PDCA回してみました!
連載初期から応援してくださっている皆様に向けて活動報告にて、side story『ギルド受付嬢の日常』を掲載しました。ぜひとも読んでいただければ幸いです。
それでは、本編どうぞ。
「…六階層以上のダンジョンで、五階層が比較的狭い場所を探しているんです」
「五階層の地形を指定して、ということでしょうか?」
「はい。できれば、四階層までの通路構造のような、狭い空間が中心になっている場所がいいんです」
俺は手元のメモを見ながら、希望する条件を説明していく。
「それと、先ほどの条件に加えて特定のモンスターが出現するダンジョンと検索条件を絞って教えてもらうことはできますか?」
「なるほど。地形とモンスターの両方を指定して検索したい、ということですね」
受付嬢は俺の話を聞きながら、端末に情報を入力していった。
「ギルドでは各ダンジョンの地形や出現モンスターの情報を管理しています。ご希望の条件を指定して、該当するダンジョンを検索することは可能ですよ」
「本当ですか?」
「はい。ただし、調査済みの情報が対象になりますので、すべてのダンジョンが検索に引っかかるわけではありません。それと、その段階で明示できるのはダンジョン名までで、詳細な情報については別途購入していただく形になります」
「もちろんです。条件に合う場所が見つかれば、そのダンジョンの所在地も教えていただきたいです」
「承知しました。場所の情報も含めてご案内できます」
彼女はにっこりと笑った。
「それでは、条件を整理して検索してみますね」
「お願いします」
……うん。
以前来たときもそうだったけど、説明が分かりやすいし、こちらの話を丁寧に聞いてくれる。
ありがたい人だ。笑顔がすばらしいね。
こういう人が受付にいると、安心して相談できる。いいね。
受付嬢が端末を操作している間、俺は昨夜の事を思い返していた。
*
五階層到達と情報収集ができたことで、あらためて今後の攻略方針について考えていた。
四階層までの周回だけを見れば、扇橋ダンジョンはかなり効率がいい。
実際に計測した所要時間も優秀だし、これまでに蓄積したドロップデータを組み合わせれば、一時間あたりの期待獲得数も算出できる。
今の装備なら四階層までの攻略に大きな問題はない。
ただ、五階層は別だ。
扇橋ダンジョンの五階層は、俺が周回するには向いていない。
大当たりコードがわかっていても、モンスターを殲滅するのに危険が伴う。
まさかあんな広い空間でウィンドイーグルが飛び回る環境とは想像してなかった。
俺のようなソロ冒険者にとって最悪の相性だ。
地図だけではわからない情報である。
俺のスキルは、ドロップするモンスターもコード分析で特定できるから、大当たり周回時に特定モンスターを狙い打ちすることで、高速周回はすることは可能ではある。
だだ、そこまでの過程のコストが高すぎる。
判明するまでに失敗しました。大ケガしました。死にました。ではシャレにならない。
結局、無理に戦う必要はないし、五階層ドロップを考えれば、あの場所を周回拠点にする理由はないというのが俺の結論だった。
そして…
そうならば、自分の条件にあった環境を探せばいい。
今の俺の状況、火力は十分なこの装備、ソロ冒険者が戦いやすいモンスターがいる環境、そして、チュートリアルダンジョンから近い場所。
さらに、五階層を殲滅できれば、六階層到達となる。
となれば、六階層以上で新しいダンジョンを探すのが合理的だった。
さらに、到達すれば情報も購入できるようになる。
俺は今のタイミングで五階層攻略のために、新しいダンジョン探しがベストだと結論づけていた。
*
「お待たせしました」
受付嬢の声で、俺は現実に戻った。
「いくつか条件に合いそうなダンジョンが見つかりました」
「本当ですか?」
「はい。その中でも、ご希望に近いものが一つあります」
彼女が画面をこちらに向ける。
「こちらです。七階層まで確認されているダンジョンですね」
「七階層ですか」
「はい。五階層は比較的狭い通路が中心になっています。広い空間も一部ありますが、扇橋ダンジョンのような大きな空間が主体ではありません」
おお。
これはいいかもしれない。
「モンスターの情報も確認できますか?」
「もちろんです。こちらが五階層の出現モンスターに関する情報です。詳しい生息状況や出現傾向については、別途詳細情報の購入が必要になります」
「分かりました。では、その情報を購入したいです」
「ありがとうございます。ダンジョンの所在地も併せてご案内しますね」
「お願いします」
受付嬢は必要な手続きを進めてくれた。
よし。
次の攻略先が決まった。
あとは実際に行って、五階層を突破できるかどうかを確認するだけだ。
「それと、もう一つお願いがあるのですが」
「はい。何でしょうか?」
「合成石の使用適性を調べてもらうことはできますか?」
「ああ、合成石の適性検査ですね。冒険者カードに残っている魔力の情報を確認するものですね」
「そうです。お願いしてもいいですか?」
「かしこまりました。それでは、カードをお預かりしますね」
俺は冒険者カードを差し出した。
受付嬢はカードを受け取ると、カウンターにある端末へ向かった。
ところが、カードを読み込ませようとしたところで、手が止まった。
「あれ……?」
彼女は端末の画面を確認し、もう一度カードを見た。
「申し訳ありません。こちらのカードは、ギルドマスターの認証が必要なようです」
「そうなんですか?」
「はい。通常の端末では読み込めない設定になっています。少々お待ちくださいね」
受付嬢は困ったように微笑むと、カードを手元に戻した。
「ギルドマスターに確認してまいります」
そう言って受付嬢は内線電話で正木さんを呼び出してくれた。
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