ。雪女の住む雪山だ。いいか?縄張りやらテリトリーっつうのは、誰かの住処だ。病院でもアパートでも住んでたら分かるだろ?隣に誰が住んでるか知らねぇ。でも、誰かの出入りはある。なら、そこにスルリと入り込んで居座る。」


(まぁ・・・、今回は呼ばれたみてぇだが・・・。)


「はた迷惑な奴ですねぇ・・・。で、車に行っても?」


「・・・、その前に供物ってなんだ?」


「あぁ、お肉ですよお肉。あと、参拝料の千円。」


「・・・、はぁ?いや、お前が食わなきゃならねぇのは分かる。分かるが・・・、肉は豚バラとかでいいか?」


「多分なんでもいいですけど・・・、少なくとも50kgは今すぐ持ってきて下さい・・・。いや、もっといる?」


「参拝料よりたけぇよ!」


「でも、それが必要なんですよ。」


「なんの肉でもいいんだな?」


「多分・・・。」


「分かった、どうにかする。」



________________________

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



「こそ泥・・・、今更なにを企んでいる?」


「それこそ、それこそじゃよ天狗。・・・、ぶへっ!」


「痛いんじゃが?うぐっ!」


「そうポンポン殴られると・・・。」


 ぬらりひょんの顔面を殴る・・・。ぬらりひょんは好かん。殴っても手応えがない。殴り飛ばし転がって行き、次の瞬間には同じ距離をとって立っている。ただそこにいるのが当然と感じる老人。だか、そこにいるのが当然なら、当然にそこにある。


「あいた。次は本気で祓うが?」


「・・・。のう、天狗。今の世どう思う?」


「戯言に耳は貸さん。」


「待て待て!日の光は人に手に収められ、アマテラスと聞けばAIを思い浮かべる世ぞ!追いやられた我らが行く先にまで手を伸ばすは人ぞ!今はまだ電気世界で縄張り争いで済んでる!じゃが、それさえ気に食わぬ奴もおる!」


「それが古くからの定め。野に下るを良しとせず、閉じ籠もれば済むとした。」


「それはお主が人として今を生きるからじゃろう?なら、人にさえなれぬ儂らはどうする!」


「喝ーーーっ!世迷言を。曖昧で良しとしたから、そうあるのだろう?今更笑わせる。なにが『人にさえなれぬ』だ。俺はお前達とは距離をおく。だが、かなり好き勝手しているのは知っている。それこそ、電気製品が増えればそれを、脳波操作が増えればそこを・・・。」


「・・・、ふむ。」


(話を聞かん奴はどうものぉ・・・。どこでなにがどうしようと構わんのじゃが・・・、天狗はのぉ・・・。)


「なら、今は引くとするかの。遠くへ追いやられても面倒じゃて。」


「去れ。俺の前にその顔を見せるな。次は最初から・・・。」


 言い終わる前に消えたか・・・。いや、離れただけか?鬱陶しい。ただ、流れに身を任せ忘れ去られれば、それでよかったろうに・・・。わざわざ現世へ関わろうとするから面倒事が増える。いや、しかし・・・。


「結局俺も同じ穴の狢か・・・。どうした木本。」


『ぬらりひょんは?』


「離れた。」


『そうか・・・。なら、1つ頼まれてくれねぇか?』


「なにをだ?」


『なんでもいい、肉を5、60kgほど頼む。』


「・・・、なんでもいいんだな?」


『・・・、多分。』


「分かった。」


 会話を切りそのまま腕を振るい一撃。砕けた頭は牝鹿のものか。近寄って検分するが孕んではいない・・・、さとりて老いてもいない。喰らうにはちょうどいい・・・。ただ、腕が訛ったか、2頭撃ち抜いてしまった。



________________________

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



「敷田さん!華澄は!?」


「落ち着いてマリちゃん。」


 木本さんがどこかに連絡を取りつつ、華澄を見てきて言うので車へ来た。助手席に座る華澄を窓越しに見るけど、かなり顔色は悪い。と、言うか青白い。


「よ、容体は?冷えてます?温めますか!?」


「凍傷の2〜3度。末端は黒くなっていますが、今の見立てなら骨や軟骨は無事です。足の方も多分その程度ですが、水膨れや血膨は破かないようにして下さい。それと、温めると言っても擦ったらダメですよ?確かにナノマシンによる再生医療も発展してますけど、大元があるのとないのじゃ再生速度も違いますからね。」


「命に別条は?」


「流石にこのまま冷え続ければダメでしたけど、今のところは大丈夫ですよ。話しかけて安心したら緊張の糸が切れちゃったみたいですけどね。まぁ、寒さは体力を奪います。でも、寝るまではマリちゃんの名前を呼んでましたよ。」


「華澄・・・。」


 今回は間に合った。でも、次は?そう考えると怖い。怖いけど、その怖さを先に鞍馬さんから質問されて答えた。多分知らずに答えだけを渡されても後悔する。その答えが華澄の死なら尚のこと・・・。


 なんでもできるなんて思い上がったことは考えない・・・。でも、なにかできることがあると思わなければ、動けない。だから・・・、俺はやはり会社に辞表を出して身軽に動けるようになっておこう。


「とりあえず尻尾で包んでおきます。多分、毛布の代わりくらいにはなると思いますから。」


「・・・。遠くで途切れ途切れ聞こえましたけど、雪女はどうするんですか?」


「・・・、分かりません。でも、自分にできることをやってみようと思います。」


「私が言うのもなんですけど、多分妖怪と言うか電気精神体側から更にアプローチがあるかもしれませんよ?」


 敷田さんが俺の顔を見ながらそう問いかけてくる。確かに電気精神体が総体的で今回誰か1人を受肉させれば、次は私も!と言う人?妖怪?はいると思う。なにせ結婚願望が暴走してるような感じだし・・・。なら、どうする?


 普通に来て話を聞くならいい。でも、来るだけで吹雪とか起こされたらたまったもんじゃない。流石にそれは話を聞く以前の迷惑行為だ。なら・・・?


「敷田さん。AR神社のデータ使わせてもらいます。」


「はぁ。それはまぁ、どうぞ?」


 よし、やれることをやろう!包んでいた尻尾を外そうとすると、かすかに指が動いて尻尾を掴もうとしたように思う。でも、その指は凍傷で動かない。


 ここで華澄にヒールをしたら?そんな考えも頭をよぎる・・・。でも、それをして確実に治るという保証もなければ、病院で治療してもらった方が確実だろう。


「華澄・・・、ちょっと行ってくる。」


「真・・・利・・・。」


「大丈夫・・・、華澄は生きてるよ。」


 大麻を手に持ち車から離れ木本さんところへ。ただ、近付くに連れて肌で分かるほど気温が下がっているような・・・。えっ?あの雪女って木本さんまで凍らせる気?婿って言ってたのに?


「木本さん!」


「おぅ。」


「頬が・・・。」


「ワセリン塗っても黒ぇか?まぁ、治る。気にするな。」


「それは・・・、いえ。今は言いません。それで宇津田さんは?」


「ラストバトルなんじゃねぇか?」


「ラストバトル?」


『妾の方が古い!故に妾を敬い夫をよこせ!』


『私が先に目を付けたの!老婆の嫁とかいらねぇし、引っ込んでよ!』


『なにを言う小娘!婿を得てお家を守るは妻の務めぞ!』


『今はそんな時代じゃないし!ちゃんと電子書籍読んだ?男の人は尽くしてもらいつつ、ちょっとイタズラしたり思わせぶりな態度取る方が好きだし!』


『今も昔も変わらぬ!男は外、女は家!冬山に籠るならいくらでも妾が尽くす!』


『そんな重い女モテませ〜ん。』


『尻軽がモテるわけなかろうアーパー!』


 1人百面相しつつなんか貶し合ってる・・・。ラストバトルと言うからにはこの2人?のうちのどちらかが木本さんの嫁になると・・・。チラリと木本さんを見ると、どこか遠い目をしながら雪女を見てるんだけど・・・。


「これが噂のモテ期ですか?」


「これがモテ期なら俺は一生独身でもいいぞ?」


「いや、ほら、昔は名前しか知らなくてもお見合いして結婚してましたし?」


「だから付き合ってから結婚、同棲してから結婚、自由恋愛が主流になったんだろ?婿になって雪山に行けば、毎回あの中の誰かが妻として出てくるんだぞ?」


「なるほど・・・、一夫多妻制であると?」


「ものの見方としちゃそうなんだろうがよぉ・・・。ギャルゲーで全ヒロインの性格が1つのキャラクターに収まったらどう思う?」


「多重人格、属性マシマシ、人外要素で体型チャッチャのヤンデレトッピングとか?」


「ラーメンじゃねぇんだよ!胃もたれはしそうだけどよぉ・・・。で、なにスマホいじってやがる?」


「ちょっと準備を・・・。でも、それなら木本さんが性癖を叫べば済むのでは?」


「性癖を叫ぶか!・・・、いや?性癖じゃなくて性格なら或いは?」


 木本さんがブツブツ言ってるあいだに、俺は俺でAR神社の準備!スマホにデータ入れといてよかった。科学バンザイ!最新技術バンザイ!その分、財布への打撃はデカいんだけどさ・・・。


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