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魔王リライト  作者: ゆずリンゴ


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43.二年生大会2

 大会初日。


 一年生大会は午前から行われた。


 演習場の観覧席には意外にも二年生以上の生徒も1番多く集まっていた。自分たちが一年だったころを思い出す者、後輩の実力を確認しようとする者、様々いるようだ。


 レインが観覧席で前のめりになっていた。


「今年の一年生、なかなかいいな!あの水属性の子、もう連続技が綺麗だ。俺より強いかも……!」


「そんな事を大きな声で言うな。お前は二年として自身もう少し自覚をもて」


「……あぁ。そうだな」


 レインは真面目に返した。


「ただ俺たちの一年のときより全体的に水準が上がっている。去年の大会を見て入学してきた世代だからか……どこも世代を追うごとに進化している」


「あー、俺たちが頑張ったのが良い影響を与えたかな!!それは嬉しいな!」


「お前が頑張ったのかは知らない」


「ひどい!!」


 ルベルドは一年生の試合を静かに見ていた。


 確かに水準は高い。しかし去年のルベルドの位置に近い生徒は、今年の一年生にはまだいない。ルベルドはそう考えた。


 一年生大会は午後に決勝が行われた。


 優勝したのは土属性の女子生徒だった。小柄だが動きが速く、相手の攻撃を巧みに地形で受け流しながら勝ち切った。


「あの子、すごいな」


「あそこに加護があれば大きく化けるだろうな。来年が楽しみだ」


「なんかルベルドみたいな戦い方してたな」


(……そうか)


 レインに言われて気づく。


(……俺も去年、あのくらいだったか)


 一年間で変わったことと、変わっていないことを、ルベルドは静かに確かめた。


◆◇◆◇


 そしてついに来た二年生大会当日、演習場の空は高かった。


 二年生の参加者は去年より多い。クラス全員が出るわけではないが、二年になって力の自信がついてきた者たちが積極的に出場している。


 ルベルドは選手席でレインの隣に座り、出番まで参加者を観察した。


 今年の二年生で目立つのはやはり、ダリアだった。


 いつもの落ち着いた顔をしているが、構えたときに滲む魔力の密度が違う。周囲の生徒でも気づく程に今のダリアは他と一線をかくしていた。ルベルドにはそれがより詳しく分かる。あの炎は、一ヶ月前とまた変わっている。


(……三割が、もう四割を超えた)


 速い成長だった。本来、加護を受けてから使いこなすまでには時間がかかると聞く。それをダリアはほぼ毎日の猛練習で縮めていた。


「ルベルド、番号何番だ?」


 レインが言った。


「三番だ」


「俺は十二番。お前と当たるのは決勝まで行かないと無理か……俺の目標は準決勝だからなぁ……」


「準決勝を目標にするな。優勝を目標にしろ」


「分かってるけど」


「今年のお前の土属性は去年と別物だ。ロスタ兄上の評判を聞けるくらいやれ」


 レインが一瞬黙った。


「……それは嬉しいんだけど、緊張する言い方だよ!ばか!」


「緊張しろ。その方が本番に力が出る」


「……相変わらずだな!!」


 司会の声が響き、選手入場が始まった。


 一回戦。ルベルドの相手は去年に続き水属性の二年生だった。


 試合が始まった。


 水の高圧流が三本、扇状に来た。ルベルドは左に半歩、右に一歩。二本は避け、一本を闇の盾で弾く。同時に足元に拘束を展開した。相手が跳んで避けたところに、魔力弾を一発。


 相手が着地で体勢を崩した。その隙にもう一発。場外に出た。


「三番ルベルド、勝ち」


 観客席が沸く。去年と比べれば一回戦から十分に強かったがそれだけだった。


 二回戦。炎属性の、体格のいい少女だった。連続攻撃が得意な型で、隙を与えない戦い方をする。ルベルドは防御に重点を置きながら、攻撃のパターンを読んだ。五回の連続を受けた後、六回目の直前に踏み込んだ。懐に入れれば炎の連射は使えない。近距離の闇の球体を放って決めた。


 二試合が終わった頃、ダリアの試合が始まった。


 ルベルドは手を止めて見た。


 ダリアの相手は雷属性の少年だった。速度と手数が自慢の戦い方をする。


 試合が始まった瞬間、雷が走った。速い。 加護持ちはまだダリアしかいないが、他の同学年の生徒もまた確実に成長しているのだと分かる。


 ダリアは一本かわして、一本を炎の壁で受けた。その炎の壁が―――厚かった。


 雷が壁に触れた瞬間、溶けた。大地の加護呑み込むのとはまた理屈が違う。あれらはより強い物を飲み込める分限界があるが、ダリアの場合は一定数以下であればその限りが無い。


(……これが炎の加護の防御性能か)


 ルベルドは見ていた。


 ダリアが踏み込んだ。炎の糸を三本、扇状に放つ。速い。一年前より明らかに速い。しかもその糸が、途中で曲がった。


「―――え」


 レインが声を上げた。


「炎の糸が曲がった!?」


「加護によって制御力が上がった。放った後に自由に軌道を変えられる。昨年とはまるで炎魔法の次元が違う」


 相手がそれを回避できなかった。三本のうち二本がかすり、体勢が崩れた。ダリアが最後の一本を足元に叩き込んだ。


「二十番ダリア、勝ち」


 場内が静まった後、大きな声が上がった。


 ルベルドは静かに考えた。


(……曲がる炎の糸。一本一本の威力はさることながらだがらそれを自由に複数扱える。……恐ろしいな)


 今の自分の力の範囲内で防ぐのは、かなり難しい。

 


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