第99話 12番目の被験体
一方そのころウェイテル王国にて
Libra、メアナイト、レイ、キャンディ、ジャン、エッジ、テレパトロが来ていた
「ねぇ、レイ君いまどんな気持ち?何を思って着いてきてんの?死ねよ!」
ジャンは相変わらず罵倒が止まらない
……まぁそれはいいのだが
「あれ?なんか今見えたのです!」
レッドは何かが高速で横切ったのを偶然目に入れてしまった
「そう言えば、ここにメタルデビルなる物があるそうでござるな!」
「メタルデビルを再利用するとか言ってましたね!」
「さて、俺の人生で遊んでくれた奴もこの辺に来てると思うんだよな〜!例えば、そことか!」
レイはレーザーを発射
このレーザーは、隠れていたあるものを正確に撃ち抜いていた
「おおっと!さっすが〜、皇帝はやっぱり違うねぇ!ねぇ、僕を壊したい?そうだよね!かかって来なよ!」
人工知能搭載ロボットScolpioが姿を現した
「なんで俺に命令してるのかな、俺は皇帝だよ?」
レイはレーザーを大量に放つ
「おおっと!これはこれは皇帝様、手を煩わせて申し訳ないねぇ!」
「うぉ、因縁の対決ってか?勝手に二人でやっとけよ!僕は一族の恥晒しが死のうがどうでもいいんだよ!」ジャンは冷笑してる
「俺だけじゃない、ナレッジを戻さないといけないんだよね」
レイは片手にLibraを抱えていた
「ピピッ!君が僕の兄なんだね!よし全力で応援するよ!」
LibraはScolpioに銃口を向けている
「Libraは気に入ってくれたかな!」
「ごめんごめん、ちょっとデザインが気に入らないんだけど、あと人格もいじって悪化したね、何やってくれてるの?」
「おおっと、人格が気に入らなかったか〜、じゃあこの僕が持ってる物理キーを使えば人格が元に戻るんだけどなぁ!」
「なかなか面白いな!ご丁寧にありがとう!」
レイは光速で接近して、キーに手を伸ばす
「おおっと残念残念!」
謎の衝撃波のようなものにレイは弾き出された
「へぇ、機械なのに特殊能力でも使えるの?まぁどうせハルマゲドンから借りた借り物だろうけど」
「おおっと、君にだって借り物の王座に着かせてあげたんだけどなぁ?」
「僕がそうであるかは関係ないと思うけどな」
「なぁ、早く決着すませろや!僕はお嬢様を連れて早く帰らなきゃいけないんだよ!お前みたいな薄鈍を待ってる暇はねぇよ!」
ジャンが吐き捨てる
「ふ〜ん、俺、嫌いなんだよなぁ!人のこと何にも知らない癖に、馬鹿みたいに叫んで批判してくる奴、いつから俺が味方になったと思ってたのかな!」
レイは光の速さでジャンを蹴り飛ばした
「おおっと!仲間割れだぁ!楽しいねぇ!」
「レイさん!何やってるんですか!僕たちで協力してこいつを倒しましょうよ!」
「おおっと、君が被験体No-012、あ、今はメアナイトだねぇ?会いたかったよぉ!」
「元帥はScolpioと会ったことがあるのですか?」
エッジが尋ねた
「知らないですよ!さっき初めて会いました!」
「おおっと、初めてじゃないと思うけど…ああ、そっかそっか記憶を消したんだったね!」
「記憶?どういう意味ですか!」
「おおっと、僕は磁力を使って、君の脳を弄らせてもらったんだ……そして君の記憶を封印した!」
「何を言ってるんですか!元帥もこれに騙されちゃダメです!元帥は私が守りますから!」
エッジがメアナイトの前に立つ
「じゃ、記憶元に戻すね!」
「え?ん…がっがぁあああ!」
メアナイトに記憶の本流が流れ込む
……23年前
「メアナイト、お誕生日おめでとう!」
「この子ももう5歳よね」
この日は家でメアナイトの誕生日パーティーが行われていた
が、パーティーも終わり夜になった
メアナイトが布団に入っていると両親が何やら話し込んでいた
「この子ったら5歳になったのに特殊能力を使わないのよ!」
「そうか、5歳になるまでに能力が使えなければ…無能力者だったか」
「かわいそうに…この子これからどうやって生きるのかしら」
「俺の叔父も無能力者だが、今も元気に生きてるよ、この子だって大丈夫だ」
「そうは言っても、能力がない生活なんて私考えられないわ!」
「俺の能力なんか殆ど使ったことないし、別に能力なんかなくたって…」
「あなたねぇ、それに特殊能力がなかったら差別を受けるかもしれないじゃない!」
「馬鹿、声が大きい!メアナイトが起きたらどうするんだ」
「……お母さん?」
実際には、メアナイトはずっとこの話を聞いていた
「メアナイト!なんで起きてるの!?早く寝なさい!」
「喉がかわいたから、取りに行こうと思ってた」
「そ…そう、水ならここにあるわ」
母親は水が入ったコップを【精製】した
「ねぇ、僕はお母さんやお父さんみたいに能力が使えないの?」
「何言ってるの、きっとこれから使えるようになるわ」
「でも5才までに使えなかったら無理だって言ってた」
「あなたが他の子と違うはずないわ!あなただけ能力が使えないはずないわ」
「クリア、本当の事を言ったらどうだ?」
「あなた!この子は能力が使えるの!私はそう信じるわ!」
そこに、轟音が響いた
床が揺れた、壁が揺れた、家が揺れた
見ると、壁に巨大な穴が空き
黒い機械が侵入していた
「何よ、誰なの!」
「やぁやぁ、僕はScolpioだよ!メアナイトを貰いに来たよ!」
「この子に何するつもりよ!」
母親は拳銃を【精製】して放つ
しかし弾丸はScolpioの前で静止し、逆に母親の方に飛んで、その脳天を貫いた
「まったくこんな夜中に強盗とは」
父親は【爆破】の能力を使い、家の壁を爆発させる!
爆風がScolpioに直撃
しかし無傷
「おおっと、さよなら!」
Scolpioが放った鉄の弾丸は父親の心臓を貫いた
「なんで!お母さんとお父さんが死んじゃう!」
メアナイトは泣いていた
「おおっと、もう死んだよ」
「なんで……」
「君を貰うため!じゃ、行こっか」
……それから謎の施設に連れて行かれた
メアナイトはガラス張りの部屋に閉じ込められた
ガラスの外にも、たくさんのガラス部屋があり人が閉じ込められている
「ここ、どこ?」
「おおっと、ここは今日から君の家だ」
同じ部屋にはもう一人、銀色の髪の女の子が入っていた
左肩には011の焼印が押されていた
「あなたは誰ですか?あなたも閉じ込められてるんですか?」
「私は11番」
「11番?それが名前?」
「おおっと、言い忘れてたけど、君も今日から12番だよ!」
「え?それどうゆう意味ですか?」
「メアナイトの名前は捨てて、今日から君は12番だよ!」
「何それおかしいよ!」
「おおっと、忘れないように体で覚えてもらうね!」
Scolpioは012の焼印を取り出し、加熱した
血のように赤く熱せられた鉄が胸に迫ってくる
そして一瞬の静寂
静寂はすぐに破られた、焼印の湿った音と共に、メアナイトの甲高い叫び声が響き渡る
そしてその金具が肌から離れると、012の文字が刻まれていた
「がっ…いたいよ、息ができない…」
メアナイトは泡を吹いて気絶した
……3時間後
「ねぇ、大丈夫?3時間も気絶するとは思わなかったけど」
メアナイトは目を覚ました
胸に押された012を見ると、涙が溢れてきた
「ここ、なんなんですか!」
「ここは研究所、ハルマゲドン様の依代になるための場所」
「ハルマゲドン…誰ですか?」
「ハルマゲドン様は神様なんだって、それ以上はわからなかった」
「なんで僕がここに連れてこられたの?」
「あなた無能力でしょ、私もそうなの」
「そっか、僕が無能力だから…」
その時、またScolpioがやってきた
「おおっと、新しい名前は気に入ってくれたかな、さぁ実験を始めるね!」
メアナイトを謎の力で引き寄せ、別の部屋に連れて行かれた
……
「ここ、どこですか」
驚くほど光に満ちた空間だった
真っ白だった
床もピカピカで光を反射する
静かな部屋でモニターの電子音と、換気装置の唸る音だけが聞こえた
「ここは【処置】をする場所だよ、そこのベッドに仰向けになってくれるかな?」
金属製の固定台があった
「いやです!」
「おおっと抵抗は許されないよ!」
Scolpioが磁力を放つと凄まじい頭痛がメアナイトを襲った、脳が壊されていく
「分かった!分かったからぁ!」
「じゃあまずは邪魔な異物を除去するね」Scolpioは着ていた服を引き剥がした
メアナイトは裸になった
「なんで……」
「おおっと、黙って仰向けになってねぇ!」
「分かりましたよぉ!」
メアナイトが固定台に足を乗せた
金属の台は少しひんやりとしていた
メアナイトが完全に仰向けになった瞬間、固定台が変形して、手と足が一瞬にして固定された
「何これ…何するんですか!」
「それじゃ、いくよ!肉片5mgでいいかな?」
Scolpioは注射器を持っていた
針は、瞳を貫いていた
そしてその瞬間、メアナイトの右眼は視界を失った
眼球に刺さった針から、どす黒い肉片が注入されていく
「あ゙ああああ!あ…いたいよぉ!やめて…くださ…」
「おおっと、心拍と体温が上がってるね」
「何これ、目が熱い…目が動いてる暴れてる、心臓が痛い…ゔぁああああああっひどいよぉ!」
メアナイトの眼球からは血が吹き出していた
「12番はハルマゲドン様の力に耐えられるかな?」
「無理だってぇ!痛いよぉ!熱いです!気持ち悪い……」
「おおっと、80%を超えたね、よし適合許可…じゃ適合液に浸かってもらうね!」
「もう……やめて」
メアナイトの体が緑色の液体が入った巨大なプールの中に運び込まれた
液体に裸のまま放り込まれた
「ゔぁあああああ!な…」
メアナイトの体に電流が走る
そして適合液がメアナイトの体に浸透する
「じゃあ、さよなら」
Scolpioは部屋から出ていった
「待って…これ…体おかしいです…止めて…変な感じ、気持ちいいけど自分の体からじゃないみたい…」
メアナイトは気絶したかったがそれはできなかった
このプールから出られたのは次の日の朝だった
また11番がいる部屋に連れて行かれた
「あなた、ようやく【処置】が終わったんだね」
「おなかが空きました…」
「おおっと、これを食べてねぇ!」
Scolpioから謎のゼリーが渡された
「何これ…味しない」
「初めのうちは慣れないと思うけど、そのうち慣れると思うよ」
「11番さんはいつからここに?」
「半年ぐらい前かな…私10歳なの、今まで無能力であることは親にも隠してきたんだけど…」
「僕は5才です…」
「どうやったらここから出られるんですか?」
「出られるには【最終試験】に【合格】したらいいらしいよ、でもまずは今日の訓練からね」
訓練というのは、ハルマゲドンの力を使うことだった
「おおっと訓練の時間だよ!詳しくは11番に聞いてね!」
そこで、またScolpioが来た
「ハルマゲドン様は物を操ることができるの……ここにある箱を、自由に動かせるようになるまで毎日念じ続けるの」
「僕もやってみます」
メアナイトが念をこめると、箱がメアナイトの思った方向に少しだけ動いた
「おおっと!初めてなのに上手だね!才能があるみたいだねぇ!」
「12番も『箱よ!動け』って掛け声を出すとやりやすいよ」
「じゃあ、箱よ!動け!」
すると箱がメアナイトが思った通りに動き始めた
「え…すごい!」
「おおっと、才能ある個体が見つかってよかったよぉ!」
……それから5年間、実に変わり映えのない日々が続いた
そしてメアナイトが10才の誕生日を迎えた日だった
「おおっと、今日は11番と12番!今日は【最終試験】を行うよ!」
「11番のお姉さん、これに合格したらここ出られるんでしたよね?」
「うん、ねぇScolpio、【最終試験】って何するの?」
「何するかって?君たちで殺し合ってもらうよ!」
「殺しあう……!?無理に決まってるよ!なんで私が12番を殺さなきゃいけないの!?」
「おおっと、ハルマゲドン様の依代に慣れるのは、最も強くて素質がある個体だけ、【失敗作】は廃棄しなきゃいけないからね!12番を取るか、外に出るのを取るかだねぇ?」
「僕……お姉さんを殺さないといけないんですか」
「もちろん、出たかったらね!出なくてもいいんだよぉ」
「僕は外に出たい……でもお姉さんを殺すわけには」
「ねぇ12番、私のことはいいよ、ほら私を殺してよ……私って才能ないからどうせいつか殺される、12番は私の代わりにきっと幸せになれるよ」
「いやです!そんなことするんだったら出れなくてもいい!」
「……私、訓練頑張ったから動物も操れるようになったの、メアナイトよ!私を殺せ!」
「いやだよ、お姉さん!」
メアナイトの気持ちとは裏腹に、自分の口が勝手に動く
「天井よ…11番を叩き潰せ!」
その瞬間、11番の真上の天井だけ崩落した
「幸せに…いき…て」
天井の崩落音が止んだ
白い粉塵の向こうに、動かない影があった
11番は、もう呼吸をしていなかった
「ひどいよお姉さん、僕なんて……なんでお姉さんが」
メアナイトは泣いていた
「おおっと、11番を殺したのは間違いなく君だよ!合格おめでとう!」
メアナイトはもはや声がでなかった
「それじゃこれから、フェーズ2に移行するね!まずはエレスタ王国との関係を構築してもらうよ!」
Scolpioはメアナイトを連れて外に出ると、メアナイトの体を掴み、飛行を始めた
風を切り、空を突き進む
「ねぇ、ここは…」
「よし、この辺だねぇ!」
エレスタ王国の迷いの森に降り立った
「じゃあ、さよならだねぇ!」
Scolpioはメアナイトに強力な磁波を当てた
「何これ…」
メアナイトの視界が歪み、意識を失った
……
次に目を覚ました時には記憶が消えていた
「何…ここ、僕は誰?」
ふと自分が一枚の紙切れを持っていることに気づいた
紙には
メアナイト、10才、能力:【催眠】
と書いてあった
「あれ?あなた誰?ここ私の遊び場なんだけど!」
プリズムが話しかけてきた
「僕は何も覚えてなくて何もわからないんです…」
「え〜どうしよう、お姉ちゃんに相談した方がいいかな、あ〜やっぱり面倒だからエレスタ城行って国王に会ってきて!ほらあそこ!」
地味に第17話は伏線になってます。




