夢の中の歌姫
「よく来たね、」
「ゆっくりしていきな。」
その夜祖父母は夕食を振る舞ってくれた。
「ばあちゃんの作る冷やしソーメン美味え!!」
つかさはかすみの隣で冷やしソーメンを啜っている。毎年夏休みに遊びに行く度用意してくれるのだ。
「ねえ、お婆ちゃん。この辺りにある神社なんだけど?」
かすみは祖母に道中で見かけた神社の事を聞いてみた。
「毎年お祭りが行われてるんだよ、去年も行っただろ?」
「あんな錆びれてたっけ?鳥居なんか色褪せてて今にも崩れそうだよ。奥は暗くて不気味で。誰か女の人が歌っていて。」
かすみは神社の前であった事を祖母に話す。
「お前!! 神社の敷地内に入ったのか?!」
祖母が突然怖い顔でかすみに尋ねる。かすみは黙って俯く。
「入ったのか?!」
再び祖母が尋ねる。
「入ってない。」
「そうか。」
祖母の顔が再び穏やかになる。
「なら良い。あそこには近づかん方がええ、昼間でも薄暗いし女の子には危険じゃ。良いな?」
かすみは黙って頷く。
「あーあ、やっぱりスマフォ使えない。」
夕食が済みお風呂に入ると祖母が敷いてくれた布団の上に横たわりながらスマフォを振るがやはり電波が悪い。
「スマフォ使えないんじゃ明日からどうしよう?お店とかもなさそうだし。」
かすみは電気を消して目を閉じる。
その夜かすみは夢を見た。かすみは暗闇の中を歩き続ける。遠くからお囃子や人の声が聞こえる。声を頼りに歩いていると神社の境内に出た。浴衣で歩く人や縁日の屋台が出ている。しかし去年行った神社とはまた違う。
「お姉ちゃん、1つどうだい?」
かすみはりんご飴の屋台のおじさんに声をかけられる。
「ありがとう、でもお金持ってないので。」
「だったら持ってきな。」
かすみはおじさんからただでりんご飴をもらう。
「そろそろ始まるよ!!」
人々が皆揃って櫓の方へと向かう。
「なにが始まるのですか?」
かすみは屋台のおじさんに尋ねる。
「女神様の歌だよ、行ってくるといいよ。」
女神の姿に扮した巫女が歌うのがこのお祭りの一番の見せ所で毎年皆楽しみにしてるという。
櫓の周りにはすでに人が集まっていた。笛の音がなるとそれに合わせて女の子が櫓に上がる。巫女装束の上にピンク色の打掛を羽織り桃の花の髪飾りを左右に付けている。
ラララ ラララ
巫女の歌が始まった。
「この歌?!!」
巫女が櫓で歌っているのは昼間神社の前で聞いた歌と似ている。巫女は歌い終わると頭を垂れお辞儀をする。拍手喝采に包まれてる中巫女の背後から男がやってきた。男は刀を出すと巫女の首目掛けて振り下ろす。
「きゃあ!!」
かすみはそこで目が覚めた。




