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狐と言えば・・・巫女!  作者: フィノ


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156話 クリスマスムードかぁ

 華澄が連れ去られ敷田さんとも別れて部屋へ。雪で濡れた髪と尻尾を拭きつつ、服も全部着替える。傘差したりもしたけど、転んで手が付けない方が危ないと、途中からは差してなかったな・・・。と、言うか木本さんの声の端々になんか焦りもあったような・・・。


「考えても仕方がないか。内湯だからちょっと浸かって暖まろ。」


 温まって浴衣着てお茶を飲んでゲームにログイン!ユアンさんやフロムさんとダンジョン攻略してたから、デイリーこなす暇もなかっなぁ。なんにしてもログボの金塊貰ってデイリーを確認すると、アレイスターにちなんでか本の整理が!


 図書館で司書達と鬼ごっこしたことを考えると、ちょっと気が引けるな・・・。まぁ、不問とされたから大丈夫なんだろうけどさ。そんな事を思いつつ哲学の子に入り、本の整理をしに来たと司書に伝えて渡された数十冊の本を本棚に入れていく・・・。


 不問にされたけどやった事実は消えないから、要注意人物にでもされたかな?司書達の俺を見る目が不審者を見るソレである。ただ、今回は騒がず歩いて本を収納してるから大丈夫かな?


「ん?ツキさんか。」


「おや?ハヤトさん。こんなところでどうしました?テキストでも読みたくなったんですか?」


「いや、そう言うわけじゃないんだが・・・。そうだ!ちょっと・・・。」


「そこ、静かに。」


「話を聞いてくれないか?」


 ハヤトさんの『そうだ!』に反応した司書から警告が!デイリー済ますから待っててと話し、さっさと本を収納してデイリー完了!怖い司書から逃れるように図書館を出ると、入口でハヤトさんが待っていたので、そのまま近くの酒場へ。


「いやぁ、すまない。小声のつもりだったんだがなぁ〜。」


「大丈夫ですよ。ちょっと私も司書達から目をつけられてましたからねぇ。で、どうしたんです?」


「魔法都市トルネコ。ツキさんは知ってるよな?」


「ええ。魔法工学都市アレイスターの姉妹都市だったか兄弟都市だったか・・・。なんにせよラーメン食べたくなる街ですよね〜。」


 魔法都市トルネコ。NPCで言えば神族が多い街でどこからでもいい匂いがする。歴史的な話をすれば、神族は野菜中心の生活だったらしいが、古代戦争で野菜が取れなくなって苦い草ばかりを食うハメになったらしい。


「分かる。体鍛えて低糖質生活してると、あそこでひたすらラーメン食って紛らわしたくなる。てか、やってる。」


「エルフも神族もラーメンはお好きと。たまにあの街で呪文唱えてる人いますよねぇ。アブラマシマシ、背脂チャッチャ、野菜は全てをゼロにするから、チャーシュー大盛り・・・。」


「俺のリアルの食にも彩りを!」


 そこでハヤトさんが言うように、神族は食に彩りを!と、立ち上がったエルフと言うか神族達が、モンスター狩って全部使う!使い切る!をモットーにスープ作って、油使ってとしている内にラーメンができましたとさ。なので、トルネコに行くとどこでもラーメン売ってるし、日夜スープの研究に余念がないのよねぇ。


 あ〜・・・、あの死んだNPCのラーメンがもう一回食いたい。死んだら子が継ぐけど、変数でも入れてるのか、はたまた俺達の脳波でその時の旨いが変わるのか、なんとなく作るNPCが変われば味も違う気がする・・・。


「プロテインバー生活とか、サラダチキン生活は体に響きますよ?私もタンパク質はいっぱい取ってますけど。こう・・・、ジャンキーなハンバーガー食べるチートデイ的なものは・・・。」


「やめてくれ・・・。この前チートデイやって、今減量末期なんだ・・・。」


「おっと、それは失礼。あれっ?ボクササイズは趣味じゃなかったでしたっけ?」


「趣味だよ。ただ、ボクササイズからキックボクシングに切り替え進められて、アマチュアの試合に誘われたんだよなぁ〜。で、それに出るって話。」


「なるほど。筋肉とウェイトのバランスは大変そうですね。」


「まぁ、な。ただ魔法都市見てると楽をしたいと言う誘惑も・・・。魔法はないんだけどなぁ・・・。」


「ないですけど、あそこの暮らしは楽そうだ。で、なにか楽になるアイテムとか欲しいんですか?ゲーム内ですけど。」


 魔法都市で楽ができるかって?ラーメン作るのも餃子作るのも魔法で作ってるからだよ!魔法はある!簡略化する!だから魔法を使って楽をする!ある意味神族はおおらかで物臭なんだろう。ただ、飯は本当に旨くてVRゲームなのに本当に食った満足感も大いにある。


 中にはNPCを襲撃イベントから守るために、駐在し続けることを誓ったプレーヤーもいるとかいないとか・・・。まぁ、どんなに食っても太らないなら、お気に入りの味は確保したいよね?と、言うか俺に生活魔法くれ。リアルが楽になるから!


「そう。そこなんだが・・・、伝説のキノコって知らないか?」


「伝説のキノコ?う〜ん・・・、伝説の〜って付くもの多いんですよね。なにか具体的なものってありません?形とか、大きさとか。」


「大きさは・・・、多分両手で持てるくらいだと思うんだがなぁ〜。なにせお椀にするらしいからな。」


「キノコをお椀?う〜ん・・・、もうちょいヒント!」


「クイズじゃないんだが・・・、中が茶色いとダメらしい。なんでもクリスマスに使うって話で、それを採取して来てくれって話なんだよ。フレにも聞いて回ったんだが、コレって物が中々なくてなぁ〜。」


「クリスマス・・・、あっ!スノーボールラーメン!」


「スノーボールラーメン?」


「そう。スノーボールラーメン。美味しいかどうかは別として、オニフとか言うキノコの中にラーメン入れてチーズで蓋して作る焼きラーメン。焼く前が白いからスノーボールラーメンって呼ばれてるよ。」


「なるほど・・・、多分そのキノコだな。クリスマスの宴で使うって言ってたし。」


「なんかのクエスト?」


「野良で傭兵しててな。そこのパーティークエストがそのキノコを探してくるなんだよ。ただ、さっきのヒントしかなかったから、手分けして俺はアレイスターの図書館で情報仕入れにな。」


「導線は間違ってないけど、探す場所が違うパターンか。」


「探す場所が違う?魔法都市のレシピ図書館は探したが?と、言うより宴メニューがなんでレシピ図書館にないかの方が不思議で・・・。」


「仕方ないよ。だってオニフはモンスターだし。」


「・・・、は?走り回るキノコ的な?」


「いや、地下で手ぐすね引いて待ち構える的な。」


「ツキさんはそれを?」


「残念なことに倒してない。と、言うかジメジメしてるからあんまり行きたくない。見たことはあるけどね。」


「う〜ん、傭兵してるパーティーでは俺が1番レベルが高いんだが・・・。ツキさんがキツイならクエスト失敗も視野に入れてもらうか。」


「それはちょっとまずいかも。季節系のクエストって、大量発注して大量受注してもらって、全体の達成率見るらしいのよねぇ。」


「・・・、失敗が増えると?」


「トルネコの王室がお通夜モードになる。もしくはキレる。」


「それはまた極端だなぁ・・・。お通夜モードは大人しそうだけど、キレたら?」


「ちょっとした事で目くじら立てられるとか?NPCと口論したらプレーヤー側の過失割合が最初から1割増的な?」


「地味な嫌がらせだな・・・。せっかくのクリスマスなのに・・・。」


「周年イベントやらがあるから、日常をガンガン回してるんでしょ?休みまでに仕事せずにサボったから怒られる的な、ね。そうでなくとも、クリスマス当日はプレゼントレースがあるし。」


「去年は何個かプレゼントを投げて終わったなぁ〜。と、今パーティー組んでるメンバーからだ・・・。えっ?」


 ハヤトさんが目を点にしてる。『えっ』と言ったからには何かしらのトラブルだろう。情報集めてたらうっかり不法侵入して上級騎士に追いかけられてるとか、変なギミック作動させて連れ去られたとか。


「どうかしました?」


「パーティーメンバーがリアルの事情で2人落ちたらしい。」


「あらま。宿題でもサボったんですかね?」


「いや・・・、子供が熱出したと・・・。」


「それはゲームしてる場合じゃないやつ!えっ?残りメンバー何人ですか?」


 子供が熱出す。俺に子供はいないけど、あるあるなんだよなぁ〜。会社員してた時も、子供が熱出して奥さんが病院連れて行くから、もう1人の子供の面倒見るために早退するとかあったし。


「2人だな。俺を合わせて3人。まぁ、リーダーが落ちてサブリーダーとレベル80代の新人しかいない。流石にこれは厳しい・・・、いやどうにか?」


「乗りかかった船ですし手伝いましょうか?ハロウィン以来一緒にクエストもしてなかったですし。」


「いいのか?ジメジメして嫌なんだろ?」


「まぁ、燃やせばどうにか?ついでに妖精王も連れていけば穴は埋めれますし。」


 現実世界で空腹拷問と首刈りをされた妖精王だけど、省エネモードにならずに領地で暇そうにしている。まぁ、サブスク使ったから畑耕さなくていいしねぇ。


「なら、すまないが頼めるか?」


「ええ。ならトルネコへ行きましょうか。そこじゃないとクエスト募集できませんし。」


 そんな話をして店を出る。そう言えば華澄がまだ戻らないけど、木本さんとなにしてるんだろ?



________________________

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



「それで、なにかあったんですか?」


「あったからこうして出張ってんだよ。なんか知らんがぬらりひょんがうろちょろしてやがる。」


「この地をですか?師匠は?」


「鬼一は不干渉だそうだ。まぁ、あいつからすりゃあぬらりひょんは、茶飲みジジイで相手をするまでもない。強いて言うなら目障りくらいだろうさ。」


 そう。道を探して道に迷い、それでも道を探す求道者。結局のところ鞍馬 鬼一と言う、元々1つだった男が鞍馬天狗と鬼一法眼と言う2人に分かれたうえで1つに戻るにゃ、何かしらの道を探すしかねぇ。


 だから人にモノを教えもすれば、陰陽道なんかにも手を出す。妖怪・・・、なにがそうして妖怪になるかも、電気精神体やらになるかもわからねぇ。まぁ、そこにある。対処できる。だから被害が出る前にどうにかする。


「目障りついでに叩き潰してくださればいいのに。ケチですね。」


「それを面と向かって言えるお前がすげぇよ。」


「言いたいことがあれば言えと習いましたから。しかし木本さん、これから私達だけで?」


「一応その構えだが・・・、神出鬼没スルリと入り込むのが常套手段だぞ?固定用に木簡も本も持ってきた。ちっ!この雪で崩れなきゃいいが・・・。」


「湿気取りを用意しておきましたか?」


「それでどうにかなるか!」


「そう思うなら木本さんもAR木簡やAR表示書物を使えば・・・。出過ぎた事を言いました。」


「・・・、構わん。そっちの方が効く奴は効く。それは分かってる。分かってるが、リスクもデカい。ちっ!にしても今年は雪が降り過ぎてやがる。」


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