プロローグ
「ああ、本当あり得ない。せっかくの夏休みなのにこんなド田舎の村に来なきゃいけないなんて。」
「姉ちゃんしょうがないだろ。お父さんもお母さんも仕事なんだから。それに姉ちゃんだって受験だろう。ハワイは来年も行けるって。」
中学3年生のかすみは小学5年生の弟のつかさと2人で夏休みを利用して離島にやって来た。本当は家族で1週間ハワイ旅行に行く予定だったが夏休み直前で両親が急に仕事が入ったためハワイは断念。代わりに3泊4日で離島の祖父母の家に行く事になった。
「姉ちゃん、何やってるんだよ?」
かすみはスマフォを振っている。
「ここ電波悪い。」
「しょうがねえよな、田舎だから。」
祖父母の家までは歩いて30分。電車は通っておらず船着き場にはバス停があるだけ。バスは1時間に1本しかないため海沿いの道をキャリーバッグを転がしながら歩いていく。
「姉ちゃん、どうした?」
かすみはふと立ち止まる。
「ここ神社かな?」
かすみが見つめる先には赤い鳥居があった。しかし錆びて唐草が巻きついている。
「そうなんじゃねえ?知らんけど。」
つかさは適当に答える。
「それより姉ちゃん早く行こうぜ。」
「そうね、早くクーラーの効いた部屋で休みたいわ。」
2人が鳥居の前を去ろうとした時
ラララ ラララ
背後から歌声が聞こえてきた。かすみは振り返るが誰もいない。
「姉ちゃん、どうした?」
「今誰かが歌っていたような。」
「気のせいじゃねえ?こんな気味悪いところで誰が歌うんだよ?」
「それもそうね。」
2人は今度こそ神社に背を向け祖父母の家までの道のりを歩き出す。




