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狐と言えば・・・巫女!  作者: フィノ


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155話 リアルジャストガード!

 肉やら野菜をもっちゃもっちゃ食べつつ、イノシシ汁?鍋?豚汁?を飲んで一息。寒い日に足湯に浸かりながら、外で飯を食う・・・。雪も降り込まないから贅沢なんだろう。猪肉のお陰で体もポカポカするし。


「いいですね〜、お肉。油も落ちてヘルシーな感じと言いつつ、その甘い脂身も丸ごと喰らう!私は今・・・、野生に目覚めた獣!」


『既に狐だから野性味がありますよ。あと、口を拭きなさい。油で唇が光ってます。って、舐め取らない。』


「油を拭くなんて勿体ない!これは美味しい油、いい油です。そこそこいい値段するから多分天然ジビエ?加工やら養殖やら分からないものをみんな食ってるけど、重要なのは旨いことだぞ〜。」


 エア・プロテインの話なんかをシモンさんから聞いたけど、目の前にブロック肉出されたり、食べ放題の焼肉行ってスライスされた肉を見て、天然やら加工やらなんて話はしない。結局出された物、ある物を食うしかないのよね。


「さてと、ごちそう様でした。美味しいお肉にほんのり塩気のあるサツマイモやジャガイモ。雪を見ながら足湯に浸かっての食事は風情がありますね〜。写してはないですけど、周りにも食べてる人がいるので、結構人気のお店かもですね。」


 そこで話を切り足をタオルで拭いて外へ。朝よりは雪が降ってないものの、やはりチラチラと舞い続けている。と、言うか雪掻きした雪を側溝に落とすと結構な湯気が!


「ハルP。高台行って街を見下ろして『この街を我が手中に!』とかやろうかと思ったけど、どうする?」


『悪の幹部ごっこはいいとして、流石に雪原見ても仕方がないですよ。このまま街の散策をするのです。』


「は〜い。と、そこ!」


「狐のお姉ちゃん、ごめんなさーい!」


「その刹那、私は飛来する弾丸を尻尾ではたき落とした。攻撃とも言えぬ攻撃、打ち砕かれた弾丸、悪の幹部ムーブをした私に残されたのは、勝利の余韻ではなく尻尾に残された雪の冷たさだった・・・、まる!」


「すいません、撮影中に・・・。大丈夫でしたか?その衣装も・・・。」


「大丈夫ですよ〜。あっ!あんまり近寄ると映り込むんで気を付けて下さーい。映り込んだらぼかしや、モザイク、トリミング等で顔は隠しまーす。」


 店を出て敷田さんと話していたら雪玉が飛んできた。謝る子供の声と保護者だろう声の方を見ると、2人の子供とお母さんらしき人が見えた。どうやら子供同士でテンションが上って突発的な雪玉合戦でもしてたんだろう。


 撮影と言う話を聞いて立ち止まり、映らないだろう位置で頭を下げてる。まぁ、どうせ生物の尻尾だから汚れたら丸洗いでいいのよねぇ。


「クリーニングとかーは?」


「拭けばいいんで大丈夫でーす。丸洗いもできるから気にしないで下さーい。ただ、ちびっこ2人ー。駐車場で暴れたら危ないぞー。」


「はーい。ごめんなさーい。」


『ツキよ、善い行いです。巫女として徳を積みましたね。』


「ハッハッハ!リアルナインテールだよ?ジャストガードしてやるぜ!さてと、尻尾を拭いて温泉街を散策するとしましょう!木刀、木刀!」


『修学旅行か!お祓い棒で我慢しなさい!』


「ちぇ。」


 散策する街はやはり人通りは少ない。ついでに言えば、俺を見て物珍しそうにする人もいれば、スッと姿を隠そうとする人も・・・。座敷童子大先生も初めは怖かったし、やっぱり妖怪っぽい人は何かしら感じるところがあるんだろうか?


 逆に言えば俺はなにも分からない。なにせ医院長やら八百理事、鞍馬さんを見ても普通の人としか感じなかったしなぁ〜。そんな事を思いつつ、お土産品売り場街に来て湯せんべいやらを物色。


 名前入りの箸が買えると言うので、全員分名前を入れて貰い買う。まぁ、俺の箸は『ツキ』と入れてもらったから実名じゃないんだけどね。


「ほう・・・、射的ですか。」


『千円ガチャにお金を突っ込むよりはいいでしょう?』


「え〜・・・。龍の形のキーホルダーとか・・・。ほら、ほら!なにやら変形して合体して弓の形になったり!」


『大人しくかんざしを狙え!小道具ないからここで調達する!』


「仕方ない・・・。はい、小芝居はこれくらいにして、射的ができるようなのでやってみましょう。・・・、亜人族だからってミス連発しないよね?」


『さぁ?単純に下手なら明後日の方向に飛ぶでしょう。』


「まぁ、ともかくやってみますか。」


 コルクを詰めてポン。目標をセンターに入れてスイッチ。目標をセンターに入れてスイッチ・・・。あ、当たらねぇ・・・。隣で遊んでいる人は当たってお菓子貰ってるし、この銃が悪いわけでもないと思うんだが・・・。


「おかしい、ライフルならそこそこ当たるはずなのに!」


『使い慣れない物を使えば自ずと結果ががが・・・。』


「おいちゃん、もう一皿!」


「あいよ。」


「次こそは華麗なる射撃テクを・・・。えっ?やるの?やらない?補助?」


 華澄が耳打ちしてくる・・・。傍目から見れば頭に向かって話してる風にして見えるけど、俺の今の耳は本当に頭のてっぺん付近にあるのさ!華澄が補助するというのでおじさんにいいか聞いて許可を貰い、俺が構えて後ろから華澄が覆いかぶさる。


『参拝者諸君!ここにキマシタワーが建設された!』


「ハルP、それなんの塔?五重塔とか?なんにしても胸が重い・・・。」


『硬派な美女の胸に押し潰される美少女の絵面には、過去から情熱を注いだ絵師達の魂が乗ります。歌麿に北斎・・・。』


 巨乳の華澄の胸が頭に乗って重い。まぁ、敷田さんがなにやら熱弁してるけど、それとはお構いなしに銃を持つ俺の手に華澄の手が添えられる。そして、華澄の顔が俺の顔の横に来たタイミングで引き金が引かれ・・・。


「おぉ!当たった!」


「息を吸って少し吐いて息を止める、利き目か両目で照準を合わせる。肩への引き付けは水平で力まない。」


「なるほど。」


「ほい。嬢ちゃん達景品だ。いやぁ〜、いいもん見れたから寿命が伸びた。」


 華澄が撃ち方の説明をしている横で、おいちゃんが景品を差し出す。流石と言うかイノシシ狩ってるだけあって、ライフルの扱いはお手の物か。いや?でもコレってコルク銃だよな?おんなじなんだろうか?


「さぁ、ツキ。指を出して?」


「えっ?」


「左手の薬指。そこに着けるために指輪を落としたのよ?」


『これは合法的な処方です。過剰摂取が怖いユリスキーは心の準備を!』


「いや、まぁ?いいっちゃいいんだけど・・・。」


 華澄がそっと俺の指輪におもちゃの指輪をはめる。囃し立てる敷田さんはいいとして、何らかの形で答えは出さないとなぁ〜。色々流されてズルズル来てる気もするけど、答えを出す前の問題が山積みすぎて・・・。


「はい。なにやら結婚指輪風な物を黒服さんから貰いました。残りもポンポン撃って景品を根こそぎ貰いましょう!」


 結局その後景品を1個だけ自力で落として射的は終了。チョコ菓子を分け合ってボリボリ食いながら街を歩く。ただ、あんまり街外れに行くと国有林と隣接したところがあるらしく、そっちの方には行くなと華澄から言われたので、あんまり街中から出ないようにする。


「さて、尺的にはこんなものかな?敷田さんどう思います?」


「そうですね〜。雪歩きで疲れたならこんなものじゃないですか?あまり尺が長いと、外でなにかしてって話題が盛り上がりそうですし。」


「真利としてはどうなの?旅行は好きだったけど。」


「旅行は好きだけど、日帰りとかでぷらっと目的もなく歩く感じだったからかなぁ。なんにしても今はスマートレンズで調べて散策って感じだから、ここが由緒正しい何々〜なんて、説明もできなければ、知りたい人は勝手に検索するしねぇ。」


 旅番組やらを見る最大の理由?そんなものは土地に対する知識が欲しいからじゃなくて、そんな場所があるとかを知りたいから。あれだ、地図を見るのに似てるかな?


 地図を開く、ストリートビューで街中を見る。そして、撮影されてない細部で躓いてその奥どうなの?と知りたくなる。なにか大きな違いがあるわけでもないし、知らなくても特に困らないけど裏路地とかに入って室外機満載のビル壁とか見ると、ちょっとワクワクする感じ?後は演者が好きとかかな?


「お〜い、お前ら〜。」


「ん?木本さん?」


 声がする方を見ると着膨れした木本さんが立っていた。後ろには4WDのデカい車も見えるし、どこかへ行く途中かな?これと言ってなにかを持っているわけでもないけどさ。


「ちょうどよかった。今から柊を呼びに行くところだったんだよ。」


「今日はオフで真利と遊ぶ予定ですが?」


「その予定を取りやめるから呼びに来てんだよ。」


「取りやめを拒否することは?」


「ダメだ。代休半日やるからこい。」


「・・・、夕食までなら。」


「頑張り次第だな。」


「えっと、私達は?」


「マリちゃんと敷田さんは旅館に送るからそこにいてくれ。」


「はぁ。」


 木本さんに急かされるようにして車に乗り込み、そのまま旅館に送られて降ろされる。なにやら急ぎのようなので口は挟まないけど、なにかあったのだろうか?


「とりあえず、ここにいても仕方ないから部屋に戻りましょうか。」


「そうですね。私も三枝主任とちょっと打ち合わせしたいことがあるので、次は夕食時にでも会いましょうか。」



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