これってチートじゃないの?
もう少し説明回続きます。
駄文で短めですが読んでいただけると嬉しいです。
幼女(19歳)がのんびりはしゃぎ始めるのはもう少し待っててください!
少しのホワイトアウトの後、開けた視界にはたくさんの人が映っていた。
やっぱり一周年記念で新規プレイヤー呼び込んでいるだけあって始めたばかりの人が多いんだね。流石はいま人気のゲームと言ったところかな。
周りを見てみると、服装はほとんど同じ初期装備だけど、髪の色がカラフルで身長を変えられないがために背の高い地人族がいたり、猫耳をつけてる女の人がいたりする。猫耳モフモフさせてくれないかな?ボクにもふもふー!
ボクが今いるところは始まりの街の大きな協会の前らしく、結構広い広場となっていて続々と新規プレイヤーの人たちが光とともに現れている。
そし今気づいたことが二つある。一つはさっきから周りの人からの視線がやたらと多いことなんだよね。隣にあらわれた初期装備をつけた男の人なんて、ボクを見た途端呆けた面をしているよ。豆鉄砲でも食らったのかな?
と、そこで鈴が鳴る音とともに視界の隅にチャットが来ている表示が現れた。たぶん栞かな?
ログインしたのがわかるのはアカウントを家族で登録してある栞だけなはずだからね。事前に教えて貰った通りにチャットを開いてみる。
『もしもし?お姉ちゃん聞こえてる?』
「聞こえてるよ。人が多くて待ち合わせするのも大変そうだけどどうすればいい?」
『少し歩いた所にNPC経営のカフェがあるからそこに来て!瑞貴さんとかと待ってるから。座標送るねー』
チャットが切れるとともに送られてきた場所に向かって歩き出す。
少し裏通りに入るようで人の視線が無くなって一息つけた。まさかここまで好奇の視線を受けるなんて……。
あまり人の目に晒されないから少し気疲れしたよ。もうお家に帰りたい。
送られてきた座標を頼りにとことこ歩いてくけど、なかなかに入り組んだ道に入っていくみたいだ。迷子になりそう。
そういえばさっきから普通に歩けてるけど、絶対に何かがおかしいね。だってVRだと身体の感覚になれずにふらふらしてたボクが、こんなに普通に歩けずないんだからね!
自慢じゃないけど適性ないと思うからね。ヘッドセットの影響だけじゃない気がするよ。
迷路みたいな道を左に右に行き、やっとだどりついた栞に教えられたお店は、隠れた名店のような雰囲気を醸し出していた。お店の前にいるだけでコーヒー?のいい匂いが鼻腔をくすぐってくる。
カランカランといい音を立てるドアを開けると、入り口から近い席に四人のプレイヤーが座っていた。それ以外の席は見事にすっからかんだからなかなかお客さんが来ないのかな?
「お姉ちゃん、遅かっ……」
ドアのベルで僕が入ってきたのに気付いた四人は、見事に僕を見て固まった。
それはそうだろう。ボクが着ているのが初心者装備じゃないからね。薄い青色の膝丈くらいしかないやたらとフリルがついた着物に、頭の上でぴょこぴょこ動く狐耳。極めつけは後ろに生えている4本のしっぽである。これがさっき気づいたことの二つ目であり、好奇の視線を集めていた原因でもあるだろう。来る途中にもふもふしてきたけど、もふもふだけで満足した気分だよ。もっふもふだね!
「ちょちょちょ、ちょっとお姉ちゃん何それ?!なんで着物着てるの!!それに狐耳にしっぽも!」
そう言うが早いか抱きついてくる栞。こちらでは真っ赤に燃えるような赤色のセミロングの髪をしていて、その他の外見はいじって無さそうだ。
装備は片手剣と盾を背負い、騎士のような金属鎧を身に着けている。故に抱きつかれると痛い。本当に痛い。その鎧を着たままごりごりされるとボクのもふもふ力じゃとても痛い。
「なあ、狐耳の種族なんかあったか?」
「見たことも聞いたこと無いわよ」
「はぁ、けしかけといてなんだが、流石としか言いようが無いな」
「あれがシオンさんのお姉様ですか。可愛らしいお方ですね」
後ろの三人は助けようともせずになにか話してる。そんな話どうでもいいから助けてよ。最後の人は知らない人だけど!
栞が屈んで抱きついてくるから胴体の装甲がごりごりしてて本当に痛いんだよ!
目で訴えたのが効いたのか、大樹がやれやれと首を振った後に栞の首をもって引き離してくれた。
ふぅ、危うく町中では幾らダメージが入らないとはいえ痛いものは痛かったね。
「おいシオン、ルカには聞くことがあるから一旦離れろ」
「え~」
襟首を掴まれて剥がされていく栞はとても不満そうな顔をしている。だけどボクもこれ以上痛い思いはしたくなかったので助かったよ。
栞のプレイヤーネームはシオンと言うらしい。ボクもついうっかり向こうの名前で呼ばないように気を付けないとね。
とりあえず席に座った所で、さっきからいい匂いのするコーヒーのようなものを暇そうにしてる店員さんに注文した。お客居なくて暇なのは分かるけど、カウンターに突っ伏してるのはどうかと思うよ!本当にNPCなのかな?
「取り敢えずツッコむことが多過ぎるけど、このままじゃ埒が明かないからとりあえず自己紹介をしよう。ちなみに俺はましゅまろんだ」
「私はユリよ。ちなみに今、猛烈に耳をもふもふしたいんだけど」
「私はシオンだよ!ちなみに今、猛烈にしっぽをもふもふしたいな」
「後で存分にもふもふすればいいから今は抑えてくれ。この人はよく一緒に攻略に出かけてるトッププレイヤーの一人でミーシャだ。βからの古参で実力は折り紙付きだぞ」
「どうも始めまして。ミーシャです、よろしくお願いしますね」
「ボクはルカだよ。よろしくねミーシャさん」
ましゅまろんの紹介により頭を下げる。
彼女は緑色のロングストレートの髪形にローブみたいな布製の防具を着ていて、人の好さそうな笑みを浮かべている。
確かにシオンとかと一緒にいるならかなり強いだろうし優しそうな人だね。さっきシオンにもふもふされてた時に舌なめずりしてたのは見なかったことにしよう。きっと気のせいだよ…ね?
ちなみにユリは黒い髪に革?みたいなもので作られてる軽装を身につけ、背中には弓を背負っていた。外見もほとんどいじって無さそうだね。まあ、ユリもシオンもかわいいからいじる必要はなさそうだからね。僕の方がかわいいけどね。もふもふだしね!
ましゅまろんは黒髪で優し目な顔をしている。以上。背中に大斧と大盾背負っててもつっこまないからね!
けどやっぱり皆βからやってるだけあって、装備しているものがどれも強そうだよ。初心者装備の人にそんな良い装備を見せびらかして楽しいか!初心者装備じゃないけどね。
「それで、ルカはステータス見てみたの?」
ユリに言われてステータスをまだ見てないことに気がついた。寧ろみたくないんだけど。だけど三人から早くしろよって視線が飛んできてるから逃げるわけにはいかなそうだよ。
「どうしても見なきゃだめ?」
「もう色々と言い逃れできない格好してるんだから諦めなさい」
「はぁ、ステータスオープン」
しぶしぶと言葉を唱えるとともに、目の前に自分しか見ることのできない半透明のディスプレイが浮かび上がり、ステータスを表示していく。
そのステータスの内容はこうだ。
ステータス
《プレイヤーネーム》 ルカ 《性別》 女 《種族》 白狐 《ロール》無し
《状態異常》
千年の眠り
《一般技能》
【鉄扇LV1】【和服LV1】【魔導の極みLV1】【魔装LV1】【器用LV1】【和服製作LV1】【鉱石採掘LV1】【錬金LV1】【装飾LV1】【付与LV1】
《控え》
《特殊技能》
【神通力LV1】【浄天眼LV1】【転化LV1】
《称号》
【魔力と親しきもの】【天狐】
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「ちょっと用事思い出したからログアう「させると思うか?」
思わずログアウトをしようとしたけど、まろん(長いので省略させてもらおう)に先ほどのシオンと同様に首根っこを押さえられてしまう。
「ほら、好きなだけ見ればいいじゃん」
「うわぁ、お姉ちゃんなら何かしてくれるとは思ってたけどさ、さすがに予想外だよ」
「最初から特殊技能持ってるのもおかしいわよ」
「これなら見た目の愛らしさも相まって、直ぐに人気が出そうですね」
うん、ボクも予想外過ぎて少しびっくりしたよ。初めての僕でも色々おかしいのが分かるぐらいだからね。別に人気出すつもりはないよ。ボクかわいいから人気でちゃうのは仕方ないけどね。もふもふ付いてるからね!
「けど、種族がおかしいのは予想してたが、なんで技能がここまで頭おかしいんだ?」
「言っておくけど、僕だって好きでこの格好と技能選んだわけじゃないんだからね。技能もランダムがあったから選んだらこうなっただけなんだから!」
そういってログインしてからここに至るまでの経緯を話した。
まさか僕だって栞に聞いた初期に取得できる技能が一般技能の半分もないなんてびっくりだよ。
事情を説明し終わったら、何故かミーシャさん以外呆れ顔だった。自分たちでけしかけて酷いよまったく。
とりあえず見たことがない技能の詳細を見せてほしいと言われたので詳しく見てみようかな。
《白狐》
狐族の中でも白い毛並みを持ち人々に幸福をもたらすと言われている。善狐の代表格でもある。
《千年の眠り》
デバフ 制限大 長きにわたる眠りのせいで、一部の技能に制限が掛かってしまっている。技能の理解を深めることで制限が緩くなり再び扱えるようになる。
制限中技能
【魔導の極み】【神通力】【魔装】
《鉄扇》
非常に魔力との親和性が高い素材で作られた鉄扇を扱えるようになる。なお、使用者も魔力親和性が高くなければ扱えないため、使用者は極少数となっている。鉄扇はその親和性の高さから魔術と一体化させることが可能。
《和服》
特殊な布で出来た和の服を装備できるようになる。この服は動きやすさや防御力が革装備を凌駕する。涼しげな姿は見る人を楽しませるだろう。また和服を装備時、基礎能力が大幅に上がる。
《魔導の極み》
火・水・風・土・光・闇・空間・時間・回復技能が熟練度上限になり統合されたもの。この力を持ちし者は全ての魔術扱い、敵は居なくなるだろう。
《魔装》
魔術を兵装として纏うことが可能となる。その力は千の兵を圧倒し、万の兵を滅ぼすだろう。
《神通力》白狐専用技能
神が持ちし力。魔術とは異なる力を持ち、この力を使いこなせば最早敵などいなくなるだろう。
《浄天眼》白狐専用技能
すべてを見通す眼。遠く離れた先を見通すことができ、見えない物などなくなるだろう。
《転化》白狐専用技能
自らが望む姿に自在に変化する事ができる。また、熟練した者は水や雷など自然物にも成れるという。
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「ねえ、初心者のボクにこのステータスは何を期待してるのかな」
「一人で万の敵を殲滅してこいって事だろ」
「「はぁ……」」
まろんと共に深いため息をついて、このもうお家帰りたい気持ちをはきだそう。
だって明らかにおかしいよ。魔導の極みか神通力だけでも戦えそうなのに、両方持ってたら戦力過剰すぎるよ。それにまだ初めての数十分なんだけどな!
ボクののんびりもふもふライフは何処に!
とりあえずセルフもふもふして心落ち着かせよう……
あ~、もふもふ~