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私の変態おじさん  作者: いちごぱんつ大佐
しんでいいひとわるい人
100/101

E-1

 授業中。


 相も変わらず座学に気分が乗らないナナは、授業そっちのけで、窓の外で自由に飛び回る白い鳥を見ていた。小鳥たちは。ナナの気持ちなど知ったことかと、楽しそうに愛の歌をさえずっている。


(わたしもあの鳥のように、早く自由になりたいなぁ。)


 そのためには、早く卒業して、冒険者になって、名声を得て、貴族になって。


(そして、いつの日か王子様が迎えに来るの。『ようやく見つけた。君が私のお姫様だ』、なーんて言われたりして。)


 と、ここまであり得ない妄想をしていることに気付いたナナは、恥ずかしくなって一度考え直す。


(いつか、では駄目ね。王子様は待っても来ないのよ。もう少し現実を見ないと。そうね、今すぐ。今すぐよ。今、あの教室のドアをバーンと開いて、絶世のイケメンが、将来のお婿さんが……)


 ガチャ!


(……えっ?)


 妄想が途切れる程の大きな音を立てて教室の扉が開くと、人影が飛び出してきた。ウィードである。


「ウィード先生?どうしたんですか?」

「特級命令だ。説明は後でする。」

 

 授業を中断され慌てふためくミランダ先生をしり目に、ウィードはナナの方へ向かっていった。


「へ?わたし?」

「そうだ。行くぞ!」


 ぽか~んとするナナを脇に抱え、ウィードは窓から飛び出した。


「ちょっ!なにしてんのよ!離して!」

「それは出来ない。」

「どうして!」

「特級命令だからだ。」


(……とっきゅう?)


 特急といったって急ぎ過ぎである。窓から壁へ、壁から木へ、足を巧みに動かし、次から次へと飛び移って行く。体幹は強いナナではあるが、自分で移動するのと人に移動してもらうのは訳が違う。うまく整えきれずにナナは目を回した。


「きゃぁぁあ!やめて!見える!見える!パンツ見えちゃう!」

「大丈夫だ。私からは見えない。」


 そういう問題じゃない。他の人に見られたらどうする、ってことだ。


(でもここには、女子しかいないし、ほとんど授業中だし、他に人はいないから見られる心配はないか。ならいいか、って、そうじゃなくて!)


 いつものように頭がぐちゃぐちゃになったナナは叫んだ。

 

「とにかく、もうちょっと優しくできないの!?」

「優しく?」

「例えば……お姫様抱っこ、とか?」

「分かった。」


 おずおずとナナが申し出ると、ウィードはナナを前に抱え直した、


「きゃー!ちょっと待って、冗談!冗談!冗談だからぁ!」


 思ってもみなかったウィードの行動に、いたたまれなくなったナナは抵抗するも、敵うわけはない。仕方なくそれを受け入れる。


「……お尻、さわらないでよ?」

「わかっている。」

「で、どこに行くのよ!目的は?」

「すぐにわかる。」


 ウィードの言葉の通り、二人が第二校舎の裏側に回りこむと、すぐにナナにも目的が分かった。校庭にミルたちが待ち構えていたからだ。



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