回ってみました!
いやーすごい。すごすぎる。
俺にしか見えない変化――。
狂人の指輪が届いた。
俺はウッキウキしながら、早速ダンジョンへ検証に向かった。
やる事はいつもと一緒だ。
入場して、モンスターの初動の乱数を確認し、ハズレなら次の階、次の階で100秒で即脱出する。
だがしかし、今日は効率厨として脳内に分泌されているアドレナリンの量が違う。
検証したくて、うずうずしちゃいました。
普段は十時間ぐるぐる、ぐるぐる周回している。
だが、今回はそれが止まらなかった。いや、止められなかった。うん。十四時間。
まるで月額課金ゲーで「元を取らないともったいない」と画面に齧りつく廃ゲーマーのような。
はたまた、食べ放題のバイキングで限界に挑戦する大家族のような。
そのくらい、アドレナリンの出方がすごかった。
まさに、ドーパミン中毒。
俺が想定している各階層の基本的なドロップ確率は、
一階層が 256分の1、
二階層が 512分の1、
三階層が 1024分の1 である。
狂人様。
私からあなた様への、ささやかな十四時間分の検証報告をお送りします。
実質周回時間、約十四時間(※休憩含まず)
総周回数、約五百周回(一周辺り約百秒)
この効率厨として胸を張れる条件から導き出される、仮説結論は以下の通りとなる。
想定ドロップ確率(仮定)
■ 通常時の期待当選回数
一階層 (1/256) :500 ÷ 256 = 約1.95個
二階層 (1/512) :500 ÷ 512 = 約0.98個
三階層 (1/1024):500 ÷ 1024 = 約0.49個
■ 当選確率が1.5倍になった場合
一階層 :500 ×(1.5 ÷ 256) = 約2.93個
二階層 :500 × (1.5 ÷ 512)= 約1.46個
三階層 :500 ×(1.5 ÷ 1024)= 約0.73個
✳︎
そして、十四時間の虚無のあとに俺の手元に残された、純粋なドロップ実数値がこれだ。
水色の聖水、4個。
転移石、 1個。
合成石、 1個!!
「上振れてやがる……!」
だが、俺は止まらない。いや止められない!
なぜなら、俺の今後の人生(一生ダラダラ引きこもる未来)がかかっているからね。
俺の次なる目標は、一万回の周回データ。
これを完遂することで、俺の元々の仮説である各階層の確率や、それが倍々で上がっていくという狂気のドロップシステム。
そしてこの指輪の「1.5倍ドロップアップ」の両方を、統計学的にある程度まで完全に裏付けることができるのだ!
待っていろ!プライベートダンジョン!
俺は瞳の奥に、過去最高に狂った効率厨の光を灯し、再び入場ゲートのクリスタルへと手を伸ばすのだった…
狂人「あぁ指輪が売れた30万で喰う、牛丼うめぇ……」
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