07-09
帰宅するや否や、ナナは早速と、まだ会えていない誰かに渡すために取っておいた、ラブレター用のかわいい封筒に、無くさないようチケットを丁寧に包んだ。そして、傍らにあったベットに飛びつく。
(セントラルに行ける!)
喜んでいけないのは分かってる。目的はシアの死を自己責任で終わらせない事で、重大な任務だ。決して遊びに行くわけではない。
(ああ、でも。)
しかし、目の前の欲求には逆らえない。願望を達成できるものが手元にあると、どうしても喜んでしまうのだ。そうジレンマを抱えながら、ベッドの上でナナは悶えた。
セントラルに行くのは数年ぶりとなる。以前と変わっていなければ、そこには様々な魅力的なお店があるはずだ。武具、服、魔術書、化粧道具やお菓子屋など、欲しいものはすべてそこに揃っている。お金なんてしばらく使ってないから少しはたまってるはずだ。ついでにいろいろと必需品も買え揃えるのもいいのかもしれない。しかも今回は飛行船、普段は持って帰れない大きなものでも輸送に困ることはない。
一度しまってみたものの、便箋から再びチケットを取りだして眺めてみた。金色の表面に魔法の紋章がうっすらと印字されているのがわかる。以前、ウィードが使っていた術符のような仕組みなのだろう、いかに高級なものかと訴えてくる。
「そうだ、どうせ行くなら!」
思いついたが吉と、ナナはベットから跳ね上がり鞄の中を探していみたが、目的のものは見つからない。
(おかしいなぁ。ここじゃなかったのか。)
ナナは首をかしげると、今度は本棚を漁り出した。教科書をひっくり返しては本棚に戻し、返しては戻すという作業を繰り返すと、やがてその中の一つからひらひらと一枚のビラが出てきた。それは、ヨイに貰った校則変更を訴えるチラシ。
ついでにセントラルにいる学長にも訴えよう、それがナナの作戦だった。
一石二鳥。名のある冒険者は一石で何鳥とも仕留めるという。今回のセントラル行はまたとない機会だ。それに、皇帝を相手にしようとしてるくらいだ、学長ぐらいどうにでもなるだろう。
(ところで学長って……誰?)
思い出してみようとしても、頭の中に浮かばない。学園主任のウエトリア先生より偉い人なのは間違いないのだが。最も、学園にいないのだから、見たことがないのも当然であるが。
(ま、いいわ。後で誰かに尋ねるとしますか。学園を救うためだし、みんな協力してくれるよね!)




