07-02
ウィードが必死の形相で訴えかける。ナナはその迫力に少し足踏みをした。
「何言ってるの?傍に行かないと戦えないじゃ……」
と、剣を構え一歩足を進めたナナだが、その言葉が止まる。視界の片隅に何かを捉えたからだ。胸元を一閃で切り裂かれた、大きな毛むくじゃらの魔物の死体。しかし、その隣に横たわっているのは、若草色に染め上げられた金星学園特性のジャージを着た、一人の女性。その衣服には無数の血痕が付着している。ナナの呼吸が乱れる。
その様子を察したゾゾがいち早く、それを布のようなもので隠した。
「ミ…ユ…?」
手が震える。
授業を放り投げ無我夢中で飛び出してきたものの、頭の片隅では楽観的な何か、むしろ、信号弾は訓練の何かであって、何なら、都合よく授業をさぼれるんじゃないか、なんて期待していた部分もあった。
しかし。目の前にはまぎれもない死体がある。その布からはみ出た長い髪の毛の質を確認し。
「ミユ……じゃない?」
ふわふわだったミユとは違う、直線的な、綺麗な髪の毛。
「私はここよ……」
「ミユ!」
今にも消えるような声で答える泥だらけになったミユを確認して、ナナは思わず抱きしめた。
「良かった!ミユ!無事で!本当によかった!」
しかし、その言葉にミユの体が震える。
「良くないわよ!級友が死んだのよ!」
「……そうね、ごめんなさい。」
ナナは一方的に感情を押し付けてしまったことを後悔し謝罪したが。
「……いいえ、謝るのは私の方。取り乱したりしてごめんなさい。」
ミユもまた謝る。
「彼女は……死んだの?」
「まだわからない。治癒魔法によっては、あるいは。」
元気づけようとしたのか、いつにもなく前向きなウィードの言葉だったが、ミユは首を振った。
「ここから蘇生するのは無理よ。それは魔術師である私が一番分かってるわ。」
その言葉に戦士たちは口を噤む。
「ミユ……何があったの?」




