幕間.エヴァ視点
廊下を歩きながら、エヴァは少しだけ立ち止まった。
夏の光が窓から差している。もうすぐ学園が休みになる。
(……好きだ、と言った)
ルベルドへの言葉だ。「話すのが好き」という言葉。それはエヴァの言った「好き」に返すための言葉なのはよく分かっている。
それでも心の底でルベルドの言葉に心が揺れたのも事実だ。しかし同時にこれが限界なのも分かっていた。
ルベルドは確かにエヴァが感情を持っている事を理解している。けれど、それ以上にエヴァが向ける感情に鈍かった。
エヴァが勇気を振り絞って送ったプレゼントの意味にだってルベルドはきっと気づかない。
(……でも、それでいい)
ルベルドがどこを向いているかは知っている。その方向は変わらない。それが分かった上で、エヴァは「好き」という感情をどこかに仕舞うことにした。
仕舞う、とは捨てることではない。ただ、出さなくていい場所に置く。
隣にいられる。話せる。それで十分だ、と思える日が来るかどうかは分からなかった。しかし―――少なくとも今は、その言葉を言えた。
エヴァは歩き始めた。来年の秋の選抜試験の結果を、楽しみにしていた。




