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レベル1だけどユニークスキルで最強です 作者:三木なずな

第三章

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196/215

196.クズ魔法だったもの

 昼下がり、今日はダンジョンをお休みして、屋敷のリビングでくつろいでいた。
 同じくつろいでるのはセレストとレイア。

 セレストは今日が魔力嵐だったからお休み、レイアはもちろん俺と一緒にお休みだ。

「今日はダンジョンに行かなくていいの?」

 エミリーが作った茶菓子を頬張りつつ、聞いてくるセレスト。

「いいんだ。今日は休み。俺、もう一つマイルールを作る事にしたよ」
「どういうルールかしら」
「俺って夕方の五時くらいまでしか働かないだろう」
「基本はそうね」

 セレストは頷く。
 さりげなく付け加えられた「基本は」の一言。
 何かがあるとそれを破ることはセレストもよく知ってる。

「それに加えて週休二日もつける事にした」
「週休二日?」
「夢だったんだ週休二日、カレンダー通りに休むのって。前は『土日何それ美味しいの?』状態だったから」
「よく分からないけど、休むのはいいことだわ。……私も一緒にいられるし」
「うん? なんか言ったかセレスト」
「いいえ、何でも無いわ」

 セレストはにこりと微笑んだ。

 最近ますます、綺麗になったように見えるセレスト。
 可愛いとかそう言うのじゃなくて、綺麗。
 もう美人極振り、美しさマックスな感じだ。

 それがエミリーの手入れした、神殿の様な我が家の中にいると鬼に金棒だ。
 うーん、たとえがよくないな。
 虎に翼? 弁慶になぎなた? モナリザにXPのデフォルト壁紙?

 どれも微妙だし最後のに至っては自分の発想を疑うようなアレだけど、とにかくすごい。
 ついつい見とれてしまう程だ。

「マスターに拳銃。ではどうでしょうか」
「え?」

 いきなり口を開いたレイアに驚いて聞き返す。

「何それ」
「マスターが思っていることへの解答です。強いものが強力な道具を手に入れて手がつけられない状況の比喩、ということで考案致しました」
「リョータさんに拳銃、いいかもしれないわね」
「いやいやいや、意味は分かるけど頼むからそれは外では言わないでくれ。どこかのお貴族様の耳に入ったら大変だ」
「セルさんならその日のうちに世界中に広めるでしょうか」
「だから本当にやめて」

 アイツは本当にやりかねない、『リョータに拳銃』なんて言葉を本当に流行らせかねない。

 ……。
 …………。
 ………………。

 聞かれてない、よな?

 周りをきょろきょろ、窓の外をきょろきょろ。
 幸いにもセルの姿はなかった。
 まったり休日のはずが、休まらない一時になってしまった。

「そういえば……彼女の、レイアのステータスはどんな感じかしら?」
「え?」
「知らないの?」
「そういえば……」

 俺はレイアを見た。
 今更ながら、それを確認してなかったことに気づく。

「Fファイナルなのは知ってるけど。ほかはどうなんだレイア」
「わかりません」
「じゃあこれを使って」

 セレストはポータブルナウボードを取り出した。
 話の流れで、俺はレイアに使う様に言う。

―――1/2―――
レベル:1/1
HP F
MP F
力  F
体力 F
知性 F
精神 F
速さ F
器用 F
運  F
―――――――――

―――2/2―――
植物 F
動物 F
鉱物 F
魔法 F
特質 F
―――――――――

「おぅ……」

 レイアのステータスは、それはそれは見事なまでにF一色だった。
 能力もドロップも、全部綺麗にF。
 しかもレベルが最高1で、もうなにもかもどうしようもないって感じだ。

「すまないなレイア、無理矢理こんなことさせて」
「? 何故マスターが謝る?」
「えっと、それは……いや」

 レイアは気にしてないみたいだ。それどころか何故俺が謝ってるのも理解していない。
 それはそれで悲しい話、魂を抜かれた人間といういきさつを知ってる俺には悲しく見える反応。
 だが俺は気にしないことにした。
 今それを続けても、俺の感傷を押しつけるだけだ。

「何でも無い。それよりもこのステータスなら、この先も俺のフォローに徹した方がいいな」
「はい」
「頼むぞレイア」
「マスターのタメなら」
「それよりも、リョータさん」
「うん? どうしたセレスト」
「最高レベル1ということは、リョータさんと同じで、魔法の実を食べまくれるって事じゃないかしら」
「……おお?」

 俺はぽんと手を叩いた。
 それに気づかなかった俺、生粋の魔法使いのセレストだからすぐに気づいたであろうそれ。

 魔法の実。
 食べるとレベルが1下がる代わりに、ランダムで魔法を一つ覚えるアイテムだ。

     ☆

 屋敷の地下室、俺は勝ってきたばかりの魔法の実を遠くに置いた。
 セレストとともに離れて、レイアを装着した状態で待った。

 しばらくして、魔法の実がハグレモノに孵った。
 液体金属のモンスター、そいつはすぐに俺の姿に化けた。

「行くぞレイア」
『はい』

 声でも無表情(、、、)なレイアと共に、メタル亮太と戦った。
 俺がレイアを装着したのと同じ様に、向こうもプロテクターにアームを伸ばしてきた。

 対象者の八割の力をコピーするモンスター相手に俺はリペティションをうった。
 レイアを装着したのは向こうにアームがコピーされるかを確認したかったからで、レイアで戦うわけではない。
 その結果が得られたからリペティションで瞬殺した。

 メタル亮太は魔法の実をドロップした。
 処理前が六芒星一つだったのにたいして、ハグレモノが落とした魔法の実は六芒星が二つだ。

「戻れレイア」

 魔法の実を拾って、レイアを戻す。
 彼女の手に魔法の実を渡す。

「食べて見ろ」
「はい」

 レイアは従順に魔法の実を食べた。
 無表情で食べるその姿はシュールだった。

 しばらくして、魔法の実を完食したレイア。

「魔法を二つ覚えました」
「おお」
「覚えるのね」

 俺とセレストは互いを見て、頷き合った。
 レイアでも、魔法の実を食べれば魔法を覚えられるみたいだ。

「どんな魔法だ、使ってみろレイア」
「使えません」
「え?」
「覚えた魔法はインフェルノとレイジングミスト。両方ともMPがFでは使えません」
「あっ……」
「そうだった、MPがFでは使えない魔法がほとんどだわ」

 また見つめ合う俺とセレスト、今度は互いの瞳に落胆の色が見えた。

 魔法の実は食べたらレベルが下がって、かつその後一切レベルが上がらなくなる。
 そのデメリットは俺とレイアのような、最高レベルが1の人間には発動する余地がない。だから魔法の実を食べさせた。

 だが、そもそもな話、魔法を使うにはMPがいる。
 最低ランクのFじゃ使えない魔法も多いのだ。

「いけるのと思ったのだけれど」
「……いや、いける話だこれは」
「え?」
「ようは初級魔法を覚えるまで魔法の実を食えばいい話だ」
「待ってリョータさん、魔法の実は今一つ二百万ピロよ、それにランダムで覚えるのだから、一回二百万のくじなのよ」
「セレスト、いい言葉を教えてやる。俺の同僚が昔言ってた言葉だ。」
「な、何かしら……」

 気圧されるセレスト、俺は彼女に言い放つ。

「出るまで引けば、出る確率は100%だ」
「それダメな人間の考え方よ!?」

 悲鳴めいた声を上げセレスト。
 そんな彼女をスルーして、俺は再び街に出て、新しい魔法の実を調達した。

 二つ目の魔法の実、同じようにハグレモノに孵って、リペティションで瞬殺。
 そうして出来た魔法の実をレイアに食べさせる。

「魔法を二つ覚えました」
「どんなのだ?」
「エンド・オブ・カラミティ」
「聞くからに超すげえ魔法だ! 使えないよなそれ」
「はい」
「もう一つは?」
「リヴァイヴ」
「リヴァイヴ……復活の魔法? これもすごい魔法だろうから、やっぱり使えないだろうな」
「リョータさん……」

 見守っていたセレストが複雑な顔をする。
 二百万ピロ分のガチャ、それが一瞬で外れて――溶けたことに複雑な表情をした。

 そんな表情をされても、俺は出るまで引き続ける。
 さあ次の魔法の実だ――と思ったその時。

「使えます」
「え?」
「リヴァイヴ、使えます」

 レイアが言った、俺もセレストも驚いた。

「使えるのか? リヴァイヴってすごい魔法じゃないのか」
「あっ……」
「どうしたレイア」
「今思いだしたわ、リヴァイヴの詳細を。確かにそれなら使えるわ」
「そうなのか?」
「ええ。クズ魔法と呼ばれているものよ。本来なら外れ中の外れ」
「……本来?」

 頷くセレスト、彼女はちょっと待ってといって地下室を出て行き、すぐに戻ってきた。
 何故か手にニンジンを持って。

 そのニンジンをレイアに渡して。

「これに使ってみて」
「わかった」

 レイアは受け取ったニンジンに、言われた通り魔法を使った。
 クズ魔法・リヴァイヴ。

 それは一瞬の事。
 これまで(、、、、)の事を考えたら、本当に一瞬の事。

 ニンジンは……眠りスライムに孵った。

「これは!?」
「リヴァイヴ、モンスターを蘇生し、ドロップからハグレモノに孵す魔法だわ」
「……それでクズ魔法」

 頷くセレスト。
 そんな魔法、この世界ではほとんど使い道がない。
 俺が知ってる限り、収穫祭の見世物にしか使えない魔法だ。
 クズ魔法って言われるのもわかる。

 が。

「リョータさんには使えるわね」
「ああ。よくやったぞレイア」
「……私は魔法の実を食べてくじを引いただけ」
「それでもだ、すごいぞレイア」
「……はい」

 複雑そうな顔で頷くレイア、でも微かに、まんざらでもなさそうな表情をしてる。

 モンスターを一瞬でハグレモノに孵す魔法、リヴァイヴ。
 セレストの言うとおり、俺にはものすごく使い道のある魔法だった。
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