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レベル1だけどユニークスキルで最強です 作者:三木なずな

第三章

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195.二百万と二万

 加速した世界の中、ドロップしたのは剣。
 錆びた剣だった。

 いわゆるロングソードとかダガーとか、柄と刃が異なる材質で出来てるもの違って、その件は柄も刃の部分も、まったく同じ材質で出来ている。
 一つの金属の塊から出来たような錆びた剣だ。

 その剣の横に女がいた。
 フィギュアサイズの、留め袖を着た女。
 加速した世界の中で、女は俺をじっと見つめていた。

「なるほど、そういうことか」

 いうと、女は静かにうなずいた。
 俺のつぶやきに反応した形だ。

 鏡ときて、勾玉ときて、今度は剣。
 あきらかにあの三種の神器だ。

 そして、全九階の中の地下七階、ドロップしたのは錆びた剣。

「後二階攻略しろって事なのか?」

 また静かにうなずき、ふっと微笑んだ。
 やっぱりそういうことか。

 どういう経過なのかは分からないけど、残り二階も攻略したら、この剣が錆びてない元の姿になっていく。
 俺はそう推測して、女――ニホニウムは認めた。

「わかった、もう少し待っててくれ」

 女はにこりと、穏やかに微笑んだまま姿を消した。
 俺は剣を掴み、来たるべき日までポケットの中にしまうことにする。

 そういえばどうなんだろう。
 HPと力と体力、この三つは鏡を手に入れて、限界のSを突破してSSになった。
 MPと速さと知性は、勾玉を手に入れて同じように限界突破した。

 そしたら、剣は?

 さっきダンジョンをでようとしたとき、俺が「今はまだ無理」と思ったのは剣を手に入れてないからだ。

 本来の剣を手に入れたら間違いなくSSになれるだろう、けど、この錆びた剣は?
 気になって、加速した世界の中でマミーを見つけて、瞬殺した。

 種は……なかなかドロップしなくてやきもきした。
 早く……早く……。

 しばらくして、種のドロップとともに加速の効果が切れた。

『マスター?』

 訝しむレイアをひとまずおいといて種を取る、が。

ーー精神が0あがりました。

 まだ、限界突破は出来ないみたいだ。
 やっぱり剣の本来の姿を取り戻してから、三つまとめて解禁、って事らしい。

     ☆

 午後、いつもの様にテルルダンジョンを周回した。

 午前中にニホニウムでやったときとはまた違う周回。
 テルルのドロップはレイアにも拾える、むしろレイアに拾わせた方が効率が上がる。

 その効率のいい周回を模索してたら……逆にちょっと効率が悪くなった。

「今日の合計は214万ピロです」

 屋敷に戻ってきて、エルザに合計金額を聞いてやっぱりと思った。
 仕方がない、こういう日もある。

 挑戦するって事は失敗とも隣り合わせだ、今日のやり方は効率悪い、それがはっきりわかっただけでもよしとしよう。

「なんか冴えない顔ですけど、大丈夫ですか?」

 どうやら完全に割り切れてなくて、顔に出てたのか、エルザに心配された。

「ああ、周回のやり方で色々タメしたけど今日のはダメだったみたいだ」
「でもすごいですよ。一日で二〇〇万ピロも稼ぐなんて」
「そうだな。でもせっかくレイアがいるんだ、もっと上を目指したいんだよ」
「リョータさん……すごい」

 エルザは感動したような、尊敬したような目で俺を見た。
 そんなに立派なものじゃないけどな、言ってみればただの負けず嫌いだ。
 だからそんな目で見られるとちょっと申し訳なくなる。

 何かごまかす台詞を探してると、助け船が外からやってきた。

「ご主人様ー」

 ケルベロスの声だった。

「呼ばれてるからちょっと行ってくる」
「はい!」

 エルザの所を脱出して、庭にでた。
 するとそこに俺を呼んだケルベロスだけじゃなくて、クレイマンの姿もあった。

「どうした」
「ご主人様に報告」
「報告?」

 首を傾げて、ケルベロスとクレイマンを交互にみる。
 クレイマンが一歩前に出て、俺をまっすぐ見つめて口を開く。

「無事に今日の仕事終わりました、報酬もいただきました」
「そうか、よかったな」
「それで、私とみんなで相談して、これをサトウさんに持ってきました」

 クレイマンはそう言って、封筒を差し出した。
 受け取って中を見ると、一万ピロ札が二枚はいっていた。

「これは?」
「今日の報酬を、みんなの分を引いた残りです」
「これをご主人様にって」
「いや、こんなの気にする必要は――」

 クレイマンは真顔で、俺の言葉を遮った。

「あそこで静かに暮らせられる事になりそうです。それもこれもみんなサトウさんのおかげです、その気持ちとして」
「インドールのみんなと同じだって」
「インドールのみんな……税金か」

 確かに、今でも定期的にインドールから俺の口座に振り込みがある。
 砂金の村として冒険者が稼いだ税金の一部だ。
 それと同じ事を、クレイマン達もするってことだ。

「そうか」

 気持ちは嬉しい、断るのもなんだから、俺はその二万ピロを受け取った。

「分かった、受け取る」
「これから毎日渡しに来ます」
「それは面倒じゃないのか?」
「僕たちの足だとそうでもないよ」
「なるほど、モンスターだもんな。普通の人間よりも体力は高いか」

 俺は少し考えて、二人に少し待ってくれといった。
 屋敷の中に入って、エルザの所に戻ってくる。

「エルザ、申し訳ないけど、買い取りを一部キャンセルさせてもらえるか」
「はい、いいですけど。何をですか?」
「全部少しずつ……ざっくり二十万ピロ分引いてくれ」
「わかりました」

 エルザにそう言ってから、俺は二十万ピロ分の野菜をポケットに入れて、庭にでた。
 そしてポケットの野菜をクレイマンの前に出す。

「お裾分けだ、持っていけ」
「え? いいんですか?」
「お裾分けに言いも悪いもないだろ?」

 にこりと笑って見せた、するとクレイマンは少し迷ったが、同じように笑顔で答えた。

「ありがとうございます、みんな喜びます」

 さすが元モンスター、ハグレモノ。
 クレイマンは二十万ピロ分の野菜を一人でもって、屋敷から立ち去った。

 それを見送った後、ケルベロスが俺にむかって 。

「ご主人様、優しいね」
「そうか」
「それに太っ腹」
「元手ほとんどゼロだからな」
「それでもすごい」
「そうか」

 ケルベロスはそう言って、尻尾を振って俺にじゃれついてきた。
 サーベラスの巨体はちょっと重かったが、悪い気はしなかった。
 こうして、俺はインドールに続いて。
 魔物達の村からも税金収入が入るようになった。
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