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狐と言えば・・・巫女!  作者: フィノ


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101話 元はそこそこ優秀な営業マン 挿絵あり

 結局よく分からないと言うことが分かった。前進していない様に見えて、分からないことが分かると言うのは前進なのよねぇ。営業でもそうだけど、色々リサーチかけて欲しそうな商品を提示する。けど、担当次第では不要と言われる時もあるし、説明次第では購買意欲を刺激する事も出来る。


 結局分からない事が分かるって言うのは今してるアプローチが効果的なのか、それとも本当に間違っているか分からない状態で、だからこそなにかを追加するか差し引くか白紙にするかって言う選択肢が生まれてくる。


 とまぁ、そこまで考えたとしても研究分野に関しては俺はちんぷんかんぷん・・・。だと思うしエア・プロテインとか初めて聞いた。確かに食糧危機が〜って叫ばれた時代に農業革新があったとは聞いたけど、まさかナノマシン使ってたとは・・・。全く畑違いで知りもしなかったよ。


 そう言えばNo民の人達はリアル農家っぽかったけど、話を聞けばなにか分かるのかな?それとも相変わらず高い天然物と言うか遺伝子組み換えやら農薬やら使わない有機農家とか?いまだに忙しい農家さんは、忙しい代わりに高給取りなんだよなぁ〜。医療機器とかもオーダーメイドしてくれたりするし。


「とりあえず部屋に戻ります?」


「三枝主任なにかありますか?」


「1度今あるデータをまとめます。敷田さんはそのままマリちゃんと共に病室へ行って下さい。下手すると白波先生がちょっかいかけてくるかもしれませんので。」


「白波先生が?最近は忙しそうにしてましたけど、確かに研究分野として被る所もありますからね・・・。」


「いえ、マリちゃんにどうも興味があるようです。誤算でしたが確かに神秘医学と白波先生の研究は被る部分が多い。そして神秘医学そのモノがマイナーなので専攻する医師は少ない。それこそ日本では数名・・・、天野医院長や八百理事となりますね。」


「医院長はいいとして八百理事って医師免許持ってたんだ。」


「驚く所はそこですか・・・。」


「いやいや、営業職からすれば理事と言うのは経営者なんですよ。業績って言うとおかしいかもしれませんけど、どんな患者が多くてどんな薬が売れて、どんな治療やナノマシン等を研究させるか。何事もお金は大事ですからね。・・・、流石に名乗れば霊媒師的なことじゃないですよね?」


 神秘医学専攻で三枝先生の後輩で医院長の客人。それがマリー・ガンディーと言う人物なんだけど、ほぼ嘘なんだよなぁ〜。巫女とか名乗ったら占い師じゃないから、調べられるとモロバレしそうな・・・。そもそもマリー・ガンディー自体存在しないし。


「流石に医師免許は必要です。しかし、マリーちゃんの場合はタグ的には医院長の客人止まりですよ。」


「あら?医者って肩書は?」


「?私の後輩で神秘医学専攻、神秘医学の医師と白波先生へは紹介しましたが、医師免許を持っているとは言っていませんよ。そしてマリちゃん自身も医師とは名乗っていませんが?」


「確かにそうですけど・・・、紹介の時点で医師って言ったらいけない様な・・・。」


「医師助手なら問題ありませんよ、無資格で可能ですから。だから医院長は客人としての席を用意したとも言えます。私の助手では詮索も激しくなりますので。」


「なるほど・・・?」


「分かってないのに納得してません?マリちゃん。」


「いくら営業に当てはめて考えても、病院内やら医師の関係性までは知りませんからね。なんにしても問題がないならそれでいいですよ。」


 そんな話をして病室へ。相変わらずネームプレートはないけど、いっその事ここにマリー・ガンディー室とでも付けてもらおうか?そうすれば気になってる看護師さん達にも分かりやすいし。いや、それをするとマリー・ガンディーが独り歩きしだすのか。


「ちょっと遅くなりましたけど夕食持ってきますね!」


「お手数かけます。」


「ツキちゃん、それは言わないお約束。と、そう言えば駄弁り配信したいんですか?」


「ゲーム動画は上げてますけど、本格的な駄弁りってやってないですからね。ちょうど無料演者もいますし。」


「それって妖精王ですか?」


「ええ。メインコアってアイテム使って高性能化したから対話もスムーズと言うか、多分学習に割り振るタスクが増えてるんじゃないですかね?」


「分かるもんなんですか?それ。」


「まぁ、ご飯でも食べながら話しましょうか。」


 そう言うと敷田さんが夕食を取りに行って帰ってきた。メニューは回鍋肉か、普通の病院食よりも多分量は多めで肉も多め。わかめスープが油を流してくれるからどんどん食べられる。やはり食い溜めってした方がいいのかな?カボチャ出してと言われた時に出せるように。


「それでさっきの話ですけど・・・。」


「医療系のAIは学習しても基本的に言葉は変えないんですよ。可否の判定やらが曖昧になったり、言葉を変えて対話された時に同じはずの質問なのに、可否が反対になると結果が180°変わりますからね。だから医療プロセスなんかは覚えて検証はしてくれても、めちゃくちゃ頑固で1度否定したらスタートからやり直さないと判定は変わらないし、やり直しても否定したログがあればそれを読み込む。」


「確かに医療ポッドとかも同じ事は話してもYES/NOを聞いてきますね。同じだからもう一度と言っても何回も確認してきますし。」


「それが人と言うか医師の責任の部分ですからね。サポートや提案はしてくれても選択は人間側にある。それに引き換え医療提携型AIの場合は柔軟なんですよ。特にゲームと提携してるモノは大多数のデータを集めて平均値を作りつつ、どの部分がリハビリ等に有効かを検証する。多分メインコアはレアアイテムですけど、AIやら運営的には無作為にばら撒いてゲットした人にフォーカスする用なんじゃないですかね?」


「はぁ〜、よく知ってますねそんなこと。」


「医療機器やら仲介してると聞かれるんですよ。この子もっと柔軟にならない?とか。医療機器は絶対に無理ですけど、介護やら話し相手用なら結構柔軟と言うか買った人に合わせて不要タスクとかを削ればいいって話で、それが人から見たAIの個性って話ですね。」


 仕事がらAI方面も齧っとかないとまずいのよねぇ。医療機器は大抵AI入ってるし、介護やら対話する機器と言うか人形なんかにもAIが入ってる。でも・・・、そう言えば誰だったか忘れたけどコレが現代の付喪神なんて言ってたかなぁ〜。


「なるほど、その分野でもやっぱり有名な人っているんですかね?デバイス設計やらそれ専用のプログラムは作れますけど、逆に柔軟と言うか揺らぎ的なものは最初から除外するんで、全く違う感覚なんだろうなぁ〜。」


「・・・、岩戸さんとか?」


「岩戸さん?私は知りませんけど有名なんですか?」


「ちょっと待ってくださ・・・、あっ!コレダメです。ガチガチに守秘義務あるやつです。」


 あっぶねぇ!そうだよ!付喪神とか言ったの岩戸さんだ!思いっきり不審者にしか見えないノッポな女の人!紹介されて一瞬言葉に詰まったのは後にも先もあの人くらいだったなぁ・・・。ボサボサの髪の毛に顔半分隠す様な前髪。コミュ障を拗らせたのか話しかけると『ふぇっ・・・。』とか『あはっ・・・。』とか言う。


 話すことも苦手なら身なりも着古した様なヨレヨレのパーカーに、コレまたダボダボのズリ落ちそうと言うか、本人曰く買った時はピッタリでも痩せてこうなったと言うズボン。その代わりスマートレンズやらでデータをやり取りするとめちゃくちゃ饒舌。


 うん、そんな彼女・・・、実はアマテラスに関わった人なんだぜ。海外向け医療機器のAI部分を担当してもらう人の担当をしてもらうと部長から言われ、紹介されたのが岩戸 千穂さん。なんで担当に選ばれたか?単純に対話スキルが高いからだよ!


 そもそもね、女の人→自分を比べてプレッシャー。男の人→単純に怖い。なら無言で仕事するかと言えば話す人は欲しい。なら子供?ムリムリ、接し方が分からないと、中々手を焼いたなぁ・・・。最終的には普通に話せるくらい仲良くなったけど、今も元気にしてるのだろうか?ほっとくと飯も食わずに野垂れ死にそうな感じがしてたけど・・・。


「ちょっとその岩戸さんを検索・・・、設定変えても分かりませんね。」


「守秘義務があるのでノーコメント!スマートレンズにも設定した警告飛んできてますからね。それよりも駄弁り配信ですよ。毎回イベントにかこつけてLIVE配信してたら視聴者さんのコメント返しにも限界があります。」


「限界は分かりますけど、どの道全てのコメントは拾えませんよ?それこそ一度に何千人からも質問とか飛んできたらどうします?抽出設定である程度は選べますけど。」


「その設定を使いつつ適当に話すでいいんじゃないですか?いざ話してくれ!なんでもいい!って言われると人は話しにくいですけど、お題と共通意識があれば割と話せるんですよね。それこそゲームのメインシナリオが自由過ぎて何していいか分からない人用にあるように。」


 やってない俺が言うのもなんだけど、VRMMOのメインシナリオなんてそんなもんでしょ?好きに探索して下さい。その結果、街周辺をぐるぐる回って飽きる人もいるし、とりあえずお金集めて装備品を整える人もいる。けど、そこに囚われた姫を助けろと言われたら、とりあえずどこの姫でなんで攫われたかを聞きに行く。


 俺の場合仕事でまとまった時間もあまり取れないし、シナリオを飛び飛びに進めてよく分からないまま終わって、後からログ見返すのも面倒だから進めずにモンスターとボコスカ殴り合ったり、新しい町が見つかったと聞いたらフラッと解放に向かったりした。その結果がメインシナリオ進行ゼロなのにカンストなのよねぇ。


「ふむ・・・、設定の一部は私が入れますね、特にどこの病院とかはプライバシー権限で弾けますし。そう言えば背景とかどうします?AR表示でなにかやります?高いですけど可視化機器でテクチャー貼り付けならスマートレンズを通せば見えますし、通さない人には真っ暗な中で話してるだけになりますけど。」


「多分今後も必要になるから買いますよ。フリー素材とか使えばそれなりのものは作れるかな?」


「機器は買ってもらいますけど背景程度なら作りますよ?コレでもプロデューサーですからね!イメージ画像とか送ってもらえればそれを元にして2、3日もすれば作れますね。」


「おぉ〜・・・。ならチャンネル名的にも神社ですね。どっかの廃神社とか画像ないかなぁ〜♪」


「わざわざ廃神社にしなくても・・・。もっとこう、絢爛豪華で綺羅びやかなやつとかどうですって、廃神社に現れるって言ってましたね。」


「ええ。なので古ぼけた神社とかがいいですね〜。山奥で誰もいなさそうで、ただそこそこ綺麗なやつとか。そしてお布施で豪華になって行く・・・。」


「お布施・・・、そう言えば収益化出来ますけどします?登録者も3000人超えてますし。」


「それはします。でも、上限1000円とかでいいですね。下手に他人から大金貰っても重荷ですし。」


 なにげに作戦練ったりあ〜だこ〜だ話してる時がゲームでも営業でも一番楽しい。成功する保証なんてないけど、それでもどうにかして成功率を上げるっていう目標を共有して、時には意見ぶつけたりしながらでも前に進むからねぇ。


 話を詰めていると時間が経つのは早い。21時近くまで敷田さんと話していたと言うか、スマートレンズ通してやり取りをしていた。流石に仕事してるから悪いと思ったけど、敷田さんの方から話を振ってくるのよね。


 話が終わって微妙な時間だからちょいと畑を見にログイン!ガメデでログアウトしたから辺りは埃っぽいけど、そのまま領地へ。


「おぉ〜、豊作豊作。」


「契約者か。ユニットは練兵させずに全て畑に回したしがよかったか?」


「うん。今はユニット育てるよりも畑で作物作る方が優先だからね。防衛戦で吐き出した資源やユニット数には全然及ばないけど、コレばっかりはコツコツやるしかない。それにレアな種や苗も入ってたしね。」


 倉庫を覗くと桃やらキュウリが増えてる。見た目的には山盛りとかだけど数字的にはそれ以上。桃×何個とかの表記だしね。ただこの桃やらがバルカン砲やらの弾になったりバイオ燃料になってどんどん溶けていくのが領地防衛戦・・・。文字通り戦で資源が溶けて土地が干やがる。


「契約者よ、先程のは?」


「AR表示?トラブルオンラインのシステム上、キャラクターをAR表示させても問題ないはずだけど?えっ?なに?システムに齟齬が出るからダメとか?確かにNPCは表示出来ないけどロボはOKだったよな?いや、そもそも表示出来ないモノは弾かれるから表示出来ないはずだけど・・・。」


「そうではなく契約者の姿は・・・。」


「水着での表示不可?いやいや、そんなはずはない。確かに全年齢対象ゲームだからスカートの中身は真っ暗とかがデフォルトだけど、それはあくまでゲームでの話であって、普通にプールとかでもAR表示はされてるし、大多数に情報発信する用のAR看板とかもあるし・・・。もしかして・・・。」


 あり得る。コレならあり得る!確かに水着は衣服だからAI側も問題にしない。でも、それでも!あんまりにも肌色面積が多いと引っかかる時がある。凄い矛盾だけど運営もビキニタイプの水着だしたりしてる。でもパレオはあるもんなぁ〜。


「あぁ。」


「そうか・・・、私がセクシー過ぎたのが引っかかったかぁ〜。ごめんごめん、次からはもう少し大人しい水着かラッシュガードを着て・・・、そもそも水着だから服判定だよね?ゲーム中でも水着イベントとかやるし。そこまで怒られることも・・・。」


挿絵(By みてみん)


「そうじゃない。いや、もう一度稀人郷へゆけば・・・。」


「違うの?と、言うか表示して欲しいの?ちょうどいいタイミングと言うか、今度LIVE配信するから演者として表示されてね。拒否権はないよ、確定だからね!」


 現実世界=稀人郷。AIのロジックとしては稀人の世界だからそうなんだろうな。本人も妖精郷へ帰るとか言うし。まぁ、破綻しない作りとしてはさっさと受け入れてそう言う所があってそう言う人がいると分類した方がいいのだろう。


 でもなんでまた表示されたいんだろ?小さい子とかなら見守り機能とかでスマートレンズを連動させたら危険を教えてくれたり、表示した方が安全ですよとは教えてくれるけど・・・。


「招待されるならよい。」


「オッケー。演者だからボケとかツッコミ理解してね。って、そこまで学習出来るのかな?確かに漫才する人はいるけど。」


「変な期待はするな!我は王ぞ!」


「大丈夫、大丈夫。童話には脱いで笑いを取った王様もいる。あれがゴリマッチョのボディビルダーも逃げ出す鋼の肉体なら笑いはでなかったし、多分軍拡してた。でも、ポヨポヨボディだから笑いで済んだ。知らない?笑うと健康になるらしいよ、しらんけど。」


「笑いで健康になる事は知っているが・・・。」


「なら頑張って!時にユーモアは最大の武器になるから。」


 営業で真面目な話ばかりした後に雑談して笑いを取る。キャップアタックとでも言えばいいのか、真面目一辺倒だと思った人がそんな事すると、途端に親しみが湧いてくる。緩急は大事だよねぇ。相手のガードがガチガチな所に背後から忍び寄って耳にふぅ~っと息かけたら驚くし、驚いたらガードも下がる。


「ん?別府さんからメッセージ来てる。何々?」


『今どこ?オーランドで待ってんだけど。来れる?これないなら落ちるよ。』


 おぉ・・・、中身は軽いけどPVPのお誘いが・・・。いつから待ってるか知らないけど呼ばれたからには報酬支払にいかないとな・・・。さて、PVPするとして装備は・・・。


「ちょっと行ってくる。」


「分かった、今日は戻るのか?」


「いや、多分戻んない。時間的にも22時過ぎちゃったしね。後よろしく〜。」


 そんな言葉を残してガメデで発掘することもなくオーランドへ。フレだからマーカセットすれば導いてくれるけど・・・、なんであの人いんの?いや、いたら悪いことはないけど、なんと言うかシュールに見える。


「よぉ、ツキちゃん。報酬貰っていい?」


「よぉ、ツキさん。橋の続きしないかい?」


「「お前誰よ?」」


 似た様な声を上げる2人。召喚神殿の端に座った別府さんと陸亀さんが仲良く似た様な声を上げる。そして声を上げた2人で顔を見合わせる。うん・・・、ここで言うなら多分コレだよなぁ・・・。華澄も言ってみたいセリフって言ってたし。


「イヤー!私の為に争わないで〜!」

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― 新着の感想 ―
精霊王さん、真面目そうだから頑張ってボケツッコミ覚えてきそうですね!
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