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レベル1だけどユニークスキルで最強です 作者:三木なずな

第三章

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194/198

194.加速した早とちり

 ニホニウム、地下七階。
 レイアのフォローでポイズンゾンビを狩っていた。

 プロテクターやアームとして、俺と合体するレイア。
 今でも便利だけど、もっと上手く活用する方法を探る。

 やれる事はいろいろある、純粋に腕が四本増えて六本になった、って感じだ。
 もっともニホニウムだから、そのうち四本はとどめには使えないって制約もあるけど。

 その制約の中で色々やってみた。
 途中からあるパターンがはまって、それをとことんやりだした。

『マスター。右75度』
「よし!」

 振り向きざま、レイアの銃で両足を撃ち抜いて崩れ落ちていく途中のポイズンゾンビを、俺の弾丸でトドメをさした。

『180度後方』
「それならこうだ!」

 完全には振り返らず半身になって、やはり両足を撃ち抜かれているポイズンゾンビにトドメをさす。

 レイアが足を止めて、俺がトドメをさす。
 純粋に弱らせるのともちょっとちがう、足を止める、のを重点的にやった。

 トドメは銃でやるときもあれば、距離次第で――例えば前に崩れ落ちてくるポイズンゾンビがいれば頭に膝を合わせる場合もある。
 足を止める、そこから先のパターンを色々模索した。

 足を止めるというのはどんな状況でも使えるやり方だ。
 それと、その先のパターンを極めるというのは決して無駄にはならない。

『マスター』
「どうした」
『これは必要なのですか。マスターならこんなことをしなくても一撃で倒せる』
「俺の悪い癖の様なもんだ。ステータスだけじゃないスキル、ゲームでいうとパーソナルスキルだな。そういうのを極めたいクセがある。悪いが付き合ってもらうぞ」
『了解した。命令なら何でも従う、マスターが悪いと思う必要はない』
「そうか」

 レイアと一緒にダンジョンを回った。
 足を撃ち抜いてからのいくつかのパターンをものにした。
 途中からそのいくつかのパターンをくり返し練習する様になっていた。

 反復でやってる内に自分の体に動きが染みこんでいくのが分かる。

「よし、ここまでだな」
『もういいのか、マスター』
「ああ」

 頷き、ドロップしたばかりの精神の種を拾う。
 体感で届いただろうと思ってポータブルナウボードを使って確認、すると。

―――1/2―――
レベル:1/1
HP SS
MP SS
力  SS
体力 SS
知性 SS
精神 S
速さ SS
器用 F
運  F
―――――――――

 体感通り、精神がSになった。
 今日のノルマ達成。
 特に意味があるわけじゃないが、俺は一回潜るごとに能力を1ランクあげるまで、と決めている。

 繰り返す周回にはそういう「キリの良さ」が必要だと勝手に思ってる。

 今日も達成したから、そろそろ外に出よう。

「元々はこれでマックスだったんだけどな」

 何となくつぶやいてみたら、急に感慨深くなった。
 遠くまできたもんだ、という気持ちが胸の底からわき上がってくる。

 次で精神はマックスのSSになるけど、今は(、、)無理だ。
 なので、Sのまま、まずは次の地下八階だ。
 次は器用なのか運なのか、ちょっと楽しみになってきた。

『マスター』
「どうした」
『判断出来ない現象を観測しました』
「判断出来ない現象?」
『モンスターが増えたり減ったりしてます』
「モンスターは増えたり減ったりするものだろ?」
『……言い換えます』

 レイアの口調は更に真剣なものになった。

『一瞬増えてすぐに減ってます』
「うん?」

 それは確かにおかしいな。
 モンスターが一瞬だけ増えて減ってる。

「誰かが倒してるのか? いや。ニホニウムは俺以外マーガレットたちしか来ない、ほかは見た事ない。マーガレットたちにしても地下一階から下には降りてこないんだ」

 この世界に来て大分経つ、ニホニウムに籠もるようになってかなりの月日が経った。
 ニホニウム二階以降で誰か冒険者を見たという記憶は無い。

 あらゆる物がダンジョンでドロップする世界、何もドロップしないダンジョン。
 この二つが組み合わさった結果、当たり前の様に人が寄りつかなくなった。

「一応だけど、ほかに誰もいないな?」
『いません』

 レイアはきっぱりと言った、モンスターだけじゃなく、ある程度は冒険者の事も把握出来るのだ。

「現われてる場所はわかるのか? というか同じ場所なのか?」
『こちらです』

 レイアのアームが伸びて、道案内をした。俺はアームが指し示す方向に向かっていく。

『ここです』
「ただの行き止まりに見えるな」
『減りました』
「ん? 今増えてすぐにへったって事か?」
『はい』
「何も見えなかったぞ。勘違い……は、ないな」

 今までのレイアの事を思えばそれはないだろう。
 彼女はロボットチックな一面を持つ。それは態度じゃなくて、『性能』でもそうだ。

 ポイズンゾンビの膝の皿を撃ち抜けと命令すれば、全てのゾンビの膝のど真ん中を忠実に撃ち抜くくらいロボチックだ。

 だからレイアの場合勘違いって事はない。
 確かに何かが起きてて、彼女がそれをキャッチした。と考えるのがただしいと思う。

「……一瞬だけなのか、増えたのは」
『はい』
「それは周期性があるのか?」
『あります』

 即答するレイア、このあたりもロボチックだ。

「よし、ならその周期が来る五秒前に教えてくれ」
『わかりました』

 おれはしばらくそこでまった、レイアが合図してくれるのを。
 やがて。

『五秒前』
「わかった」

 おもむろに銃を抜いて、自分に弾丸を撃ち込んだ。
 今朝とれたばかりの、取れたてほやほやの加速弾だ。

 自分に打ち込んだ瞬間、世界がほとんど止まった。

 加速した世界の中で、五秒間がたつのをじっと待つ。

 目の前に裸のゾンビが現われた。
 皮膚がなく、全身に筋肉が剥き出しの、保健室の人体模型を数十倍気持ち悪くしたゾンビ。

 考える暇もなかった、俺は脊髄反射で動き出した。
 疑似的な時間停止するほど加速した世界の中でも、ゾンビは現われた直後から急速に姿が薄まっていった。
 俺は思いきり殴った。

 銃は使えない、弾速よりも消えるのが早い。
 使えるのは俺の肉体、加速している肉体。

 だから思いっきり殴った。

 更にゾンビが薄くなっていく――間に合え!

 強く念じながら拳を振り抜く、手応えがない。
 ゾンビがいたところをみる、何もない。

「ダメだったか。仕方ない。まあ、明日にもう一度チャレンジだな」

 加速弾は一日一発、明日にまたチャレンジすればいいさ。
 そう思って、現実時間60秒、加速効果が消えるのを待っていたら。

 目の前がゆっくり光った。
 光るのすら遅くて、その光の中からゆっくりと、ぼんやりと何かが浮かび上がってくる。

 ……ああ、そういうことか。
 倒すには倒したけど、加速の中にいるからドロップがでるのが遅く感じただけか。

 俺は苦笑いして、ドロップが出てくるのを待った。
面白かったらブクマ、評価してくれるとすごく嬉しいです!

■書籍版一巻、おかげさまで重版です!

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